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LAT43°N


 ある日の事だ。
 飛行後のブリーフィングを終えてダラダラしていた神田は、なんとなくその部屋の様子がおかしい事に気がついた。
 視線を感じるのだ。
 だが、それを感じているのはどうやら神田だけではないらしく、相棒である栗原も時折それが気になるのか、同僚との会話の合間に視線を宙に漂わせている。
 だが、その視線が向けられるのは神田よりも栗原に対してのほうが圧倒的に多いようで、神田が栗原の動きを注意深く観察していると、その視線の主を簡単に発見することができた。
 知らない顔だ、と神田は思った。
 おそらく今期の操縦過程が終わって配属になったばかりの新人だろう。それが事あるごとに栗原の一挙手一投足を観察しているのだから気味が悪い。
 (栗のやろう、また新人からかって恨み持たれたんじゃねーだろうな。)
 と神田は一人そんな事を考えたが、更に視線の主を観察しているとどうやらそういう事ではないようだ。
 (あ、やべぇ。こいつ、栗に近づけちゃいけねー人間だ。)
 と、神田がそう思ったのは、その男の視線に熱いものを感じたからだった。
 栗原は西川や水沢と話に花が咲いていて、その男は話しかけたそうにしながらもなかなか近づけないらしかった。
 けれど、
 「あの、栗原2尉、いいですか?」
 と、話の合間を狙ってようやくその男が栗原に話しかけようとする。
 「ん?何だ?」
 と、栗原はその離しかけてきた男がさっきの視線の主だとは気づかないらしく、いつもの如く一見優しそうな表情と口調でその男に応じていた。
 「えっと、明日フライトないって伺ったんで、その・・・シミュレーターいいですか?」
 どうやら、シミュレーターでのフライトの教官を栗原に頼みたいらしい。
 「ああ、構わんけど?午前?午後?」
 「いや、自分まだ実機のOKが出ないんで、両方お願いします。」
 (バカだなー、あの新人。いくら栗が気になるからって自分から痛い目見なくていいのに・・・。)
 神田はそれで半ば安心していた。これまでに突然栗原に迫ろうとしたバカは何人か居たが、栗原を教官にしてフライトを終えた後の新人がそんな気を起こすことはまずなかったし、あり得ないからだ。そのくらい肉体も精神もボロボロにされるのが常だ。
 (いや、でもマゾって可能性もあるからな・・・。)
 と、一応気になるので事の成り行きを注意深く見守る。
 と、そこへ
 「なんだー、お前栗原さんを一日独占する気かぁ?勇気あるなぁ、新人。」
 と水沢がそう言うのに、畳み掛けるように、
 「そうそう、あんまり図にのるとこわ~い旦那様からヤキモチやかれるよ?」
 と西川が続く。
 と、その時だった。
 本当に一瞬の間だけその男が神田の方を見たのだ。しかも顔が真剣だった。だが、その一瞬が過ぎるとまた男は何事もなかったかのようにその3人の話の輪の中に加わっていた。
 (げっ、こいつ今睨んだぞ、俺の事。目ぇマジだよ、シャレになってねぇ・・・。)
 だが、神田がそこまで心配しているのにも関わらず、栗原はいたって呑気に会話を続けている。
 「西川ちゃ~ん、つまんない事言ってると、俺怒るよ?」
 「いや、ホラ栗原さん、一応釘さしといた方がいいですって。」
 (そうだ、西川。お前が正しい!)
 けれど、そんな神田の心の声をよそに、
 「いいぜ、わかった。じゃあ明日入る前に声かけてくれ。」
 と栗原はその新人にそんな返事をしていたのだった。
 「ありがとうございますっ。」
 と快い返事を貰った新人のほうも嬉しそうにそう言って頭を下げる。
 「いいさ、どうせ神田もいねーし、地上勤務でモーボにはりつけられんのも御免だもんな。」
 神田は明日から3日間の出張だ。その間別の誰かと組んでフライトをしてもいいのだが、組む相手がなかなか見つからず、栗原は待機要員にまわっていた。ただ地上勤務になっているパイロットが一番恐れるのが滑走路脇にはりつけにされることで、栗原のほうもそんな新人の申し出については渡りに船だったのだ。
 (栗ぃ~・・・、いらん心配させやがって・・・。)




 「あのなぁ。お前考えすぎなんだよ。そうそうお前みたいな変態が隊に居てたまるかってんだ。」
 家に帰ってからのこと、明日のフライトシミュレーターの教官をキャンセルしてくれと言ってきた神田に、その理由を聞いた栗原はいささかご機嫌斜めだった。
 「なっ、変態たぁ何だ、変態たぁ。俺はいたってノーマルだ。」
 「ふぅん。ノーマルな人間が夜な夜な俺の布団に入って来ようとするんだ?世の中変わったもんだねぇ。」
 「ぐっ・・・、それとこれとは話が別だろう。とにかく、あの小僧は危険だ。絶対に何すっかわかんねぇぞ?」
 昼間睨んできたその表情を思い出して神田は再び栗原に釘を射す。
 「神さん、考えすぎだよ。」
 「俺は、お前を心配してだな。」
 「余計なお世話だよ。じゃあ、神さんこそ出張やめればいいじゃん?どうせ司令乗っけて千歳いくだけなんだから。誰かに代わってもらえば?」
 神田が千歳に行きたがっていたことを栗原は知っている。
 出張予定で白羽の矢が立ったときに、やれススキ野だ、やれ蟹だ、やれジンギスカンだとうれしそうに大騒ぎしていたのを見ているからだ。そのせいで自分が地上勤務になるのが気に入らない栗原だったが、土産にマルセイバターサンドを買ってきてやると言われたのでしぶしぶ承諾したのだった。
 だから、普段はシミュレーターの後席に乗るなんて任務を受け持つ筈もない栗原が神田の前でその新人の申し出を快く受けたのは半分はあてつけでもある。
 「栗だって承諾したろうが。今更変更できるか、もう明日なんだぞ?それより、明日のシミュレーターを代わって貰えっ。」
 「えー、せっかくのご指名を無下に断れって?」
 「ご指名もクソもあるか。シミュレーターくらいわざわざお前が後ろ乗る必要なんかないだろーが。今までシミュレーターはさんざん断っといて、あの小僧だけ特別かよっ?」
 反撃が反撃を生んで、久しぶりの大喧嘩になっていた。
 声を荒げながら、神田自身にもそれが栗原を心配してのことなのか、単なるヤキモチなのか、栗原の発言に腹を立てたためかがわからない。
 だから、栗原に
 「神さん・・・、そんなに心配?ヤキモチ?それとも俺の事信用してないの?」
 と訊ねられて言葉に詰まった。
 「ん?どうなのよ?」
 何も言えず考え込んでいる神田を、栗原はそう言って下から覗き込む。
 これ以上言い争っていても明日の朝まで引きずって、わだかまりが残るだけだ。
 それをわかっているから、ある程度言い争ってストレスを解消した後はどちらか気が済んだ方が折れることにしている。
 今回折れたのは栗原のほうで、自分の行動が神田へのあてつけ半分だったのと、それに神田の反応が自分の思っていた以上だったことで、そろそろいいかな、と思ったからだ。
 「んーーー。栗の事は信じてるし、ヤキモチは俺の勝手だけど、すっげぇ心配なのも本当・・・。」
 考えに考えた末のそんな素直な回答に、栗原はくすっと笑う。
 「心配すんなって。今まで俺がそうやすやすとあの手のガキ共に何かされた事あったか?」
 「・・・ない。」
 身の程知らずにも栗原に迫ったバカな連中は、上空1万フィートのコックピットの中で味わうよりももっと恐ろしい思いをさせられた挙句、追っ払われている。
 神田もそれを目の当たりにして知っているから、なぜ自分ひとりがこれ程の恩恵を受けていられるのかと不思議に思うくらいだ。
 だから本当は心配しなくてもいいのかもしれない、けれど万が一ということもある。
 「じゃあ、心配すんなって。」
 言いながら、あやすように栗原から軽いキスをした。
 けれど、それは本当に軽く触れただけですぐに離れていく。
 「んー、栗、もう一回。」
 満足できずに神田がそう催促すると、
 「だめだめ。明日早いだろ?早く寝ろよ。」
 と軽くあしらわれたので、今度は神田のほうから栗原の唇を求めるた。
 それは触れるだけでは飽き足らずに深く重なって、熱を帯びる。そんな誘いかけるような口づけをした後で、
 「3日間、会えなくなるんだぞ?」
 と神田は言ったが、
 「だからー、それは神さんの勝手でしょーが。」
 と栗原は応じない。
 「冷たい事いうなよ。バターサンド買って来てやるっつただろうがよ。」
 「えー、じゃあロイズの生チョコと蟹も食いたーい。」
 神田が自分に望んでいる事を理解しながら、栗原はそんな言葉で翻弄してみる。
 「お前・・・こんな時に色気ない事言うなよ・・・。」
 「だんだん、神さんに似てきたんだよ、俺も。で?どーすんの?」
 「わかった・・・、全部土産に買ってやる・・・。」
 「よろしい。」
 そう言って、ようやく自分の方に擦り寄ってきた栗原を抱きながら、神田はつぶやくのだった。
 「お前がこんなヤツだって知ったら、誰も寄って来ないんだろうな・・・。」
 と。
 「そうそう、神さんも物好きだよね、ホント。」
 「るっせ、自分で言うなや。」
 言いながら、お互い苦笑する。
 目を見合わせたら、どちらからともなく「ぷっ」と噴出してしまったから、それっきりムードが壊れてしまって、
 「やっぱ、もう寝ちまおうぜ。」
 くすくす笑いながら栗原が言うと、
 「しゃーねぇなぁ・・・。」
 と神田も諦めて、栗原の体を手放した。
 「でも、帰ったら続きするからな。」
 と、宣言しておくことは忘れなかったのだが・・・。




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