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One Night Stand


 栗原の予想外の行動に一瞬呆然となった神田と伊達だったが、ふと我にかえって階段を駆け下り、栗原を追いかける。
 「ちょっと待てってば。」
 神田より一足先に栗原に追いついた伊達が、その肩を掴んで栗原を立ち止まらせた。
 「何?それよりも、そもそもなんで伊達がここに居るのさ?」
 人通りの多い地下通路で、大声を出すわけにもいかずに、栗原はしぶしぶ二人の方を振り向いた。そこへ神田が追いついて二人して栗原を取り囲んだ。
 「そ・・・それはだな・・・。」
 状況を説明するには昨夜の電話の話からしないと説明がつかない。それを話してしまえば、神田からも栗原からも責められるのは目に見えている。
 「電話したら神田がヒマそうだったから遊んでやろうかと・・・。」
 「嘘つけ。そんな事でわざわざ千歳まで来るのか?本当のこと言えよ。」
 「本当だって。それよりお前こそ何でこんな所に現れるんだよ。」
 「俺は仕事で来たの。いちいちうるさいよ、別に俺がどこに居ようが伊達には関係ないだろっ?」
 傍から見ていればほとんど痴話喧嘩のようで、それを見ている神田はもちろん面白いわけがない。
 「あのさぁ・・・、寒いからどっか入らねぇか?サテンでもいいからさぁ・・・。」
 なんとかその口論の隙を見て、そう話しかけるが、
 「神さんは黙っててっ。」
 「神田は黙ってろ。」
 と二人から同時に攻撃を受けてしまう。
 その瞬間にわかり易すぎるくらいに落ち込んだ表情を見せる神田に、
 「あ、ごめん、神さんっ。」
 と、栗原は仕方なくフォローを入れるのだが、そこを逆に伊達からつけこまれる。
 「ほれほれ、神田もそう言ってるんだしとりあえずどっか店入ろうぜ。3人で飲むのも久しぶりだしよ。」
 けれど、そこは頑なに拒む栗原だった。
 「明日の朝イチの定期便で帰るから、お前らとは付き合えないの。悪いね。」
 朝イチという牽制にでる栗原に、伊達も容赦なく、
 「へぇ、そのクセ、ダンナにはわざわざ札幌までコートを届けに来たりするわけだ。お熱いこって。幸せだなぁ、お前はよぅ。」
 と、牽制の応酬と、ついでに言いながら神田の頭をバシっと叩いた。
 「いてっ。」
 叩かれた神田は伊達を睨むが、伊達はそんなのお構いなしという調子で続ける。
 「まぁ、かわいい栗ちゃんの良妻っぷりに免じて、官用機に乗らなくても明日百里まで帰れる手段を俺が考えてやっからよ。一緒に飲もうぜ。」
 「はぁ、どういう事よ?」
 「定期便ったって三沢、松島と寄り道して降りるの入間だろ?そっからの陸路考えたら朝イチ乗っても百里には昼過ぎだ。それなら俺が千歳から直でセスナ飛ばしてやろうって事だよ。」
 そんな伊達の言葉に、
 「おー、いいぜ、すげぇ。さすが紅空。いい男は違うねぇ。おーし、じゃあ栗と一緒に飲み歩くぞー。」
 と、伊達付きとは言え、栗原と飲みに行けるという急展開に神田はすっかりごきげんが戻っていたのだが、栗原はますます不機嫌になっていた。
 「・・・俺は別にお前らと飲みたいわけじゃないし、伊達の飛行機なんて乗りたくもない。このまま帰っていいか?」
 と、逃げようとする栗原を今度は神田がその腕を掴んで止める。
 「栗ぃ~、いいじゃん、一緒に飲もうぜぇ~。せっかく会えたんだし。」
 神田が抑えたと逆の腕を伊達が掴んだ。
 「まぁ、ほら、ダンナもああ言ってることだし、一軒くらい付き合えよ。終電までまだ間があるだろ。別に定期便で帰ったっていいからよ。」
 と、二人してほとんど連れ去るようにして栗原を階段のほうへと引きずっていく。二人の強引な態度に栗原も不承不承それを受け入れた。
 「一軒だけな。絶対に終電で帰るからな。」




 そして・・・、
 「あー、もう。本当に終電になっちまっただろうがっ。」
 寒風うずまく基地の最寄り駅のホームについて栗原はそう愚痴をこぼした。
 そこには神田と伊達も一緒に居た。
 朝まで二人で飲んでろよ、という栗原の言葉を振り切り、もちろん最初はそのつもりだったものの、帰ると言い張る栗原にふたりは付いてきたのだった。
 「ゲートまで歩くか・・・、でも伊達が一緒だから結構厄介というか面倒くさいというか。どうやって入ろう。」
 消灯時間も過ぎて完全に閉鎖状態になったゲートには、脇の通用門から所属と階級氏名を告げて開けて貰う仕組みになっている。
 「っていうか、お前市内でホテルでもとりゃあいいのによ。中で泊まろうとすんなよ。変なとこでセコイんだから。」
 「へへへ、まぁいいじゃんかよ。どうせ神田の部屋、ベッド一個余ってるみてぇだし。」
 「残念だね、そこは俺が宿泊することになったの。」
 と、そうは言ってみたものの、今更泊まれそうなホテルのある市内まで戻る手段も残されていない伊達としては、この千歳基地のゲートなり柵なりを突破するしか道は残されていない。
 神田はと言えば、そんな二人のやりとりにも興味を示さないくらいに、酔ってホンワカといい気分になっている。
 「しょうがない・・・、あそこを通るか。」
 「あぁ・・・まだ開いてっかな、あそこ。」
 「え?何何?」
 一人状況を理解していない神田だったが、栗原に、
 「神さん、いいか?今から外来に帰るんだけど・・・、どこを通っても驚いて声出したりしないでくれるか?」
 と、そう注意を受けて、
 「え?へ?あ、わかった。」 とそれを受け入れた。
 それから、栗原は神田に今から一言もしゃべるんじゃないよ、と念を押した上で、伊達と顔を見合わせると、ゲートとは逆の方向に歩き始めた。
 そこは基地にフェンス沿いの道で、道と言っても自転車がやっと通れるかという幅で、ところどころ草や砂利で道は寸断されている。街灯もなくて、どんどん暗闇になっていくが、フェンスの内側の防犯用のわずかな明かりで、なんとか道を肉眼で捉えながら進んでいくことができる。
 ある場所まで来ると、栗原は神田の腕をとって、そして下にぐっと引っ張ってしゃがむように指示した。そして神田の肩をつついてから下を指差して、そこに降りろというジェスチャーをする。覗き込んだところは排水溝で、1メートルくらい掘り下げられていて、水の流れている片側に20cmくらいの幅で歩けそうな場所がある。
 神田に続いて、栗原と伊達が飛び降りて、そこを身をかがめながら進むと、その少し先がトンネルのようになっていて、先は真っ暗だった。
 思わず躊躇して立ち止まった神田を栗原と伊達が促して先に歩かせた。
 壁伝いに行けば水にはまる心配もない。
 長く続くかに思われたが、そこは実際に10メートルほどだったらしく、すぐにまた足元が見える程度の明るさの場所に出てくる。
 そこから先は両壁がむき出しの土手になっていて、すこし傾斜の緩やかになっているところで、栗原は神田を立ち止まらせた。
 ちょっと待ってろというジェスチャーをした後、注意深くその上側を覗いて、それから俊敏な動作でその上に身を乗り上げた。それから続いて来いという仕草をして、神田、伊達とそれに続く。
 3人が着いたその場所は幹部用の外来隊舎にもなっているBOQの裏手だった。
 隊舎の中でも無法地帯に近いBOQには滅多に見回りもこない。BOQの裏側を通るこのルートは千歳基地の中では外出禁止をくらった営内者がこっそり出て行く時や、外の女の子をBOQに連れ込む時ようの専用ルートになっている。
 もちろん暗黙の了解で上層部には知られてはいない。
 そこからこっそりとBOQの裏口を開けると、3人は誰にも出くわすことなく神田と栗原が外来に割り当てられた部屋にたどりつく事ができた。
 「ふぅ、やれやれだ。」
 扉を閉めて、3人はようやく一息ついた。
 「伊達の場合、変に顔が知られてる分始末が悪いよね。」
 と、一息ついたのも束の間・・・。




 「で?」
 「で、って?」
 「いや、3人寝るのにベッドは2つだろ?配置を考えないといけないんじゃないか?」
 と伊達が新たな問題を持ち出してきた。しかしそれには栗原は全然取り合わない様子で、
 「誰かが床で寝れば?」
 と伊達の方を見ながらしれっと言う。
 「体の芯から冷え切って死ぬぞ、それ。」
 「毛布なら余ってるんだし、それに24時間全館暖房だ、平気だろ。」
 「そういうなら、栗原、お前床で寝てみろよ。」
 「・・・というより、そもそもここに居ちゃいけない人間が居るんじゃねぇのか?」
 不意に神田と栗原の視線が自分の方向を向いている気がして、
 「俺かよ。」
 とそれを認めそうになる伊達だったが、
 「聞くまでもないだろ。」
 と栗原から冷たく言われて、
 「・・・カタい事いうなよ、どっちかのベッドに二人寝ればすむだけの話だろ?」
 とそう食い下がる。
 それからしばらく、誰がベッドで寝るかかの談義が続いて。
 「もういい加減にしようよ。俺眠い・・・。」
 その栗原の一言に、神田は意を決して、
 「わかった。じゃあ俺は栗と一緒に寝るから、伊達はあっちのベッドを使え。」
 と伊達に向かってそう言い放つ。
 「・・・微妙においしいトコとろうとするな、お前。」
 と伊達はそう言い返したが、
 それ以上に異論を唱えるのは栗原で、
 「俺はヤだね。そもそも居候の伊達の為にベッドが一つあるっていうのが気に入らない。それになんで千歳に来てまで狭くて寝苦しい思いしなくちゃならないんだ。」
 と神田にそう言い返す。
 そして、本音そのままの栗原の言葉に、
 「栗ひでぇ・・・。」
 と神田はなさけなくそう呟いたが、今度は伊達がそれを逆手にとって、
 「ほほぅ、って事は俺にお前らのうちどっちかを選べってワケか?」
 とそう食い下がってきたので、神田は慌てた。
 「ちょっと待てっ、栗と寝る事は俺が許さんっ!!」
 けれど、その神田の言葉を今度は栗原が逆手にとって、
 「・・・じゃあ神さん、伊達をよろしく。あ、騒ぐんなら出てってよ。俺は寝たいんだから。」
 と、もうそれ以上異論は唱えさせないとばかりににっこりと微笑みながらそう宣言した。
 そこでもう話はついたとばかりに栗原は自分がさっき用意したばかりのベッドで寝る準備を始める。
 後には。
 「・・・栗ぃ・・・。」
 「・・・栗原ぁ。」
 と、言い負かされた二人の言葉が虚しく響くのだった・・・。




 それから神田と伊達の方のベッドではしばらくすったもんだがあったものの、ようやく電気も消えて、しばらくは静寂の時が流れていたのだったが・・・。
 「いっ・・・てぇ・・・・。」
 急にドシンと激しい音が聞こえたかと思ったら、そんな伊達の声が暗闇を伝って部屋に響いた。
 栗原は衝立の向こうで半ばウトウトとしかけていたが、その音にまた意識を覚醒させられる。そして、
 「しっ。」
 と、耳元でそう言われて、その方向に寝返りを打つと、そこには伊達の顔があった。
 「なんだよ、伊達、どうしたの?」
 小声でそう囁くと、
 「お前のダンナに追い出されたんだよ、ベッドから。」
 と困ったように伊達がそう小声で言ってくるので、栗原はおかしそうにクスクスと笑いながら、
 「あぁ、神さん寝相悪いもんね、基本的に。しょうがないよ。」
 と伊達に言った。
 「笑ってんじゃねぇよ、さすがにこのままじゃ寒い、入れてくれ。」
 ベッドの端にとりつくようにしてそういう伊達だったが、栗原は、
 「・・・毛布かそうか?」
 と意地悪を言ってみたくなる。
 「意地悪い事いうなよ。寒いんだよ、死ぬかもしれねぇ、俺。」
 と、伊達は悪びれずに少し大げさに震えながらそう返すので、
 「まぁ、しょうがないね。じゃあ、どうぞ。」
 と、布団の片端を上げて伊達を招きいれた。
 「いやー、良かった。あったけぇ。」
 そこにもぐりこんだ伊達は、心底安心した様子だったが、
 「こんな所、神さんに見つかったらタダじゃすまないかもよ?」
 と、栗原も牽制しておくのを忘れない。
 「追い出す奴が悪いんだろ・・・。」
 そこで二人しばらく会話を止めてみると、衝立の向こうからは気持ち良さそうな神田の高イビキが聞こえてきて、滅多な事では起きそうにもないことがわかった。
 朝になって神田が目を覚ます前に起きれば済むことだ、とそう考えて栗原は伊達の傍らで目を閉じた。
 ・・・そのまま平和な眠りが訪れるかに見えたが・・・。
 「ねぇ、伊達。どうでもいいけど、触らないでくれる?」
 「いやー、ついクセでね。」
 「次触ったら叩き出すからね?」
 「へぇへぇ。」
 と、睡魔が訪れるまでのしばらくの間、ベッドの中での攻防は続いていたのだった。




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