「神は死んだ」
     〜ジュニアルールについて、ニーチェ

ジュニアルールとはKONMAIが提示する遊戯王の公式対戦形式の一つ。ジャンル兼通称兼蔑称は世紀末ジャンケンフィーバー。

概要

ジュニアルールは第1期における公式ルールを原型として第2期に制定された対戦形式である。
最大の特徴としては上級モンスター召喚に生贄を必要としないことが挙げられる。そのため下級モンスターと一部の優秀な上級モンスターによる装備ゲーか除去ゲーが主流だった当時のエキスパートルールとは良くも悪くも大きく違うゲーム性を築いた。二つのルールの混同や大型モンスターが活躍しやすい性質からローカルルールなどでは部分的にジュニアルールが採用されることも多かった。

しかし当時のカードプールではあまりにゲームとしての底が浅すぎたことや原作がバトルシティ編以降エキスパートルールを採用したことからあっさりと廃れ、現在では小学生以下限定の小規模大会が開催される程度くらいしか公式での動きはなくなってしまっている。

それでも一応公式ルールなので咲夜さんCGI含めてそれなりにこのルールに対応したCGIはある。新エキスパートルールに飽きたプレイヤー達がお遊びで対戦してみたことでジュニアルールは数年振りに日の目を浴びることになるのだがその姿はゲームというにはあまりにも凄惨な光景だった・・・
  • 先攻1ターン目に青眼出したと思ったら攻撃力4000のモンスター3体に後攻1killされた
  • 1ターン目大量展開されたけどぶっぱから8000ダメ余裕でした
  • 弾圧とれば勝つる!邪www神wwアwwwwバwwwタww-wwwwww
これらの地獄絵図が一時期逆にネタとして盛り上がったが、すぐに飽きられ現代に蘇らせてはならない闇のゲームとして永久に封印されることとなってしまった。そのためCGIにおいてもまともに対戦されることはなく一部の好事家がひっそりとプレイするのみである。



基本ルール

概要の項にて端的にこのゲームの内容を示したがあれだけでは意味が分からないと思うのでジュニアルール独自のルールを列挙していく。尚CGIと公式にアナウンスされているルールにも微妙な差異があるがここではCGIの仕様に準ずる。
  • 魔法罠ゾーンは一つのみ
  • 魔法カードも一旦セットしてからでないと発動できない
  • 誘発即時効果を手札から発動させることが出来ない
  • 上級モンスターの召喚に生贄を必要としない
  • 条件召喚モンスターを手札から無条件で特殊召喚できる
(重要なものを太字、特にゲーム性に影響するものを太字+赤字で表記)

以上のことから大型モンスターが主役のゲームだと分かるだろう。といった新エキスパートルールでは紙束以前のものがデッキとして成立したりすることからファンデッキも発想次第で様々なものを作ることが出来る。

しかしそれはあくまでファンデッキ同士での話であり、ガチ勢を相手にした場合ロマン溢れるオールスターデッキだろうと愛故の嫁デッキだろうと一瞬で蹂躙されることになる。この点もジュニアルールのイメージが芳しくない原因の一つだろう。
ジュニアルールのガチデッキとファンデッキの溝は一時期の新エキスパートルールが可愛く見える程に酷く最早一部の最上位性能を誇るモンスターとジュニアルール独自の戦術性に合致したモンスター以外はゲームに参加することすら許されないというレベルに達している。

ではジュニアルールは結局やったもん勝ちのぶっぱ一強ゲーなのか?誰が組んでも突き詰めると同じ構築になるクソゲーなのか?
否。断じて否。確かにジュニアルールの決着は九割方似たような形になるが、有志の研究によって様々な戦術や独自のゲーム性が開発され、その結果後述する戦術を理解した者同士の極まった対戦はそれこそ決闘が始まる前からとても深い読み合いや熱い差し合いが繰り広げられるのである。



ゲーム性

まずジュニアルールにおいて最も採用率の高いモンスター群は条件召喚モンスターである。条件召喚モンスターの中には却って勝利から遠のく程に厳しい条件を満たしてようやく場に出せる一般的に「ロマン」「切り札」と呼ばれるモンスターが存在する。
しかしジュニアルールにそんなものは関係ない。手札からいきなり飛び出してその圧倒的性能で場を荒らすのはあまりにもお手軽且つ強力な戦法である。
また条件召喚モンスターは出しても召喚権を消費しない。そのためぶっぱなし効果を持ったモンスターを召喚し立て続けに複数の条件召喚モンスターで追い討ちを掛けてそのままゲームを終わらせるのが初心者から上級者まで共通の勝ち筋となる。

ハッキリ言って1回のチャンスで勝負を決められる条件召喚モンスターを投入しないメリットは存在しないためこれらはほぼ全てのデッキに大量投入される。そしてそれらへの抑止力として存在するのが《虚無魔人》《王宮の弾圧》に代表される特殊召喚封じである。
ジュニアルールの1デッキにおける条件召喚モンスターの投入数は少なくても15~20枚は堅く多い物では30枚に達することもある。更に除去さえもこれらのモンスターに依存することが多く、相手によっては完封も可能な程の封殺力を持っている。

当然特殊召喚封じ1枚だけでハメ殺されるわけにもいかないのでそれを狩れるモンスター、つまり通常召喚可能な最上級モンスターを投入する必要が出てくる。
これらも粒揃いだが生贄さえ揃えば通常召喚可能ということと召喚権を行使するので1ターンに1枚までしか出せない性質から大半は条件召喚より性能は劣る。

これら3種のカードによる三竦みがジュニアルールの根幹である。ジュニアルールを揶揄する言葉として「じゃんけん」があるが、これはある意味では的を得ていると言えるだろう。
だが遊戯王はカードゲームである。それぞれ引かなければ使うことは出来ず、またその配合を自由に変えることも出来る。そしてこれら三竦みから外れたカードで戦術を狂わせることも出来る。
それぞれのバランスを自由に調整して投入されるモンスターによって個性や利点を持たせることが出来ると言えばただのじゃんけんと言えど中々奥深く感じることが出来るのではないか。
またこのように相性とカードの比率が大きなウェイトを占めるため、マッチ戦こそが醍醐味という見方もある。元々魔法・罠があまりなくほぼ全てのデッキで条件召喚モンスターが多数投入されているため、残りのカードの配合を変更するだけで別タイプのデッキへとシフトすることが可能。ここで相性的に優位に立つためにサイドチェンジの駆け引きが発生するのである。他方優位に立てなかったとしても条件召喚モンスターによる1チャンスの脅威は残されており完全な相性ゲーで終始しないところでも微妙に絶妙なバランスが成り立っている。



全選手入場!!

ジュニアルールの決闘にまともに参加できるで比較的採用率の高いカードを紹介していく。尚ランダムボックス限定モンスターに関するネタバレも多分に含まれるので注意。

条件召喚モンスター

デッキを占めるスペースが特に多く性能もインフレ気味なのが充実しているため、決闘者の個性やデッキの特徴といったものが最も良く出る部分である。

+ Aクラス(殆どのデッキに問答無用で入る程度の性能)
《裁きの龍》の存在しない咲夜さんCGI環境における最高のぶっぱ要員。このカードを出されてなにも対策出来ないようだとまず死んだと見て良い。
通常召喚できなくなるデメリットもジュニアルールではあまり関係なく、このカードで場を一掃し条件召喚モンスターを再び並べて殴り倒すパターンは本当に多い。
その攻撃性にばかり目が行きがちだがカード効果によって破壊されないというのも地味に見逃せない利点である。

《八卦衆 天のゼオライマー》を最強の矛とするならばこちらは最強の盾。通常の【八卦衆】のロマンの塊っぷりが伺いしれるというものである。
最高クラスの基礎ステータスに加えて対象効果無効+全効果破壊無効のチート耐性を併せ持った非常に強固なモンスター。このカードを戦闘以外で突破するには《天魔神 ノーレラス》のような対象を取らずに破壊以外の手段を取る除去を用いるか、《痛み分け》で相手に無理矢理消耗させるしかない。

高い除去能力と最強の戦闘能力を併せ持つ超大型モンスター。
途中過程をすっ飛ばすジュニアルールでは耐性効果を活かしづらいのが玉に瑕だが、その暴力的なステータスから戦闘では無類の強さを発揮するためそこらのモンスターよりはしぶとかったりする。

  • 《D-HERO Bloo-D》
                       ヘ(^o^)ヘ いいぜ
                         |∧  
                     /  /
                 (^o^)/ てめえが最強の矛だの
                /(  )    最強の盾だのと言うのなら
       (^o^) 三  / / >
 \     (\\ 三
 (/o^)  < \ 三 
 ( /
 / く  まずはそのふざけた
       幻想をぶち殺す
究極のワイルドカード。相手のどんなぶっぱだろうと無敵の耐性だろうとこのカードの前では意味を成さない。ステータスには若干の不安があるが魔法・罠ゾーンが空いていれば相手モンスター1体を取り除きつつ強化できるのでそれほど問題ではない。
そのため相手の耐性に依存しない切り返しとして使える一方、このカードに先陣を切らせ相手モンスターの耐性を無効化した上でぶっぱなすという攻撃面でも重要な役割を担う。使い方次第で戦局を大きく左右する重要なカードでこのカードのためだけに《E・HERO エアーマン》、更にそれをサーチする《増援》《E-エマージェンシーコール》さえも投入されることがある程である。
近頃ローカル制限に引っかかり制限によっては一枚しか投入できなくなってしまった。ジュニアルールでも行き過ぎてた感はあったカードだがここに名を連ねる程の重要さだっただけに影響は大きい。幸い上述したようにサーチ手段に関しては豊富なのでこれからは今まで以上に慎重な運用が求められることだろう。

多くのモンスターが存在する4000ラインをギリギリ上回る攻撃力と全体へのバウンスぶっぱに加え事実上相手のライフを半分削れる火力を併せ持つ多方面に強力なモンスター。
《烈のグレートゼオライマー》を始め汎用性の高い効果を持った条件召喚モンスターのステータスラインをピンポイントで狩れる攻撃力や、数少ない破壊以外のぶっぱであり《光の創生神 ホルアクティ》にすら有効に機能する全体バウンス、相手全バウンス後このカードによる直接攻撃で4100ダメージ+条件召喚モンスター以外の除去がなければ半強制的に支払わされるライフ半減によって《ギアス・脱出》の発動コストを支払えなくなるライフ2000ラインを割れる単体火力等々、単純にカードパワーが高いことに加え環境のメジャーカードに対して尽く有効に機能するメタカードとしての性質も併せ持ち非常に厄介。なにか意図的なものすら感じる。
また自身のフィールドをバウンスする性質を利用してこのカードの召喚前に予め《黒衣の大賢者》《最後の物語 藤井蓮》《ブリザード・プリンセス》《堕天使ディザイア》などの効果を使ってからこのカードを召喚することで更にアドバンテージを拡大するコンボも無理なく投入できるカードのみによって成立するコンボとしてはかなり凶悪。

出すだけでアドバンテージが確定する戯けた効果によってAクラスの座を勝ち取った一枚。
また効果耐性は持たないものの4000ラインや上述した《仮面ライダーエターナル》を一方的に倒せる攻撃力で全体攻撃能力を活かしやすく必要に応じて更なるバンプも可能、と戦闘面での性能は高い。なにか意図的なものすら感じる。
他のAクラスのカードがジュニアルールのバランスや環境上半ば居ないと困る必須カードとして殆どのデッキに問答無用で採用されるのに対し、このカードはなくても特に困るものではないが特に入れない理由がないため殆どのデッキに問答無用で採用されるカードとなっている。
唯一弱点らしい弱点といえば《D-HERO Bloo-D》に吸われた際に攻撃力4050とギリギリ4000ラインを超えられてしまい対処がやや面倒になることくらいだが、逆に4000ラインを超えた《D-HERO Bloo-D》を倒せるカードの中ではトップクラスの汎用性を誇るカードなので結局入れない理由になってない。

究極ワンチャン神。自身の攻撃力4000+攻撃力4000の時械神召喚+永続効果による攻撃力上昇4000=単独で12000というぶっちぎりの超火力を出せる。無論ジュニアルールだろうとまともに通ればこれだけで即死である。
効果は無効になるものの《究極時械神セフィロン》《究極時械神セフィロン》を呼ぶことも可能なため時械神の採用枚数が最低限に抑えられるのも嬉しいところ。《究極時械神セフィロン》2体が効果を使えるように最低限の追撃火力にはなれる《時械神サンダイオン》を1枚加えた4枚型かそもそもそんな状況になる前にゲームが終わるので他の時械神は加えず《究極時械神セフィロン》だけで回す3枚型の2パターンが一般的な構成となる。
余談だが効果が無効になってない《究極時械神セフィロン》が2体以上並ぶと2体の永続効果の無限ループで攻撃力表示が荒ぶる。機嫌のいいときには攻撃力6桁さらに3体目が並ぶと8桁表示まで暴れだすが実際の攻撃力は大体16000~32000の間くらいで収まってるため実際にはそこまで景気のいいダメージは出せない。とはいえ《光の創生神 ホルアクティ》に完全に制圧された状態からでもワンチャンでゲームをひっくり返してそのまま終わらせてしまえるだけの火力なので実用性は十分にある。他にも《二拝二拍一拝》に《光の創生神 ホルアクティ》とともに対応している点などからレベル13解禁ルールでは環境メタとしての評価とワンチャン力が更に高まる。


+ Bクラス(強力だが投入されるかは好みによる程度の性能)
こちらは上の中くらいのステータスに微妙な耐性と戦闘強化効果を持ったモンスター。
耐性は過信は出来ないが《裁きの龍》が存在しない咲夜さんCGI環境でならタゲ逸らしとしては十分有用だと言える。また意外にもこのステータスで《烈のグレートゼオライマー》以外に確実性のある耐性効果を持っている唯一のモンスターだったりする。
メイン盾としては《烈のグレートゼオライマー》の影に隠れがちだが、逆に強化能力で《烈のグレートゼオライマー》を狩れる数少ないカードでもある。
突出した能力は無いが全体的に高い次元で纏まった能力の持ち主である。

  • 《降雷皇ハモン》
単体ではちょっと高めのステータス持ち程度の扱いだが、《D-HERO Bloo-D》のような相手の動きを封じるモンスターと守備表示のこのカードを組み合わせることで強固なロックを形勢できる。単体で極めて強力な耐性を有する《烈のグレートゼオライマー》に次ぐ盾候補。

4000ラインのステータスと一時的な除去効果、相手ターンにも使える回避能力を併せ持つ器用なカードの代名詞。
除外効果はエンドフェイズには戻ってくるがジュニアルールではそれだけあれば十分ゲームを決めることが可能なので何も気にすることはない。
回避効果はエンドフェイズまで戻ってこれずジュニアルールではそれだけあれば十分ゲームを決めることが可能なので気にしなくてはならない。
とはいえ除外効果は相手の《ハネクリボー》や《ネコマネキング》を踏む危険を考えずに済む使い勝手の良い除去であり、回避効果も全体リセットすら回避できるためそれほど悪くない。
単体でもジュニアルールと噛み合った優秀なカードだが、《天魔神 ノーレラス》と組み合わせて4000ラインのカードを残しつつリセットをしかけたり《楽園の巫女 博麗霊夢》と並べて《幻想の結界チーム》を召喚したりとその多芸さからコンボも多い。
また予め召喚しておくことが前提となるが《仮面ライダーエターナル》への強力なメタカードとなる。全体バウンスを回避したうえで返しのターンに《仮面ライダーエターナル》を除外し特殊召喚封じを一時的に解除することで相手だけに特殊召喚封じを強制する状況を作り出すことができる。あくまでも事前に召喚してなければならないので相手が知っていればこの状況は作れないが、逆に言えばこのカードがある限り相手は《仮面ライダーエターナル》を召喚することが出来ない。

  • 《黒衣の大賢者》
召喚時に魔法1枚をデッキからサーチするという地味にとんでもない効果を持つモンスター。
魔法・罠の評価が低いジュニアルールにおいても《ギアス・脱出》《クリボーを呼ぶ笛》をサーチすることで1ターン分の安全を買えるのは大きい。またこのカードによるサーチを前提としてピンポイントメタとなるカードや擬似ぶっぱとなる《ライトニング・ボルテックス》を一枚だけデッキに仕込んでおくということも可能。更にコンボデッキなどではそれだけでなくキーカードとなる魔法をサーチする役割も持ち、あらゆる局面で役立ってくれる。
正直性能自体はAクラスの面々と比べてもなんら見劣りしないのだが魔法カードにスペースを割く必要がある点や少々デッキを選ぶ点、本体のステータスの低さなどで汎用性という観点からはやや劣るためこの位置につけている。だがその有用性は計り知れない。

  • 《アームド・ドラゴン LV10》
貴重なぶっぱ要員。裏側表示のモンスターに対応してないがそもそもジュニアルールでモンスターがセットされること自体稀であり《ネコマネキング》を踏む危険性も考えれば一概にデメリットとは言い切れない。
ステータスは低めだが攻めの起点に使える数少ないカードなのでBクラスの中でも採用率は高い。


+ Cクラス(性能では劣るが役割が評価されれば投入されることもある程度の性能)
中の上くらいのステータスと無難に使いやすい除去効果と貫通を持ったモンスター。弱点である表示形式変更もジュニアルールでは殆ど突かれることはないが、耐性効果を持たず戦闘で競り負けることも多いので場持ちはそれほどよろしくない。
高ステータスモンスターの多数追加によりやや地位が下がったのは事実だが割り切れば相手への牽制に手軽に使っていけるので悪くないカードである。スペースに余裕があるなら十分採用圏内だと言えるだろう。

  • 《バーサーク・デッド・ドラゴン》
戦闘を介する擬似的な全体除去モンスター。全体除去の乏しかった時代はそれなりに採用されていたが、各種オリカテーマの切り札にこのカードに戦闘力で勝るインフレモンスターが多く配備されたことや同じ役割で圧倒的に強い《Sin トゥルース・ドラゴン》が登場してしまったため最近ではこのカードの出番は激減してしまった。更に事実上の完全上位互換である《最後の物語 藤井蓮》も登場し復権は絶望的と言える。

  • 《ネオス・ワイズマン》
《バーサーク・デッド・ドラゴン》を《Sin トゥルース・ドラゴン》に喰われたカードだとするならばこちらは《烈のグレートゼオライマー》に喰われたカードだといえる。
それでも一時の壁くらいにはなるので《バーサーク・デッド・ドラゴン》よりは高い採用率を誇っていたが環境的に実質上位互換となる《XXX LOTUS BLACKER》の登場により更に風当りは厳しくなってしまった。

ジュニアルールでは《神霊の依り憑く月の姫 綿月依姫》の効果対象となるレベル10以上のモンスターには事欠かない。更にこうして落としたカードを《死者転生》でサルベージすることで擬似的にサーチする戦術も存在する。単体でも高い突進力を持ちコンボデッキを中心に採用されることが多い。
またその《神霊の依り憑く月の姫 綿月依姫》をサーチするためのカードとして《海と山を繋ぐ月の姫 綿月豊姫》にも一定の需要がある。加えて条件召喚モンスターの数が減りがちなコンボデッキにおいて「不要なコンボパーツを捨て効果発動→デッキから別の《海と山を繋ぐ月の姫 綿月豊姫》をサーチ→手札から無条件で召喚し再び効果発動、以下繰り返し」というゾンマスループと似て非なるもっとおぞましいなにかが可能で単独でも好相性である。

  • 《ジャイアント・ボマー・エアレイド》
控えめなステータス・手札を必要とする除去・条件召喚モンスターがぽこじゃか出てくる環境で召喚を1度だけ無効にする効果、と器用貧乏を体言する一枚。
それぞれの要素には更に使い勝手の良いカードが存在するがこれらを併せ持ったカードが希少であることも事実であり、的確に使えば有効に機能する場面は多い上級者向けの一枚。


通常召喚可能なアタッカー

ズバ抜けた戦闘能力を持つ三邪神が頭一つ抜けており、それを尖った性能を持ついくつかのカードが追従する構図となる。基本的に対《虚無の統括者》性能と対《D-HERO Bloo-D》性能の二つが重要視される。

+ Aクラス(殆どのデッキに問答無用で入る程度の性能)
  • 《邪神アバター》
遊戯王の戦闘ヒエラルキーの頂点に君臨するカード。更に相手が防勢でもこちらが大型モンスターを出すことが容易なため攻撃力が安定しやすい。
召喚時に魔法罠を封じる効果も中々侮れない・・・というかジュニアルールでフリーチェーン意外のカードの採用率が異常に低いのはだいたいこいつと《八卦衆 天のゼオライマー》のせい。
弱点は《D-HERO Bloo-D》を前にすると一瞬で戦闘ヒエラルキーの最下層まで転落することや現在では魔法・罠封じが対策されあまり有効に働かないこと、咲夜制限にひっかかっていることなどがあげられる。

  • 《邪神ドレッド・ルート》
《邪神アバター》同様に全モンスターでもずば抜けた戦闘力を持つ。
更にこちらは素のステータスが高く対《D-HERO Bloo-D》性能も高い。《D-HERO Bloo-D》が攻撃力4000のモンスターを吸収していたとしても攻撃力は3900しかなくこのカードで殴り倒せるのだ。《虚無魔人》+吸収Bloo-Dを打開できるのはこのカードくらいのものだろう。
その高い安定感から実戦値は《邪神アバター》以上とも言われており名実共に最強候補の一角である。

  • 《虚無の統括者》
ジュニアルールと最も密接に結びついたモンスターでありそのゲーム性の根幹を成す存在である。何も考えずにパワーカードを積み込んだだけのデッキはこのカードの前で漏れなく紙束と化す。
また妨害するのは相手だけで自分は好き放題出来る。そのため先攻1ターン目にこのカードを出しておくのは相手が通常召喚可能でメインフェイズ1に使える除去要因で対策していない限り安定行動となる。

  • 《虚無魔人》
同上。こちらは自分の特殊召喚も封じてしまうが事前に大量展開してから締めにこのカードを出せばいいのでそれほど影響しない。
ほぼ三積み確定の《虚無の統括者》と異なりこのカードはデッキによって投入枚数はマチマチだが、1~2積みのデッキでもサイドには仕込んでおきたい。
因みにこのカードの投入枚数が少ないデッキは意外なことに通常召喚重視のデッキである。理由はこのカードにまで召喚権を回してる余裕がないというもの。何かが間違っている。


+ Bクラス(強力だが投入されるかは好みによる程度の性能)
  • 《邪神イレイザー》
世にも珍しい通常召喚可能なぶっぱ要員。《虚無の統括者》を出して油断している相手に1killを仕掛られる高い奇襲性は他の邪神にも引けを取らない強みである。また自身の王宮の弾圧を割って能動的に攻め立てるのも地味ながら凶悪な戦術である。
例によって《D-HERO Bloo-D》に滅法弱いのと《邪神アバター》と異なりアタッカーとして不安定で完全に切り返し専門になるのが辛いところ。

  • 《堕天使ディザイア》
こちらも通常召喚可能な除去要員。単純な破壊力では《邪神イレイザー》に劣るが様々な要素で差別化が可能。
まず第一にこちらは素のステータスが3000と高いことが挙げられる。《虚無の統括者》を戦闘破壊できるのはもちろん、状況によっては《D-HERO Bloo-D》に打ち勝つことも出来る。
第二に自分のカードを巻き込まないので一度大量展開して倒し損ねた後の追い討ちにも使える。
最後に《ハネクリボー》や《Sin トゥルース・ドラゴン》、件の《邪神イレイザー》を破壊することなく墓地に送ることが出来る点がある。
これらの微妙に絶妙に痒いところに手が届く性能から上級者にはこちらを好む者も多い。

相手は死ぬ
上の一文があながちネタと言い切れないのがこのカードの恐ろしいところで《邪神アバター》と違いチェーンも組まないので恐ろしい奇襲性でこちらの魔法罠による防御を崩してくる。またその地味に高いステータスから虚無狩りに最適で、和睦なども先読みして撃たない限り使えないので最高クラスの精度を誇る。《仮面ライダーエターナル》の全体バウンスの恩恵に預かることが出来る点も現在の環境では見逃せない利点である。
攻撃・切り返し両面において非常に個性的で今後の環境への影響が期待されるホープである。


+ Cクラス(性能では劣るが役割が評価されれば投入されることもある程度の性能)
  • 《青眼の白龍》
一般的な大型モンスターの代表格。だがジュニアルールではかなり見劣りする。
そのため普通に使われることは殆どないが、《天魔神 ノーレラス》と禁止解禁ルールでの《混沌帝龍-終焉の使者-》への対策兼コンボ要員として《伝説の白石》と共に採用されることがある。
相手がこれらのカードを使用した時に《伝説の白石》がいれば攻撃力3000による切り返しが確定し、その上八汰ロックの防止にも繋がる。自分でこれを行えばメインフェイズ1に全リセットした後3000による追撃が確定する。
八汰ロックへの対策は《幻想の境界 八雲紫》でも可能だが能動的に発動して即座に追撃できるのと相手に悟られずに使える奇襲性はこちらだけの利点である。


  • 《E・HERO エアーマン》
恐らくジュニアルール中唯一の下級アタッカー。その狂ったサーチ性能は健在で、《D-HERO Bloo-D》召喚に大いに役立ってくれる。
また下級戦士族のE・HEROであることが幸いしてこのカードには多数のサーチカードがある。中でも《増援》《E-エマージェンシーコール》は即効性があり即座に《D-HERO Bloo-D》に繋げられるためジュニアルールでも有効な選択肢の一つとなっている。だがハッキリ言ってこのカード以外にサーチ対象は存在しないので魔法をサーチする効果を持つ《黒衣の大賢者》も含めて投入枚数はよく吟味が必要である。


その他防御用カード

これまで述べてきたようにジュニアルールは攻めが非常に激しいルールである。ぶっぱからそのまま相手のライフが無くなるまで殴るのが基本戦法として確立している点からもその苛烈さが知れよう。
だからこそその1発をもらわないということはとても重要なのである。相手の攻撃チャンスがなくなり生き残るだけでなく今度は自分に激しい攻撃のチャンスが回ってくるのだから。
攻める側は相手が何を伏せているかを読み如何にその穴を突くか・守る側はどれだけ少ないカード消費で生き残り次の攻めに繋げるか、こうした独自の駆け引きはジュニアルールの最も熱い部分の一つである。

魔法・罠カードについては一枚までしかセットすることが出来ないので不用意に場に残り続けるカードを伏せるとそれ以後こちらの魔法・罠が使用不能になり立ち回りが苦しくなる。また発動条件のあるカードを伏せてもぶっぱが常のジュニアルールでは条件を満たす前に割られることが非常に多い。
そのため投入されるカードはフリーチェーンが大半である。中には永続魔法や永続罠を積極的に採用したロックデッキも存在するが、あくまでそれらを守るための専用の構築が必要不可欠であり普通は投入されない。
具体的にはフリーチェーン防御の代表格《和睦の使者》《威嚇する咆哮》、《黒衣の大賢者》からサーチ可能な《ギアス・脱出》《クリボーを呼ぶ笛》等が主な選択肢となる。

モンスターによる防御も特殊で「手札から効果を発動できない」というルールから《バトル・フェーダー》《速攻のかかし》のような一般的に用いられる防御カードが使えない。そのためフィールドで効果を発揮するモンスターが候補となる。
こちらの選択肢は
  • 《クリボーを呼ぶ笛》でリクルート可能が可能だが破壊されないと発動できない《ハネクリボー》
  • あっさり読まれるが《増援》でサーチできる上安定感抜群の《ゼロ・ガードナー》
  • 戦闘破壊に対応してないがその分リターンも大きい《ネコマネキング》
などそれぞれ一長一短なので好みが分かれるところである。

封じられた神々

ランダムボックス限定のレベル13・神属性のモンスター群。その極めて高い性能に加えて独自の性質を持っていることから大型モンスターとは切っても切れない関係にあるジュニアルールには大きく影響している。

+ そこで今夜はこのような驚くべき能力を持った生き物たちの世界へ皆さんを招待しよう
  • 禁止カード
  • 分類上は条件召喚モンスター
  • しかし《虚無魔人》が存在する状態でも召喚可能
  • 場に出すのに召喚権を行使する
  • 効果が無効化されない
・・・つまり条件召喚モンスターの皮を被った最上級モンスターなのである。それだけならあまり問題にはならないが神々は前述したように極めて高い性能を持ち更に効果を打ち消されないという有用な特性を持っている。この時点で最上級モンスターに必要とされている対《D-HERO Bloo-D》性能を完璧に満たしているのだ。
これまで邪神一強と思われていた最上級の新たな選択肢として条件召喚モンスターにすら引けを取らないこれらのカードの登場は三竦みの力関係を塗り替える可能性も秘めておりジュニアルールの新たな一歩となることだろう。

+ 各カード解説(ネタバレ注意)
《光の創生神 ホルアクティ》
効果モンスター
星13/神属性/天使族/攻 5000/守 5000
このカードは通常召喚できない。
モンスターをランダムに召喚するカードの効果でのみ特殊召喚できる。
このカードは戦闘及びカード効果では破壊されない。
このカード1体を対象とするカードの効果を無効にし破壊する。
このカードが戦闘で相手モンスターを破壊して墓地へ送った時、
破壊した相手の攻撃力の2倍の数値分自分のライフポイントを回復する。
神々の筆頭であり《烈のグレートゼオライマー》以上の効果耐性・《Sin トゥルース・ドラゴン》に匹敵する戦闘力+戦闘破壊耐性・《LFO ニルヴァーシュ type ZERO spec3》の二倍の回復量を誇るライフゲインを併せ持つ完全なバランスブレイカー。
最強の戦闘力と耐性を併せ持ち《D-HERO Bloo-D》で打ち消すことすら出来ないという三竦み?なにそれ?と言わんばかりの性能で恐ろしい制圧力を誇る。
このカードの対策として破壊を必要としない除去である《妖怪 火車》の評価が見直されそうになったが《妖怪 火車》をジュニアルールで特殊召喚しても効果が使えないというよくわからない裁定が下され結果的に殆ど死角がなくなってしまった。
一応現在では《仮面ライダーエターナル》《究極時械神セフィロン》など状況次第ではこのカードに一矢報いることが出来るカードもいくつか出てきたがこれらのカードでも条件が揃わなければ大した痛手を与えられず処理されてしまう上条件が揃うのを悠長に待ってる時間もないため未だに問答無用の最強カードという評価は揺るがない。《烈のグレートゼオライマー》と被っているがあちらはあくまで戦闘破壊が可能な4000のモンスターであるのに対しこちらは最高のステータスと戦闘破壊耐性持ちの無効にできないカードであり悪質さは段違い。

《大邪神ゾーク・ネクロファデス》
星13/神属性/悪魔族/攻 4500/守 4500
このカードは通常召喚できない。
モンスターをランダムに召喚するカードの効果でのみ特殊召喚できる。
ターンに1度だけサイコロを振る事ができる。
サイコロの目が1・2の場合、相手フィールド上のカードを全て破壊する。
3・4・5の場合、相手フィールド上のカード1枚を破壊する。
6の場合、相手はデッキからカードを2枚ドローする
《闇の支配者-ゾーク》の強化版。
決して弱いカードではないのだが《光の創生神 ホルアクティ》に太刀打ちできず投入率は低め。
とはいえダイスであることを利用して相手の伏せを燻り出したり貴重な除去持ちの最上級だったり個性が強く、使ってみればなんだかんだで有用なカードである。
《魔界の神  神綺》の失墜によって現状除去能力を持った唯一のレベル13としての地位を確立したものの、特定条件下では《光の創生神 ホルアクティ》をも凌ぐ爆発力を誇っていた《魔界の神  神綺》と比べるとややこじんまりした能力で《光の創生神 ホルアクティ》に次ぐ二番手という評価を覆すのは難しい。

《赤き竜》
効果モンスター
星13/神属性/ドラゴン族/攻 5000/守 5000
このカードは通常召喚できない。
モンスターをランダムに召喚するカードの効果でのみ特殊召喚できる。
このカードがフィールドから墓地へ送られた時、
自分の墓地に存在するドラゴン族シンクロモンスターを5体まで選択し自分フィールドに特殊召喚する事ができる。
《光の創生神 ホルアクティ》と並ぶ最高のステータスを持ち破壊時に墓地のドラゴン族シンクロに繋げられるが正直使いづらい。
ジュニアルールでシンクロモンスターを使う機会はまず無く単独性能でもステータス以外に見る所が無いので《光の創生神 ホルアクティ》の下位互換というのが偽らざる評価である。

《魔界の神  神綺》
星13/神属性/魔法使い族/攻 4000/守 4000
このカードは通常召喚できない。
モンスターをランダムに召喚するカードの効果でのみ特殊召喚できる。
このカードは相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる。
このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。
1ターンに1度、自分の手札・デッキ・墓地から
「アリス」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる。
あらゆる場所からアリスを召喚する効果を持つ。当然ジュニアルールでの召喚対象は《魔人 アリス》一択。
このカード一枚で攻撃力7000分のモンスターが出揃う上《魔人 アリス》の効果から相手のフィールド次第ではそれ以上も望めるという凄まじい火力の持ち主。
この爆発力が高く評価されジュニアルールでは《光の創生神 ホルアクティ》に次ぐ採用率を誇る。またそれ以外の効果も地味に優秀で役立つ場面は多い。
だったのだが《魔人 アリス》がエクシーズモンスターとしてリメイクされた影響をモロに受け、最早なんのために存在しているのかわからないレベルで弱体化されてしまった。また仮に以前同様の使用感で使えたとしても安定してこのカード以上の火力を出せる上通常制限レギュレーションでも問題なく使える《究極時械神セフィロン》にお株を奪われてしまった感は否めない。

《復讐の女神 モリアン》
星13/神属性/鳥獣族/攻 2500/守 2500
このカードは通常召喚できない。
モンスターをランダムに召喚するカードの効果でのみ特殊召喚できる。
自分のライフポイントが相手のライフポイントよりも少ない場合、その数値だけこのカードの攻撃力がアップする。
このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。
魔法・罠・効果モンスターの効果が発動した時、手札を1枚捨てる事でその発動を無効にし破壊する。
効果自体は強力だがステータスの低さがネックとなる。特にライフが下回って居ない限り《虚無の統括者》と合い撃ちになるというのは致命的で、「《赤き竜》と並んで最下層・ゲームに参加できてないという意味ではそれ以下」という散々な評価だったが専用のロックデッキの開発によりめでたく最弱の座を《赤き竜》に押し付けることに成功した。
単独では使い物にならないが専用デッキでは鬼神の如き強さを発揮するという評価の難しい一枚。
最終更新:2013年12月08日 03:58