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衝動 -The Winter Moment-


 「あーあ、また潰れてるよコイツ。」
 「しょうがない、ピッチが早かったからね、随分。」
 やれやれ、といった感じで伊達と栗原は神田をはさんでそんな会話をしていた。そこは札幌市内の深夜までやっているバーのカウンター席で、神田を挟んで左に伊達、右に栗原が座っていた。
 栗原は苦笑しながら、外套をとってカウンターに突っ伏している神田の肩にそれを着せ掛けた。それから、自分のグラスを手にすると、伊達の左隣の空いている席へと移動する。
 スツールに腰かけると、ほとんど空になっていたグラスの残りを飲み干して、2杯目をオーダーする。
 「お、めずらしく飲むねぇ。どしたの?栗ちゃん。」
 と、伊達がからかうのに、
 「俺だってたまには酔いたい。伊達が居るなら平気かなって思って。」
 と栗原が牽制する。
 「バカ言うなよ、俺が一番あぶねぇぜ?知ってると思うけどよ。」
 「昔、再三面倒見てあげたじゃん。今日くらいいいでしょ。」
 そう言って栗原は、微笑んで見せる。
 「どうすっかな・・・。」
 伊達はそう言いながら、つと手を伸ばして栗原の顔から、その表情を覆っているレイバンを奪った。
 そのサングラスの下の顔は、相変わらず美しかった。伊達が初めて出会った頃から何もかわっていない。それどころか、年月を重ねてそれは一層張り詰めたような壮絶な美しさを増してもいたし、おそらく神田が引き出したものなのだろう、妖艶とも言える艶っぽさをほのかに孕んでもいた。それでも、その中に見え隠れする本来の可憐さやあどけなさはそのまま残されていて、それが余計に劣情を掻き立てるようだった。
 「変わらねぇな、その顔だけは。相変わらず苦労してんだろうな。」
 そう言って、伊達は店員や他の客の目を盗んで、栗原の頬を指先で軽く撫でた。
 「触るな。」
 と、そうされて、栗原はそう言いながら、伊達の手から逃れる。
 そして、
 「その気もないクセに。」
 と付け加えた。
 「どうかな?神田がここに居なきゃ、とっくにベッドの上だぜ、お前。」
 グラスを手にしたまま、くくっと笑って伊達は言った。
 「そう?・・・伊達も変わったね。」
 「違う、変わったのはお前の方さ。昨日も言っただろ?今なら守備範囲だってよ。」
 そう言いながら、それ以上踏み込みたくない、と言うように視線を逸らそうとする伊達、栗原もまた、伊達から視線を外して、カウンターの奥を見つめた。
 二人共に、遠い時代を思い返そうとしているかのようだった。そして浮かんでくるのは・・・。




 「う~~~ん・・・水ぅ・・・。」
 伊達はその日、ひたすら酔っ払って自分のアパートの扉を開いた。畳の部屋に突っ伏すようにしてそうつぶやくと、どこからか、水で満たされたコップが差し出される。
 とりたてて疑問も持たずにそれを受け取ると、伊達はそれを一気に飲み干した。
 「おかわりは?要る?!」
 その瞬間に、語気の強い声が聞こえていて、伊達ははっと我に帰った。
 「・・・栗原っ?」
 そこには相棒の栗原が居た。
 仕方なさそうな顔をして、水で満たされた別のグラスを手にしている。
 「くれ。」
 そう言って伊達はそれを奪うように手にして口をつけると、これもまた一気に飲み干してしまう。
 「飲みすぎだ、伊達。いくら最後だからって・・・。」
 そう、その日は伊達が退官していく少し前で、最後の記念飲み会だから、と伊達は仲間達から散々に飲まされてそして潰された。
 正確には潰されかけたのを何とか泥酔だけはしないように持ちこたえて、けれど一人ではまっすぐに歩いて帰ることもできなくて、栗原がここまで送り届けたのだった。
 言いながら栗原は、さっき伊達が空にしたグラスを手に台所へと消える。けれど、すぐに戻ってきて、また水で満たされたそのグラスを伊達がへたり込んでいる傍らに置いた。そして、それから、
 「布団を敷いてくるよ。」
 そう言って押入れ開けた。
 そうやって伊達の世話を焼くのは、もう何度目かで、伊達の部屋の物の配置は良くわかっていた。
 一組しかない布団を手早く整えると、栗原は戻ってきて、伊達を抱え起こそうと身をかがめる。
 「ほら、掴まって。」
 そう言って、自分の背に伊達を掴まらせると、ゆっくりと立ちあがった。伊達の方が上背がある分、重い。重さに耐えて、ようやく布団の位置まで持ってくると、まさかそれを投げ出すわけにもいかず、できるだけゆっくり寝かせてやろう、と栗原は自分も膝を折って姿勢を低くし、そのまま並んで横になるようにしながら布団の上へと伊達を移動させた。
 伊達をそこに置いて、自分はどこで寝ようかと栗原が周囲を見ていると、不意に伊達の腕が栗原に絡みついてくる。
 「伊達?」
 どうせまた酔いのせいで、自分を好きな女とでも間違えているのだろうと、栗原は少しだけ語気を強めて伊達に問いかけた。
 それでも伊達は腕を解こうとはしなかった。それどころか、更に絡める腕に力をこめて、栗原の体を押さえつけてくる。
 「伊達っ、この酔っ払いっ。いい加減に・・・。」
 そして言いかけたその言葉は、ふさいで来る唇にせき止められた。
 荒々しい口付けだった。
 「酔っちゃいるけど・・・、自分が何しようとしてるかくらいわかってるさ。キレイだな、お前・・・。」
 唇を離して伊達はそう囁いた。
 真剣な眼差しが、いつものようにふざけて抱きついたりしているのとは違うことを物語っている。
 そのまま押さえつけて、再びその唇を塞ごうとして、けれど栗原の言葉に伊達の動きが止まった。
 「・・・伊達も、俺を抱きたいの・・・?」
 自分”も”とそう尋ねられて。
 栗原は、いつものポーカーフェイスを崩して、少し困ったような悲しそうな表情を見せていた。
 伊達は思った。今までに何人の男がこうやって栗原に対して邪な行為を求めて来たのだろう、と。そして、その思いを遂げた男はいたのだろうか、と。
 伊達がそんな事を考えながらうろたえていると、その体の下で栗原が伊達をまっすぐに見つめて来る。
 「いいよ、俺。伊達がそうしたいんなら。初めてじゃないし、平気だから・・・。」
 その言葉に、伊達は惑わされ、そして誘われた。
 再び唇を重ねて、激しくそれを貪った。そのまま背を抱いてきつく抱きしめる。
 だが、すべてを奪おうとして、伊達はその衝動を自分で抑えこんだ。
 腕に抱いた栗原の体は、固く強張ったままだった。そして小刻みに震えているその体にそれ以上触れることは、とても出来なくて。
 「やっぱ、よそう・・・。」
 ふっと、自嘲するように首を振って、伊達は栗原の体を手放した。
 「どうして?抱いてくれたらいいのに・・・。」
 強がるようにそう言う栗原の頬を、伊達はそっと撫でながら、
 「やめとけ、お互いそのうち後悔するような事は・・・やめようぜ。」
 そう言って伊達は栗原の頭をそっと押し上げてその下に腕を差し入れた。
 この温もりもまた、そのうち思い出に変わるのだろうと・・・。




 「やっぱ、あん時にヤっちまえば良かったかな。」
 遠い過去の思い出から立ち返って、伊達はふとそう呟いた。
 「今更遅いよ。」
 それを聞きつけて栗原は笑いながらそう言った。
 「浮気してみようかな~、とかは?」
 「ないない。」
 にべもなくそう断られて、伊達はがっくりと肩を落とす。
 「冷てぇのな。」
 「伊達が期待しすぎなんだよ。・・・さて、じゃあそろそろ神田を起こして部屋に戻らないと・・・。」
 そう言って立ち上がりかけた栗原を、伊達はその腕を掴んで引き止める。
 「えー、待てよ。せっかくなんだ、もう一軒くらい付き合えよ。」
 「やだ。せっかくホテルとってるのに、ゆっくり出来なきゃ勿体ないじゃないか。それにあの泥酔状態の神田を連れて更に飲みに行ったりできるか。」
 「うーん・・・。そうだ!」
 栗原に振られ続けた伊達は、しばらく考え込んでいたが、突然こんな事を言い始めた。
 「賭けしようぜ、賭け。」
 「賭け?また?」
 「いいから、部屋の鍵を貸せ。2枚ともだ。」
 伊達に言われて、栗原はホテルの部屋のカードキーを2枚伊達に手渡した。ダブルの部屋だ。ツインが一杯だと言われて、シングルを二つにするかどうか考え迷った挙句、神田と二人ダブルを選んで伊達から散々からかわれたいわくつきの部屋でもある。
 「何をするの?」
 そう尋ねる栗原に、伊達は自分の背広のポケットから自分のシングルルームのカードキーを取り出してその上に重ねて見せた。
 そしてそれをトランプの様に何度かシャッフルしてから、3枚を両手でぴったりと挟み込んで、
 「上から何枚目だ?先に選べ。」
 「・・・何考えてるんだか・・・。」
 「最初にお前が選んで、次に俺が選ぶ。残ったのが神田の分だ。つまり、お前が今夜誰と寝るか自分の運次第ってわけだな。どうだ?」
 「くっだらない・・・。いいよ、じゃあ。一番上だ。」
 躊躇することなく栗原はそう指定する。
 伊達は手を開いて見せて、栗原に一番上のカードをとるように促した。まだ表替えすなよ、と指示してから、自分は2番目のカードを選んでそれをカウンターの上に裏返しのまま置くと、残りのカードキーを無雑作に隣で寝ている神田の胸ポケットにねじ込んだ。
 「さて、じゃあ見てみっか・・・。」
 と、二人同時にカードキーの部屋番号を確認する。
 その瞬間、栗原は勝ち誇ったようにカードキーの表を伊達に見せ付けた。
 「ま、じゃあそういう事で。」
 とそう言ってコートを手に席を立つ。
 栗原はシングルルームのカードを引き当てていた。
 「俺は先に帰って寝てるから、神田をよろしく。朝まででも二人で飲んでるといいよ。じゃあね。」
 「嘘だろ・・・。」
 自分の強運を当てにしていた伊達のほうはそのまま燃え尽きてしまっている。引き止める気力も失せているようだ。
 「まぁ、あの程度のシャッフルだとカードの行き先位いくらでも計算で出せるんだけど・・・、賭けは賭けだし、伊達も文句ないよね。」
 と栗原は満悦気味ににっこりと笑った。その笑顔があでやかな分、余計に伊達を落ち込ませた。
 「栗原ぁ・・・。」
 情けなくカウンターに寄りかかったまま、未練たっぷりの声で呼びかける伊達に、
 「うるさいなぁ。神田なら別に好きにしてくれて構わないから、朝まで面倒みてやって。」
 とそれだけ告げて、栗原は颯爽とその店を後にした。
 朝から波乱尽くめだった北海道の夜はそうやって暮れて行き・・・、後に残されたのは伊達と神田とダブルベッドの部屋が一つ・・・。




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