おまいわ人に教えられるほど高い声が出せるのかよ! って突っ込まれると痛いところなわけなんですが、S.D.I.?KISS OF DEATH?が高い曲なのであればきっと出てるんでしょう。

 高い声は誰にでも出せます。ただし、その方法論はさまざまなものがあり、音楽関係の理論で発声ほど混乱をきたしているものは無いでしょう。結論として僕が提示したいのは、「その発声理論?は、その理論を書いた人にしか通用しない」ということです。

 身長、体重、骨格は人それぞれ異なります。当然筋肉のつき具合も異なり、声を出しているときの感じ具合も異なります。よく言われる「お腹から」や「首の後ろから飛ばすように」といった表現は、それだけの腹筋や口の中の開き方を理解している人にしか本当の意味では伝わりません。

 じゃぁ、どうすればいいか?
 結局練習の二文字しかありません。

 では、どんな練習をするべきか?
 この問いに対しては、「センスを磨くよう努める」と答えましょう。センスと書くと才能のように思いがちですが、英単語の「感覚」の方をさすと考えてください。


 感覚とはどの感覚か?
 それは声を出しているときの感覚です。少しでも体のどこかがつらければそれは発声として間違っています。無理をして出す声は体、特に声帯?への負担が大きく長続きはしません。練習のとき、少しでも負担を減らし、その上で歌声になる体の使い方を体と対話しましょう。

 具体的に練習はどのようにするべきか?
 体に負担の少ない発声を身につけるには、まず練習の段階で負担のかからない練習を反復して行い、体に染み付ける必要があります。方法は、リップロール?タンロール?ハミング?、極限まで小さい声?で歌う、の4つです。

 リップロール?は唇をブルブル震わせながら歌う方法です。余計な部分に力が入るとリップロール?は成立しません。

 タンロール?は舌をまいて発声する方法です。文章で説明は難しいのでわかる人にやってもらってください。リップロール?と同じく余計な部分に力が入ると成立しません。

 ハミング?ですが、口を閉じて「ン」で歌う方法です。高い方に行くに従って苦しくなるかと思いますが、それは発声方法が間違っているからです。

 極限まで小さい声?は説明の必要はありませんね。そのままです。大きい声で高い声を出すことは誰にでも出来ます。これは力技であり、力技は若いうちにしか出来ず、また声帯?をつぶす要因となります。逆に小さい声?で高い声を出すということは技術を習得し、技術によって声を出そうというアプローチです。技術はやればやるほどよくなります。

 あとは、ただ反復練習のみです。一人で練習するのであれば、Amazon等でCDつきの本を購入し、日々こつこつと練習すると良いかと思います。結局のところ運動神経と筋トレですので、結果が出るのは約3ヶ月後になります。気長にあわてず、確実にこなしてください。

 実際の歌唱時にはそれぞれの方法がさまざまな要因でつながりあいます。大切なことは、声が歌声であることを意識することです。その正解はあなたの体だけが示してくれます。

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【追記】
-科学的分析による「単語」について-
腹式呼吸ミックスヴォイスに代表される発声の単語は全て忘れましょう。科学的分析は理解するうえでは確かに便利ですが、練習に対しては足かせにしかなりません。人はこぶしを作るために指の筋肉だけを動かすわけではありません。腕、肩の筋肉も連動していますし、電気的な信号は脳から発生しています。発声も同様です。

 声を出すためにはもちろん声帯?、腹筋、背筋を使いますが、そこだけを使っているわけではありません。しかし、そこに捉われ腹筋を鍛えてばかりでは全体のバランスを損ないます。腹式呼吸とは、手をただ出すよりも腰の回転を加えた方がパンチ力が増すよ、と言ってるのと同様でその程度のものです。歌のうまい下手は腹式呼吸じゃありません。ましてや、ほとんどの人が複式吸腹式呼吸と誤解したままの単語に何の説得力があると言えましょうか。ミックスヴォイスも実態はただの裏声?です。

 念頭に置くべきなのは、その声が歌声であるかどうかであり、歌声であるためには自分の体がどうあるべきかを知ることであります。


最終更新:2007年01月31日 19:45