M110 203mm自走榴弾砲(韓国)



性能緒元
重量 26.53t
全長 7.478m
全幅 3.15m
全高 2.93m
エンジン 8V-71T 液冷スーパーチャージド・ディーゼル 405hp
最高速度 54.7km/h
航続距離 724km
武装 25口径203mm榴弾砲M2A2×1(2発)
乗員 5名

M110は175mm砲を装備するM107と並行して開発が進められた自走榴弾砲で、車体を共通化したのに加え、機関系はM108/M109のものを流用し、サスペンションはM113装甲兵員輸送車のものを用いる等、他車のコンポーネントを採用する事でコストの低減も図っているのが特徴である。開発はM107と同じくパシフィック&ファウンドリー社が担当し、T236と名づけられた試作車はT235(M107の試作車)ともども1958年半ばに完成を見た。翌1959年、アメリカ陸軍が戦闘車両のエンジンをガソリンからディーゼルに変更する方針を決めたため、完成したT236はエンジンをディーゼルに換装して、呼称もT236E1と改められた。そして1961年3月にM110として制式化され6月からM107とともに生産に入り、1960年代末までに約750輌が完成した。M110はその派生型も含め、10ヶ国以上の軍隊で採用された。

M110は同じ自走榴弾砲でも155mm砲を装備するM109が師団レベルでの運用を前提に開発されたのに対し、その上位部隊である軍団レベルでの運用を考えて開発された車輌で、このため203mmという大口径砲が採用された。この砲の最大射程は16.8kmとM109とさほど差がないが、100kg近くもあるM106榴弾の威力は絶大で、目標に大きな損害を与える事が可能だった。またこの砲は通常の砲弾の他に、核砲弾を発射する事が出来た。砲弾の装填は半機械式で、砲尾トレイ上からは人力で装填しなければならない。発射速度は速射時で1分に2発を撃てるが、通常の持続射撃の場合は2分に1発程度である。照準はM115パノラマ間接照準器、若しくはM116C直接照準器で行われる。車体上部には牽引式203mm榴弾砲M115を車載化したM2A2を搭載しており、車体前部左側に機関室を配し、その右側に操縦室、車体後部の戦闘区画に車長と砲要員3名を収めるレイアウトはM107と変わらない。車体後部には射撃時に車体を安定させる油圧駆動の大型スペードが装備されている。

韓国軍はM110を戦略打撃火力として軍団直轄砲兵に配備していたが、現在は後継のMLRSの配備が完了したため退役がすすんでおり、2010年頃には姿を消す予定だ。

▼車体後部の大型スペードを下ろして射撃するM110

【参考資料】
戦車名鑑-現用編-(後藤仁、伊吹竜太郎、真出好一/株式会社コーエー)
戦車研究室
Grobal Security


2009-05-10 01:55:48 (Sun)

最終更新:2009年05月10日 01:55
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