mixiのコミュニティ「毛皮反対派?」から転載

やおた煮さんのレポート

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スイス動物保護協会および台湾動物社会研究会が撮影&配信した中国毛皮養殖場の内側は、中国河北省粛寧県で、少なくとも2004年より前に撮影されたものです。映像がネット配信された結果、中国のマスコミも動きだしました。
当時のオンライン記事は今でも読むことができます。残念なことに私は中国語ができませんので、エキサイト中国語翻訳でウェブ翻訳し、読んでみました。ですので解釈の間違いがもしもありましたら御指摘ください。特に中国語ができる方、お願いします!
 まずはこちら(↓)の記事ですが、だいたい次のようなことらしいです。
http://www.hebei.com.cn/node2/syzt3/gadw/rdxw/userobject1ai324272.html

河北省粛寧県で起こった「毛皮生き剥ぎ事件」に対し、県当局は断固として制止すべく、委員会を結成して対策に乗り出している。
また、知事が急遽北京に飛んで説明を行った。
調査の結果、この村で狐や狸の皮を生きながら剥いでいる人間達は、市場の一角に闇市を形成してこのような所業におよんでいたことが明らかになった。
対策として、県当局はこの市場に臨時の屠殺所を建設し、このような方法で毛皮が剥がれることがないように指導している。
スイスなどの国際的動物愛護団体が中国を非難しているが、この事例が中国の毛皮養殖業における特殊なケースであり、圧倒的多数がこんなふうではないという事実を無視している。
ただし、粛寧県としては、中国の毛皮養殖業のレベルが欧米諸国に比べて遅れていることを認め、諸外国の進んだ養殖/加工技術を学ぶ必要を感じている。

というわけで、以下のことが言えると思います。
  • あの映像はやらせではない。が、一般的なケースではない。
内からの要求に対しては非民主的で強権的、外からの批判に対しては「内政干渉だ!」と突っぱねる傾向の強い中国の当局が、これだけビックリして迅速な対応をしているわけですから、事件の経緯に関する説明は信用していいと思います。
というわけでこの映像は「最も劣悪な環境」を選んで編集したものと見るべきでしょう。もちろん「迅速な対応」には「毛皮産業の保護」という思惑はあるのでしょうが。
  • 現在は、映像が撮られた場所においては「生き剥ぎ」は行われていない。
広い中国のことですから、この事例が「氷山の一角」ではないかという懸念はもちろんあります。そうであっても、この河北省の映像や文章を他人に提示する際には「これが毛皮産業の現状です」という言い方はできないことになります。それを言ってしまうと「嘘を広めている」結果になってしまいます。

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こちらの記事は、上で御紹介したものよりも先に発表されたものです。翻訳ソフトに入れ、読んでみました。(クリック注意!グロ写真あり)
http://news.xinhuanet.com/st/2005-04/05/content_2788199.htm
3ページにわたるオンライン新聞記事なのでちょっと面倒ですが、興味をお持ちの方はマシーン翻訳して読んでみてください。長いので要領良くまとめることができませんが、この記事を書いた記者はスイス動物保護協会が撮影したビデオがネットで流れているのを見て取材に赴いたようです。
で、内容ですが。
  • 毛皮養殖場の悲惨さに関するレポート。
  • 生きたまま剥ぐ様子の描写。
以上二つは、あのビデオの内容と同様です。
 そして、
  • 交易の様子。
  • 生きたまま剥いでいる人々の貧しさ、苦しい生活。
  • 県当局の見解。
などについて詳しく記述されています。
 剥いでいる人々の貧しさについて読むと、1で紹介した県政府の見解「彼らは市場の一角で闇市を形成した」というのは、嘘ではないまでも少々言いすぎ、責任転嫁に近いような気もします。
剥いでいる人々のひとり、秦さんという老人のインタビューも
載ってまして、彼によると「以前からこういうやり方で剥いでいた」とのこと。また、粛寧県牧畜水産局のお役人が「7、8年前ならともかく、現在ではそのような剥ぎ方はありえない」と最初は言っていた…という記述もあります。
 以上のことから、(これは客観的事実ではなく私見になりますが)このような乱暴な皮剥ぎは、中国毛皮産業が現在のような隆盛を迎える以前に農村地域で行われていた(地域範囲は不明ですが)「昔ながらの方法」なのではないでしょうか。それが現在でも行われていることに、中国河北省の人々自身が驚いたのは事実のようですので。
 それから、上述の秦さんは毛皮を剥いだ後の肉について、こんなことも言っています。
秦「都会の人間はタヌキ肉が好きだ」「肉は大飯店に売る」と。
養殖方法や屠殺方法は「最も劣悪な環境」ではありますが、決して「毛皮だけのために動物を殺している」のではなかったことが明らかになり、ほんの少しだけ救われた思いです。
 もうひとつ。 私が1で書いた「氷山の一角」という懸念を、この記事を書いた記者も持っていたようです。記事の一番最後を「河北省粛寧県において、生きたまま皮を剥ぐ現象はまだ大量に存在するのではないか?」と結んでいます。
しかしながら、それから2年が経過しています。にもかかわらず、同じような状況を伝える新しい情報が、過激派系動物愛護団体にさえ現在までのところ入ってきていない…という事実も重要であるように思います。

3

こちらは、河北省の『河北皮毛信息網』というサイトの、毛皮獣の屠殺方法について書いてあるページ。今年の記事です。
http://www.hebpm.com/data/2006/0514/article_455.html
http://www.hebpm.com/data/2006/0514/article_466.html
これによりますと、撲殺/薬殺/電殺/心臓に空気注射・・・という方法で殺されているようです。安楽死にはほど遠いですが、「生き剥ぎ」よりはマシですね。

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他コミュの毛皮関連トピックでいただいた情報によりますと、
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=7224176&comment_count=130&comm_id=189604

中国の一部の地区では、生きた動物の皮を剥くというむごい作業が行われていることについて、王偉副局長は、「国家林業局と関係部門は検査を強化し、関連法規に違反した企業を厳しく処罰する一方で規定を守った企業の毛皮製品には統一した標記制度を実施するなどして、動物福祉の改善にいっそう力を入れていく」と語りました。
http://jp.chinabroadcast.cn/151/2006/01/14/1@55543.htm

とのこと。
この情報によって、またひとつ状況が明らかになってきました。すなわち、
  • 一部地域で「生き剥ぎ」は現在でも根絶されていない。
  • これについて、中国政府も国家レベルで問題視している。

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当コミュ参加者さんより教えていただいた新情報です。
 (注意:小さいけどちょいグロ写真あり↓)
http://www.recordchina.co.jp/shiten_show.php?gid=82

【ある視点】 2億元の収益をもたらす、ミンクの毛皮に隠されたストーリー
  アジア最大の毛皮の輸出地である、河北省尚村。「ミンクの都」とも呼ばれる尚村の毛皮取引マーケットは、敷地面積1000平方メートル以上もの広さがあり、毛皮をとる動物を持ち込む人、屠殺をする人、毛皮を剥ぐ人など、多くの人々が毛皮産業に従事している。このマーケットでは、おもにタヌキと北極キツネが商品として取引されるが、尚村とその周辺の住人たちが、自分たちで飼育したタヌキと北極キツネを商品として持ち込む。
 取引が成立すると、屠殺に従事する人々が、棒で動物の頭を叩くなどして息を止め、次に、毛皮を剥ぐ作業を担当する者が、すばやく毛皮をはいでいく。これらの毛皮は、毛皮の取引商の手にわたり、ミンクコートへと加工される。一方、毛皮を剥いだ後の肉は、食用の肉として転売され、食堂などで食される。
 ここでは、1日で約2000匹ものタヌキと北極キツネが取引され、日本をはじめ、欧米、韓国など30ヵ国以上の国々へと輸出されている。毎年10月~翌3月までは、毛皮の品質が最も良い時期で、毛皮産業に携わる人々の稼ぎ時となっている。尚村のマーケットでは、ここの屠殺の仕事に、周辺の村から50人もの人が携わっているが、彼らは子供の教育や生活を維持するため、やむを得ずこの仕事に携わっているという現状がある。
 しかし、近年中国国内では、残酷な方法による動物の屠殺に対して批判が高まっている。例えば、河北省のでは、2003年9月1日から、「地方基準(DB1309/T51_2003)」を執行し(有効期限は5年間)で、キツネの皮を剥ぐ際、薬物、注射、電撃による屠殺を義務付けた。そのほか、家畜を管理する、の畜牧局では、キツネだけでなくタヌキなどの動物にも適用することを決定した。職員の話によれば、動物を屠殺する際、他の動物たちに見られないよう隔離するなど、苦痛を最小限に抑えることを定めた国際的な関係する法律があるという。毛皮は海外に輸出される場合が多いので、国際的なルールに合わせる必要があるのだ、と語っている。職員はまた、動物を屠殺する際、これらの法律に違反することがないよう、国内法にも盛り込む必要がある、との考えを示している。
 調査の結果、ある中国国内での調査では、90パーセント以上の人が、動物のための福利法案を設ける必要があると考えている。とくに北京市は、動物福利を保障するための法律を設けて、動物虐待・障害、非人道的方法での屠殺を禁止し、また病気になった動物を保護しなかった場合、罰金最大1万元まで課すことを検討している。

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3で紹介した『河北皮毛信息網』の記事2件のリンクが切れてしまい、参照できなくなりました。代わりに、同じ『河北皮毛信息網』の2006年の記事をリンクいたします。
上記2件はキツネとタヌキの屠殺法についての記事だったのですが、今回の資料はミンクの屠殺法についての詳しい情報です。

「水貂的屠宰及取皮初加工」
http://www.hebpm.com/yangzhi/html/article_215.html

2、屠殺の方法
  • 首折り
腹を下にしたミンクを丈夫で平らで滑らかな物の上に置き、左手で背中をしっかり押さえて胸部を圧迫する。
右手で頭部をつかみ、後に曲げる。
すぐに左手で掴んだ胴体を前に力を入れて押すと、骨が折れる音が聞こえる。
頭部と第一頸椎が外れて脊椎が損傷され、ミンクは死亡する。
この時、鼻骨がつぶれて鼻血で毛皮が汚れないように注意すること。もしも出血した場合はミンクの身体を逆さまにする。血が毛皮についてしまった場合には、フスマかオガクズでもみ洗いし、数分間冷水にひたしてから皮を剥ぐ。
  • 心臓に空気注射
2人で行う。1人がミンクを仰向けに押さえつける。
もう1人は心臓の正確な位置を左手で探り、右手で注射針を深く(約1.5センチ)突き刺す。
空気を5~10ml注入すると、ミンクはすみやかに死に到る。
  • 薬物注射
水で10倍に希釈した「司可林」(Suxamethonium Chloride)を筋肉に0.2~0.5ml注射すると、ミンクはすみやかに死に到る。
  • 排気窒息
50~100匹のミンクをカゴに入れたまま密閉した木箱に入れる。
木箱の壁には直径3.5センチの通気管を通し、ここから自動車の排気ガスを送り込む。
5~10分後には全てのミンクが死に到る。この方法は通常、標準的な色型のミンクを大量に屠殺する場合に用いる。この時、ミンクは必ず清潔な麻袋か0.3~0.5センチの厚さに敷き詰めた
稲藁の上に皮を剥ぐまで置いておくこと。

最終更新:2010年07月09日 07:24