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桜の花の咲く頃に・・・2


 「いやー、毎年この時期になると思い出すんだよな。」
 「はぁ、何をですか?」
 百里基地のゲートを抜けて基地の中へとすすむ並木道、そこを歩きながら会話しているのは伊達と高田だった。空は快晴、道から見えるグラウンドは桜の花が満開だ。
 そこを歩いているのは二人だけではなくて、多くの家族連れが同じようにゲートから連れ立って歩いてきている。
 その日は年に一回、花見の為と称して基地が一般に開放される日で、ついでに飛行隊もそこで宴会をしていたりしていて、丁度仕事が休みだった伊達と高田もそこに招かれていた。
 「そりゃ、あれだべよ。美しい恋の物語って奴よ。」
 「あぁ、それもう100回くらい聞きました。聞き飽きました。ねぇ、三星ちゃん。」
 とそう言って高田が、伊達に肩車されているその愛娘に笑いかける。
 そう言われた三星は、わかっているのかいないのか嬉しそうにきゃきゃっと笑っているだけだ。
 「いや、あれには続きがあるのさ。」
 高田に揶揄されて、おまけに娘にまで笑われたように聞こえて、伊達は少しむっとして高田にそう言った。
 「へ?あったんですか、それは初耳ですな。」
 「・・・これから作るのさ。」
 「ハッピーエンドで?」
 「そりゃ・・・どうかな。」
 と、二人がそんな事を言い合っているうちに、並木道を過ぎて、グラウンドの入り口にたどり着く。飛行隊の連中はどこにいるんだろうと、桜の木が続くその奥を探そうとしたが、探すまでもなくその中ほどから大きく手を振っている神田の姿が見えた。
 「やれやれ、もう出来上がってんのかな、あいつらは。」
 言いながら近づいていくと、栗原が立って二人を出迎えてくれた。
 神田の方は、別の一団と飲みに興じている。
 「悪いな、わざわざ。でも神さんがどうしてもって言うからさ。」
 と新しく宴席に増えた伊達と高田の二人の為に新しいブルーシートを広げながら栗原が言う。
 「よーし、じゃあ三星、降りるんだぞ。」
 自分が座る前に愛娘をそのシートに降ろしてやろうとして、伊達はそう言って屈み込むが、
 「やーっ。」
 と、娘はそう言って肩から離れようとしない。
 伊達が困っていると、そのやりとりを聞きつけたらしい神田が横から現れて、
 「よし、じゃあお兄ちゃんと遊ぶか。」
 とそう言って抱き上げる。
 神田に抱きかかえられて、最初は自分の身に何が起きたのか理解できずにいた三星だったが、やがてその状況に違和感を感じたのか、すぐに大声で泣き出してしまった。
 「あーあぁ、もう。」
 紙コップで日本酒を差し出されて、すっかり飲みモードに入りかけていた伊達だったが、その様子にさすがにいてもたってもいられずコップを置いて立ち上がろうとする。
 それを、そのまま座ってろというように栗原が手で制して替わりに立って神田の方に向かう。
 「神さん、女の子の扱い下手だから。」
 と苦笑しながら言って、神田の手から三星の小さな体を譲り受ける。
 「ほらほら、泣かない泣かない。」
 と、栗原がそう言ってあやすと、三星はあっという間に泣き止んで、その腕の中でニコニコと笑い始めた。
 「神さんは、伊達の相手でもして飲んでればいいんだから。」
 言いながら、栗原は三星を抱いたままで、ビニールシートの上に腰を下ろした。
 神田も仕方なくそんな栗原と伊達の間に腰を下ろす。
 「俺の娘を泣かしてんじゃねぇよ。ほれ。」
 と、伊達は神田に酒入りの紙コップを差し出した。
 「いやぁ、すまんすまん。」
 と苦笑する神田。
 そんな感じで、たわいもない飲み話になっていったが、やはりしばらくすると話題は三星の事へと戻ってくる。
 父親とそれを囲む集団が、酒を飲みながらわからない話をしているにも関わらず、三星は相変わらず栗原の膝の上でご機嫌だった。
 「それにしても、お前ってすごいな。」
 と、伊達が感心したように言うと、
 「そうですね、栗原さんこれでいつ子供が出来ても大丈夫ですね。」
 と高田がそれに合わせる。
 だが、そんな高田の言葉に、
 「ぐっ・・・ぐふっ。」
 と、神田が思い切り喉を詰まらせる。
 「あほぅ、なんでお前がむせてんだよ。」
 と、伊達から突っ込まれて、
 「ぐ・・・いや、何でもない・・・。」
 と苦し紛れの神田だったが、更に高田から、
 「ほぅ、何か見に覚えでも?」
 と切り替えされて、神田もとうとう言葉に詰まる。そして栗原に、
 「こらー、栗っ。お前からも何とか言ってやれー。」
 とそう振ったのだが、
 「あはは。知らないよ。ねぇ、三星ちゃん。」
 と軽く受け流されて、そこで一同爆笑の渦に包まれたのだったが。
 「それにしてもよく懐いてるなー。」
 と神田が改めて感心すると、
 「そうですね、機長に肩車されてる間だってここまでご機嫌よろしくはなかったですからね。」
 高田がそう返して、
 「・・・そいつは俺に似て面食いなんだよ。」
 伊達が苦笑交じりにそう答える。
 そこへ栗原がまじまじと三星の顔を覗き込んで、
 「よーし、じゃあ三星ちゃんはお兄ちゃんと結婚するかい?」
 と聞いて、またそう言われた三星がうれしそうに笑ったものだから、またそこで大爆笑になった。
 神田だけが一人面白くなさそうだったのだが・・・。




 と、それから時間もたって周囲も盛り上がりを見せ始めた頃、
 「うーん・・・、もうダメだ・・・。」
 花見の最初の方の、伊達と高田が来る前から早いペースで飲み続けていた神田が、最初に潰れてそこにパタリと後ろ向きに倒れこんだ。
 「あーあ、もう。」
 と栗原は言うが、膝に三星を抱えているのでいつものように潰れた神田を引き取ることができない。
 けれど、こういう時の宴会はよくしたもので、宴席のブルーシートの隅には必ず隊舎で余っている毛布が積み上げられている。
 「いい、俺がやるよ。」
 と、さすがに伊達も手馴れたもので、神田の為にそこから毛布を2枚とってきて、一枚を二つ折にしたまま敷いて、その上に神田の体を引きずると、もう一枚をその上から被せる。そうしてから席に戻ってきて、
 「悪いな栗原、そうやってると全然飲めないだろ。」
 と、腕を伸ばして栗原から三星を引き取ろうとする。
 栗原が手にしているコップにはジュースが入っている。コップを手にしていると三星がそれを欲しがるので仕方のない配慮だ。
 「いや、こっちももうおねむみたいよ?」
 言いながら、そっとそれを伊達の腕に預ける。
 栗原の膝の上でウトウトとしかけていた三星も父親の膝に抱えられて、いつものその温もりに安心したのかそこでスヤスヤと寝息を立て始めた。
 「まぁ、どうぞ。」
 と、ようやく三星から開放された栗原に高田は缶ビールを手渡す。
 それを受け取りながら、
 「・・・ふわぁっ・・・っと、あ、すみません。」
 と栗原の口から思わずアクビが出る。
 「お疲れでしょー。休むなら毛布とってきましょうか?」
 とそんな気遣いを見せる高田に、
 「神田が復活してからにします。」
 と栗原は苦笑する。とそれを聞きつけた伊達が、
 「なんだ、眠いのか?んー、じゃあ宏美ちゃんもお父さんの膝で寝るかい?」
 と自分の膝をぽんぽんと叩きながらそう言ったので、
 「き・・・気色の悪いコト言うなっ。誰がお父さんなんだよ。」
 と、そう返すと、
 「だってお前さっきうちのかわいい三星にプロポーズしてただろうが。」
 「そんなもん本気にするなっ。」
 「なにー、ほんじゃあ何かい?お前はうちの娘を弄んでくれたってワケかい?」
 「あー、もうっ、何バカなコトいって・・・。」
 そんな二人のやりとりを高田が黙って見ていたのだが、しばらくして
 「あっ。」
 と二人の背後を指差した。
 二人が座ったまま首だけ振り返ると、そこには毛布を引きずった神田が居て、
 「なんだよ、俺も仲間に入れてくれよ。」
 とそう言うので、そこで話題がまた変わって、
 「眠そうな顔して何言ってんだよ。」
 と笑いながら栗原がそう言うと、神田は面白くなさそうに伊達と栗原の間にまた割って入ってそこに座り込んだ。そして、伊達の膝で寝ている三星を見て、
 「あー、いいなぁ。栗、俺もー。」
 とそう言ったかと思うと、さも当然であるかのように栗原の膝の上を独占するようにしてそこに顔をうずめてまた眠り込んでしまう。
 「やれやれ、子供と変んないね、神さんってば。」
 言いながら、仕方なさそうに毛布をその肩までかけあげるその仕草が余りにも自然で、それが羨ましくもあり、微笑ましくもあり・・・。




 結局、そのまま片付けは基地の人間がやるから、と飲むだけ飲んで、食べるだけ食べて、そして基地を去る伊達と高田だったが・・・。
 「で、これがハッピーエンドなんですか?」
 と、ゲートを出たところで呼びつけたタクシーを待ちながら高田がそう尋ねる。
 それへ伊達はしばらく考えてから、
 「まぁな。あれでいいのよ。アイツが幸せならそれでさ。それでハッピーエンドよ。」
 「じゃあ、次は三星ちゃんですな。」
 「そうそう、今度こそ失敗はしねぇように気をつけるさ。」
 「ふ・・・む。」
 「なんだよ。」
 「いや、とりあえず機長に似てなくて良かったと思って。」
 「んだとーーーっ。」
 と、そんな会話もまた春の日の一つの思い出。




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