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優しい気持ち


 「栗~、ビールとって。」
 「はいはい。」
 春先とは言えまだ肌寒くて仕舞えないでいるコタツでだらしなく寝転んだまま、神田は風呂から上がりたての栗原にそう声をかけた。
 ほわっとした湯気をたて、洗い髪をタオルで拭きながら、栗原は冷蔵庫をあけて二人分の缶ビールを手に取る。
 「おらよ。」
 そう言って手渡すと、神田は起き上がりもせずにそれを手に取った。
 そしてそのプルトップをあけて一口口にしてからそれを手近におくと、反対側にもぐりこんだ栗原に、
 「チャンネル変えていいか?」
 と、言うだけ言って承諾も得ないままにリモコンを手にする。
 「オープン戦見るんじゃなかったのかい?」
 「だって、どっちも知らねぇチームでつまんねぇんだもんよ。」
 「まぁ、なんだっていいけど。リモコン壊すなよ。」
 「あーあ、テレビもつまんねぇな。」
 一通り見て回っても、どうやら神田の気に入る番組はやっていなかったようで、そう言ってつまらなさそうにリモコンを放り投げた。
 「神さん、こないだ何か録画してなかったっけ?まだ見てないのあるだろ?」
 そんな神田にめずらしく辛抱強い態度の栗原がそう提案する。
 いつもなら、そろそろイラついてくる頃である。
 「あー、でもあれプロレスだべよ。栗好きじゃねぇだろ?」
 丁度宴会と重なって見られなかった番組だ。もともと格闘技類の好きな神田だったが、その中継は特に、神田が子供の頃から好きだった選手の引退試合を含んでいて、神田が絶対に見るからと、けれど自分の分の録画用テープを使い尽くしていて、仕方なく栗原のを借りてまで録画した番組だった。
 それだけに、もう一度見ようと録画していた洋画の録画テープをつぶしてそれを神田に提供した栗原の方がそれをよく覚えていた。
 「まぁ、いいさ。」
 と、それだけを言って、めずらしく神田よりも早く一本飲み干したビールの空き缶を手に立ち上がった。
 「あ、栗、俺のも。」
 「あぁ。」
 そうして、また新しいビールを手にコタツに戻ってきた栗原に、そこでようやく神田は、栗原の様子がいつもと違う事に気付く。
 「…なぁ、何か今日の栗って優しくね?」
 言いながら、寝転んだ姿勢から起き上がってキチンと座りなおして、そして栗原からのビール缶を受け取る。
 「そんないつもの俺が鬼みたいに言いなさんな。」
 と、そう言ってから、
 「…たまにゃ、そんな日もあるってことさ。嫌かい?」
 と、そう尋ねる。それに神田はブンブンと首を横に振った。
 「い、嫌じゃない。もっと優しいのがいい。」
 「優しい、ねぇ。神さんの考えてる『優しい俺』って何さ?」
 「えーっと…。ハンバーグ作ってくれたりとか。」
 「ハンバーグ?」
 「うん、それと通勤の途中で週間ゴング買っても嫌な顔しないとか。」
 「…それだけか?」
 「…えっと…、あともうちょっと布団の中で優しくしてくれたりすると嬉しいかな。」
 と、ビールを持つ片手の、空いてるほうの手を伸ばしてコタツの中で同じく空いた栗原のその手を取る。
 それを振りほどこうと栗原は手を引こうとするが、神田がそれを強く掴んで離さない。
 「それは、神さん次第だと思うけどね。」
 逃れられない、と悟って栗原はそう答えた。
 それを聞いて、神田はビデオデッキのリモコンを手にとる。神田が見ようとしていたプロレスの録画は、前解説が終わろうとしている頃で、ようやく試合がはじまろうとしている所だった。
 それを神田は躊躇する事なく、「停止」のスイッチを押して再生を止める。それからついでにテレビのリモコンで、テレビの映像自体を消してしまうと、栗原のほうへと向き直った。
 「じゃあ、俺次第って事で…、いい?」
 どこか嬉しそうな、それは褒められた子犬みたいなまなざしだ。
 余りにも素直な神田の反応に栗原も思わず苦笑する。そして、また手にしていたビールをまた一口煽って、そして口元だけをふっと綻ばせた。




 「……勿体ねぇから、これ飲み終わってからな?」




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