その7   咲夜クエスト



第二回WSGPも無事に終了しましたね。
参加者の皆様、本当にお疲れ様でした&ありがとうございました。
今回も多くの方々に参加していただきながら、無事に日程を終える事ができたのはひとえに皆様の多大なご協力のおかげです。


実は直前まで自分の都合やテンション含めて、開催するか未知数でした。こういうのは、盛り上がらないまま進行してしまうと痛々しいので……。
ですがやはり思い切って始めて良かったと思います。ノリの良いみんなのおかげで、大会は非常な盛り上がりを見せてくれました。


その点はエキシビジョンマッチも同じくですね。
決勝戦のテンションを見て、実行するかを最終的に判断するつもりでした。
直前まで告知しなかったもう一つの理由は、エキシビジョンマッチが最終目標みたいになってはいけないという思いからです。
あくまで、一番重要なイベントは参加者同士のぶつかり合いであり、決勝戦が通過点では大会の意義がありません。
前回と同じようなイベントが用意されていると初めから分かっていると、そういった心持ちになってしまう恐れがあったのです。
言わばエキシビジョンは優勝チームのウィニング・ラン。
アニメ再現チームで出場し、見事に最後まで走り抜いてくれたチーム398ディーズに改めて拍手を送ります。

Z-ONEさん曰く、無双できるかと思ったが虚無械アインが維持できないと引きゲーすぎて危なかった。かっこ悪いまま歴史に残らなくて良かった。 とのこと。




大会から離れて。
このサイトが一般公開を終了してから36万…いや、1万4千日が経ちましたが、この場所におけるデュエル環境は少しずつ変わったり変わらなかったりしています。
OCG制限リストから脱しなければ全てのカードが使えた昔に比べ、現在は咲夜制限や独自エラッタ・ルール変更により、自分が目指すゲームバランスというものにかなり近くなったと言えます。

ただ、そこには弊害もあったと考えます。
制限やエラッタの更新によってこちらがセーフ/アウトの境界を逐一提示するが故に、自分達一人ひとりが、現在の自分の使用カード・デッキのパワーについて常に考え模索する必要が薄くなったと考えてしまう事です。
どこかで発せられた、「規制されるまでは使っていい」という言葉はこれを如実に表していると言えるでしょう。
利用者がみな顔見知りであり、「遠慮」というものを比較的しなくてもよくなってしまったというのも背景にあるかもしれません。

環境調整の代名詞である咲夜制限・エラッタですが……
元々、VIP系ファンデッキコミュニティから派生して始まった(こういった単語を使うのも随分久しぶりのような)当サイトでは、当時の慣習というものがまだ根強く残ってたりします。
地砕きや炸裂装甲など除去カードを自重する、ロック・バーン系列を自重する、など。
ただ、こういった慣習が広まったのはもう3年、4年も前の事です。当時から比べて、カードプール・環境の変化などの要因からこれらが現在において必ずしも「使うべきでないパワーカード筆頭」であるかと言われたら首を傾げます。
例えば個人的な話をすると、地砕き3枚入れたデッキよりも強制脱出装置3枚入れたデッキの方が戦い辛いです。
しかし、この2者を比べると強制脱出装置を見た時よりも地砕きの方が1枚でも周辺がざわ・・・となる傾向にあります。
過去の慣習に立脚した「自重」はもはやほとんど形骸化しながら残っていると言っていいでしょう。
これだけ様々なカードが制限・エラッタ化される中、単純な除去カードだけは何も被害を被らず「自重」の名の下に各自の使用範囲が異なっている現状は、いびつなものであるとすら感じます。

過去の慣習、咲夜制限、個人の自重。
三者の絡んだところに環境は立っていて、例えば上記の地砕きや強制脱出装置の問題に対して今のところ管理人側から(制限・エラッタという形で)明確な答えを出す事はまだしていません。
それは昔馴染みの汎用カードに対していずれのスタンスを取るか、決めかねているのが一因です。

というのは……カード番号3080番以前と以後のカードでは明確に自分の意識作りの中で分けて考えていました。それはこのCGIが始まってから自分で実装したカードとそれ以前のカードの違いです。
これまで、実装以前のカードについては不可侵領域と自分の中で定めていた節があります。それ故、それら過去カードのエラッタについて二の足が踏まれていました。
その理由は、私の中での「恐れ」です。
過去から使われている定番カードに手が加わる事で、「遊戯王デュエルモンスターズのゲーム」としてコレジャナイ感が出始めてしまうのではないかという恐れです。

ゲームバランス調整と称して、現在使われている汎用カードがこれから次々と調整されていったらどうなるだろうか、という事ですね。
大嵐はワンキル抑制のため発動ターンにダイレクトアタックできない、死者蘇生は強力なので相手1枚ドローのデメリット、光の護封剣は再利用がキツいのでフィールドを離れる場合除外される……
サンダー・ブレイクや因果切断など、フリーチェーンの除去は対応力が高すぎるので全て禁止。手向けかブラック・コアでも使え。
どれも理に適っていると言えなくもありません。 ただ、これらを強力カードに対し次々と推し進めた結果どうなるのか?
いずれどこかで、「これ遊戯王のゲームじゃなくね?」と感じるのではないかと思います。
いやとっくにそうなってるだろと思われる方もいらっしゃるでしょうが、とりあえず私の中ではまだ遊戯王+αのゲームなのです。
いつか遊戯王+αでなく、自分が全て舵取りしたゲームであると感じるようになってしまった時に、どれほどの人がそれを支持してくれるか?という事を考えるととても恐ろしいです。
なるべくそう感じてしまうゲームにはならないよう意識取りをしていきたいと思います。自分が好きなのはあくまで遊戯王+、なので。


ただ、全く同じゲーム性のものを全く同じメンバーで行う事にはいずれ無理が生じるでしょう。端的に言うと「飽き」です。これは良いとか悪いとかいうものではなく、必然の滅びです。
だから現在目指しているのは、「環境の最適化」ではなく「環境の循環」です。一つ所に留まりすぎて、濁らないようにするための。
今はその方向が、デフレに向かっているだけですね。これが使えなくなったらどうするよ?という提案をこちらから出している状態です。
場合やジャンルによっては、モーメントが逆回転して「これが使えるようになったら・こんな風にパワーアップしたらどうするよ?」という方向性に向かうものもあるでしょう。
それを成すのが咲夜制限やエラッタであるわけであり、ゲーム性をちょこちょこ変えてなるべく新しい気持ちで遊べるようにするための小細工なわけです。

そんなこんなで生きています。
循環する事で、まだしばらくは生き長らえていきたいと思います。 円環の理に導かれて……
最終更新:2011年05月24日 22:50