RQ-4無人偵察機「グローバルホーク」(韓国)


▼【参考】アメリカ軍のRQ-4「グローバルホーク」

RQ-4A性能緒元
最大離陸重量 12,130kg
全長 13.53m
全幅 35.42m
全高 4.64m
エンジン ロールスロイス/アリソン F137-AD-100ターボファン(33.8kN)×1
巡航速度 648km/h
航続距離 21,720km
上昇限度 19,800m
武装  
乗員 なし

RQ-4「グローバルホーク」は米ノースロップ・グラマン社(テレダイン・ライアン・エアロノーティクス社)が開発した高高度長距離無人偵察機。U-2戦略偵察機を補完する目的で開発され、1998年2月に試作機が初飛行を行った。機体の大きさはジャンボ・ジェット機並でグライダーのような長い主翼を持ち、その独特な機体形状はステルス性も考慮されている。偵察機として赤外線などの電子光学センサーと合成開口レーダーを装備しており、車輌などの移動目標を探知する事ができる。収集した情報は機首部に収められた衛星通信アンテナでリアルタイムに送受信が可能。自衛用器材としてAN/ALR-69レーダー警戒装置及びAN/ALE-50曳航式デコイを装備している。グローバルホークはアフガニスタンに実戦投入され、アルカイダの情報収集に重要な役割を果たしたという。偵察型のRQ-4A(Block10)のほかにペイロードを強化したRQ-4B(Block20)も開発されており、SIGINT(SIGnal INTelligence:電波情報収集)及びELINT(ELectronic INTelligence:電波情報収集)能力を有している。

韓国国防省は2005年からアメリカに対しグローバルホークの販売を要求しているが、アメリカ側はSCC(米韓安保協力委員会)会議を通じて販売不可の意向を伝えている。拒否の理由は「グローバルホークに使用されている技術が敵性国に流出する可能性がある」ため。グローバルホークはMTCR(Missile Technology Control Regime:ミサイル関連技術輸出規制)の規制を受ける兵器のため、輸出には厳しい規制が設けられている。また国際的な情報分析企業であるストラットフォー社によれば、アメリカは韓国が北朝鮮を抑止する以上の軍事力を望んでおらず、日本や中国を含む東アジアに影響を与え得るグローバルホークのような兵器を韓国が保有する事を望んでいないと分析している。ただ2006年9月末に行われた第10回米韓安全保障政策会議で韓国代表団が再度アメリカにグローバルホークの販売を要求したため、10月1日に米軍消息筋が「今後協議する」と販売に前向きとも取れる発言を伝えた。

韓国はアメリカからの戦時統制権移行(予定)を受けて独自の情報収集能力の強化を考えており、2006~2010年中期防衛計画の中で2008年頃までに4機のグローバルホークを導入したいとしている。グローバルホークの価格は1機あたり約5,000万ドル。

【2006.12.17追記】
韓国国防省が2006年12月14日に行った発表によると、韓国軍は当初2008年に予定していたグローバルホークの導入を1年前倒しし、2007年中に導入する事を決定したという。

【2007.01.17追記】
韓国DAPA(Defense Acquisition Program Agency:防衛事業庁)は2007年1月16日、アメリカがグローバルホークの販売に極めて前向きな姿勢を示していると発表した。同庁関係者によれば、訪米したDAPA長官に対し米国防総省高官が「グローバルホークの韓国販売について原則的に反対しない」という立場を明らかにしたという。但しグローバルホークはMTCRのカテゴリーIに登録されているため、MTCRの改訂が必要だとも米関係者は語っている。

【2007.05.10追記】
ロシアは韓国軍がグローバルホークの導入を要望している件について、「MTCRに例外は無い」として反対しているという。

【2007.07.19追記】
アメリカがまだ輸出許可を与えていないにも関わらず、韓国国防省は2008~2012年の国防計画においてグローバルホーク4機を導入すると発表した。

【2007.10.28追記】
アメリカ海軍は2008年春に環太平洋地域11ヶ国の関係者を集め、グローバルホークを使用した海洋監視について協議する。これはグローバルホークが高価(1機約2,700万ドル)なため、多国間でグローバルホークを共同調達・運用する構想。参加する関係国は日本を始めとする、韓国、オーストラリア、インド、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイ、マレーシア、インドネシア、ブルネイの11ヶ国。

【2007.11.08追記】
中央日報の記事によると、アメリカ国防総省はグローバルホークの韓国輸出を積極的に支援する事を約束したという。2007年11月7日にソウルで開かれた第39回米韓年次安全保障会議(SCM)の席上で、「グローバルホークは戦時統制権の委譲によって、韓国軍に必須となる装備」「韓国が購入できるよう積極的に支援する」と韓国側に伝えられた。

【2008.01.01追記】
2008年からグローバルホークを導入したかった韓国軍だが、2007年12月28日の韓国国会本会議で通過した2008年度予算からグローバルホークの導入事業初期費用が全額カットされている事が判明した。国防省は初期事業費用として約1,869億ウォンを計上していたが、ロシアの強硬な反対やアメリカが販売姿勢を明らかにしない事を受けて全額カットされてしまった模様。ただアメリカがグローバルホークの輸出について確約した場合に使う5,200万ウォンの準備予算は通過した。国防省関係者は「対米交渉を全て見直さなければならない。グローバルホーク導入着手は2009年以降になってしまうだろう」と発言している。

【2008.08.15追記】
朝鮮日報によると、アメリカ政府は韓国に対し、グローバルホークの販売を認める内容を公式に伝えたという。これまでアメリカは韓国へのグローバルホークの輸出に難色を示していたが、2008年4月になってこの姿勢を一転させ、韓国政府に対し非公式に販売容認の立場を伝えていた。今回の報道では、2008年7月末にワシントンで行なわれた米韓安全保障政策会議において、公式に輸出を認める旨伝えてきたとの事。

【2009.05.10】
政府消息筋によると、国防部は盧武鉉政権時代に決定された「国防改革基本計画」内の兵器導入事業のうち、事業規模の大きなものについて計画を数年順延する事を決定した。順延事業の中には高高度無人偵察機導入事業も含まれており、2010年から先行研究が開始されるが、導入時期は2015年まで遅れる事になる。
(連合ニュース)

【2009.05.22追記】
米国防総省は韓国に高高度無人偵察機「グローバルホーク」を販売する意向を正式に伝えたが、韓国側は予算の問題などを挙げ、2015~2016年頃に購入すると回答した。韓国政府筋が明らかにしたところによると、14日に開かれた第22回米韓安全保障政策構想(SPI)会議で、米側がグローバルホークの販売を決定したと正式に伝え、早急に提案要求書を提出するように求めた。
(連合ニュース)

【2009.06.24追記】
韓国は2015~2016年にグローバルホークを導入する事を決定した。2010年度予算に導入事業着手金として80億ウォンを反映させる。
(連合ニュース)

【参考資料】
軍事研究(株ジャパン・ミリタリー・レビュー)
朝鮮日報
中央日報
連合ニュース
Kojii.net
Defense-Aerospace
PowerCorea
DefenseNews


2009-06-27 11:42:47 (Sat)

最終更新:2009年06月27日 11:42