木になったキッコロ
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より。「絵本スレ」でわざわざ「絵本最終巻 木になったキッコロ」とタイトルを付けていただいたのですが、絵本スレは10/17の時点でまだ100行っていませんし、これからも皆さんにいろんな物語を提供していただくため、「番外編」として編集、公開します。
それから、元記事には入っていなかったのですが、友情出演として「なぞの旅人フー」も入れさせていただきました。
夕べうちにモリゾーが来た。
キッコロが熱を出しているらしく、薬をくれと言ってた。
「エスタックイブ」を渡した。
今朝になって元気になったキッコロが一人で余った薬を持ってきた。
私はモリゾー爺ちゃんはどうしたのか聞いた。
キッコロが言うには、看病に疲れたモリゾーはすっかり紅葉してしまったらしい。
その日の晩、真っ赤に紅葉したモリゾーがやってきた。
キッコロが突然吐いて倒れたと言う。
私はモリゾーに正露丸を渡し、医者を連れて行くから先に帰るように言った。
自転車の荷台に医師を乗せ、私はキッコロの元に急いだ。
2人の家には「カラーキッコロ」や「どーも君」、「なぞの旅人フー」らが集まっていた。
みんな泣いていた。
キッコロがか細い声で言った。
「みんなどうして泣いてるの?」
みんな何も言えず泣いた。
医師がキッコロに聴診器を当てた。
医師は厳しい顔で首を左右に振るだけだった。
キッコロが言った
「今度みんなでドングリを拾いに行こうよ。ね、おじいちゃん。いいでしょ?」
モリゾーは大粒の涙を流しながらウンウンと頷いた。
「お外は雨が降っているんだね。あした晴れるかなあ」
「晴れたらみんなでドングリ拾いじゃな」
うさじいが涙声で答えた。
キッコロは静かに瞼を閉じた。
瞼を閉じる瞬間、キッコロがつぶやいた。
「・・・・・おじいちゃん、いままでありがとう」
その場にいたみんなが医師を見つめた。
医師は静かに首を横に振った。
キッコロの死因は薬物中毒だった。
そのとき、キッコロの手から何かが零れ落ちた。
ドングリだった。
家の中は一晩中泣き声に包まれた。
海上の森も泣いていた。
翌朝は爽やかな秋晴れになった。
キッコロは海上の森の中心部に埋葬された。
みんなで集めたドングリが一緒に埋められた。
春が来た。
キッコロのお墓から一本の芽が出た。
モリゾーや海上の森の住人はその芽を大切に守り、育てた。
数十年が経ち、その芽は巨木に成長した。
モリゾーはその木を「キッコロの木」と名づけた。
「キッコロの木」は森のシンボルになった。
「うさじい」や「どーもくん」、「なぞの旅人フー」もこの木の傍らに埋葬され、キッコロやモリゾーの仲間たちが今日も集い、笑っている。
キッコロはみんなの心の中で生き続け、伝説になった。
キッコロよ永遠に・・・・
注:この物語はフィクションで実際のあらゆるものとは関係ありません。モリゾーとキッコロは万博閉幕の時にも言ったとおり「自然を愛する人たちの心の中にずっと住み続け、心地良いそよ風として、あたたかい木漏れ日として、いつでもみんなに会える」と言ったとおり、皆さんの心の中にモリゾーとキッコロを思う限りずっと彼らは生き続けます。