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「神さん、これ」

不意に茶封筒を差し出された。
唐突な栗原の行動に戸惑いの表情を浮かべる神田に
栗原は少し苛立った口調で言った。

「戸籍謄本。パスポートの申請用」
「あ、そかそか、こりゃすまん」

神田はその薄い封筒を受け取り懐に入れた。


数日後、代休を取ってパスポートの更新に行く事にしていた。
まだ数ヶ月の期限は残っていたが、こういうものは余裕を持って
処理すべきだというのが栗原の絶対的な主張で
神田はそれに対して何ら反論する術を持たない。

折角の代休を他の事に使いたかった神田はふてくされて見せるが
栗原にそのような子供っぽい行為は効果が無い。
逆に仕事を押し付けられてしまう始末である。

「書類は神さん作ってね」
「うげっ、俺がやるの?」
「こんなもん見本見ながら書けば良いじゃん。子供でも出来らぁ」
「うえーめんどくせえ」
「俺が後でチェックするからきっちり書け!間違い1個に付き
 1日お預けだ!」
「・・・マジっスか?お、俺死んじゃうよぅー」
「死にたくなきゃ気合入れて書け!」

キツイ表情で怒鳴った後、顔つきを緩めてそっと囁く。

「今晩、ハンバーグにするからさ・・・ね?」

途端に嬉しそうな顔になる神田にぷっと吹き出して
じゃあ後で、と栗原は廊下を去って行った。



「辰巳ィ、暇?」
「物凄い忙しいです!」
「嘘付くんじゃねえよ、お前今の今まで新聞読んでたじゃんか!」
「嫌ですよっ!またなんか面倒な事押し付けるんでしょ!」
「・・・何で分かる」
「神田2尉、自分の行動を少しは思い直してみてくださいよ」

それでも辰巳は先輩の言う事には逆らえないとばかり、新聞をとじて
神田の方に向き直った。

「で、何ですか?」
「手伝ってくれよ、パスポートの申請書書き」
「え?神田2尉が書くんですか?」
「だって栗が書けって言うんだもん」
「・・・・喧嘩したんすか?」
「るせえなっ!いいから書けよ!ホレこれが見本!」

封筒からバサバサと書類を取り出して机に広げた。
辰巳は大きく溜息をついてその一つを取り上げた。

「栗の分は俺が書くからよ、お前は俺のを書け」
「あのー、御自分のを書いた方が間違い少ないんじゃないですか?」
「栗に関わるものは一切他人には触れさせん」
「はいはい、全くお熱い夫婦で羨ましいことです」
「るせえな、黙って書け」

神田はそういってペンを掴んだ。


「えっと、本籍、本籍・・・・と・・・・!」

神田がそう言って封筒から栗原の謄本を取り出した。
だが、それを見た途端表情を変えた。

ややあって、書類と格闘している辰巳の手を押さえた。
辰巳は不思議そうに顔を上げる。

「辰巳、悪ぃ。やっぱ俺が書くわ」
「へ?いいっスよ、どうせ暇ですから」
「いや、ちょっと気が変わったからよ。悪いな!じゃあ
 これは貰ってくぜ」

神田は辰巳の前の書類をひったくるとファイルにしまいこみ、バタバタと
オフィスを出て行った。

「・・・何だ?」

後には困惑する辰巳だけが残された。


人気の無いロッカー室にやってきた神田は、辺りに誰も居ないのを確認すると
栗原の戸籍謄本を取り出してもう一度良く見た。

父親の欄は空白だった。


表現し難い哀しさとせつなさが沸き上がり、神田はその薄っぺらな書類を
ぎゅっと胸に押し付けた。
栗原の闇を少しでも払ってやりたいと願った。
たとえそれを栗原が拒否しようとも。




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