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<88title/no.16>問わず語り

「いちいちうるさいんだよ!大体よお、お前は俺の何だっつーんだよ!」
きっかけは何だったのか、もう思い出せない。

ふとした相手の言い草に気が立って、言い返した台詞は
自分でも言うつもりの無かった言葉。

普段なら笑って許せるのに、その時だけは
許せなかったのは、お互い気持ちに余裕が無いからだろうか?

激しい感情の発露の後、神田は髪をくしゃくしゃと掻き毟って言った。


「栗よお、・・・俺が重荷になってるってんなら、もうほっといてくれよ」
「重荷だなんて言ってない。少しは自立して欲しいだけだ」
「自立しろだと?じゃあ、もう俺にはかまうなよ。元々一人で
やれてたんだからよ」
「・・・何も其処までしろって言ってるんじゃない。出来る範囲で良いからって・・」
「その見下すような言い方は止めろよ」

神田が読んでいた雑誌を放り投げた。

「フライトの事ならともかく、日常のことまであーだこーだ
言われたかねえよ。ガキじゃあるまいし」
「一緒に住んでいるんだから、出来るだけ快適になるように
した方が良いんじゃないかと思っただけだよ。見下したりなんかしてない」
「俺はお前みたいに完璧じゃないからな」
「俺は完璧じゃない」
「ほお、自覚が無いんですな」

神田が口元を皮肉にゆがめて言った。

「自分が普通だなんて思うなよ、コンピュータさん」

栗原が、何か痛みを堪えるように瞳を細めた。
ゆっくりと視線を逸らす。

「・・・分かったよ。悪かったな、神さん」

ため息混じりに呟いた。

「良かれと思っていたんだけど、余計な事だった。すまない」

栗原は立ち上がって、和室に入っていった。

ふてくされて寝ようとしたが、眠くならない。
目を閉じると先程の、サングラス越しの哀しそうな栗原の瞳を思い出す。


強い後悔と焦燥感に背中がちりちりとする。

「何であんなこと言っちまったんだろ・・・俺って馬鹿だな・・・んとに」


輾転反側の挙句、神田は起き上がって栗原の処へ行った。

気まずい思いのまま居る位なら、直接謝った方がいい、
常に思考よりも行動が先にたつ神田はそう考えた。

和室の、押入れの前に栗原がかがみこんでいる。

「く、栗ぃ」

そう声を掛けようとしたとき、栗原が言った。

「聞いてくれ、俺の同僚の神田は本当にだらしなくて、掃除はしないし
身の回りの事だって俺が付いてなきゃ何も出来ん」

まだ言うか、こいつ・・・・と些かむっとした神田が靴を脱いで部屋に上がってみると
栗原は神田が作りかけのプラモデルに向かって話し掛けているのだった。

「仕事だってそうだ・・・面倒な事は全部俺にやらせて、やるのは空を飛ぶことだけ。
それだって人の言う事なんか聞きやしない」

「おい、栗」

「でも・・・そういうピュアな所が好きなんだ。俺にはそんな純粋な心は無いから。
だから・・・悔しくて、つい、意地悪な事を言っちゃったりするんだ・・」

神田は動きを止めて、栗原の言葉に聞き入った。



「またいちいち馬鹿正直に反応してくれるから、神さんは」

首をかしげて笑う。

「言葉に素直に反応してくれる神さんが大好きなんだ。誰よりも。
人の言葉の裏とか、そんなことは考えないし・・・でも、
相手の嫌がることばかり言ってる俺も良くないやな。」

神田はつと栗原の体を後ろから抱きしめた。

プラモデルを持つ栗原の手に自分の手を重ね、声色を使った。

「栗さんは、本当はとっても優しくて繊細なのに、どうしていつも
神田さんをいじめるんですか」
「それはね、俺が神田さんを誰よりも愛しているからだよ」
「だったらもっと優しくしてくれても良いんじゃないですか?」
「・・・うーん、優しくしたいけど、もっとしっかりして欲しいな。
もっと頼れるご主人様で居てくれないと、奥様としてはツライ」

栗原が小さな声で笑った。

「でも、しっかりし過ぎると、俺の役割がなくなっちゃうから
そんなに頑張らなくても良い。今より、ちょっとだけでいい。」
「そんなら楽勝だよー。栗原さん、神さんはきっと反省してるから」
「はいはい。じゃあ神田さんに伝えてくださいな、
大好きな神田さん、ごめんなさい。俺も悪かった」
「ちょっと待っててねー、神田さんに言ってくるから」

神田はプラモデルを置いて、栗原の両肩に手を掛けて後ろを向かせた。
照れ臭そうに微笑む栗原の額にキスをして、それから神田は

「栗っ、ごめん!」

と畳に額が付くほど頭を下げた。

「神さん、俺も言い方が悪かったよ。許してくれ」

神田の腕を引っ張って身を起こさせて、栗原が言った。
二人は顔を見合わせ、そして吹き出した。

「あははは、俺達って馬鹿みたい」
「いーんだ栗、お前が馬鹿やってくれると俺は安心できるぞ」
「だんだん神さんに染まってきたような気がする・・」
「・・・もっと染めてやるよ」

栗原のシャツのボタンを緩めながら神田がそう言って笑った。
甘い口付けの合間に、栗原が呟いた。

「ちょっとだけ、俺にも染まってね」
「んあ?」
「せめて脱いだものくらいは片付けて・・」

もうそれ以上は言わせまい、と、神田がきつく栗原を掻き抱いた。

2005.02.04 OnyX




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