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<88title/no.79>瞳を閉じて

基地を出て、近くのアパートまで歩く。いつもの道のり。
そこへ最近、基地からアパートまでのその間に楽しみが加わった。
近所のガキどもの目隠し鬼からヒントを得たものだった。

子供の遊びはいつも変化する。
でも、変化しない遊びもある。
目隠し鬼。
それもその一つ。
最初はじゃんけんで負けた奴が目隠しをして、他の逃げた奴らの声だけを頼りに捕まえる。そして捕まってしまった奴が次の鬼になるのだ。
閉鎖的空間ならそれも楽しい。
とにかく「見えない不安」から脱出できるのだから、それだけでも自分とは違う人間を捕まえるのは安心する。
子供たちが楽しそうに遊んでいるのを見かけた。公民館の中できゃあきゃあ楽しそうな悲鳴をあげて逃げ回る子供たち。
それを見ながら栗原がボソッと言った。

「俺、そういやあんな遊びしなかったなあ・・・」
「栗さんしたことないの?」

神田は目をしばたたかせる。そう言えば、と栗原の子供の頃の話を思い出す前に、
栗原が妙なシナを作って言った。

「ああ・・俺、こう見えても子供の頃は可愛くて優しいか弱い男の子だったの」
「・・・栗~力抜けるわ」

そう言いながら神田は栗原の肩に手をかけて身体を半分に折る。
で。起き上がったとき神田の口から「遊び」の提案が発せられた。

「じゃ、やってみるか。ちょっと違うけど。さ、栗、目ぇつぶって」
「あん?」

目が細くなって神田を見る。
怒ってはいないが、疑っている目だ。

「だからさ。目ぇつぶってみなって」
「ここからまさか、目をつぶったまま帰るってんじゃあないよね?神田」

神田の目が丸くなる。
・・・ご名答。さすがするどいなあ~と思った言葉は口にせず、
遊びなんだから、と笑ってみせる。
なんとか目をつぶった栗原の手を神田は取って歩き出した。

「おい、神田。手を取ったら遊びになんないじゃないか」
「いいのいいの。俺がナビね」
「むちゃくちゃ不安だな」
「そんないうなよ」
「・・・そろそろ四つ角だな。車は来てない様だが通行人は?」
「大丈夫だって。俺がちゃんと連れて帰ってやるから、あ、そこちょっと段差あるから」



「・・・」
「栗。目ぇ開けんなよ」
「・・・明日はお前だな」
「なんで?」
「なんでって・・・」

こんな、切ないことはない。
栗原は思う。
目をつぶって手を触れて、こんなに近くにいて、こんなに幸せで。
そう思うと、胸が苦しくなる。
引かれた右手を掴むその手が温かくて、安心する。
その温かい手の主が神田だということが、そう思わせる大きな要因だと、わかっている。



俺たちはちゃんと繋がっている。
だから。
自分だけ、こんなに切ないのは何故かくやしい気がした。

「明日は、お前だからな」

再度、念押ししながら切ない思いを押し込めて、閉じた瞼に力を込めた。


基地を出て、近くのアパートまで歩く。いつもの道のり。
アパートまでのほんの短い時間を楽しむ。

信じているから。
瞳を閉じて、お互いに繋がった手だけを頼りに。
ゆっくりとゆっくりと、二人で、これからもずっと。

2004.12.16 ゆう




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