AH-1F攻撃ヘリコプター「コブラ」(韓国)



性能緒元
重量 3,076kg
全長 16.16m
全幅 13.41m(プロペラ直径)
全高 4.19m
エンジン ライカミング T53-L-703(1,800hp)×1
最大速度 315km/h
巡航速度  
航続距離 315km
ホバリング限度 3,720m
武装 M197 20mmバルカン砲×1(750発)
  M261 2.75in 19連装ロケット弾ポッド×2
  BGM-71 TOW対戦車ミサイル×8
乗員 2名

AH-1は世界で初めて登場した本格的な攻撃用ヘリコプターで、アメリカ陸軍、海兵隊や日本、イスラエルなど世界各国で採用されている。従来、地上部隊への近接航空火力支援は空軍に任されていたが、適時に支援を受けられない等問題があった。そこでアメリカ陸軍はヘリコプターによる自前の航空支援を考え、それにより生まれたのがAAFSS(Advanced Aerial Fire Suport System:新型航空火力支援システム)構想である。この仕様に基づき1965年にロッキードAH-56シャイアンが採用される事になったが、価格や構造上の問題により結局計画はキャンセルされた。しかし折からのベトナム戦争ではヘリボーン作戦における火力支援機の不在が問題になっており、ベル社は自社のUH-1B/Cの胴体を再設計してModel209とよばれる攻撃ヘリコプターを自主開発し、これがAH-1として採用されたのである。

AH-1はUH-1のダイナミック・コンポーネントを流用しているが、主ローター・ハブはドア・ヒンジ・ローターを使用し、抵抗の大きなスタビライザー・バーを廃止した。胴体もタンデム乗員配置とし、前面投影面積はUH-1の1/3の91cmと非常に小さく、速度性能も向上している。前席はヘルメット照準方式のガナーが搭乗し、後席がパイロット。この配置は以後の攻撃用ヘリコプターの基本的スタイルになった。兵装は胴体側面のスタブウィングに搭載し、機首にはバルカン砲を搭載している。

AH-1SはAH-1G/Qの改良型で、MSIP(Multi Stage Improvement Program:多段階能力向上改修計画)が行われたため幾つかの種類が存在する。キャノピーは涙滴型からフラットなものに変更され、バルカン砲反動補正機構を持ったSCAS(Stability Controlability Augument System:安定性及び操縦性増大システム)を装備、NOE(Nap-of-the Earth:地形追従)飛行能力が増している。主ローター先端をテーパーさせて騒音の低下を図り、IR(Infra-Red :赤外線)塗料でレーダー反射を小さくしている。また空気混合型の赤外線抑制型排気口を装備し、IRホーミングのSAM(Surface-to-Air Missile:地対空ミサイル)に補足され難いように改良された。座席周辺やエンジン部はボロン・カーバイトで防護され、ローター・ブレードとテイルブームは23mm弾が被弾しても30分の飛行が可能になっている。AN/ASN-128ドップラー航法装置やAN/ALQ-144赤外線ジャマーも新たに装備している。機首ターレットには20mmバルカン砲、スタブウィングにはロケット弾ポッドのほか、TOW対戦車ミサイル2基(計8発)を搭載できる。これらの兵装の射撃は、バルカン砲は前席・後席ともに可能で、ロケット弾は後席から、TOWの発射は前席から行われる。またAH-1の弱点であった夜間戦闘能力を解消するため、TOW照準器にC-NITE(コブラナイト)FLIR追加している。

韓国は1977年にAH-1J(米海兵隊仕様)を合計8機導入した[5]。しかし、財政的な制約もあってこれ以上の調達は行われず、より小型の500MD軽ヘリコプターを主力対戦車ヘリとして1976年から調達が開始されている[6]。その後、1980年代末になって、AH-1F(近代化AH-1S)と呼ばれる対戦車戦闘用の最新型の導入が決定。AH-1Fは1991年までに合計62機が調達された[5]。これらの機体はTOW2及びAGM-144ヘルファイア対戦車ミサイルを搭載できるように改修されており、第1航空旅団第31航空群(攻撃)の4個大隊に配備されている。但しAH-1Jは損耗が激しく3機が墜落で失われており、既に全機が退役したという。

▼スタブウィング下のパイロンに4連装のTOWランチャーとM261ロケット弾ポッドを装備している
▼年次火力演習に参加中のAH-1F
▼2.75inロケット弾を発射中
▼TOWチューブを装備したAH-1F

【参考資料】
[1]Jウィングス特別編集 戦闘機年鑑2005-2006(青木謙知/イカロス出版)
[2]別冊航空情報 世界航空機年鑑2005(酣燈社)
[3]軍事研究2001年3月号(株ジャパン・ミリタリー・レビュー)
[4]月刊航空ファン(文林堂)
[5]ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)公式サイト「SIPRI Arms Transfers Database 」 
[6]アジア経済「老朽化した戦闘ヘリコプター・戦闘機は」(2010年1月22日)


2010-07-27 21:31:51 (Tue)

最終更新:2010年07月27日 21:31