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K-ASROC「赤鮫」(韓国型アスロック)

▼「赤鮫」の駆逐艦発射試験
▼「赤鮫」のVLSからの垂直射出試験
▼「赤鮫」のVLSからの射出試験動画(55秒頃から)
▼「赤鮫」の駆逐艦からの発射試験動画

全長 5.7m
直径 0.38m
重量 820kg
飛行速度 マッハ1
射程 7~30km
推進装置 固体ロケットモーター
弾頭部 K745「青鮫」短魚雷

「赤鮫(ホンサンオ)」はADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)が開発した国産ASROC(Anti Submarine ROCket:対潜ロケット)。9年の歳月と1000億ウォンの開発費が投じられ(専用VLSの開発予算も含めると5000億ウォン以上)、2009年6月に完成した。2010年から段階的に実戦配備される。価格は1基あたり約20億ウォン。ADDは約10回の艦艇発射実験を行い「赤鮫」の実力は折り紙付きだとしている。

「赤鮫」は全長5.7m、直径0.38m、重量820kg。後方にロケットが付いており、発射後マッハ1.0程度まで加速して目標潜水艦近くまで飛翔する。弾頭にはK745「青鮫」短魚雷が装備されており、着水直前にパラシュートを開傘して衝撃を和らげ、着水後にロケット部が切り離され、魚雷のソナーで探知後に目標を攻撃する。投射距離は7~30km。VLSから発射されるため特殊耐熱製の操縦翼を装備しており、発射艦艇が大きく揺れていても全方位に発射可能なよう設計されている。

これまで韓国海軍はあまり対潜兵装を重視しておらず、主要艦艇も3連装発射管から射出する短魚雷か爆雷しか装備していなかった。しかし高性能な日本や中国の潜水艦に対処するため、探知した遠距離の潜水艦を攻撃できるアスロックを新たに開発した。この国産アスロックはVLS(Vertical Launching System:垂直発射システム)から発射可能で、KD-II型駆逐艦の後期型(通算4番艦以降)やKDX-III型イージス駆逐艦に搭載される。K-ASROCはMk41 VLSとは異なる韓国国産VLSに搭載される。VLSからの打ち上げ方法は、VLS内部でロケットモーターを点火するホット・ローンチ方式を採用している。

「赤鮫」はLIG NEX1が慶尚南道鎮海の海軍軍需司令部に新設した生産・整備施設で生産が行われる。工場の竣工式は2010年5月25日に行われた。「赤鮫」は2010年中にKD-3などの艦艇への搭載が行われる予定。韓国軍では2012年までに「赤鮫」本体とVLSの生産に1800億ウォンを投じ、2015年までに100基の「赤鮫」を生産することを計画している。

【参考資料】
おはよう大徳「ADD、空飛ぶ魚雷「ホンサンオ」を開発 」(2009年6月23日)
国防日報「空を飛ぶ魚雷ホンサンオ」(2010年3月23日)
韓国新聞「対潜ミサイル「ホンサンオ」、国内技術で開発」(2009年6月22日)
聨合ニュース「長距離対潜水艦魚雷「ホンサンオ」量産へ」(2010年5月24日)
donga.com「[対北朝鮮制裁開始]空飛ぶ潜水艦打撃"ホンサンオ魚雷"量産 」(2010年4月25日)
YNT「『私は魚雷”ホンサンオ”』開発」(2009年6月22日)

K745 324mm短魚雷「青鮫」

▼K745「青鮫」
▼投下用キャニスターに収められたK745「青鮫」
▼K745「青鮫」動画(装甲貫通試験や射出試験など各種テストなど)

直径 324mm
全長 2.7m
重量 280kg
弾頭重量 60kg
雷速 45kt
航走距離 12,000m
最大深度  
誘導方式 パッシブ/アクティブ
機関 ポンプ・ジェット推進/酸化銀亜鉛電池

韓国が初めて国産した、潜水艦攻撃用の短魚雷(軽魚雷)。「青鮫(チョンサンオ)」と呼ばれる。水上艦艇や航空機から発射・投下して敵潜水艦を攻撃する。当初はイギリスのスティングレイやイタリアのA244などの導入も考えられたが、K731長魚雷の開発経験を活かして国内開発する事に決定した。1995年から500億ウォンを投じてADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)を中心に韓国LG電子社などで開発が進められ、ヨーロッパのEurotorp社から協力を受けた。初めて海中走行テストが行われたのは1998年11月だったが、この時は30秒程度で浮き上がってしまい失敗してしまったという。その後改良開発が続けられ、50回余りの海上実験と技術試験を経た後、2004年に試験弾6回と実弾2回の計8回の最終運用テストが行われ全弾が目標に命中して成功裏に終えた。K745は2008年から配備される予定で、ADDが開発中の国産アスロックにも搭載される。またK745は現在韓国海軍が運用中の艦艇及び今後建造されるKDX-III級駆逐艦などをはじめ、スーパーリンクス哨戒ヘリコプターやP-3C哨戒機などから発射可能。量産単価も1発当たり10億ウォンで、海外からの導入価格の約半分の値段だとADDは発表している。2007年9月末には「青鮫」の第2次量産計画が国防会議で承認された。

K745短魚雷は直径324mm、長さ2.7m、重量280kgで45ノット以上のスピードを出す事が出来る。使用している電池はEurotorp社製を参考に国内開発したもので、また同社が開発したMU90(インパクト)電池魚雷の技術がK745に多数使われているという。そのためK745は対魚雷迎撃能力を持つ可能性がある。推進方式はポンプ・ジェット。誘導システムは極めて高度で多目標を同時に追跡処理しつつ、最も脅威度の高い敵を攻撃する。またSONAR(Sound Navigation and Ranging:ソナー)は最大15,000mの目標を探知する事ができる。航空機から投下される場合ソナーなどがある弾頭部には着水時に大きな衝撃が加わるが、K745開発チームはこの問題の解決に苦労し、結局ロシアから10万ドルで技術移転を受けたという。弾頭は複殻式の潜水艦を確実に撃破できるように成形炸薬弾頭になっている。



Mk46 324mm短魚雷


直径 324mm
全長 2.59m
重量 230kg
弾頭重量 44kg
雷速 40kt
航走距離 11,000m
最大深度 460m
誘導方式 パッシブ/アクティブ
機関 斜盤機関/オットー燃料

アメリカが開発した短魚雷。艦船の発射管から射出されるほか、P-3Cや対潜ヘリなどから投下する事もできる。Mk46は高性能のソ連潜水艦を撃破する為に開発され、NATO(North Atlantic Treaty Organization:北大西洋条約機構)の標準短魚雷として配備された。1989年には改良型のMk46Mod5が開発され運用深度が750mまでになっている。アメリカは当初韓国へのMk46の供与を渋ったというが詳細は不明。



K744 324mm短魚雷(Mk44)


直径 324mm
全長 2.54m
重量 193kg
弾頭重量 34kg
雷速 30kt
航走距離 5,500m
最大深度  
誘導方式 アクティブ
機関 モーター/電池

アメリカ製の対潜魚雷。ADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)が米ハニウェル社と共同でMk44を韓国周辺海域の特性に合わせて改良したのがK744である。K744はソナー部分を除いて全て国内生産され、1986年に制式兵器として韓国海軍に登録された。K744開発時にハニウェル社は法外な値段を韓国側に吹っ掛けた為、韓国はK731「白鮫」やK745「青鮫」などの国産魚雷開発を決意したという。


韓国新型長魚雷計画

韓国はK731「白鮫」長魚雷にかわる新しい潜水艦用魚雷の開発を2007年に決定した。これは2007年12月18日に行なわれた防衛事業委員会で決定されたもので、2016年までにADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)主体で開発するという。「白鮫」が2000年に入ってから実用化された割と新しい魚雷なのにも関わらず、すぐに新型の長魚雷の開発が決定されたという事は、「白鮫」の性能に海軍が納得していないという事なのだろう。この新型魚雷はソン・ウォンイル級潜水艦KSS-III型潜水艦に搭載されるものと思われる。



K731 533mm長魚雷「白鮫」

▼K731長魚雷「白鮫」

直径 533mm
全長 6.4m
重量  
弾頭重量  
雷速 55kt
航走距離  
最大深度  
誘導方式 パッシブ/アクティブ(有線)
機関 ポンプ・ジェット推進/リチウム電池

ADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)が韓国LG精密社と開発した潜水艦搭載用の長魚雷。ペクサンオは白鮫(White Shark)の意である。1995年から具体的な開発が始まり(国産魚雷の研究は1970年代から行われていた)、300億ウォンの予算が投じられた。韓国にとって魚雷の国内開発は初めてであり試験用施設なども無く、機関のテスト中発火して実験室を全焼したり、対馬近海で航走試験中にK731が日本領海へ入り込む、漁船を追い回すと様々なトラブルが発生して計画は難航したが、SUT魚雷など各国の魚雷を参考にK731の開発を進めた。

1997年にはチャン・ボゴ級潜水艦の戦闘システム(ISUS-83)と連接出来るように具体的なシステム開発が行われ、独HDW社とアトラス社の協力を受けた。特にアトラス社は魚雷と潜水艦用戦闘システムの技術的ノウハウに優れた企業で、K731の開発は同社の技術支援による部分が大きかったようだ。電池の開発にはフランスのSAFT社から技術提供を受けた。IMU(Inertial Measurement Unit:慣性姿勢計測装置)は米リトンガイダンス社のLN200を使用している。弾頭の火薬は国内開発されたDXC-04と呼ばれるもので、PBX(Plastic Bonded Explosive)系の複合火薬を使用している。航走体はアルミニウム合金とFRP製で韓国豊山社が開発した。2003年5月にチャン・ボゴ級潜水艦のSS-068「李純信」から行われたK731の最終実弾テストは目標の高速輸送艦APD-882「慶南」を撃沈する事無く失敗し(信管が敏感すぎて目標の遙か手前で爆発した)、2004年3月のテストにも失敗したが同年5月に再度テストが行われ無事成功した。K731は2010年頃に実戦配備される予定。



SUT 533mm長魚雷


直径 533mm
全長 6.39m
重量 1,420kg
弾頭重量 260kg
雷速 35kt
航走距離 12,000m(35kt)
  28,000m(23kt)
最大深度  
誘導方式 パッシブ/アクティブ(有線)
機関 モーター/リチウム電池

独AEG(ATLAS Elektronik GmbH)社の潜水艦用長魚雷。SUTはSurface and Underwater Targetの略である。誘導は有線で行われ、最終的にはワイヤーを切り離し自身のアクティブ・ソナーで目標をホーミングする。目標を失探した場合でも事前に組み込まれたプログラムにより、再捜索を行う。信管は磁気・触発式。朝鮮半島周辺の浅海域でも充分な性能を発揮できるという。韓国海軍ではチャン・ボゴ級潜水艦(209型)に搭載されている。



M701 沈底機雷


磁気、音響、水圧の複合信管型沈底機雷。韓国NEX1フューチャー社が生産している。



爆雷

▼チャムスリ型戦闘艇が装備する爆雷

【参考資料】
朝鮮日報
Naval Technology
Military Review


2010-05-28 01:03:22 (Fri)

最終更新:2010年05月28日 01:03