メニュー
Wiki内のメニュー

共同企画

ファントム無頼サイト(一部女性向)


   …ジャンル替:Idd.(三国志大戦)

公式



上に行く程最近追加したリンク先様になります(現在増やし中)。
「様」を勝手に追加。不備があれば「編集」タブから入って作業をしていただけると助かります。

※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

<88title/no.73>栗

晩秋の日差しも傾きかけた時刻、アパートに戻った栗原を出迎えたのは
コタツの上にこんもりと盛られた栗と、その前で思案顔の神田だった。

「神さん、何それ」
「栗」
「んな事みれば分かるって。どうしたの?」
「貰った」
「誰に」
「大家のおばさん」

そういえば数日前、外れかけた雨戸を直す手伝いをしたのを思い出した。
そのお礼という事なのだろう。

「そいで、どうしてそんな顔をしているんですか?」
「う、うーん・・・どうやって食べようかなって」

深刻な顔とは裏腹の単純な答えに、栗原は小さく笑った。

「イガと皮を取って、あく抜きをして、それからでないと食べられないよ」
「ええ?そんなにめんどいの?」

肩を落とす。

「俺、小さい頃、生で食ってたぜ。裏山に野生の栗の木が生えててさあ」
「ゴリラなら生でも大丈夫でしょ」
「て、てめ」


待ちきれない神田に幾つかの栗を茹でて与え、残りは栗ご飯にしようと
流しで渋皮をむくのに悪戦苦闘していると、後ろから嘆息の声が上がった。

「栗、うめえーーーぇ」

スプーンと空になった栗の皮を投げ出す音がしたと思ったら
後ろからきつく抱きしめられた。

「神さん、痛いです」
「もっと栗くれ」
「駄目。栗ご飯の分がなくなっちゃうでしょ」
「じゃこっちの栗」

握っていたナイフをすっと取り上げられて、気が付いたら神田の膝の上に
抱きかかえられていた。しょうがないな、という顔の栗原に気づかない振りをして
頬を両手で挟んでキスをした。


「・・・栗ってさあ、何であんなにとげがあるんだろうね」
「食われたくないからじゃないの?」
「まー、苦労して食べるだけのことはあるんだけど」
「結局それかよ」
「・・・・この栗も、苦労しただけの事はあった」

分かりやすいなあ、この男。

「見た目はすっげえトゲトゲで、近寄りがたくて・・・。でも、中身は凄く、おいしい」
「どんな味だった?」
「んー・・・甘い」

神田の腕に力が入った。

「甘くて、ちょっと刺激的・・・かな?」
「お気に召しましたか」
「うん・・・だから、やっぱり俺以外には、トゲトゲで居てくれないと困る」

エプロンの紐が解かれて、床に落ちる軽い音。

「ごめん・・・こっちの栗、食べたくなった・・・駄目?」
「こっちはデザートだよ。食後にどうぞ」

鼻にキスをして、栗原はすばやく立ち上がった。
神田のお茶碗には、多めに栗を入れてやろうと思いながら。

2004.12.27 OnyX




| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
@wiki - 無料レンタルウィキサービス | プライバシーポリシー