「天龍」巡航ミサイル



「天龍(チェンロン)」は韓国が開発した巡航ミサイル。1990年代初期からADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)を中心に三星テックウィン社などで開発が始められた。既に開発は完了しており、実戦配備が近いといわれる。なお韓国はアメリカ政府と射程300kmを超える弾道ミサイルの保有を制限する覚書を交わしているが、天龍は弾道ミサイルではなく巡航ミサイルであり、弾頭も500kg以下であるため、この覚書の規制を受けないとしている。

天龍の射程距離は約500kmで、北朝鮮北部にある弾道ミサイル基地への攻撃も可能。敵レーダーの探知を避けるために50~100mの低高度をマッハ0.73の速度で飛び、命中誤差は3m程度。誘導方式はINS(Inertial Navigation System:慣性航法装置)と地形映像照合装置で、地形照合はミサイルに装備された赤外線カメラの映像と事前に入力された地形情報とで行われる。推進方式はターボファンで、ロシアからの技術援助を受けた。天龍は現在建造中のKDX-Ⅲ型イージス駆逐艦に搭載されるほか、KD-Ⅱ型(チュンムゴン・イ・スンシン級)駆逐艦の後期型にも搭載される。発射はVLS(Vertical Launching System:垂直発射システム)から行われるが、Mk41ではなく韓国が新規開発した国産VLSが使用される。これは同じく韓国独自に開発中のK-ASROCと共用のVLSで、ロシアの技術援助を受けコールド・ランチ式で打ち上げられるという。水中発射型も開発され、現在建造中の214型(ソン・ウォンイル級)潜水艦第2バッチ(4番艦以降)にも搭載される予定。また今後5年以内に射程を1,000kmまで延長した改良型も開発されるという。

2006年10月25日の朝鮮日報紙は、韓国軍が既に射程距離1,000kmの地対地巡航ミサイル「玄武Ⅲ」を配備していると報道したが、天龍が玄武Ⅲの派生型なのかどうかは不明。天龍と玄武Ⅲは同じものだとする説、また地上発射型が玄武Ⅲで艦載型が天龍だとも言う説もある。開発時のコードネームは「イーグル1(射程500km型)」「イーグル2(射程1,000km型)」だったという。

【参考資料】
産経新聞
朝鮮日報
中央日報
連合ニュース
Kojii.net
DefenseNews



2007-11-17 13:08:26 (Sat)

最終更新:2007年11月17日 13:08