UH-60P汎用ヘリコプター「ブラックホーク」(韓国)


▼韓国陸軍のUH-60P

▼韓国海軍のUH-60P

性能緒元
重量 5,216kg
全長 19.76m
全幅 16.36m(プロペラ直径)
全高 3.76m
エンジン GE T700-701C(1,800hp)×2
最大速度 296km/h
巡航速度 278km/h
航続距離 584km
ホバリング限度 3,170m
武装  
乗員 2+14名

世界中で様々な用途に用いられている双発中型のタービン・ヘリコプター。ベルUH-1汎用ヘリコプターの後継として、アメリカ陸軍のUTTAS(Utility Tactical Transport Aircraft System:多用途戦術輸送機システム)に1976年末に選ばれた。

主ローターは全関節型の4枚ブレードで、先端には後方へ折れ曲がったような後退角が付く。ローターヘッドはチタニウム製。ベアリングは潤滑油不要のエラストメリックで、ヘッドの上にはバイファイラー吸振装置が備えられている。尾部ローターは直径3.35mの4枚ブレードで、2本のスパーを十字に組み合わせたクロスビームにグラスファイバの外皮という構造である。回転面が左に20゜傾けられており、180kg相当の揚力が生じるため重心位置の移動範囲に余裕がある。尾部の水平安定板は自動可変式。対気速度、コレクティブ・ピッチ、飛行姿勢などに応じて迎え角が変わり、ホバリング時には+34゜程度、オート・ローテーション時は-6゜になる。胴体はセミモノコック構造。機内には正副パイロットとガナーの3名が乗り組み、完全武装の兵士11名を搭載する。機外吊り下げ能力は最大3,630kgである。最初の量産型であるアメリカ陸軍向けUH-60Aは兵員輸送、患者輸送、偵察、空中指揮、機雷敷設など多用な任務に使用された。

韓国軍が採用したUH-60Pは、改良型であるUH-60Lの韓国型。UH-60AのT700-700エンジン(1,622hp)に換えて出力強化型のT700-701Cを装備、トランスミッションも強化され、排気管には赤外線抑制装置を装備。主ローター・ブレードを複合材製に改め、翼弦を16%拡大、先端に20゜の下反角を付け、ペイロード、速度、操縦性などが改善された。エンジン出力の増強に伴って機体構造も強化され、機外吊り下げ能力は4,000kgまで増加した。大韓航空がシコルスキー社と共同生産契約を結び、陸軍向け81機のUH-60Pを1990年から5年間組立てているほか、合計138機のUH-60Pを保有している。韓国陸軍はUH-60Pを第1航空旅団第61航空群(輸送)の5個大隊に配備している。

韓国海軍でもUH-60が救難や兵員輸送に使用されている。海軍としては海上用のシーホークを導入したかったが、予算の都合でブラックホークを使用せざるを得なかったという。そのため海上で使用するにもかかわらず防錆処理は施されておらず、ローターの折畳み機構も備えられていない。

2004年4月、浦項の山林火災消火に投入された海軍のUH-60P 1機が墜落し、4名が死亡した。
2007年11月5日、江原道麟蹄郡で陸軍のUH-60P 2機が離陸直後に衝突し墜落、1名が死亡し21名が負傷した。パイロットの操縦ミスが原因。

▼スタブウィングにロケット弾ポッド、ドアに7.62mmミニガンを装備した陸軍のUH-60P
▼ガナー席の7.62mm機関銃
▼UH-60Pの操縦席

▼「独島」に着艦した海軍のUH-60P

【参考資料】
別冊航空情報 世界航空機年鑑2005(酣燈社)
月刊航空ファン(文林堂)


2007-11-17 12:30:33 (Sat)

最終更新:2007年11月17日 12:30