[Revival版Destiny最終話]の変更点

    

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 「お前はジャスティスを、今度こそあいつを討つんだ」
 「ああ、わかった」
 
 レイの残した言葉がシンの脳裏にこだまする。
 
  
 
 
 無数の光弾が飛び交い、幾多もの光球が閃いては消える。
 その刹那、幾人幾百もの命が失われていく。
 
 C・E74、月面上空。
 
 ZAFT軍宇宙機動要塞メサイアの攻防戦。
 命消える宇宙をシンのデスティニーが駆け抜ける。
 
  
 
 
 シンがアークエンジェルへと飛び去った後には、キラのストライクフリーダムとレイのレジェンドだけが残された。
 
 「そうだ、それでいい。キラ・ヤマト、お前だけは許さない」
 
 もう何回呟いただろう。
 だが、それはもうすぐ現実となる。
 自らの手によって、現実となるのだ。
 レジェンドのドラグーンが宇宙に舞い踊った。ストライクフリーダムを討つ為に。
 
  
 
 
 「ジャスティス?アスランなの?」
 
 同じくアークエンジェル攻撃へと向かっていたルナマリアのインパルスの目前に、赤いガンダムが立ちはだかる。
 アスランのⅠ(インフィニット)ジャスティスだ。
 
 「インパルス・・・?ルナマリアか?いや、違う」
 
 Ⅰジャスティスの蹴りが空を切る。
 
 「あの二人に匹敵するパイロット!」
 
 彼の脳裏に浮かぶのは、かつての僚友。
 そうそうアスランの攻撃を避けられるパイロット等いない。
 いるとすれば、レイ・ザ・バレル・・・、シン・アスカ。
 
 だが、今のインパルスはルナマリナの感性に絶妙にマッチングしていた。
 さらにデストロイとの戦闘経験、シンへの愛情、メイリンへの思い、アスラン・ザラへの怒り。
 交錯する想いと培った経験が彼女の技量を、アスランの知るそれとは別次元にまで高めていた。
 
 別人と思えるほどに。
 
 両機はビームサーベルで切り結び、宙空に激しい火花を散らす。
 インパルスが鋭い斬撃を次々に繰り出す。
 Ⅰジャスティスはそれを右へ左へ受け流し、反撃するがインパルスもそれを巧みにかわす。
 
 「…巧い!」
 
 アスランは舌打ちした。
 並のパイロットであればとうの昔に真っ二つにされているだろう。
 しかし自分はインパルスの事は全て知っている。
 どこが強く、どこが弱点なのかも全て。
  
 「だがっ!」
 
 大きく間合いを踏み込んだⅠジャスティスが蹴りを繰り出す。
 近すぎる。
 ビームサーベルで受けるには間に合わない。
 反射的にインパルスは右腕を繰り出し受け止めようとした。
 だがそのままインパルスの右肘から先が千切れ飛ぶ。
 Ⅰジャスティスの左足からビームサーベルが伸びていた。
 
 「嘘!?あんな所にビームサーベルが!?」
 
 未知の一撃にルナマリアは恐れおののく。
 それでも衝撃と慣性に耐え、姿勢を立て直そうとするインパルスをⅠジャスティスは追撃。
 さらに右足も吹き飛ばす。
 
 「これ以上・・・邪魔をするなっ!」
 
 満身創痍のインパルスに止めを刺すべくⅠジャスティスが一気に距離を詰め寄る。
 その時、両機の間を光が遮断した。
 
  
 
 
 「ルナァァァァァァァァァァッ!!」
 「シン!?」
 「デスティニー、シンか!」
 
 遠距離からのビームライフルの一閃。デスティニーだ。
 
 「隊長っっっ!」
 
 二体の間に割って入るや否や、デスティニーはⅠジャスティスに組み付き、激しく殴りつけた。
 
 「この裏切り者・・・、よくもよくもよくもっ!!」
 
 悲痛な声がレシーバーから聞こえてくる。
 衝撃で機体が激しく揺さぶられ中、アスランはじっとシンの言葉に耳を傾けていた。
 
 「俺はあんたが嫌いだっ!尊敬してた、憧れてた・・・。なのに、あんたって人はぁっ!!」
 
 取り残された幼子のような声、言葉。まるで泣いているようだ。
 そんな子供をなだめるかのように、アスランは静かにシンに語りかける。
  
 「やめろ、シン!もうお前も過去にとらわれたまま戦うのは止めろ」
 「え・・・」
 「そんな事をしても、何も戻りはしない。戻りはしないんだ、シン」
 
 アスランの脳裏に失った人たちの思い出がよぎる。
 
 「・・・俺も同じだった。母も、ニコルも、ハイネも、父上も・・・。皆、俺の大切な人たちだった。
 でも、もう戻らない。分かってしまったんだ。もう取り返しがつかないんだよ、シン・・・。」
 
 「だからって!!今更どうしろってんだよ!あんたって人は!!」
 
  
 
 
 弾かれたようにデスティニーがⅠジャスティスを蹴り飛ばす。
 吹き飛ばされたⅠジャスティスは、隙無く体勢を立て直す。
 
 「お前は未来まで殺すつもりか?お前は!お前の欲しかったのはそんな力か?」
 
 アスランの問いにシンは戸惑いを見せる。
 ステラ・・・マユ・・・俺は、何をしているんだ・・・。
 引き金を引く指が迷いで揺らぐ。
 
 (それは弱さだ、シン)
 
 ふいに親友の言葉をシンは思い出した。
 
 俺はクローンだ。
 幾多の戦場を共に駆け抜けてきた親友が言った。
 お前ならやれる、誰もが平和に暮らせる世界を勝ち取る事が出来る、と。
 
 「力を手に入れるんだ。約束したんだ・・・」
 
 そうだ。自分はもう一人じゃない。レイが、ルナマリアが、ミネルバのみんなが。
 大切な人たちを守るためにここにいる。
 
 (そうだよな、レイ。あんな奴に負ける気はしないけど、な)
 
  
 
 
 スラスター全開。
 デスティニーは対艦刀M2000GXを構え、Ⅰジャスティスに挑んだ。
 
 「それが答えか!シン!!」
 
 対するⅠジャスティスは両手にビームサーベルを持つ二刀流で応じる。
 
 大上段から切りかかるデスティニーの一撃を右のサーベルで受け止め、左で切りかかる。
 リーチで勝るデスティニーは速やかにかわし、次の剣撃を繰り出す。
 
 「うおおおおおおお!!」
 「ぬあああああああ!!」
 
 二人の男の怒りと想いが激しくぶつかりあう。
 赤いMSと青いMSが宇宙に舞い、激突する。
 弾かれ、離れ、再び斬り合う。そんな光景が何度も繰り返される。
 五分と五分。
 どちらも引くことはない。
 長引く勝負にアスランは意を決した。
 
 (・・・俺は未来を・・・、キラやラクス、カガリ、メイリン達と切り開く未来があるんだ!)
 
 スロットルを踏み込み、バー二ア全開。Ⅰジャスティスは一気にその間合いを詰める。
 
 「やけになったか!隊長!あんたらしくもないな!」
 
 無防備とも見える突撃。これで終わる。
 デスティニーはIジャスティス目掛けて、対艦刀を真一文字に一閃させた。
 だが。
 
 「何!?」
 
 鈍い衝撃でコックピットが揺れた。警告ランプがいくつも点灯する。
 シンの目に飛び込んできたもの。それは愛機の左腕を吹き飛ばされた瞬間だった。
 同時に対艦刀も失っていた。
 
 「う、腕がない!?」
 
 何が起こったのかシンには理解できなかった。
 その時、主人の下に舞い戻る鳥のごとく、宙に弧を描いてⅠジャスティスの背中に赤い翼が収まる。
 リフターだ。
 実はアスランは突っ込んだ瞬間に背部バックユニット、リフターをパージ。
 Ⅰジャスティスを囮にし、その隙にリフターをデスティニーの死角に回り込ませ時間差攻撃させたのだ。
 
 「こんな、こんな・・・こんなっ!あんたなんかにぃぃぃぃぃぃぃ!」
 
 残った右腕で左肩のフラッシュエッジをⅠジャスティスに向けて投げつける。
 Ⅰジャスティスは難なくそれを叩き落した。
 デスティニーのスラスターが美しい桃色の光を纏う。
 右掌の中が蒼い輝きに満ち、Ⅰジャスティスに向かって一直線に突っ込んだ。
 
 「うおおおおおお!!!!」
 
 パルマ・フィオキーナ。
 シンの執念が蒼い炎となってⅠジャスティスのコクピットを目掛けて襲い掛かる。
 
 「この馬鹿野郎!!!」
 
 だがアスランの怒りはシンの執念をさらに上回った。
 デスティニーの右腕が宙に舞う。
 Ⅰジャスティスはシンの渾身の力を込めた一撃も己が刃で叩き斬ったのだ。
 さらばだ、シン。
 アスランはデスティニーめがけてビームサーベルを振り下ろす。
 
 『いけません、アスラン!!その人は』
 
 その瞬間、シンとアスランの頭に直接誰かの声が響いた。
 あの歌姫の声が。
 
 しかし。
 
  
 
 
 「あ・・・」
 
 二人の間に割って入った機体があった。
 ルナのインパルス。
 Ⅰジャスティスのビームサーベルがその胸部を貫いていた。
 
 「・・・ル、ルナ・・・」
 「ルナマリア・・・、だったのか・・・?」
 
 ゆっくりとインパルスに突き刺さったビームサーベルから手を放す。
 胸にポッカリ空いた被弾孔からバチバチとスパークが火花を放っている。
 爆発はしなかった。
 
 「なんで、止めなかった・・・」
 
 うろたえるシンの声が聞こえる。
 
 「あんたにもあの声が聞こえたんだろ?あんたなら、止められたんだろ・・・?」
 「俺は・・・俺は・・・」
 
 それ以上アスランは答えられない。シンも答えない。
 あの声も本当に聞こえていたのだろうか?
 デスティニーとⅠジャスティスの間で、インパルスがスローモーションのようにゆっくりと崩れ、落ち葉の様に静かに月面に落ちて行く。
 
 「ルナ、ルナ・・・」
 
 シンの目にはもうⅠジャスティスもアスランも映っていなかった。
 ただ呆然とルナの後を追うように奈落の底へ落ちて行った。デスティニーと共に。
 
 「俺は・・・止められなかった・・・止められなかったよ・・・ラクス・・・」
 
 両手が小刻みに震えている。
 あるはずのない肉を貫いた感触にアスランは嘔吐した。
 
  
 
 
 『バカ』
 
 少し拗ねた様な顔でルナマリアが見下ろしている。
 シンは彼女のヒザ枕の上で寝そべっていた。
 ここが現実なのか夢幻なのか、よく分からない。
 ただルナの温もりが今は愛おしかった。
 
 『結局、負けちゃったね』
 「ああ。隊長は強かったよ」
 『だめだよー。ジャスティスに接近戦で勝負かけたら』
 
 クスクスとルナマリアが笑った。
 
 「ルナのひざは柔らかいな・・・」
 ボロボロになったインパルスとデスティニーの下で、シンはルナマリアの膝に頭を預けたまま、宙を仰いでいる。
 あちこちで目のくらむ閃光が二人を何度も包み込む。
 
 「レイに怒られるかな?」
 『うーん、庇いきれないと思います』
 「大丈夫かな・・・レイは。今頃・・・」
 
 ルナマリアは少しそうな顔をして目を逸らした。何も言ってくれない。
 その意味がシンにはすぐ分かった。
 
 「・・・そうだ、ミネルバは?みんなの所に帰らなきゃ・・・」
 
 シンは身を起こす。
 しかしルナマリアは、うな垂れてしゃがみこんだまま、動く事はなかった。
 
 「・・・帰らなきゃ・・・」
 
 ゆっくりとシンはデスティニーへ歩きだす。
 
 「また・・・守れなかった・・・」
 『ミネルバの皆が待ってるよ』
 
 振り向いたとき、ルナマリアの声が聞こえたような気がした。
 
  
 
 
 「ミネルバが・・・あんな姿に・・・」
 
 どこをどうやって漂ってきたのだろう。半壊したデスティニーは、いつの間にかミネルバが見える宙域まで来ていた。
 しかしミネルバの惨状にシンは愕然とした。
 幾多の戦場を切り抜けてきた女神は、両翼をもぎ取られ、無残な屍をさらしている。
 
 「艦長は・・・みんなは・・・」
 
 全滅。
 シンはその言葉を飲み込んだ。
 恐ろしい想像を大仰に首を振って払拭する。
 
 「あ・・・あのランチ・・・」
 
 ミネルバと同じ、黒く塗られたランチ。
 大勢の人があふれんばかりに乗っているランチ。
 陽気な顔が大きくデスティニーに向けて手を振った。
 
 「副艦長・・・、皆!」
 
 いち早く気づいたアーサーが、ランチの中のメンバーに声を掛けたらしい。
 ランチの中からも、こちらを伺っている。懐かしい顔がいくつも見える。
 
 「ヨウラン、ヴィーノ、マリク・・・マッドのおっさん・・・皆無事だったんだ・・・」
 
 グラディス艦長の姿が見えない。もちろんレイも。
 二人がどうなったのか、シンはなんとなく理解していた。
 
 悔しさが胸にこみ上げるが、今は無理やり抑える。
 皆の笑顔がすぐそこにあるのだ。
 駆けつけようとデスティニーのスラスターをONにする。
 モニターに「EMPTY」の表示が数回力なく点滅すると、それすらも消えた。
 
 「あはは、こいつも空っぽか」
 
 シンは苦笑いをする。
 でも、急ぐ事はない。
 彼らはあそこで待っていてくれている、こんな俺を。
 だがコクピットの中からランチの様子を伺っていた時、ガイン、と何かに背中を激しく叩かれる音がした。
 
 「な、何だ」
 
 シンの視界に飛び去っていく三機のドムが見えた。
 残骸だと思われたのだろう。ボロボロのデスティニーを無視して飛び去っていく。
 
 「・・・何をする・・・」
 
 残骸と間違われた事に腹を立てたわけではなかった。
 一瞬の出来事だった。
 ランチを認識したドムがバズーカの照準を合わせるのが見えた。
 
 「嘘だろ?止めろよ?やっとみつけたんだ。俺の、俺の・・・・」
 
 ガチャガチャとレバーを動かす。スロットルを何度も踏み込む。
 だがシンの涙声にもデスティニーは応えない。
 
 「動け!動け!あんな連中、敵じゃないだろ?だから動いて、動いてくれよ、デスティニー!」
 
 目の前で、ビスケットが割れるようにランチが四散した。
 
 「何で・・・何で・・・何で・・・。うわあああああああっっっっっっ!!!!!」
 
  
 
 
 命が消えた。
 希望も消えた。
 シンの絶望が宇宙を引き裂く。
 
 だがその声は誰にも届かない。
 
  
 
 
 「任務完了」
 「あまり気分のいいもんじゃないねぇ」
 「仕方ねぇだろ?『戦うために必要でないもの』は排除しろってあの方に言われてんだからよ」
 「そうだねぇ、仕方ないねぇ。『あの方』のためだからさ」
 
 ヒルダが微笑んだ。
 
 信じる者へ忠誠を誓う、あどけない少女のような微笑だった。 
 
 
 
 
 ――この戦闘。
 後の世に言う『メサイア戦』直後、プラントにてラクス=クラインに同調するクライン派がクーデターを起こし、プラントを掌握。
-一ヶ月後のCE74年6月、オーブはプラントを自国に併合する。
-ここに第二次汎地球圏大戦(ロゴス戦役)は終戦を迎え、プラントは国家としての歴史を終えた。
+カガリ=ユラ=アスハによる『併合演説』が行われ、一ヶ月後のCE74年6月、オーブは正式にプラントを自国に併合する。
+ここに名実共に第二次汎地球圏大戦(ロゴス戦役)は終戦を迎え、プラントは国家としての歴史を終えた。
 その後、世界各国はオーブの提唱する『統一地球圏連合』へと集う事になる。
 
 ラクス=クライン、カガリ=ユラ=アスハの二大女傑を頂点にして、世界は再び新たな時代を迎えたのであった。

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