「指輪」(2005/11/20 (日) 23:41:00) の最新版変更点
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<88title/no.49>指輪
「指輪って、邪魔だよな~~~。」
昼下がりのアラート。
ボヤキのように聞こえたきた声にちょうど通りかかった水沢が答える。
「そうですか?良いじゃないですか、幸せのし・る・しですよ。」
「あ~もー良いよ、水沢は。」
そう言って、言った相手に追っ払われた。
「何やってんだ?水沢。」
そこに通り掛った神田が声を掛ける。
「指輪ですよ、指輪。ま、神田二尉には関係ないですけどね。」
あっさりと視線を外し、背後からやって来た西川を見つけると一気に走り寄って行く。
妻帯者は妻帯者。独身者には関係が無い話しらしい。
「西川さ~~~ん。相沢さんたら酷いんですよ、指輪が邪魔なんて言うんですよ~~。」
走っていった先に続いたのは、不似合いな大声で。
「あ~~~~!!西川さんに指輪が無い~~~~!!」
その声に立ち去る気だった、神田にオマケで栗原も付いて来る。
「水沢・・・デカイよ、声が。」
「西川さんっ!どーしちゃったんですか!」
水沢の声に興味を惹かれた面々までもが、じょじょに近寄ってこようとする事に気付いて西川がわざと大声で答えた。
「痩せて、抜けたんだよ!
無くなったら困るんで外してあるんだよ。」
そのまま、4人で食後のコーヒーでも飲もうかと移動する事にした。
「痩せるんですか、良いですねぇ。僕なんか何かだんだん服のサイズがきつくなって来てるみたいで・・・。」
「お前のは『幸せ太り』って言うんだろ。」
突っ込んだ神田に全く気にせず、ニコニコと幸せそうに笑う水沢の顔に何を言っても無駄!の文字が浮かび上がっている。
「しかし何で痩せるんだ?結構、西川ちゃんだってその実、神田に負けないぐらい喰ってるだろうに。」
「『痩せの大食い』ってパターンらしくって、何か一定量を越すと逆に痩せちゃうらしいんですよ。」
「奥さんぼやくだろ。」
「そうですよ~『私が食べさせてないみたいに見えるから、止めて欲しいわ』とか何とか言ってますよ。
言われたってどうしようもないんですがね。」
「栗原さんちはどうですか?」
「へ?」
「神田さんの食欲ですよ。」
「あいつのは、燃費が悪いのか喰って、動いたら、無くなってるらしくて、保存が効かん。」
「まーあれだけ食べた上に飲んで、燃費が悪けりゃ今までで十分太ってますよね。」
「ま、そうだな。年喰ったらおっそろしい事になりそうだけどな。」
「末は司令ですか。」
「こっわい意見だな。」
「ま、そうならないように栗原さんが気を付けてあげれば良いんじゃないですか?」
「あ~まぁ、そうか・・・・?
俺は神田の嫁になった覚えは無いんだけどなぁ、西川ちゃん。」
「いや~つい。」
西川が笑って済まそうとした所で、遥か前方を歩いていたはずの神田から声が掛かる。
「指輪いるか~栗~~。」
「あほかーーーー!」
笑って過ごす、基地の日常だった。
2004.06.17 かずえ
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