韓国が初めて国産した、潜水艦攻撃用の短魚雷(軽魚雷)。「青鮫(チョンサンオ)」と呼ばれる。水上艦艇や航空機から発射・投下して敵潜水艦を攻撃する。当初はイギリスのスティングレイやイタリアのA244などの導入も考えられたが、K731長魚雷の開発経験を活かして国内開発する事に決定した。1995年から500億ウォンを投じてADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)を中心に韓国LG電子社などで開発が進められ、ヨーロッパのEurotorp社から協力を受けた。初めて海中走行テストが行われたのは1998年11月だったが、この時は30秒程度で浮き上がってしまい失敗してしまったという。その後改良開発が続けられ、50回余りの海上実験と技術試験を経た後、2004年に試験弾6回と実弾2回の計8回の最終運用テストが行われ全弾が目標に命中して成功裏に終えた。K745は2008年から配備される予定で、ADDが開発中の国産アスロックにも搭載される。またK745は現在韓国海軍が運用中の艦艇及び今後建造されるKDX-III級駆逐艦などをはじめ、スーパーリンクス哨戒ヘリコプターやP-3C哨戒機などから発射可能。量産単価も1発当たり10億ウォンで、海外からの導入価格の約半分の値段だとADDは発表している。2007年9月末には「青鮫」の第2次量産計画が国防会議で承認された。
K745短魚雷は直径324mm、長さ2.7m、重量280kgで45ノット以上のスピードを出す事が出来る。使用している電池はEurotorp社製を参考に国内開発したもので、また同社が開発したMU90(インパクト)電池魚雷の技術がK745に多数使われているという。そのためK745は対魚雷迎撃能力を持つ可能性がある。推進方式はポンプ・ジェット。誘導システムは極めて高度で多目標を同時に追跡処理しつつ、最も脅威度の高い敵を攻撃する。またSONAR(Sound Navigation and Ranging:ソナー)は最大15,000mの目標を探知する事ができる。航空機から投下される場合ソナーなどがある弾頭部には着水時に大きな衝撃が加わるが、K745開発チームはこの問題の解決に苦労し、結局ロシアから10万ドルで技術移転を受けたという。弾頭は複殻式の潜水艦を確実に撃破できるように成形炸薬弾頭になっている。
アメリカ製の対潜魚雷。ADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)が米ハニウェル社と共同でMk44を韓国周辺海域の特性に合わせて改良したのがK744である。K744はソナー部分を除いて全て国内生産され、1986年に制式兵器として韓国海軍に登録された。K744開発時にハニウェル社は法外な値段を韓国側に吹っ掛けた為、韓国はK731「白鮫」やK745「青鮫」などの国産魚雷開発を決意したという。
韓国新型長魚雷計画
韓国はK731「白鮫」長魚雷にかわる新しい潜水艦用魚雷の開発を2007年に決定した。これは2007年12月18日に行なわれた防衛事業委員会で決定されたもので、2016年までにADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)主体で開発するという。「白鮫」が2000年に入ってから実用化された割と新しい魚雷なのにも関わらず、すぐに新型の長魚雷の開発が決定されたという事は、「白鮫」の性能に海軍が納得していないという事なのだろう。この新型魚雷はソン・ウォンイル級潜水艦やKSS-III型潜水艦に搭載されるものと思われる。
K731 533mm長魚雷「白鮫」
▼K731長魚雷「白鮫」
直径
533mm
全長
6.4m
重量
弾頭重量
雷速
55kt
航走距離
最大深度
誘導方式
パッシブ/アクティブ(有線)
機関
ポンプ・ジェット推進/リチウム電池
ADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)が韓国LG精密社と開発した潜水艦搭載用の長魚雷。ペクサンオは白鮫(White Shark)の意である。1995年から具体的な開発が始まり(国産魚雷の研究は1970年代から行われていた)、300億ウォンの予算が投じられた。韓国にとって魚雷の国内開発は初めてであり試験用施設なども無く、機関のテスト中発火して実験室を全焼したり、対馬近海で航走試験中にK731が日本領海へ入り込む、漁船を追い回すと様々なトラブルが発生して計画は難航したが、SUT魚雷など各国の魚雷を参考にK731の開発を進めた。
独AEG(ATLAS Elektronik GmbH)社の潜水艦用長魚雷。SUTはSurface and Underwater Targetの略である。誘導は有線で行われ、最終的にはワイヤーを切り離し自身のアクティブ・ソナーで目標をホーミングする。目標を失探した場合でも事前に組み込まれたプログラムにより、再捜索を行う。信管は磁気・触発式。朝鮮半島周辺の浅海域でも充分な性能を発揮できるという。韓国海軍ではチャン・ボゴ級潜水艦(209型)に搭載されている。