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DRASTIC BETTER HALF


 「暑いなぁ。」
 「暑いですねー。」
 夏の盛りも近づいたある日の事、飛行隊のロッカー室では訓練を終えて、シャワーを使い終えたパイロット達が口々にそんな会話を交わしている。
 皆一様にダラダラとした格好をしている。シャワーの後でも当然課業中なのだから、本来なら制服に着替えるか、洗い換えの飛行服を着ているべきなのだが、誰も空調設備のないロッカー室の中、そんな格好をしているものは居ない。
 Tシャツ姿だったり、果ては上半身裸のままで下は短パン姿といった格好の隊員までいる始末だ。
 そこへ、
 「よ、西川、水沢、お疲れ。ちくしょう、暑いなー。」
 とシャワー室から出てきた神田がそう声をかける。
 普段どちらかと言うとキッチリしている方の西川、水沢コンビだったが、さすがに暑さに耐え切れないのか、飛行服の上半分を脱いで腰でしばった状態で、Tシャツ姿だ。
 そこへ現れた神田はあろうことかトランクス一枚の姿で、そして首からはバスタオルを引っ掛けている。
 「神田2尉、さすがにその格好はまずくないですか?」
 「そうですよ、隊長にでも見られたらどうするんですか。最近じゃ規律規律ってうるさいのに。」
 「いや、水沢。神田2尉の場合、隊長よりももっと怖い人がいるだろうよ。」
 「るせぇ、二人ともゴチャゴチャ言うな。暑いものは暑いんだよ。」
 神田はそう言いながらバスタオルでゴシゴシと頭を拭きはじめる。
 二人の忠告など全然気に留めている様子でもない。
 その時、
 ばふっと音がして、そんな神田の胸元にオレンジ色の物体が投げつけられた。
 神田の胸にあたって下に落ちかけたそれを神田が慌てて受け止めると、それはきれいに畳まれた飛行服で、それが投げられた方向を見ると栗原が立っている。
 「こら、神田。いつまでもそんな格好でウロウロしてるんじゃねぇ。とっととそれに着換えろ!」
 栗原はと言えば、もう既にきっちりと制服に着換えていて、寸分の隙もない様子でスッキリとそこに立っていた。
 ついさっき、神田同様キツイ訓練で汗まみれの飛行服姿でシャワー室に入ったのが嘘のうようだ。
 「どったの、栗。制服なんか来て。」
 「ん、司令に呼ばれてるからさ。じゃあ行って来る。」
 と、あくまでも涼しげに栗原がそこから退場すると、神田は自分のロッカーをあけてさっき栗原から投げられた飛行服をそこに放り込んだ。
 そして手近にあったパイプ椅子にどかっと腰を下ろす。
 「あぁーあ、そんな事して。また怒られてもしりませんよ。」
 「俺ぁ、汗っかきなんだよ。汗引くまで服なんか着たくねぇや。そういうお前らこそ、ちゃんと上までキッチリ飛行服着てみろよ。」
 「ヤですよ。俺だって暑いですし。それに家でカミさんにグチグチ言われんのに、ここでまでそんなミリミリしたくないっすよ。」
 と、西川。それに水沢も声を合わせる。
 「そうですよ。うちも奥さん怖いですから。風呂上りにパンツ一枚なんて夢のまた夢なんですから。見苦しいだの、暑苦しいだの何だのって。」
 「・・・・・・いいなぁ、お前ら。ガミガミ言われるのは家でだけなんだろ?」
 神田はそんな西川と水沢を見比べて、深いため息をついた。
 「神田2尉、家じゃそんな格好してないですよね?」
 「・・・普通に怒られそうですよね、間違いなく。」
 「うるせぇ、お前ら。俺がどれくらい尻に敷かれっぱなしかわかってて、んな事聞くな!」
 と、そんなやり取りがあって、その最後に水沢がぼそっと言った、
 「はぁ、情けない・・・。」
 と自分の事を棚にあげた一言によって、神田は一念発起したのだった。
 「よぅし、今日は絶対折れねぇ。家の中パンツ一枚を押し通すぞ、俺は。」




 そしてその日の夜の事。
 神田と栗原の二人はいつもと同じく一緒にアパートまで帰りついた。
 そして栗原が風呂をわかして食事の支度をしている間に、神田がお膳のある部屋の片付けだとか、奥の部屋に布団を敷いたりだとか、細々とした役割分担をしていて、それもいつもと同じ光景だった。
 「神さん、風呂沸いたよ。先入っていいよ。」
 と風呂の様子を見てきた栗原が台所からそう声を掛けると、
 「んー、わかった。」
 と畳みの上に座り込んで手持ち無沙汰に夕刊をめくっていた神田は、それを置いて立ち上がった。
 しばらくして神田が体から湯気を立てながら風呂から戻ってくると、そのタイミングを見計らっていたのか、食卓の上には冷えたビールとグラス、それに軽くビールに合いそうな常備菜と箸が沿えられていて、
 「じゃあ俺も風呂入ってくるから、それで先にやってて。」
 と、栗原が手を拭きながら台所から現れた。
 しかし、行儀悪くトランクス一枚の姿でその前に座った神田を見て、
 「またそんな格好してる。まぁ、汗引くまではいいけどさ。」
 と眉根を寄せた。
 けれどその夜は今までで一番暑い熱帯夜で、実際に神田が拭いても拭いても止まらない汗を、手にしたタオルで拭っているのを見て、栗原は仕方ないとばかりにそれ以上は何も言わなかった。
 そのまま何も言わずに風呂場へと消えた栗原に、神田は第一弾は成功だとほくそ笑む。そして、栗原が用意してくれたビールをグラスに注いで、そしてそろそろ始めるナイター中継を見るためにテレビを点けた。
 そしていつもと同じであれば、そうやって最初の1本目のビールを飲み終える頃には、風呂から出た栗原が食卓に食事の用意をしてくれる。
 もちろん皿や鉢を運んだりと神田もそれを手伝うのだが、そうやって毎日毎日自分の為に食事の用意をしてくれる栗原に神田が感謝しないわけではない。ただ、口うるさいのが鼻に付くのだ。
 いつもならこの時点で服を着ていないと絶対に食事をとらせては貰えないのだ。
 だが、神田は今日はもう折れないと心に決めていたので、トランクスだけのその格好を押し通している。そこへ風呂上りの栗原がやってきたのだが、
 「んあっ。」
 と声をあげたのは神田の方だった。
 自分の格好を栗原から見咎められるだろうと、そればかりに身構えていた神田は、逆にそこに現れた栗原の格好に度肝を抜かれた。
 栗原は素肌にバスタオル一枚を腰に巻きつけた状態でそこに現れたのだった。
 「何?なんだ神さん、まだそんな格好してたの?」
 そして、事も無げに神田にそう声をかける。
 だが、そう言いたいのは神田の方で、
 「くっ・・・栗っ。お前何て格好してるんだ?!」
 「だって、暑いんだもんよ。神さんこそいつまでもパンツ一枚でウロウロしてるんじゃないよ。」
 「お前、普段俺に言ってる事とやってる事が違うだろうがっ。」
 「何で?俺は汗引いたらちゃんと服着るもんね。神さんは放っておくとどうせずっとその格好だろ?全然違わないね。」
 「・・・ぐっ。」
 言われて、どうにも納得のいかない神田だったが、
 「とりあえず、メシ食うでしょ?用意するから運べるものから運んじゃって。」
 腹は減っていたので言われるままに神田はそれに従う。
 飲み終えたばかりビールの空き缶を片付けてから、少し遅れて台所に入ると、そこには神田が予想だにしなかった光景が広がっていた。
 いや、普段と何も変わらない台所だったのだが・・・・・・。
 栗原の格好が強烈なのだ。
 さっきのバスタオル一枚の姿の上からエプロンをしていて、ぱっと見には素っ裸にエプロン一枚の姿の様で非常に扇情的なのだ。
 そのまま見続けていると、自分の中で何か別のスイッチが入ってしまいそうで、神田は慌ててそこから目を逸らす。
 「あ、神さん?じゃあそこに置いてるの全部運んでくれる?」
 とそう言われるがままに、神田は半分上の空でそれを食卓に運ぶのを手伝った。
 栗原の方はと言えば、自分のその格好が神田の精神に及ぼす影響について自覚しているのかいないのか、特に気にする様子もない。
 そして食事の支度が全部終わって二人して食卓についた時も栗原はその格好のままだった。
 その状態で向かい合ってただ食事をしろというのはまるで拷問のようで、神田はほとんど味がわからないままに食事を続けることになった。
 とうとう耐えかねて、
 「・・・なぁ、栗原。そろそろ服着ねぇ?」
 「やだよ。火使ってたらまた汗かいちゃったもん。」
 そんな神田の状態を知ってか知らずか栗原は取り合う様子もない。
 しばらくして神田はとうとう箸を置いて立ち上がった。
 「じゃ・・・俺、服着てくるわ。」
 とそう言って本来風呂上りに着る筈だった服が用意されている脱衣所へと向かうのだった。
 栗原の姿が刺激的過ぎて、神田は自分の身体に僅かに起こりつつある現象を止められなくなっていて、そしてさすがにトランクス一枚ではそれを隠し覆せるわけもない。
 それに食事中に欲情してしまった何て事を悟られたら、後で栗原からのそれこそどんな制裁が待っているのか知れたものではなかった。
 「負けた・・・・・・。」
 そう一人呟いてから、神田がまたトボトボと食卓のある部屋に戻ると、そこに栗原の姿はなくて、そしてしばらくして奥の部屋から姿を見せた栗原は、もうきっちりと服を着こんでいた。
 そして、
 「な、やっぱりメシはきっちりしてから食べた方が美味いだろ?」
 と再び食卓について、にこやかに栗原はそう言うのだった。
 「・・・・・・わかっててやったな。」
 と神田がうらめしそうに言い返したが、
 「何のことかな?」
 と軽く交わされて、神田はまた自分の不甲斐なさを呪うのだった。
 一つ救いがあるとすれば、ようやく味覚を取り戻した舌に、栗原の作ってくれたその日の夕食は格別美味しかった事くらいだが。




 そして次の日になって。
 「どうでした?神田さん。首尾は。」
 出勤した神田に、興味津々で水沢が寄ってくる。
 「・・・聞かんでくれ・・・・・・。」
 それへの神田の答える様子は限りなく暗い。
 結局昨夜は暑くて只でさえ寝苦しいのにとんでもない、と夜の楽しみも拒否されまくった神田だった。
 「はぁ、やっぱりですね。」
 と、後輩の水沢から思い切りため息をつかれ、
 「お前なぁ、だったら俺の身になってみろよ。そもそも栗原の・・・・・・。」
 『裸エプロンが』と思わず言いかけて神田は慌てて言葉を切る。
 そんな事を言おうものなら相手がいくら天然の入ってる水沢とは言え、何を突っ込まれるかわからない。
 「いや、いいんだ。もう放っておいてくれ・・・・・・。」
 と、神田は水沢を置いてロッカー室に入った。
 いつもならそこには数人の隊員が居て、にぎやかに談笑しながら飛行服に着換えている姿が見られるのだが、その時は神田がそこに入ると、そこに居たのは栗原一人だった。
 けれども栗原はもう着替えを終えていて、入ってきた神田と入れ替わるようにそこから出て行こうとしていた。
 神田の様子が暗いのは、その日の朝から栗原はとっくに気づいていて、そしてロッカー室に入ってきた神田がまだ浮かない顔をしているのを見て、栗原もまたため息をつく。神田のその様子について、その理由が思い当たらない栗原ではなかった。
 自分の責任だとは思いたくないが、このままそれを今日の訓練にまで引っ張るわけにもいかなくて、
 「なぁ、神田。」
 肩が触れ合う程の距離まで近づいて、栗原は神田にそう声をかけた。
 「ん?」
 「さっき気象隊に聞いた。今夜はかなり涼しくなるらしいよ。」
 とそう告げて、口端に意味ありげな笑いを浮かべる。
 そして、そう言われた神田の顔がパっと輝くのを確認して、
 「じゃあ、今日は限界ギリギリまでやるから覚悟しろよ。」
 と、栗原はすれ違いざま、更に意味ありげにそう続ける。
 その「限界ギリギリ」に何を思ったのか、神田の顔はより一層明るくなって、そして崩れていったのだが。
 そのままロッカー室を出た栗原は扉を閉めると、
 「・・・飛行訓練の話だけどね。」
 と神田に聞こえないようにそう呟いてククっと笑う。
 そしていつもと変わりのない神栗のスタンスで、一日が始まるのだった。




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