MiG-23戦闘機(フロッガー)(北朝鮮)


▼4機編隊で飛ぶ北朝鮮のMiG-23

MiG-23MLフロッガーG性能緒元
重量 10,200kg
全長 16.71m
全幅 13.97m(後退角16゜)
全高 4.82m
エンジン ツマンスキーR-35-300(A/B13,00kg)1基
最大速度 マッハ2.35
航続距離 1,900km
上昇限度 18,500m
武装 GSh-23L 23mm連装機関砲×1
  R-13赤外線誘導空対空ミサイル(AA-2 Atoll)
  R-24セミアクティブ・レーダー誘導空対空ミサイル(AA-7 Apex)
乗員 1名

MiG-23(NATOコード:Flogger/フロッガー)はMiG-21の後継機として旧ソ連で開発された第三世代戦闘機である。可変翼を採用する事によるマッハ2級の高速性能と、前線の基地でも使用可能なSTOL性能を両立させ、尚且つMiG-21を大きく上回る航続性能と兵装搭載量を獲得している。最初のMiG-23は1971年にソ連空軍に就役した。

MiG-23の特徴である可変後退翼は作動範囲が後退角16度から72度の範囲になっており、45度の中間位置でも固定できる。可変操作はパイロットの指定によりSPK-1システムを介してマニュアルで行われる。外翼部後縁には単隙間フラップがあり、前縁フラップと連動して空戦フラップとしても機能する。MiG-23ML(NATOコード:Flogger-G/フロッガーG)は旧式化した初期型MiG-23の性能向上型で、外見的には垂直尾翼前縁付け根部から延びていたドーサル・フィンが、大幅に小型化されているのが特徴である。また機体の構造重量が軽量化され運動性が高まった。エンジンは推力が強化されたR-35-300に換装されている。レーダーはベトナム戦争で撃墜したアメリカのF-4Jから入手したAN/AWG-10を元に新しく開発されたサフィール23D-Sh「ハイラーク」の改良型を搭載し、FCS(Fire Control System:火器管制システム)もドッグファイト・モードが強化されたS-23MLを装備している。またTP-23赤外線探知システムも装備し、これらによりR-13T赤外線誘導空対空ミサイル(NATOコード:AA-2 Atoll/アトール)による長射程迎撃能力を得た。BVR(Beyond Visual Range:視程外射程)戦闘もR-24セミアクティブ・レーダー誘導空対空ミサイル(AA-7 Apex/エイペックス)の運用能力を持つ事により獲得している。後部胴体にあるエアブレーキの前にはレペールNレーダー警戒装置のアンテナを収容した、ブリスター型フェアリングが付いている。冷戦終結後のMiG-23MLの評価は、アメリカのF-4戦闘機を上回るとされた。

北朝鮮はMiG-23を1個戦闘機連隊分、60機前後(MiG-23ML 50機、MiG-23UB 10機)所有し、首都平壌に近い北倉空軍基地に配備している。これらのMiG-23は1985年に旧ソ連に対し、領空通過権と国内の飛行場利用権を与えた代価として入手したものといわれる。2003年3月に北朝鮮空軍のMiG-23 2機がMiG-29とともにアメリカ軍のRC-135偵察機に対してスクランブルをかけ、MiG-29がRC-135に接近する間、その上空のカバーを行なった。2003年には訓練中のMiG-23 1機が墜落したと韓国メディアが報道した。MiG-23は既に数世代前の旧式化した戦闘機だが北朝鮮ではMiG-29に次ぐ性能の機体であり、今後も一定数を維持するための努力を続けるだろう。しかしMiG-23は可変翼という複雑な機構を有しているため整備が難しく費用もかかり、東欧諸国などでは旧式なMiG-21よりも早く退役させられている場合が多い。2009年になってから相次いでMig-23が墜落しているが、同機の操縦は熟練パイロットが行うので操縦ミスによる墜落ではなく、機体の整備不良か欠陥が原因ではないかと韓国の情報当局者は分析している。立続けに起きたMig-23墜落事故に金総書記は激怒したという。

2009年2月20日、第1飛行師団所属のMig-23 1機が墜落した。
2009年3月13日、第1飛行師団第30戦闘機連隊に所属するMig-23 1機が北倉基地を離陸後墜落した。米韓合同演習「キーリゾルブ」を警戒中だったものと思われる。
2009年4月4日、日本海(朝鮮名:東海)でテポドン発射準備中の舞水端里を警戒中だったMig-23 1機が墜落した。

▼離陸直後の北朝鮮のMiG-23

▼北朝鮮の北倉基地(第1戦闘機師団)に駐機するMiG-23

▼【参考】ロシア軍のMiG-23

【参考資料】
月刊航空ファン(文林堂)
Jウイング特別編集 戦闘機年鑑2005-2006(青木謙知/イカロス出版)
別冊航空情報 世界航空機年鑑2005(酣燈社)
北朝鮮軍の全貌(清水惇/光人社)
Global Security


2009-05-10 22:10:17 (Sun)

最終更新:2009年05月10日 22:10