「狼の新たな旅立ち」(2008/09/23 (火) 19:40:50) の最新版変更点
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**狼の新たな旅立ち ◆bD004imcx
風が吹いているのか、まばらに生えている木の葉が音を立てて揺れる。
草原もその影響を受けて波を作り、風を形あるものに変えていく。
空模様もよく、雲の隙間から時折月の光が大地を照らす。
太陽の強い光とは異なる優しいその光が、全てにわずかな色と影を与えていく。
「ん~……」
そしてその景色を、彼女は大きく伸びをしながら、懐かしいものを見る目で眺めた。
(わっちの故郷は雪で埋もれていたが、こういう景色もたまにはあったかや……)
彼女は顔はまだ幼いがそれなりに整っている。
普段から着ている一張羅もあって、普通の人間としてなら見栄えはいい方だろう。
だが、彼女の頭と腰についている物は、普通の人間についているものではなかった。
遠くの音を聞こうと耳をすませば狼の耳が動き、本人自慢の尻尾は自身の意思に反応して揺れ動く。
今でこそ人の姿をしてはいるが、元は北の大地を故郷とする、ホロを名乗る狼だった。
事の始まりは、ある村じゃった。わっちは約束により、村に豊作を与えていた。
しかし、ここ数年で、わっちは村を出たいと思った。
じゃが、麦を持ち去ってくれる者がいない限りわっちは村から出る事ができない。
半ば諦めようとしていたのかもしれんかった。
そんな時、わっちをあの村から出してくれた男がいた。それが、
「ロレンス……。お前じゃったの」
ロレンスは、村から麦を持ち去った。その麦にわっちは入っていた。
ロレンスのおかげで、わっちは村から出る事ができた。その点は、いくら感謝しても足りないじゃろ。
そして初めて人の姿でロレンスの前にでたあの夜。忘れられる訳がない。
ロレンスは、最初はわっちを神かと聞いた。しかし、わっちはそんな存在ではないと言った。
狼だと言った時、その証拠を見せろと言われ、わっちは片腕だけとはいえ元の姿に戻した。
「しかし、今思い出しても、ロレンスのあの顔ときたら……」
わっちはその時の事を思い出し、ふと笑った。
わっちが狼であると言い、ロレンスもそれを信じた後、わっちは本題に入った。
北に帰りたい。その一言から、わっちとロレンスの旅は始まった。
旅とは面白いもので、一つの行動に対しても様々な結果が起こるもの。
先日の騒動も、今思えばなかなかに面白いものだったかや。
ロレンスと共に毛皮を売りに行った時に出会った小僧がすべての始まりじゃったの。
ゼーレンと名乗った男とロレンスが取引を行い、そして商会同士のトラブルにまで発展した。
わっちも危うく教会に突き出される寸前までになったが、わっちが狼に戻る事により事無きをえた。
その後もいろいろあったが、結局わっちはロレンスと旅を続けることになったのう。
「そのはずじゃったが」
視線を首に移す。そこには見慣れない銀の首輪。
「あの狐は爆弾とか言っていたかや。まったく、狐というものはくだらない事ばかりを考える」
外そうと考えてはみたものの、明らかにわっちの知っている技術で作られたものではありんせん。
今のところ、これに対するわっちの手段はないに等しいかや。
かといって、殺し合いをしろと言われても、わっちは乗る気はまったくない。
その日の空腹を満たすために狩りを行い、対象を喰い殺す事もあった。
じゃが、それはあくまで自然の摂理じゃ。しかし、この殺し合いはそれから外れている。
こんな事で命を奪うような気はありんせん。
だた、相手が向かってくるなら……話は別。
縄張りを犯そうとする不届きな輩は、全力で排除する。
「何にしても、まずは身辺整理をしないと始まるものも始まりやせん」
あの場から離れる時に渡されたデイパック。その中にあるものを確認した。
まず一つ目。紙。
片面は白で、片面はそれぞれに色がついている。
何故か全て正方形に揃えられている。今は不要じゃな。
そして二つ目。丸い鉄製の何か。
説明書には「合金製のヨーヨー 重量50kg」と書いていた。
中の糸を伸ばせば振り回すことのできる武器……にも見えなくはないが、この重さではわっちには使いこなせないのう。
最後の三つ目。手甲。変わった形をしておるの。
「鎧化(アムド)」と叫ぶとこれが鎧になるらしい。
「……酒はないかや。まあいいか。
持っていてよさそうなのはこれくらいじゃの」
ホロは手甲を左手に装着し、残りの支給品をデイパックに戻した。
「それにしても、何故麦がない?」
わっちは体を見回した。
ここに連れてこられた時は気付かなかったが、今あらためて探してみると、それはどこにもないのう。
服の中も調べてみたが、それらしいものは影も形もない。
わっちはあれの中に存在している。
ならば、あれも当然わっちが持っていると思っておったが。
「まあ、無いものを探しても意味などないかや。今は後回しじゃの。……しかし」
再度自身の姿を見る。一部を除いて、どこからどう見ても年頃の人間の女である。
これでは、狸や猫なら襲ってきてもなんとでもできるが、あの場にいた大きな犬や虎にはまず勝てない。
やはり、最低でもいつでも元の姿に戻れるようにならないと安心はできない。
「となると、探すは麦か生き血かや」
前者は難しいが、後者は他の参加者からでも手に入る。
「目的はできたかや。なら後は行動あるのみじゃな」
ホロは歩き始めた。
ホロは始めた。初めての小さな一人旅を。
たとえその先が過酷なものだったとしても、彼女が足を止めることはない。
【E-5/一日目/夜中】
【ホロ@狼と香辛料】
【状態】:健康
【装備】:魔甲拳@ダイの大冒険
【所持品】:支給品一式、折り紙×10枚@忍ペンまん丸、ヨーヨー@HUNTER×HUNTER
【思考】
基本:ゲームに乗る気はない。ただし、向かってくる者には容赦しない
1:麦、もしくは参加者を探すかや。
2:他の参加者を見つけた場合、どうにかして血を手にいれたいの。
3:わっちの麦はどこにあるのじゃ?
【備考】:参加時期は6話「狼と無言の別れ」の後です。
【折り紙@忍ペンまん丸】
普通の折り紙。表にはそれぞれ色がある。裏は白紙。
【魔甲拳@ダイの大冒険】
持ち主が「鎧化(アムド)」と言うと、手甲が鎧となり、持ち主に装着される。
鎧は魔法やそれに類似するものを無効化する。 電気系統に対しては効果は薄い。
他の能力に対しては後続の書き手に任せます。
【ヨーヨー@HUNTER×HUNTER】
合金製のヨーヨー。重量は50kg。性能に関しては、出展作品に出てくる物とと同様。
*時系列順で読む
Back:[[LABYRINTH ~午前二時の迷宮~]] Next:[[命を懸ける熊犬と懸けない羆]]
*投下順で読む
Back:[[LABYRINTH ~午前二時の迷宮~]] Next:[[命を懸ける熊犬と懸けない羆]]
|&color(cyan){GAME START}|ホロ| |
**狼の新たな旅立ち ◆bD004imcx
風が吹いているのか、まばらに生えている木の葉が音を立てて揺れる。
草原もその影響を受けて波を作り、風を形あるものに変えていく。
空模様もよく、雲の隙間から時折月の光が大地を照らす。
太陽の強い光とは異なる優しいその光が、全てにわずかな色と影を与えていく。
「ん~……」
そしてその景色を、彼女は大きく伸びをしながら、懐かしいものを見る目で眺めた。
(わっちの故郷は雪で埋もれていたが、こういう景色もたまにはあったかや……)
彼女は顔はまだ幼いがそれなりに整っている。
普段から着ている一張羅もあって、普通の人間としてなら見栄えはいい方だろう。
だが、彼女の頭と腰についている物は、普通の人間についているものではなかった。
遠くの音を聞こうと耳をすませば狼の耳が動き、本人自慢の尻尾は自身の意思に反応して揺れ動く。
今でこそ人の姿をしてはいるが、元は北の大地を故郷とする、ホロを名乗る狼だった。
事の始まりは、ある村じゃった。わっちは約束により、村に豊作を与えていた。
しかし、ここ数年で、わっちは村を出たいと思った。
じゃが、麦を持ち去ってくれる者がいない限りわっちは村から出る事ができない。
半ば諦めようとしていたのかもしれんかった。
そんな時、わっちをあの村から出してくれた男がいた。それが、
「ロレンス……。お前じゃったの」
ロレンスは、村から麦を持ち去った。その麦にわっちは入っていた。
ロレンスのおかげで、わっちは村から出る事ができた。その点は、いくら感謝しても足りないじゃろ。
そして初めて人の姿でロレンスの前にでたあの夜。忘れられる訳がない。
ロレンスは、最初はわっちを神かと聞いた。しかし、わっちはそんな存在ではないと言った。
狼だと言った時、その証拠を見せろと言われ、わっちは片腕だけとはいえ元の姿に戻した。
「しかし、今思い出しても、ロレンスのあの顔ときたら……」
わっちはその時の事を思い出し、ふと笑った。
わっちが狼であると言い、ロレンスもそれを信じた後、わっちは本題に入った。
北に帰りたい。その一言から、わっちとロレンスの旅は始まった。
旅とは面白いもので、一つの行動に対しても様々な結果が起こるもの。
先日の騒動も、今思えばなかなかに面白いものだったかや。
ロレンスと共に毛皮を売りに行った時に出会った小僧がすべての始まりじゃったの。
ゼーレンと名乗った男とロレンスが取引を行い、そして商会同士のトラブルにまで発展した。
わっちも危うく教会に突き出される寸前までになったが、わっちが狼に戻る事により事無きをえた。
その後もいろいろあったが、結局わっちはロレンスと旅を続けることになったのう。
「そのはずじゃったが」
視線を首に移す。そこには見慣れない銀の首輪。
「あの狐は爆弾とか言っていたかや。まったく、狐というものはくだらない事ばかりを考える」
外そうと考えてはみたものの、明らかにわっちの知っている技術で作られたものではありんせん。
今のところ、これに対するわっちの手段はないに等しいかや。
かといって、殺し合いをしろと言われても、わっちは乗る気はまったくない。
その日の空腹を満たすために狩りを行い、対象を喰い殺す事もあった。
じゃが、それはあくまで自然の摂理じゃ。しかし、この殺し合いはそれから外れている。
こんな事で命を奪うような気はありんせん。
だた、相手が向かってくるなら……話は別。
縄張りを犯そうとする不届きな輩は、全力で排除する。
「何にしても、まずは身辺整理をしないと始まるものも始まりやせん」
あの場から離れる時に渡されたデイパック。その中にあるものを確認した。
まず一つ目。紙。
片面は白で、片面はそれぞれに色がついている。
何故か全て正方形に揃えられている。今は不要じゃな。
そして二つ目。丸い鉄製の何か。
説明書には「合金製のヨーヨー 重量50kg」と書いていた。
中の糸を伸ばせば振り回すことのできる武器……にも見えなくはないが、この重さではわっちには使いこなせないのう。
最後の三つ目。手甲。変わった形をしておるの。
「鎧化(アムド)」と叫ぶとこれが鎧になるらしい。
「……酒はないかや。まあいいか。
持っていてよさそうなのはこれくらいじゃの」
ホロは手甲を左手に装着し、残りの支給品をデイパックに戻した。
「それにしても、何故麦がない?」
わっちは体を見回した。
ここに連れてこられた時は気付かなかったが、今あらためて探してみると、それはどこにもないのう。
服の中も調べてみたが、それらしいものは影も形もない。
わっちはあれの中に存在している。
ならば、あれも当然わっちが持っていると思っておったが。
「まあ、無いものを探しても意味などないかや。今は後回しじゃの。……しかし」
再度自身の姿を見る。一部を除いて、どこからどう見ても年頃の人間の女である。
これでは、狸や猫なら襲ってきてもなんとでもできるが、あの場にいた大きな犬や虎にはまず勝てない。
やはり、最低でもいつでも元の姿に戻れるようにならないと安心はできない。
「となると、探すは麦か生き血かや」
前者は難しいが、後者は他の参加者からでも手に入る。
「目的はできたかや。なら後は行動あるのみじゃな」
ホロは歩き始めた。
ホロは始めた。初めての小さな一人旅を。
たとえその先が過酷なものだったとしても、彼女が足を止めることはない。
【E-5/一日目/夜中】
【ホロ@狼と香辛料】
【状態】:健康
【装備】:魔甲拳@ダイの大冒険
【所持品】:支給品一式、折り紙×10枚@忍ペンまん丸、ヨーヨー@HUNTER×HUNTER
【思考】
基本:ゲームに乗る気はない。ただし、向かってくる者には容赦しない
1:麦、もしくは参加者を探すかや。
2:他の参加者を見つけた場合、どうにかして血を手にいれたいの。
3:わっちの麦はどこにあるのじゃ?
【備考】:参加時期は6話「狼と無言の別れ」の後です。
【折り紙@忍ペンまん丸】
普通の折り紙。表にはそれぞれ色がある。裏は白紙。
【魔甲拳@ダイの大冒険】
持ち主が「鎧化(アムド)」と言うと、手甲が鎧となり、持ち主に装着される。
鎧は魔法やそれに類似するものを無効化する。 電気系統に対しては効果は薄い。
他の能力に対しては後続の書き手に任せます。
【ヨーヨー@HUNTER×HUNTER】
合金製のヨーヨー。重量は50kg。性能に関しては、出展作品に出てくる物とと同様。
*時系列順で読む
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|&color(cyan){GAME START}|ホロ|031:[[狼×お子様×サッカー場]]|
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