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Cross over the Line 3


 「・・・なんか聞こえないか?前の方から。」
 さっきのアナウンスがあってから5分くらいが経過しようとしていた。
 二人が座っているのは先頭の席なので、その前はトイレがあって、更にカーテン一枚を隔てた先がコックピットになっている。
 通常コックピット内の物音は、防音設備が良いため客席側に聞こえないようになっているのだが、二人には妙な感の冴えがあって、何となく普通と違うざわついた様子が感じられるのだ。
 機内アナウンスも、その後は何も言って来ない。
 「だな。何か揉めてるみたいだけど・・・。やっぱり思った通りか・・・?」
 「ん?誰か出てきたみたいよ、神さん。」
 前方のコックピット部の扉が開いた事を示すように、客室との間の目隠しになっているカーテンがわずかに揺れて動いている。
 「・・・どうか嫌な予感が的中しませんように。」
 と、栗原がボソっとつぶやく。
 けれど、それも虚しく・・・。
 「よぉ、奇遇だな。」
 「奇遇ですねー、お二方とも。」
 カーテンから現れたのは、二人には非常に顔なじみの紅空の機長と副操縦士だった。
 「やっぱり・・・。」
 「ヤな予感って必ず当たるものなんだな・・・。」
 と、そんな二人に。
 「何、思い切り嫌そうな顔してんだよ、普通は旅行の往路っていやぁ、もっとウキウキした顔してるもんだろ?」
 と、口調は横柄だったが、紅空の機長である伊達は半ば苦笑しながら二人の目の前のクルー席を降ろしてそこに腰掛けた。自らの境遇に、嫌な顔の一つもされても仕方がないといった表情だ。
 そして、副操縦士の高田もそれに続く。こちらも、伊達と組んだのが生涯の不運とばかりに半ば諦め顔でもある。
 「で、何かトラブルなのか?」
 そう質問を投げかける栗原に、
 「招かれざる訪問者に、操縦席を奪われたのさ。」
 と、あくまでも冷静に伊達が答える。
 「もっと単刀直入に言えよ。ほんっとにツキがないね、伊達ってば。」
 「ばーか、単刀直入に言って周囲にもれちまったら大パニックになるだろうがよ。」
 向かい合って4人、顔を付き合わせるようにヒソヒソと話をしているのだが、周囲は周囲でそれぞれに談笑をしたり、もう既に眠る体勢の者もいて、その会話に聞き耳をたてている様子はなかった。
 「で、二人そろって客室に居たりなんかして、これって誰が操縦してんの?」
 と、神田が素朴な疑問を投げかけた。
 普通なら一人ないし、二人とも人質も兼ねてコックピット内に残されて、犯人の要求どおりに操縦させられたりしているものだろう、と。
 そこに、それまで比較的控えめだった高田がすかさず、
 「え、そりゃもう、腕の確かなオートパイロットシステムが。」
 その言葉に栗原が冷たい視線を伊達に送って、そして皮肉る。
 「ふぅん、どうりで快適なフライトだと思ったよ。」
 「言うねぇ。・・・オーパイの設定は機長の腕の見せ所なのよ、栗ちゃん。」
 皮肉られても余裕綽々の伊達だった。だが、どうも肝心の話題から話の方向がずれつつある。
 「っていうか、俺ら落ち着きすぎじゃね?」
 栗原と伊達のやり取りをとがめるでもなく、神田も暢気だ。
 「まぁ、慌ててもしゃあないですからねぇ。」
 高田がそう言って、そして向かい合った4人は再び大きなため息を漏らした。
 要は、何も手立てがないのである。
 「で、要求は何だって?今どこに向かってんだ、この飛行機。」
 「・・・南米・・・。」
 栗原からそう尋ねられて、伊達はため息まじりにそう答える。
 「燃料もつのかよ??」
 「んー、一応計算はしましたが、残念ながら目的地まで残があるみたいです。」
 高田の方も申し訳なさそうにそう答えた。
 「ってかオーパイにするんなら目的地適当に設定しときゃいいのによ。」
 何で言われた通りにすんだ、このバカとでも言いたげな栗原に、伊達は深いため息とともに首を横に振った。
 「そりゃ、ダメだ。あの犯人さん、空軍あがりの戦闘機乗りみてぇだからよ。長距離運行の気象条件わからねぇってんで俺に設定させたけど、航法は知ってっからよ。」
 「そりゃまた、やっかいな犯人だな・・・。」
 「だから俺らを追い出して一人でコクピットに立て篭もってやがるのさ。目的地近くに着いたら、勝手に操縦して勝手に降りるんじゃねぇか?腕の程は知らんがね。」
 もう既に伊達はあきらめモードだ。
 「何弱気になってんだよ、伊達。南米なんかに降りられたら挙式の予定はどうなんだ、お前。何とかしろよ。」
 「それよ。乗客乗員の安全か、明日の挙式か・・・。心は激しく揺れ動き、まぁしかし乗客の安全が優先って事で無理矢理自分を納得させた所さ。」
 伊達の言葉がやけに神妙で、4人はなすすべもなく、その場にうなだれるしかなかった。操縦士の資格を持つ人間がここにこうして4人もいたところで念力が使えるでもなく、このままでは飛行機の方向を変える事もままならないのだ。
 とりあえず、犯人がキャビンを占拠しているわけでもなく、差し迫った危険もないので、機長である伊達がとりあえず犯人の要求を呑む事を決心したのであればそれはそれで仕方のない事なのかもしれなかったが・・・。
 だが、不意にその緊張のバランスが崩れた。
 「伊達ぇ、俺腹減った・・・。機内食まだぁ?」
 と、神田がそんな情けない声を出したのだ。さっきからだんだん口数が減ってきていたのは、その為だったのだろう。
 あまりの緊張感のなさに、思わず栗原は神田を睨みつける。
 だが、それは神田だけに限った事ではなく、よくよく周囲を見れば周囲の乗客も、食事がなかなか始まらない事に気づいている者もいるようだ。
 「そういや、そろそろそんな時間ですね。」
 高田は腕時計を見ながら冷静にそう言って、判断を仰ぐように伊達の方を見た。
 「神田・・・、お前にゃ緊張感ってものがねぇのか。・・・まぁでも、時間通りに出さねぇってのも不自然だよな。」
 伊達はそう言ったものの、どうしたらいいものか多少考えあぐねていたが、
 「とりあえず乗客に気づかれるのが一番マズイだろう?」
 とそんな栗原の一言で意を決したように、立ち上がった。
 「・・・わかった。犯人に交渉してこよう。・・・奴さんも腹減ってるこったろ。」
 そう言って、前方のカーテンに向かう伊達を見送って、
 「どうせ行くんならそのまま犯人ぶっとばして、操縦桿奪い返してくりゃいいのに・・・。」
 と栗原は他人事のようにボソっと呟く。打破の困難な環境に置かれた時、人の性格というものが色濃く滲み出るもので、どうやらやはり栗原が一番過激な性格をしているらしい。
 そして、以外に温厚で慎重派の伊達にはそんな栗原の発言通りの事ができる筈もなく・・・。




 「ただいま。食事オーケーだってよ。クルーには一斉してきたから、待ってりゃエサにありつけるだろう。」
 フクザツな表情で戻ってきた伊達は、そう言ってもとの席に腰を下ろす。
 それから、フクザツな表情を更に困ったようにゆがめて、そして切り出した。
 「・・・で、栗原にちょっと頼み事があるんだけどよ・・・。」
 と。




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