艦載砲(韓国)


ユナイテッド・ディフェンス Mk45 mod4 62口径127mm砲

▼KD-II型駆逐艦が装備するMk45 mod4 62口径127mm砲

口径 127mm
砲身長 62口径
砲身数 1門
砲弾重量  
初速  
発射速度 16~20発/分
射程 38km(通常砲弾)
旋回範囲 340度
俯仰範囲 -15~+65度
マウント重量 22.886t

アメリカ海軍でイージス艦を中心に配備が進みつつあるユナイテッド・ディフェンス社製の新型艦載砲。54口径だったMk45を62口径まで延長し、射程距離を延ばして陸上への艦砲射撃を重視している。通常砲弾での最大射程は原型のMk45 54口径 127mm砲が24kmだったのに対して、38kmにまで延伸されている。アメリカでは最大射程が117kmにも及び、砲弾に内蔵されたINS(Inertial Navigation System:慣性航法システム)とGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)により精密砲撃が可能なロケット推進式のEX-171 ERGM(Extended-Range Guided Munition:長距離誘導砲弾)を開発していたが、2008年3月に開発中止となっている。

韓国海軍ではKD-II型駆逐艦(チュンムゴン・イ・スンシン級)KD-III型イージス駆逐艦に搭載されており、FFX(韓国次期フリゲイト)にも装備される予定。日本では日本製鋼がライセンス生産しているが、韓国ではWIA社が砲身等を除いた部分をライセンス生産しており、韓国で生産されたMk45 mod4は「KMK-45」の名称が付与されている。2002年に韓国はKD-II型用Mk45 mod4のパーツ、3基分(約22億ドル)をアメリカから購入している。

2007年5月28日、射撃訓練中のKD-II型駆逐艦2番艦「文武大王」が暴発事故を起こし、砲身内で爆発した砲弾によって127mm砲の砲身が大きく裂けた。砲弾、もしくは砲身に何らかの欠陥があった可能性もあるが詳細は不明。

【参考資料】
NavWeaps「United States of America 5"/62 (12.7 cm) Mark 45 Mod 4 」(2008年4月7日)
朝鮮日報「射撃訓練中の最新鋭駆逐艦で爆発事故」(2007年6月18日)

オットー・メララ 54口径127mm砲

▼KD-I型駆逐艦が装備するオットー・メララ社製54口径127mm速射砲

口径 127mm
砲身長 54口径
砲身数 1門
砲弾重量 31.7kg
初速 808m/秒
発射速度 45発/分
射程 16,000m
旋回範囲 330度
旋回速度 40度/秒
俯仰範囲 -15~+83度
マウント重量 37.5t

西側の代表的な艦載自動速射砲で、日本を含む多くの国が採用している。1965年にイタリア海軍の要求を受けてオットー・メララ社で開発が始まり1969年に試射を開始、1972年にカナダ海軍のイロクォイ級駆逐艦(Iroquois)に搭載されて就役した。軽合金とグラスファイバーをシールドなどに多用しているが、重量は同級の米Mk45 127mm砲と比べてかなり重い。この砲の最大の特徴は発射速度の高さでMk45の2倍以上にもなり、仰角の大きさとも合わせて対空射撃に有効である。砲塔は完全に無人化されている。

韓国海軍ではKD-I型駆逐艦(クァンゲト・デ・ワン級)に搭載されている。

WIA 62口径76mm速射砲

▼右がオットー・メララ社に訴えられた76mm速射砲。左は127mm砲。

韓国のWIA社がオットー・メララ社製の76mmコンパクト砲を参考に国内開発した艦載用速射砲。ステルス型シールドを装備したオットー・メララ社の76mmスーパーラビッド砲に極めてよく似た外観をしている。また給弾システムは次掲の76mmコンパクト砲とほぼ同じものが使われている。性能も発射速度が毎分100発とオットー・メララ社製のものを上回っており(76mmコンパクト砲は85発)、オットー・メララ社製はアナログ式の砲管制装置を使用しているがWIA社製はデジタル式になっているという。価格はおよそ50~60億ウォンで、WIA社は積極的に輸出も行いたいとしている。

WIA製76mm艦砲は、現在建造・計画中のPKX(コムクスドリ型/次期ミサイル艇)とFFX(次期フリゲイト)に搭載される予定だったが、オットー・メララ社から特許侵害・営業損害を訴えられたため中止された。WIA社によればこの新型76mm砲はオットー・メララ社のものを参考にはしたが、基本設計コンセプトから実際の開発まで全てWIA社で行っており、訴えられる筋合いは全く無いと主張した。

その後、2009年7月14日に韓国最高裁においてオットー・メララ社の訴えが退けられたことによりWIA製76mm艦砲の搭載が可能となりコムクスドリ型ミサイル艇の2、3番艇からWIA製砲塔の搭載が開始された[2]。なお、FFXについては搭載砲をKMk45 127mm砲に変更したためWIA製76mm艦砲の搭載は無くなった。

【参考資料】
[1]アジア経済「最高裁"WIA、76mm艦砲自体の開発問題はない"」(2009年7月14日)
[2]朝鮮日報「西海英雄達が先端高速艇となって西海を守る」(2009年9月24日)

オットー・メララ 62口径76mm砲コンパクト

▼ポーハン級コルベットに装備された76mm砲コンパクト

口径 76mm
砲身長 62口径
砲身数 1門
砲弾重量 6.4kg
初速 925m/秒
発射速度 85発/分
射程 12,000m
旋回範囲 360度
俯仰範囲 -15~+85度
マウント重量 7.5t

西側のベストセラーとなった艦載速射砲で、アメリカでもMk75として採用した。日本では日本製鋼でライセンス生産されており、ドイツ、スペインなど世界中で1,000門以上が使用されている。伊オットー・メララ社(伊ブレダ社と合併しオットー・ブレダとなったが、再びオットー・メララと改称)は1965年に開発に着手し、1969年から生産に入っている。砲口には砲弾発射時の後座エネルギーを軽減する制退機があり、砲身中央部には燃焼ガス逆流を防ぐ排煙装置が取り付けられている。甲板下の回転式弾庫から2つのロッキング・アームに給弾することで、毎分10~85発という高い発射速度を得ている。この発射速度を持続させるため砲身は水冷式で、閉鎖機は垂直鎖栓式。砲塔内は無人で全ての機構は自動化されているが、弾庫への補給は3名の給弾員が人力で行う。シールドはグラスファイバー製で波風を防ぐ程度でしかなく、防御力は全く無い。重量が軽いため小型の艦艇にも搭載する事が出来る。使用する砲弾は多目的榴弾、徹甲弾、事前調整破片弾など。

韓国海軍ではウルサン級フリゲイトポーハン級コルベットなど、中型戦闘艦艇の主力火砲として搭載している。また護衛艦として使う事も考慮されている機雷敷設艦ウォンサンにも搭載されている。


ボフォース Mk3 70口径57mm砲

▼ハリファックス級フリゲイト(カナダ海軍)のMk3 57mm速射砲
▼Mk110 CIGS(Close-IN Gun System:近接砲システム)

口径 57mm
砲身長 70口径
砲身数 1門
砲弾重量 2.4kg(HE弾)
初速 1.025m/秒(HE弾)
発射速度 220発/分
射程 13,000m(HE弾)
旋回範囲 360度
俯仰範囲 -10~+77度
マウント重量 6.8t

スウェーデン・ボフォース社製の多目的速射艦載砲。ボフォース社のベストセラーである40mm機関砲をスケールアップした57mm機関砲の第三世代で、発射速度が極めて速く(220発/分)対空目標の攻撃に威力を発揮する。Mk110と呼ばれるCIGS(Close-IN Gun System:近接砲システム)を構成しており、砲身もシールド内部に収納するステルス性の高い砲塔を有する。砲弾は専用に開発されたMk295プログラム型高性能3P弾で、目標の種類に応じて6種類の信管モードを設定できる。目標が高速の場合は通常の近接信管モードで発射し、目標手前で2,400個のタングステン・ペレットを最適のパターンで撒き散らす。このモードの初弾撃破率は94%にもなるという。目標がヘリコプターなどのように低速の場合はゲート化近接信管モード(着発優先)で発射し、近接信管の感応を数ミリ秒遅延させて弾丸がヘリのはるか手前で炸裂しないようにする。また目標が小型高速の対艦ミサイルの場合には、信管作動時間を限定したゲート化(誤作動防止)近接信管モードを使用する。他にも目標が高速艇などの場合は船体を貫徹後に弾丸が炸裂する着発信管モード、装甲の厚い戦闘艦が目標の場合は装甲貫徹モード、陸上の目標の場合は時限信管モードを使用する。Mk110CIGSはアメリカ海軍の新型沿岸戦闘艇LCSや、スウェーデン海軍のヴィスビー型コルベットに採用されている。

韓国のWIA社は2007年にBAE Systems AB社からこの砲のライセンス生産権を購入した。今後建造する新型艦艇に装備されるものと思われる。

【参考資料】
軍事研究(株ジャパン・ミリタリー・レビュー)
世界の艦船(海人社)
艦載兵器ハンドブック改訂第2版(海人社)
OTO-MELARA HP
Kojii.net
Defense-Aerospace
U.S.Warships


2010-03-08 02:26:30 (Mon)

最終更新:2010年03月08日 02:26