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I’d Start A Fire


 もぞもぞ、と栗原の背中の方で何かが動いている。最近は隣の布団で寝ている筈の相棒に、背を向けるようにして寝る癖がついている。
 (おーい、神田、どうでもいいが布団をまくったままにするな、寒いだろうが。)
 寝たフリをしたままだと、ずっとこのままにされそうだと考えて、栗原はそのまま神田がいるであろう方向へと寝返りをうった。
 「さっきから何がしたいんだ、お前は?」
 暗がりにぼんやりとだが、そう言われて神田はバツの悪そうな顔をしている。
 「いや・・・その。」
 「俺のフトンに入りたいのかそうじゃないのか、さっさと決めてくれ。俺は寒いんだ。」
 「え、いいの?」
 栗原の言葉に神田の顔が輝く。
 「人が寝ようとしてるのにゴソゴソされちゃ迷惑なんだよ。ただし、俺に指一本触れるんじゃないよ?」
 「栗~。」
 栗原の最後の方の言葉を聴いているのかいないのか、神田は嬉々としてそこに潜り込んできた。
 狭い布団の中でのこと、並んで寝ているとどうしてもお互いの肩が触れ合ってしまう。
 まぁ、これくらいは仕方がないか、と諦めて栗原は目を閉じた。だが、顔にかかる熱い息に、すぐにその目を開ける。神田の顔がそこにあった。
 嗜めるよりも早く、神田の唇が栗原の頬をとらえて、軽いキスをする。
 「神田?約束と違うぞ?」
 「違わない、俺は指は触れてない・・・。」
 言いながら、栗原の細い顎の線を唇でなぞっていく。
 「神田!」
 「これくらいさせろよ、でないといつか暴走しちまいそうだ。」




 その日の昼のこと・・・。
 「神田さんは、もっと栗原さんを大事にしてあげたほうがいいですよ。」
 朝のフライトをおえて帰ってきた神田に、能天気な後輩の声がかかる。
 フライト終了後の二人の行動は対極的だ。神田はいち早く飛行隊の建物の脇にある自動販売機で飲み物を買い、ブリーフィングルームの端っこの机で朝の読みかけの新聞をひろげる。栗原の方はと言えば、その隣の席で訓練内容の報告書にペンを走らせている所である。
 同じ飛行隊で二人の行動を見ていれば一目瞭然なのだが、訓練計画を上げるのも栗原、ブリーフィングの内容をメモしているのも栗原、チェックも栗原、プランチェックも栗原、すべてにおいてそんな調子なのだ。
 そんな煩雑さに追われて、昼休みになれば、元気が有り余ったまま筋トレに励む神田と対照的に栗原は1階のロッカー室の隅で寝ている姿がよく見られる。
 そんな栗原を気遣う同僚や後輩からは、時折神田には非難の声があがるのだが。
 「だってよー、栗がやったほうがいい事は栗がやった方が確実なんだからよ。」
 「そうそう、神さんにまかせておくとメチャクチャになっちまうからね。」
 と、二人はそんな調子で取り合わない。
 「さて、と。」
 報告書をはさんだバインダーを閉じた栗原は立ち上がって格納庫側の出口へと向かって歩き始める。それを見た神田が、
 「お、どこ行くんだ?栗。もうすぐメシの時間だぜ?」
 「ちょっくら整備格の方に行ってくるよ。計器の調子がイマイチだったんでね。神さん、メシは先に行っていいよ。」
 そのまま鉄扉をあけて出て行く栗原を見送って、神田も席を立つ。
 「さてと、じゃあ俺はちょっくら早メシにでも行ってくるかな。」
 そんな神田の態度に、
 「神田さ~ん!」
 「神田2尉!!」
 と周囲から半分諦めたような非難の声があがる。
 「るせぇ、いいんだよ。俺がいたほうがいいときゃ、栗も声をかけるさ。それにな・・・。」
 「はぁ、それに??」
 「俺は俺で、俺なりに栗のことは気ぃ使ってんの!」




 そんな事があって・・・。
 「暴走したら・・・どうなるんだ?」
 そう訊ねる栗原の言葉に二人の視線がぶつかった。
 「暴走したら・・・か。わからん。でも傷付けるんだろうな、お前のこと、きっと。」
 「傷付くかどうかなんて、わからんじゃないか。俺は・・・。」
 「その気もねぇクセに、煽るなバカ。」
 栗原のその視線を、受け止めかねて神田の方から目を逸らす。
 「辛いだろうに。」
 「同情で体投げ出してんじゃねぇよ。そんなモン俺は要らん。」
 そして、栗原に背中を向けてしまった。
 その背中へと栗原は言葉を投げつける。
 「人を傷つけないように振舞うことだけが優しさじゃないだろ?逃げてばっかりじゃ欲しいものは手に入らんぞ?俺が言う事じゃないかもしれんが。」
 「栗、やめろ。」
 「お前次第だろ・・・?」
 それだけ言って、栗原もまた神田に背を向けるように姿勢を変える。
 しばらくして、
 「どうなっても知らんぞ?」
 栗原の背中越しに神田の声が聞こえた。
 僅かにかすれたような上ずった声に、栗原は再び神田の方へと向き直った。 「いいさ。全部・・・受け止めてやるから・・・。」
 そのまま、抱きしめられる力の強さに栗原は体を任せた。
 重なった唇からは、熱い息が交じりあう。
 悲痛な叫びさえもその中へと閉じ込めるように。
 「あ…、神・・・田っ……。」
 しがみついて来る栗原の体を、神田はきつく掻き抱いた・・・。




 「あれ?どうしたんですか?神田さん。」
 「わー、めっずらしい。」
 そんな声が、ブリーフィングルームの隅の机に向かう神田に次々にかかる。
 次の日の朝、飛行隊の面々が目にしたのは、前日の整備点検報告と今日の訓練計画に必死で目を通している神田の姿だった。
 栗原のほうはと言えば、そこから少し離れたソファに寝そべってゴロゴロしている。
 いつもとは逆の光景に誰もが驚く。
 「神さん、終わったかー?早くしないと気象隊のブリがはじまっちまうよ。」
 「せ・・・せかすんじゃんねぇよ。くそ、頭にはいらん・・・。」
 「んじゃ、俺は先に行ってコーヒーでも飲んでるよ。しっかり頑張んな。」
 ケラケラっと笑いながら横を通り過ぎようとする栗原に、神田の恨みがましい声がかかる。
 「栗ぃ~~。」
 「神さんにばっかり、そうそういい思いばかりさせらんないかんね。」
 「いいって言ったクセに・・・。」
 ぼそっと言った神田のほうを栗原は振り返った。
 「今・・・何か、言ったか?」
 その視線に不穏なものを感じて、神田は背中を縮める。
 「いえ・・・何も。」
 そして、いつもと違う、神田にとっては長すぎる一日が始まったのだった・・・。




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