K1A1戦車



性能緒元
重量 53.2t
全長 9.71m
車体長 7.47m
全幅 3.59m
全高 2.25m
エンジン MTU MB871Ka-501 液冷ディーゼル 1,200hp
最高速度 65km/h
航続距離 437km
武装 KM256 44口径120mm滑腔砲×1(32発)
  12.7mm重機関銃×1(2,000発)
  7.62mm機関銃×2(8,600発)
装甲 複合装甲(車体前面及び砲塔前面)
乗員 4名(車長、砲手、装填手、操縦手)

K1A1はK1戦車をベースに105mmライフル砲を120mm滑腔砲へと換装した改良型戦車。2001年に初めて公開された。装甲も空間装甲(スペースド・アーマー)から複合装甲に換えられたというが詳細は不明。国内開発された複合装甲とも、イギリスからの技術援助を受けて開発した複合装甲だともいわれる(アメリカから劣化ウラン装甲の供与を受けたという噂もあるが、まずあり得ないだろう)。元々小型であったK1に大口径の120mm滑腔砲を搭載したため、機動性が悪化し砲弾搭載数減るなど、各所に無理が生じている。K1からK1A1に乗り換えた乗員の不満は、砲塔内部の空間が著しく狭くなり居住性が悪化した事と、整備がし辛くなった事だという。改良は主砲や装甲の強化だけではなく、FCS(Fire Control System:火器管制装置)や外部視察装置も改良されている。2006年11月、イスラエルのエルビット・システム社はK1A1向けに砲手用サイトに取り付ける熱線映像システムを1,900万ドルで受注したと発表した。納品するのはエルビット・システム社傘下のELOP社で、車輌への装備は三星タレス社が行う。ELOP社は偵察衛星「アリラン2号」用のカメラも納品している。

K1A1は120mm砲の搭載そのものにも問題があり、1号車は1996年4月に完成したにも関わらず本格的量産は2000年にまでずれこんだ。生産数も300輌強で終了するようだ(484輌の説もあり)。K1A1の発注は1999年から行われ、2001年までに第1次生産分として16輌、2004年までに第2次生産分として96輌が生産された。第3次生産分として2003年に164輌が発注され、2007年までに納品される予定。発注は第4次生産分で終了するといわれている。世界各国が主力戦車に120mm砲を採用している時期に、あえて韓国独自の理由からK1を105mm砲装備戦車として開発したにもかかわらず、なぜ無理に120mm砲を装備するK1A1の開発を行ったのかは分からない。韓国軍としてはK1A1はあくまで「繋ぎ」の急造改良型戦車であり、本命はより新型のK2という事なのだろう。

K1A1は韓国陸軍の最強戦車として最精鋭である第7軍団の第20機械化歩兵師団に集中配備されており、各戦車大隊と機甲捜索大隊など師団内の全戦車装備部隊にK1A1が配備されている。2006年秋から首都機械化歩兵師団(猛虎師団)の戦車大隊にも配備が始まった。第20機械化歩兵師団は韓国陸軍が最も頼りにする機動打撃・決戦師団であり、北朝鮮への反撃の要だ。また首都師団は第20機械化歩兵師団と同じ機動打撃部隊であると同時に、海外派兵が必要になった時に真っ先に派遣される戦略部隊でもある(ベトナム戦争時にも派遣された)。この二つの部隊に韓国最新鋭の戦車であるK1A1が配備されているのは至極当然と言えるだろう。

▼第20機械化歩兵師団戦車大隊のK1A1戦車
▼射撃訓練を行うK1A1戦車
▼120mm砲弾を補給する戦車兵達。小柄な韓国人にとって120mm砲弾を扱う事は体格的に厳しい。

▼K1A1戦車の後部
▼油気圧サスペンションで前傾姿勢をとるK1A1戦車
▼防盾部分のアップ
▼砲塔前部の下面部分
▼装填手用ハッチ
▼車長用サイト

▼第20機械化歩兵師団のK1A1の射撃訓練
▼K1A1の停止射撃訓練
▼K1A1の製造工程、砲塔内部、走行試験など

【参考資料】
Jグランド(イカロス出版)
軍事研究(株ジャパン・ミリタリー・レビュー)
戦車研究室
Global Security
PowerCorea
kojii.net
Defense-Aerospace



2009-03-15 12:29:27 (Sun)

最終更新:2009年03月15日 12:29