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Cross over the Line 4


 「何、頼み事って。」
 伊達がそんな表情をしながら切り出すということは、非常に頼みにくくて、そして頼まれたくない事なのだろうと予想しながら栗原は聞き返した。
 そこへ、伊達が後ろ手に持っていた物を栗原の膝の上に投げつける。
 何だろう、と栗原がそれを手に取るよりも早く、
 「コックピットに立て篭ってる奴に、エサ届けてやってくれねぇか?・・・・・・それ着てさ。」
 と、そう伊達から話が切り出される。
 手にしたものを確かめて、栗原の顔からは表情が消えていく。
 「・・・なんだ、コレは・・・。伊達、てめぇ何考えてやがんだ。」
 栗原の声は、押し殺されてはいたものの、十分に怒りの波動を漂わせていた。それもその筈で、伊達が投げて遣したものは、紅空の女性クルー、つまりスチュワーデス用の制服だったからだ。
 栗原の怒りは他所に、神田はと言えば、それを覗き込んで、
 「うわー、すげぇ。本物だー。」
 と暢気に騒いでいたが、栗原から睨みつけられて口を噤む。
 「メシ運んでくるのは、キレイなお姉さまがいいんだってよ。さすがに警戒してるみてぇで、男はダメなんだとさ。」
 どうやらそれはハイジャック犯の要求らしい。
 「だからって、何で俺がこんな服着なきゃなんねぇんだ。」
 「何で・・・って、うちのかわいい女性クルー達にそんな危険なマネさせられねぇからさ。」
 「男だってバレたら、どうする気なんだよ。俺は危険でもいいのかよ。」
 「バカ。バレねぇようにお前を選んでるんだよ。とにかく着替えて行ってくれ、時間がないんだ。後で何でも好きなもの買ってやるからよ。」
 その言葉に栗原はしぶしぶ立ち上がって、化粧室に向かった。
 文句を言ったところで、とりあえずやってみるしか道はなさそうだったからだ。
 行く途中にクルーが使っている私物置き場があって、そこを覗くと、女性クルーが化粧直しに使っているらしいポーチがいくつか置いてあって、栗原はそのうちのいくつかを拝借していった。
 急場で時間がなくても、やるからには完璧を目指すのが彼の信条であったからだ。それに手を抜いて、最初から男だとバレるのが最も厄介だということもある。
 それから栗原が次に神田達の前に姿を現すまでには、ものの10分程もかかってはいなかったのだが、そこに現れたのは完璧な美女だった。
 それも、少し短めのスカートから伸びた、黒のストッキングに包まれた形のいい脚をモデル風に揃えて、どう?というように、ニッコリと笑ってみせる。
 「いやー、流石だ。それで機内サービスされたらどんな男もイチコロだな。」
 それを見て、伊達は制服を渡した時からある程度予想できていたのか、多少の余裕でそんな感想を述べたが、神田はと言えば、すっかりその姿に中てられて、言葉も出ない。
 そんな神田を置いて、伊達も席を立って、栗原を機内サービスのワゴンのある場所まで誘導する。多少乗客の目に触れるが、クルー同志の組み合わせであるので、栗原の美しさだけが乗客の男性の目を釘付けにはしたものの、それ程気にも留められなかった。
 そして、少し物陰になる場所についてから、伊達は栗原にそっと耳打ちする。
 「中入ったらさ、なるべく時間かせいで、計器の様子を見てきてくれるか?ちゃんと飛んでるのか心配でよ。」
 と、そんな伊達に栗原は、
 「・・・なぁ、めんどくせぇから、犯人ブチのめしていいか?どうもスッキリしねぇ。」
 と、その過激な性格そのままの発言をする。
 「あほ、相手は拳銃持ってんだぞ、無茶すんな。」
 「無茶はしねぇよ。隙を見て上手くやるさ。」
 「・・・わかった。言ったってきかねぇよな、お前は。危なそうだったら大声で叫べよ。助けに行ってやっからよ。」
 仕方がない、とばかり伊達はため息をつく。
 栗原の、冷静沈着なようでいて手がつけられない程過激な性格は昔からで、それを自分に押さえる事が出来ない事は昔からよくわかっている事だった。
 「なぁ、どうでもいいけどよ。」
 食事ののったトレイを手に、コックピットに向かおうとする栗原に、
 「そのキレイな顔で、ドスの聞いた声出すの止めねぇ?ちょい萎えるね、俺としては。」
 伊達としては、緊張をほぐすつもりでそう言ったのだが、
 「一生萎えてろ、バカ。」
 と、栗原からは一蹴されてしまう。一蹴ついでに本当にヒールで蹴りをくらってしまい、ダメージを受ける伊達だった。
 それでも、多少それが功を奏したのか、強張り気味だった栗原の頬が緩んで、自然な笑顔に戻る。
 「じゃあ、行って来る。」
 と、立ち去り際に笑いながらそう言う栗原の、その面差しに伊達は、
 (・・・あいつ、あのまま行かせたら、別の意味でヤバクねぇか?)
 と、あらぬ心配をするのだったが・・・。




 「静かだな。」
 「静かですね。」
 「大丈夫かな、栗・・・。」
 栗原がコックピットに消えてから、5分が過ぎようとしていた。
 残された3人は、また顔を付き合わせてヒソヒソと会話を交わしている。
 伊達の最初の予定通りなら、そろそろ栗原が戻ってきても良さそうな時間だった。そして、もしも栗原が言うように中で捕り物劇があるのだとすれば、もう少し騒がしくなっていてもおかしくはない。
 けれど、そうこうしているうちに、
 「あっ。」
 と3人ほぼ同時に声が上がる。
 通常の人は気づかない、機体の微妙な動きを察知したからだった。
 「方向転換したよな、今。」
 「・・・ちょっと様子見てくる。」
 そう言って伊達は立ち上がった。
 中で何かあって、自動操縦がアウトになったのだとすれば、高度もバランスも何もかもが滅茶苦茶になる筈で、でもそうでなく機体の向きだけが変えられたということは、中で栗原が予定通りの飛行経路に戻るように修正をかけたからだろう。
 と、そう考えたので、伊達はそれ程心配はしていなかった。
 それでも一応は用心してそっとコックピットに続く扉を開けて、中を覗き込む。
 最初に目にうつったのは、床の上にうつぶせに気を失っている犯人の姿で、栗原はと言えば、その傍らに勝ち誇ったように艶然と佇んでいる。
 だが、栗原のほうも無傷ではないらしく、制服の袖はとれかけていたし、ブラウスも胸のボタンがいくつか飛んで、胸元がはだけられていて、そして更にストッキングもつま先まであちこち破れてボロボロの状態だ。
 「いや、お見事、お見事。」
 「ちょっと手こずったけどね。まぁ、こんなもんだろ。」
 「気絶してんのか?」
 「死んじゃいないと思うよ。ちょっと痛い思いしてもらったけどね。」
 と、そう言って、そして後はよろしくとばかりに栗原はコックピットを出て行こうとしている。
 「じゃあ、高田さんと交代してくる。」
 とそういって扉を開けようとする栗原を伊達は慌てて引き止めた。
 「お前っ、その格好で出て行くなっ!俺が強姦しようとしたみてぇじゃねぇか。」
 確かにその栗原の艶姿は周囲にそう思わせても不思議のないものだったのだが。
 けれどそれには栗原は冷たい一瞥をくれるだけで、
 「俺だってヤだから、一応人目につく前に着替えるけどさ。でも見られてそう思われたって、伊達の自業自得だと思うけどね?そもそも、これ着ろって言ったの伊達なんだし。」
 と、そう冷たく言い捨てて出て行く栗原に、伊達は言い返す言葉がなかった。けれど、ようやく気を取り直して、捕縛用のロープを手に、まだ気を失って倒れたままの犯人に近づく。
 そのままその体にロープをかけようとうつ伏せだった身体を起こさせて、そして伊達はある事に気がついた。
 (・・・アイツ、とんでもねぇ事しやがる・・・。)
 その男の顔から胸元にかけて、いくつも口紅の痕がついているのだ。それを見た瞬間、伊達には、栗原がどうやってこの男を油断させて気絶させるまでに至ったのか何となくわかる様な気がして、またしても深いため息をついてしまうのだった。




 と、そんなトラブルがあったものの、飛行機は予定よりも1時間半のディレイでホノルル空港へと無事着陸し、ようやく一行はハワイの地に降り立ったのだった。




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