KFXは限定的なステルス性能を持ち、精密攻撃能力を有する戦闘機として、2017年の完成を目標にADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)を中心に計画が進められている。KFX計画は2000年7月の韓国軍長期戦略大綱に初めて掲載され、2001年3月には大統領が公式に開発計画を明らかにし、2002年5月に空軍政策会議で作戦運用要求性能が出された。これによって2002年6月に韓国国防省はF-15Kの契約項目に技術移転に関する条項を盛り込み、2002年12月には04~08年度の中期計画にKFXの初期研究予算を確保した。2017年までに開発を完了し、2020年には部隊配備を行いたい考え。
【2006.01.11追記】
年明け早々DAPA(Defense Acquisition Program Agency:防衛事業庁)のミスにより流出した情報によると、韓国空軍は2018年までにKFX40機を12兆ウォン投じて開発する計画だという。KFXはKF-16とF-15Kの中間位の性能を狙って開発され、超音速巡航、ステルス性能、巡航ミサイル運用能力などを有する予定。
【2006.02.21追記】
DAPA(Defense Acquisition Program Agency:防衛事業庁)の発表によれば、KFXの国内開発が妥当かどうか2007年末までかけて検討を行うという。国産戦闘機の開発は金大中元大統領の時代から必要性が認められており、現在政府と軍が推進中の”国防改革2020”計画内にも含まれている。同庁関係者は別の席で「新型戦闘機は輸出も考慮しており、最新鋭戦闘機を費用面等から購入できない国々への販売を期待している」と発言した。また同関係者は「韓国はKF-16のライセンス生産、T-50の開発、F-15Kの運用などでノウハウを蓄積しており、新型戦闘機を国内開発する事に大きな難問は無い」という強気のコメントもしているが、現実はそううまく運ばないだろう。
【2007.03.31追記】
上記のKFX開発妥当性の検討はADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)などの韓国国内機関だけでなく、海外の研究企業であるSTEAL社も参加しているという。またKAIのキム常務は「F-15K級の国産戦闘機を120機生産する計画。この機体はステルス性を重視した設計になる」と述べた。ただしKAIは依然としてKFX開発の前にT-50の戦闘機型F-50を開発し、戦闘機開発の経験を蓄積した意向のようだ。これまでの報道を見ると、空軍はF-35を望み、ADDはKFXの即時開発を、KAIはF-50開発を前提としたKFXの開発を望むというように、新型機開発の主要3部門がそれぞれが違う方向を向いているように思える。
ADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)は2007年10月30日、忠清南道瑞山に超大型航空機試験施設を完成させたと発表した。この施設は戦闘機やヘリコプター、UAVなどの航空機のほか、ミサイルなどの誘導兵器や艦載戦闘システムなどの試験を、実際の作戦に即した状況で行なう事ができる大型複合試験施設。韓国が米国製のF-15Kを採用した見返りとして各種技術を提供し、韓国資本500億ウォンを投入して建設された。各種環境試験(高低温、氷結、降雪、降雨、湿度、太陽熱ふく射など)を行なう「環境試験棟」と電波関係の試験(電磁波適合性・耐性・干渉、間接落雷、静電気、電磁波パルス、アンテナ特性など)を行なう「電波試験棟」の2棟で構成されており、2013年までに超音速エンジン用の試験棟も建設される予定。KFXの機体及びエンジンの開発・テストも、この新しい試験施設で行なわれるものと思われる。
【2007.11.15追記】
ADD(Agency for Defense Development:国防科学研究所)はKFXの開発に欧米の航空機メーカーが参入する見通しだと発表した。2007年11月15日に開催された第10回空軍国際学術会議で、ADD航空システム開発団長のイ・デヨル氏がFKXの開発状況と今後の見通しについて発表し、開発コストの低減(海外分担)と海外への輸出を目的に、KFXの多国籍共同開発を目論んでいると明らかにした。ADDは必要とする開発費用の30%を海外メーカーの投資で賄う腹積もり。現在のところイギリスのBAEシステムス社、イタリアのアレーニア・アエロナウティカ社、ヨーロッパのEADS(European Aeronautic Defence and Space Company)などの企業がKFX事業への参入を希望しており、アメリカのボーイング社、ゼネラル・エレクトリック社、スウェーデンのサーブ社、フランスのSNECMA社なども参入を検討中だという。イ・デヨル氏はステルス技術など第5世代戦闘機に必要な重要技術は海外からの導入と並行して国内開発も進めるとしている。
【参考資料】
[1]국민일보 쿠키뉴스「‘한국형 전투기’ 개발 다시 추진… 방사청 “경제성 높아 사업 타당” 국회 보고」(2009年11月13日)
[2]The Korean Times「Fighter, Helicopter Plans to Start in 2011」(Jung Sung-ki /2010年1月21日)
[3]DefenseNwes「Indonesia Joins South Korean Fighter Effort」(2010年7月15日)
[4]국방일보「한국형 전투기 국제 공동개발」(김병륜/2010年7月16日)
[5]유용원의 군사세계「기사회생한 한국형 전투기 사업」(김재한/2010年3月8日)