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DISTANCE~百里2~


 「なぁ、俺と賭けしねぇか?」
 「賭け?」
 閉店間際の居酒屋の中、カウンター席の片隅に陣取った伊達と栗原の二人はそんな会話を交わしている。
 めずらしく神田がそこに居ないのは、神田が単独で千歳基地に出張中だからだ。
 偶然にもその店で出くわした二人は、なんだかんだで共に飲み始めて、思い出話に花を咲かせていた。
 「そ、その外線直通さ。掛けてみて神田がそこに居ればお前の勝ち、居なかったら俺の勝ち。どうだ?」
 時刻は11時30分、そろそろ千歳基地のゲートクローズの時間だ。たとえ神田がそこから飲みに出ていたとしても、何事もなければ外来の幹部隊舎に戻っている筈である。
 どこか居心地の良い場所で、一夜を過ごしていたりしなければ、の話だ。
 伊達の読みでは、神田は繰り出したすすき野で、かなりイイ思いをしている筈だ。
 「それは・・・、俺にとってかなり分が悪くないか?」
 と、栗原は余り乗り気ではない。
 「悪くねぇよ。今の時機のクソ寒い北海道で朝まで帰らねぇバカはそうそう居ない筈だろ?」
 だが、その問いに、
 「・・・あいつはバカなんだが・・・。」
 淡々と栗原がそう答えたので、伊達は思わず噴出した。
 「くくくっ、相変わらず、ひでぇ女房だぜ、お前。で、どうよ?やる?やんない?」
 「何を賭けるんだ?」
 「俺が勝ったら、お前んトコに泊まらせて貰う。お前が勝ったら、俺はタクシーで帰る。どうだ?」
 終電の時間はとっくに過ぎている。伊達は最初から泊り込むつもりで居た筈だ。だとしたら、分の悪い賭けでも乗ってみるだけ、乗ってみるのがいいのかもしれない。
 済し崩しにそうされるよりも、よっぽど性質がいい、と、栗原は二つ返事でオーケーした。
 「いいだろう。」
 「コールは10回だ。その間に出ればお前の勝ち。出なければ俺の勝ち。いいか?」
 「あぁ。」




 プルルルルルルル♪
 コールが鳴る。
 8回目・・・9回目・・・。
 そして10回目・・・。
 誰も出ないまま、その電話は伊達が公衆電話の受話器をガチャリと置くのに合わせて切れる。
 「と、言うわけだ。」
 「エラそうに言うなよ。ハナっから賭けになんてなりゃしないの、わかってたクセに。」
 ふふん、とご満悦の伊達に対して、栗原の態度は冷たい。
 だが、伊達も負けては居なくて、それに言い返す。
 「ハナっから、ってそんな事わかるかよ。お前がちゃんと旦那の手綱握ってねぇのが悪いんだろ?」
 「神田がどこで何をしようと、俺には関係ないって言ってるだろうが。」
 「ほーぅ、そうかい?って事は、お前がどこで何してようと神田も気にしないって事だよな?」
 「逆の命題が成り立つかの根拠が非論理的だ。神田がどう考えるかまで、俺は知らん。」
 「とりあえず、賭けは俺の勝ちだ。一晩世話になるぜ。」




 そして、深夜近くになって二人は部屋に帰りついた。
 「寒いな・・・、風呂沸かしなおすか。」
 帰って来て、すぐに入れるように、とあらかじめ熱めに風呂をわかしておいた。もとより居酒屋に長居するつもりはなかったのだ。適温になる筈がすっかり冷めていることだろう。
 「伊達、風呂どうする?寝るんなら、奥に布団敷いてあるから、好きにしてくれていいけど。」
 熱湯を継ぎ足して適温にしてから、栗原は戻ってきて伊達にそう訊ねる。
 「先入って来いよ。」
 そう答えて、伊達はコートを脱いで畳の上に腰を降ろした。
 「飲み足りないなら、冷蔵庫にビールがあるよ。」
 と、そう言って栗原は風呂場へと消えた。
 伊達がそうやって一人残された後、
 ジリリリリリリ
 と玄関脇の電話が鳴り響いた。
 一瞬、それに出ることを躊躇した伊達だったが、この時間にかかってくるのは呼集の呼び出しか神田からだろう、と考えて栗原に知らせずにその受話器をとった。
 「もしもし?」
 『・・・・・・?』
 伊達の声に相手は答えない。だが、すぐに気づいたのか、
 『伊達か?』
 とそう訊ねてくるから、伊達にもその声の相手が誰かすぐにわかった。
 「神田か?どうした?こんな夜遅く。」
 『夜遅くじゃねぇ、なんでお前がそこに居るんだっ。』
 「子供は寝る時間だぜ。なんで俺が居るかって?まぁ、オトナの時間を楽しんでいたら終電を逃したんで、泊めて貰おうかってところでね。」
 と、どうとでも受け取れる曖昧な言い方で伊達はそう答えた。
 けれど、そんな伊達の言葉に、
 『なっ、お前、俺の栗原に何しやがった。』
 と、神田その意味をそのまま受け取ってストレートな反応を示してきたのが面白くて、
 「栗原がお前のモノだって誰が決めたんだよ?いい気になってんじゃねーぜ、ボーヤ。」
 とそう答えると、
 『・・・お前、何が言いたい・・・。』
 と受話器越しにも神田の怒りが伝わってくる。
 そこで、180度態度を変えてフォローのひとつもすれば良かったのだろうが、酒のイキオイもあって、
 「心でも体でもいいけどさ、いつまで繋ぎとめとく自信があるってんだ?別にアイツにとってお前が初めてのオトコってわけでもないんだしさ。ん?そうだ。気づかなかったのか。どこまでもおめでたい奴だな、お前も。」
 と、電話口でどこまでも煽り続けてしまう。最後は、無言のまま神田が受話器を置いてしまうまで・・・。
 ツーツーツーと不通話音が鳴ったままの受話器を手にしたまま伊達は、
 「ヤベェ、ちょっとやり過ぎた。」
 としばし後悔したのだが・・・、
 「ま、嘘から出たマコトってぇ事もあるしな。」
 とそう一人つぶやいて受話器を置いた。
 そのまま部屋に戻ると、ちょうど風呂上りの栗原が出てきたところで、
 「丁度いい湯加減だよ。入ってきたら?タオルは用意してあるから。」
 とさっきの電話のベルに気づきもしなかったようにそう言うので、伊達も少し気を取り直して、
 「じゃあ、入らせて貰うかな。」
 そう言って風呂場に向かう。栗原とすれ違う瞬間に、風呂上り特有の甘い芳香が伊達の鼻腔を擽って、何とも言えない気分にさせた。




 伊達が風呂から上がってくると、もうそこには栗原の姿はなくて。
 その姿を探すと、奥の部屋の布団の中だった。
 けれでも、眠っているわけではなくて、その部屋の電気は点けられたままで、栗原は布団の中に寝そべって本を読んでいる。
 その様子に伊達は一瞬違和感を感じたのだが、すぐにその理由に気がついた。
 布団が一組しか敷かれていなかったからだ。
 寝そべった栗原の傍らに腰を下ろして、伊達は軽く栗原の額を小突いた。
 「こら、お前は俺にどこで寝ろっていうんだ。」
 まさか玄関で寝ろってわけでもないだろう、と思った伊達だったが、栗原の答えはそんな想像をはるかに超えていて。
 「え?横で寝るんじゃないのか?どうせ隣に入ってくるだろうからって思って布団敷かなかったんだけどな。」
 そんな答に、伊達は頭を抱える。
 「お前な・・・・千歳に居る時とじゃ、状況が違うだろうがよ。」
 だが、
 「じゃあ、客用布団だそうか?」
 と栗原がそう言うと、
 「いや、せっかくだから、隣で寝させて貰うかな。」
 とそう言って、伊達は電気を消して栗原の傍らに滑り込んだ。
 眠ろうとして、伊達はさっきの神田との電話での会話を思い出した。それを栗原に言うべきか言わないでおくべきか、迷った末、
 「なぁ、栗原、神田のことだが・・・。」
 と切り出した。
 「神田が、どうかしたのか・・・?」
 話しかけられて、栗原は伊達の方へと向き直った。その仕草と、見上げるような視線が妙に艶っぽい気がして伊達はドキっとさせられる。
 昔の・・・、千歳時代の栗原には感じなかった感覚だ。
 仕草に中てられて、伊達は言いかけていた話題を変える。
 「いや、お前がここまで無防備だとさぞかしハラハラさせられ通しなんだろうな。」
 「・・・無防備か?俺。だって、どうせ伊達は何もしないじゃん。」
 そう言って栗原はくくくっと笑う。
 何もしないんだろう?と確かめるように見上げてくる瞳が、逆に誘い掛けて来ているように感じて、
 「昔はな。」
 と、視線を逸らして伊達は言った。
 だが、栗原の視線は更に追うように伊達に絡み付いてくる。
 「昔は?」
 「・・・千歳に居た頃のネンネのボウヤに手ぇ出したって面白くもなんともねぇってこったよ。」
 ふと、思いついて、そう言いながら伊達は栗原の体を引き寄せた。
 「・・・伊達・・・?」
 不意にそうされて、抗う間もなく栗原は伊達に抱きすくめられる。
 「今のお前なら、十分に俺の守備範囲内だ。見てるだけでゾクゾクさせられる。」
 耳元に口を近づけて、低い声でそう囁いて、けれども、栗原の体が強張っているのに気づいて、伊達はその腕を緩めた。
 「安心しろ。これ以上は何もしねぇよ。お前の嫌がる事はしねぇ。」
 そう言って、抱きしめる腕を解いて、寝かしつけるように栗原の変わらない柔らかい髪をそっと撫でる。
 「・・・嫌じゃないかも。でも、その気にはなれそうにないけどね。」
 栗原の答えはどっちつかずで曖昧だ。どうとでもとれるような。
 「そんな所が無防備だってんだよ、お前。」
 伊達がそう言うと、
 「・・・うるさい。もう寝るよ、おやすみ。」
 とそれだけ言って、栗原は瞳を閉じた。
 本当に寝る態勢だったらしく、すぐにスヤスヤとした寝息が聞こえてくる。
 その寝顔をずっと見ていたくて、けれどいつしか伊達も栗原の傍らで眠りに落ちていた。




 そして次の日。
 「ゆっくり寝てていいのに。鍵なら大家に預けておいて貰えれば・・・。」
 出勤しなければならない栗原は朝のいつもの時間に目を覚ました。
 伊達は非番だ。一日寝て居ても問題はない。
 けれど伊達は栗原と一緒に起き出して、そして一緒に家を出るという。
 「いや、ちょっと用事があってさ。」
 「じゃあ、駅まで送っていくよ。」
 と栗原は行って、伊達を乗せて常磐線の駅に向かった。
 それからしばらくして・・・。
 栗原は昨日と同じく、後輩のサポートについて午前中の訓練を確実にこなしていっているところだった。
 そして、伊達の方は。
 その頃伊達は・・・、一人羽田空港に来ていた。




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