An-2輸送機(コルト? > 運輸5? > Y-5)(北朝鮮)


▼【参考】中国軍のY-5(An-2の中国コピー)

▼【参考】中国軍のY-5C(水上機型)

Y-5性能緒元
最大離陸重量 5,500kg
全長 12.75m
全幅 18.19m
全高 4.01m
エンジン 活塞5(1,000hp)1基
最大速度 256km/h
巡航速度 220km/h
航続距離 1,025km
上昇限度 4,500m
乗員 2名(+兵員10~12名)

An-2(NATOコード:Clot/コルト)は旧ソ連のアントノフ設計局が開発した軽輸送機。開発は第二次大戦直後の1947年で、17,000機以上が生産され(半数以上がポーランドのPZL社製)、今尚世界各国で農業用、興行用、軍用として使用されている。中国では南昌飛機製造公司がY-5(運輸5)として、1956年からAn-2のコピー生産を行なった。現在はロシア、ポーランド、中国でもAn-2(Y-5)の生産は行われていない。

北朝鮮は約300機(282機?)のAn-2(Y-5)を保有し、6個の輸送連隊に配備されている。初期に旧ソ連から供与されたAn-2以外、大半は中国から輸入したY-5だが、生産施設も建設しており1990年代頃まで毎年数機のAn-2を生産していた。中国から供与されたY-5及び北朝鮮で生産されたAn-2のうち何機かは、フロートを装備した水上機タイプ(旧ソ連名An-2V/中国名Y-5C)である。北朝鮮はAn-2をベースにしたWIG(Wing-In-Ground effect)機を開発しており、特殊部隊で使用しているという(旧ソ連はAn-2をベースにしたWIG機、An-2Eを1973年に試作している)。An-2は空軍の輸送部隊(高麗航空の民間機としても使用される)の他に陸軍も少数機を保有しており、パラシュート降下部隊の訓練に使用されている。韓国は2007年10月末に「最近の石油価格上昇により燃料が枯渇しているため、北朝鮮はAn-2による訓練飛行を完全に停止している」と報道したが、韓国軍はこれを否定した。

An-2は古い設計だが単純な構造で、整備性に優れており極めて信頼性が高い。胴体はモノコック構造の全金属製だが、主翼の一部と水平尾翼は布張りで作られている。主翼は複葉で上下の翼は1対の支柱で連結されいる。エンジンは空冷星型のASh-21(760hp)。のちに1,000hpのASh-621に変更された。中国製のY-5はASh-621のコピーである活塞5を搭載している。小さい機体であるため輸送能力は高くないが、10~12人程度の兵士を載せる事が出来る。北朝鮮の元山から発進したAn-2が片道飛行で作戦を行なう場合、九州北部、四国、山陰、山陽などの地域まで到達する事が可能。

北朝鮮のAn-2は通常の輸送業務以外に、低速・低高度で韓国領内に侵入し、特殊部隊を隠密裏に展開させる役目を負っている。An-2の離着陸距離は短く(離陸153m、着陸173m)、ゴルフ場や広場などある程度開けた場所(水上機型なら海岸や湖面など)であれば容易に着陸し、特殊部隊を降ろす事ができる。1950年代前半に韓国軍は工作員を乗せた黒色塗装のAn-2を鹵獲した。韓国軍はAn-2の侵入を警戒し、ソウル近郊の予想侵入経路に対空機関砲を配備し、迎撃訓練を行っている。またゴルフ場などには着陸妨害用のワイヤーや障害物などが設置されている。北朝鮮は1996年に「人間爆弾」と呼ばれる特殊兵士からなる部隊(第38空挺旅団?)を創設した。これは爆弾を身体に巻きつけた人間をAn-2から降下させ重要施設を爆破する部隊で、女性のみで構成されている小隊もある。

▼【参考】旧ソ連でAn-2Vから改造されたAn-2E Wig機

【参考資料】
北朝鮮軍の全貌(清水惇/光人社)
Kojii.net
DefenseNews
PowerCorea
Grobal Security
Chinese Defence Today


2007-11-03 19:32:51 (Sat)

最終更新:2007年11月03日 19:32