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愛のカタチ


 その日、栗原と伊達の二人は都内の一等地にあるそこそこお洒落なダイニングで夕食をとっていた。
 二人ともスーツ姿で、特に何の変哲もない服装だったのだが、長身で体格の良い伊達と、どこからどう見ても見栄えの点では申し分のない栗原との組み合わせなので、それなりに人目を引く。
 「お前なぁ、いい加減に俺にタカルのはやめろよ。」
 二人の前には小洒落た料理が並べられていて、グラスには高級そうなワインが注がれていた。
 「なんで?いいじゃん、別に。たまには美味しいもの食べないとね。」
 言いながら、栗原は非常に穏やかな表情をしている。
 「旦那はどうしたんだよ、旦那は。」
 電話があったのは今日の昼の事だ。突然に今晩ヒマ?と栗原から誘いをかけてきたものだから、伊達は二つ返事でその誘いに乗った。ほとんどの場合、伊達の方から声をかけることが多くて、そして栗原が誘いに乗ったとしてもそのほとんどは神田が一緒だ。
 けれど今日は栗原一人で、そしてめずらしくも待ち合わせ場所は石岡市内とかではなくて、都内だった。
 待ち合わせ場所に現れた栗原は、開口一番、
 「伊達の奢りでいいんだよね?」
 と、そう尋ねた。
 悪びれた風もなく、にっこりと栗原にそう言われた伊達に異論を唱える暇があるわけもなく。なんとなくそれに応じてしまったのだが、よくよく考えると、栗原が要求してきたのは高級そうなダイニングだったし、そこで遠慮なく料理を注文している。ワインだって値段を確かめるでもなく勧められたままにボトルで注文しているのだ。
 普段のケチっぷりからは考えられないことだったし、神田が一緒ならたとえたまに伊達が奢ると言った所で、普通の居酒屋や焼き鳥屋にしか行かない栗原だ。
 「旦那って誰の事言ってるのかわかんないけど、神田なら展開訓練で硫黄島に行ってるよ。」
 「ほう。」
 「神田が一緒でこんな店に来るわけないだろ。テーブルマナーにハラハラさせられるのなんて真っ平だからさ。」
 「まぁ、そりゃそうだな。」
 「伊達ならいい店知ってると思ったし、俺だってたまには羽伸ばしたいじゃない?」
 そう言って栗原は非常に屈託のない笑い顔を見せる。
 そんな顔を見られるのを伊達は自分だけの特権だと思っていた。例えば神田が一緒だとしても、栗原は自然な表情をしてはいるものの、こんな風に悪戯っぽい子供じみた表情は見せないからだ。
 ふと昔に戻ったようなそんな錯覚をおこさせる。
 「相変わらず細いな、お前。ちゃんとメシ食ってんのかよ。」
 「まぁ、それなりに。」
 栗原の身体は、男性にしてはかなり華奢な印象を人に与える。実際にはそれほど細いわけではないのだが、傍に居るのが神田や伊達ではどうしてもその体格と比較されて実際よりも細く見られてしまう。
 昼食は基地内でとっているし、その他も神田に合わせて食事をしている筈だからそれ程心配することもないのだろうが、伊達はついつい昔の事を思い出して心配になるのだ。
 それは、まだ二人が千歳に居た頃の事で・・・。




 「あ、おいっ、栗原っ??」
 午後の訓練が終わってしばらくしてからだった。デブリも終わって後はラッパが鳴るのを待つだけ、となった時になって、突然栗原がフラフラと倒れたのだ。
 傍らに居た伊達が慌ててそれを抱きとめるが、栗原はそのまま崩れ落ちて、その顔は心なしか青ざめている。
 丁度栗原がBOQに住んでいた時だったので、伊達は事情を告げて、そのまま栗原を抱き上げてBOQの栗原の部屋まで運んだのだった。
 抱き上げてその身体の軽さにハっとさせられる。
 伊達に抱き上げられ運ばれている間、栗原は意識を取り戻さなかったが、ベッドの上に寝かされてしばらくして、ようやくその瞼を上げた。
 「・・・・・・? 伊達?」
 目覚めてすぐに、傍らで自分を見下ろしている伊達の視線に気づいて、栗原は不審そうに顔を上げた。」
 「寝不足か?どっか悪いのか?お前。」
 そう尋ねられて、栗原はふと伊達から視線を逸らす。
 「・・・俺、倒れた?」
 そう聞き返して苦笑する栗原は、更に、
 「3日くらい大丈夫だと思ったんだけどな・・・。」
 とそう続ける。
 その言葉の意味を伊達はすぐに理解した。自分にも多少心あたりのある事だったからだ。
 「・・・お前、メシ食ってないのか?」
 栗原が食堂に行く姿を見かけていない。この所宴会もなかったので仕事が終わった後栗原がどうしているのかを伊達は把握してもいなかった。
 つまり栗原が言うには、この3日間程まともに食事をしていないことになる。
 「学生の頃はそれくらい普通だったんだけど・・・、やっぱキツイや。」
 その言葉に、伊達はやや口調を荒げる、そして栗原の頬を軽く叩いた。
 「お前なぁ、体調管理くらいちゃんとしろよ。メシ食って体力付けるくらい基本中の基本だろうが。普段俺に言いたい事言ってるくせに、つまらねぇ事で世話焼かせてんじゃねぇよ。」
 そして、栗原が何か言い返す暇を与えずにその腕を掴んで、乱暴にその身体をベッドから起こさせる。
 「おら、起きろ。メシ食いに行くぞ。」
 そのまま伊達は、大丈夫だから放っておいてくれと言う栗原を無理やり引きずるようにして基地を出て少し行った所にある大衆食堂へと連れていったのだった。
 なんでメシを食わないんだ?という問いに、有り金全部イキオイで定期に入れてしまったからだ、と答える栗原に、伊達は仕方ねぇとばかりにそこの食事代を全部自分で支払った。
 自分の方が先輩だから、ということもあって、伊達はそれ以来何となく自分から誘った時は栗原の分も支払うのがクセになっていた。もちろん酔っ払った時なんかはそれが顕著で、結構な額だったとしても全部出してしまう。
 結局それがクセになっているのかもしれなかった。




 だから百里で再会して、そして栗原が最初に伊達を誘った時にも伊達は何も考えずに千歳に居た頃のクセをそのまま出してしまったのだった。
 けれど、栗原は今ではもう伊達の財布をアテにしなくとも十分にそれなりにやっていけているわけで、けれど逆に今では桁違いの収入を得ている筈の伊達からそうやって金銭的な面倒をかける事を、栗原は悪いと思っている様子もない。
 「あー、美味しかった。」
 と、一通りコースをつついた後で、栗原は満足そうだった。
 「ごちそうさま。」
 幸せそうな表情の栗原だったが、伊達はさすがに納得のいかないものがあった。
 「お前さぁ、こういうの援助交際って言わない?」
 それも一方的に搾取されてばっかりだ、と伊達はため息の一つもつきたくなった。
 見返りのない援交だ。
 その言葉に栗原は形良くつり上がった眉をひそめる。
 「何?伊達は俺と援交がしたいの?」
 と、そう言いながら、くすっと怪しげに口端だけで笑う。多少酒が入っているせいもあるのだろう。いつもの栗原に比べてノリが軽い。そしてその表情は挑発的だ。
 そのまま落とせそうな気もして、
 「したいって言や、・・・援交してくれんのかよ?」
 と、伊達が食い下がると、
 「・・・いいけど・・・、高いよ?」
 と丁々発止とばかりに栗原は伊達を言葉で翻弄する。
 「ここのメシ代も結構すると思うんだがな。」
 そう簡単に落ちる栗原でもなかったが、伊達のほうもどちらかと言うと結果よりも落とすまでの過程を楽しむタイプだ。
 「俺の価値がわからない人間じゃないと思ったんだけどな。それとも・・・・・・、安い相手でも本気になるような人だったっけ。ねぇ、伊達。」
 更にちくりちくりとプレイボーイでならした男としてのプライドを栗原からそう刺激されて、伊達も食事代ごときで栗原をどうにかしようと思った事が、無謀だった事を改めて思い知る。
 けれど、栗原の駆け引きも巧みで、そこで突き放したままにはせずに、
 「でも、伊達が何を期待してるのか知らないけどさ、俺が嫌いな奴とわざわざ一緒にメシ食ったりしないって事はわかってるよね?」
 と、また曖昧で中途半端な期待をさせる言葉をかける事を忘れていなかった。
 結局それに誤魔化されるように、
 「今日はありがと。じゃあまた。」
 と、そう言いながら別れ際に手を振る栗原を見送る伊達だったが・・・。
 「根性ねぇな・・・、俺も。」
 と栗原の姿が見えなくなった後、一人そう苦笑する。そのうちキスの一つでも奪ってやろうと、いつもそう考えながら・・・。




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