MiG-29は双発の中型戦闘機で、全天候下で制空戦闘能力を発揮する事ができる。統一後のドイツで行われたMiG-29とF-16のDACT(異機種間空戦訓練:Dissimilar Air Combat Training)では、F-16を圧倒する場面もあり西側パイロットを警戒させた言われている。近接空戦能力を重視して設計された本機の旋回半径は速度800km/hで350m、同408km/hで225mである。エンジンはクリモフRD-33の双発。前線で使用する局地戦闘機という事で搭載燃料は少なめになっている。機首にはファザトロンN-019(RP-29)コヒーレント型パルス・ドップラー・レーダーを装備している。このレーダーは捜索距離100km、追跡距離70kmで、ルック・ダウン/シュート・ダウン能力を持っている。また10目標を同時に追跡可能。このレーダーを装備する事でMiG-29は中射程空対空ミサイルの運用能力を持ち、R-27セミアクティブ・レーダー誘導空対空ミサイル(NATOコード:AA-10 Alamo/アラモ)やR-77アクティブ・レーダー誘導空対空ミサイル(AA-12 Adder/アッダー)を搭載する事ができる。格闘戦闘用にはR-60(NATOコード:AA-8 Aphid/エイフィッド)かR-73(NATOコード:AA-11Archer/アーチャー)といった赤外線誘導空対空ミサイルを搭載する。兵装搭載ステーションは主翼下のみで、片側3箇所。最内側にR-77を1発ずつ、外側にR-73を2発ずつ、合計空対空ミサイル6発を搭載するのがMiG-29の通常装備だ。また爆弾、ロケット弾ポッドなどの対地攻撃兵装も搭載可能。胴体下にもハード・ポイントがあるが、ここはコンフォーマル型燃料タンクの専用ステーションで、兵装類は搭載できない。コックピットの風防前にはIRST(Infra-Red Search and Track:赤外線捜索追跡)システムとOEPS-29レーザー測距装置の入った収容部がある。IRSTの探知距離は約15kmで、この光学センサーはヘルメット装着照準システムとも連動するようになっている。自己防御システムとしてはSO-69「シレナ3」とSRO-15の2種類のレーダー警戒装置と、BVP30-26Mチャフ/フレア・ディスペンサーが装備されている。