「へんたいトリロジー ~爪とヒマワリの章~」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「へんたいトリロジー ~爪とヒマワリの章~」(2009/10/14 (水) 00:05:46) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
*へんたいトリロジー ~爪とヒマワリの章~ ◆k3fZfnoU9U
ここはA-6にある駅の前、ここに2匹の獣が訪れていた。
一匹がニコニコ笑顔のヘアバンドをして、忍者の服を着ているキツネ。
もう一匹は葉っぱの衣服を身に着け股間にヒマワリの花を装着している変た…もといアライグマ。
名前はそれぞれツネ次郎、アライグマという。
え?アライグマは種族ではないのかって?
そこは重要なことではないので置いておくとして、2匹は駅の前に辿り着くやいなやあるものを見つけた。
「なあ、もしかしてこれってアルフの首輪じゃないのか?」
それは首輪だった。
さらに言うとそこから血の跡がどこかに伸びていた。
ツネ次郎はその首輪を拾いアライグマに意見を求めたのだが…。
「これがアルフの首輪だという証拠があるのか?」
当然の如く信じなかった。信じるわけがなかった。
彼はキュウビが放送で告げた死亡者の情報を信じていなかった。
自分自身の目で死体を見るまでは絶対に信じないと言い切っていた。
そして彼が見たものは『首輪』であり、『アルフ自身の死体』ではなかった。
それゆえ彼は首輪がアルフのものだということを信じようとしなかったのだが…。
「首輪にアルフって刻まれてるぜ。」
「何!?」
アライグマはツネ次郎が持っている首輪を見た。
そこには確かにアルフと刻まれていたのだ。
「ここにアルフの首輪が落ちてたということは、もうアルフは…。」
ツネ次郎はわなわなと震えた。ここにアルフの首輪が落ちていたという事柄から導かれる結論は1つ…。アルフはもう…生きてはいない。
しかし、アライグマがその結論に待ったをかけるように叫んだ。
「…アルフはまだ生きている!この先にきっといる!!」
「で、でも首輪が…。」
「首輪がなんだってんだよ!これだけで死んだって決めつけんなよ!」
「じゃあ、なんで首輪がこんなところに落ちてるんだよ!」
「アルフが外したからに決まってんだろ!」
「じゃあ、この血の跡は何だよ?」
「これはアルフが油断してケガしただけなんだよ。この先でアルフは休憩してる!」
「根拠はあるのかよ!」
「んなもん知 っ た こ と か。」
「『知 っ た こ と か』ってこれっぽっちもないのかよ!」
「ああ、ねえよ!悪いか!」
「ああ、悪いよ!この40000倍バカ!!」
「何ぃ!バカと言うほうがバカなんだよ。この50000倍バカ!!」
一つの首輪から始まった2匹の口喧嘩はだんだんとヒートアップしていった。
もはやアルフの件とはまったく関係のない。
売り言葉に買い言葉、まさにこの言葉が合う状況だった。
「もう勝手にしろ!」
「ああ、そうさせてもらうぜ!」
アライグマはツネ次郎に吐き捨てるように怒鳴ると一人で血の跡を辿って行ってしまった。
「ふん、あいつがいなくなってせいせいするや。」
一人取り残されたツネ次郎は誰も聞いていない捨て台詞を吐き、頭が冷えぬまま電車に乗り込んだ。
場所は変わりA-6の研究所
ここを居城としている参加者、赤カブトは驚いていた。
何せ自分の爪が急に伸びたのだから…。
気がつくと伸びた爪はすっかり元の長さに戻っていた。
「どういうことだ?」
赤カブトはこれがどういうことかをしばらく考えたこんだが、自分にとってはどうでもいいということに気づいた。
少し離れていても相手を攻撃することができるようになり、普段はそれを見せる必要がないため相手を油断させることができる。
赤カブトにとってはこの事実だけで十分だったのだから…。
「む、何だ?」
赤カブトは何処からか聞こえてきた爆発音に首をかしげた。
「…オレには関係ないな。」
しばらく考えた赤カブトはそのように結論づけた。
ここを居城にしている自分にとってはどうでもいい。
ここに来る参加者を問答無用で喰い殺す。ただそれだけのことなのだから…。
だけどまだ口の中にあの味が残っている。
さっき食べたあのまずい木の実のことだ。
あそこまで救いようのないまずい木の実があるなんて信じられなかった。
そしてそれを警戒することなく食べてしまったのだ。
そのことにいら立ち通路の壁に八つ当たりしながら、研究所の通路をうろついていたところ見覚えのある顔を持つ獣を見つけた。
「こんなところにアルフがいるのか?」
血の跡を辿った先にあった建物の前でアライグマはいったん足を止めた。
アライグマは一瞬建物に入るのをためらった。
森の中に住んでいたアライグマにとって見たことのない建物だったうえ、中からどこか不気味なオーラが漂ってきていたのだから無理もなかった。
―それでもアルフはこの中にいる。この中で身を休めている。
そんな根拠の全くない理論を信じて、アライグマは恐る恐る建物の中に入って行った。
建物の中はどこか不気味な感じがした。
さすがのアライグマも警戒しているのか鞭を握る手に力が入る。
警戒してる故少しずつ進むアライグマだったが、壁に何かがぶつかる音に思わず足を止める。
目の前には曲がり角がある。そこから影が伸びている。
その影はこちらに向かってくるかの如くどんどん大きくなっていった。
アライグマは直感で分かってしまった。
何か恐ろしいものがこっちに来る。
恐ろしいものが来ると分かった瞬間、足が震えだした。
逃げようにも足が震えているため思うように動けない。
やがてその影の持ち主である大きな熊が姿を現した。
「お前、あの時の子熊か!オレは会いたかったぞ!!」
何か変な格好をしていたが、赤カブトは顔を見ただけですぐにあの時に逃げた小熊だということを認識した。
「ア…ア…アルフはどうした。」
目の前の敵に対して恐怖が一層湧きあがり声も震えていたが、なんとかアライグマは叫んだ。
「ああ、あの雌の狼か。オレがもう喰っちまったな。なかなか旨かったぞ。」
震えた声で叫ぶアライグマとは対称的に、赤カブトは冷静に答えた。
「喰っちまっただと…。」
赤カブトの言葉に戸惑いを隠せないアライグマだったが、そんなことはお構いなしに赤カブトは言葉を続けた。
「ふん、今からオレに喰われるんだから関係ないだろうがな。」
「な、何だと…。」
逃げなければ喰われてしまう。
頭では分かってはいたが、足が震えはまだ止まってなく思うように動けない。
目の前では赤カブトが突進の構えをしている。
一気に近づいてアライグマの息の根を止めるためだ。
アライグマは突進しようとしている赤カブトの目になんとか狙いを定めて鞭を構える。
目の前の敵を怯ませれば、自分が逃げるための隙ができる。
もちろん相手が怯まなければ一巻の終わりであり、たとえ怯んでも震えた足で逃げ切れるとは限らない。
だが、彼はうまくいく可能性を信じた。
アライグマが着ている『おひさま仮面』の衣装が、彼に信じる力を与えていた。
やがて赤カブトはアライグマの息の根を止めるために突進してきた。
アライグマは鞭を赤カブトの目に当てようとして……自分自身に衝撃と共に激痛が走る。
「え…?」
激痛を感じた下半身を見ると、赤カブトのいきなり不自然なほどに伸びた爪が自分の…いや、男にとって大切なものをヒマワリごと貫いていた。
「ぐぎゃあああああぁぁぁぁぁ」
その余りの激痛に悶絶の悲鳴を上げた。
その隙を突かれ一気に間合いを詰められ、喉元が貫かれる。
喉が刺すように熱い。そのはずなのに彼の体からは体温が逃げているかのように冷えていった。
もはやアライグマが助かるという未来は否定されているものだった。
それでもアライグマは諦めたくなかった。
どこかでぼのぼのが自分を『おひさま仮面』として助けを呼んでくれるかもしれないのに…。
それでも現実は残酷にも体温と共に彼の命を徐々に蝕んでいった。
そして気がつくとアライグマは倒れていた。
目の前には自分が作った肉に対して舌なめずりをしている赤カブトがいる。
もはやアライグマがどうなるかは誰が見ても明白だろう。
(まだ、ぼのぼのが…どこかで助けを…求めているかも…しれないのに……オレは…こんなことで…くたばるの…かよ。だけど…正義の…ヒーローが…最後の最後で…助けを…求めるな…んて…情け……ね………ぇ……。)
その思いからかアライグマの目に『涙』という悲しい雫がたまっていき、頬をつたい床に落ちて行った。
雫が床に落ちて砕けたとき、彼はその意識をどこまでも暗い闇の中に手放していった。
【A-6/研究所/一日目/朝】
【赤カブト@銀河―流れ星銀―】
【状態】:健康、トゲトゲの熊、アライグマを捕食中
【装備】:無し
【所持品】:無し
【思考】
基本:研究所を拠点とし、他の参加者を待ち構える。
0:この子熊は中の上といったところだな。
1:研究所で銀やその仲間を待ち構え、殺す。
【備考】
※原作死亡時からの参戦です。
※トゲトゲの実@ワンピースを食べました。能力の程度は次回以降の書き手さんへお任せします。
※A-6駅前から研究所へアルフの血の跡が続いています。
※研究所内に赤カブトのデイバッグ(未開封)があります。
※研究所内にS2U@リリカルなのは、道返玉@大神、おひさま仮面の衣装(仮面なし)@ぼのぼの、グリンガムのムチ@ドラゴンクエスト5、
ペットショップのデイバッグ(未開封)、アルフのデイバッグ(開封済・基本支給品及びスピーダー六個@ポケットモンスターが入っている)が落ちています。
&color(red){【アライグマ@ぼのぼの 死亡】}
&color(red){【残り33匹】}
(あんなことになってしまったけど…やっぱり心配だな。)
電車に乗ってしばらく経ち頭が冷えてきたツネ次郎はアライグマのことが心配になってきた。
それと共にとある事実を思い出すこととなる。
(あ…風雲再起と合流しようと思っていたんだ。)
あの時、風雲再起は先に行けと言った。
それならば、あとから来てもおかしくはない。
それなのに今自分は1人だけで電車に乗っている。
もし、このことが風雲再起にバレたらこう言われるだろう。
―仲間を置いて逃げるとは、お前はなんという臆病者だ。
(今すぐ戻らないと…、戻らないと臆病者の烙印を押されてしまう。
風雲再起のことだ。頭に血が昇ってしまった結果の出来事だと言っても聞く耳すら持たないに決まっている。
なによりこのまま逃げたことがまん丸にバレたら頬を膨らませて文句を言ってくるに決まってる。
だけど、このまま逃げればまん丸に会えるかもしれない。
…くそっ、オレはいったいどうすればいいんだ?)
ツネ次郎が葛藤に悩まされる中、電車は黙々とA-6駅から離れていった。
【電車内/一日目/朝】
【ツネ次郎@忍ペンまん丸】
【状態】:腹部に切創(碧双珠で回復中。ほぼ完治)、強い悲しみ、葛藤に悩んでいる
【装備】:印堂帯、碧双珠@十二国記
【道具】:支給品一式、石火矢(弾丸と火薬の予備×10)@もののけ姫 、マハラギストーン×3@真・女神転生if、
風雲再起の支給品一式(不明支給品1~3、確認済)、参加者詳細名簿、首輪(アルフ)
【思考】
基本:まん丸たちと合流してここから脱出する。
0:オレはどうすれば…?
【備考】
※参加者の選定には何らかの法則があるのではと推測しています。
※会場と参加者が異世界の住人である可能性を認識しました。
※ペット・ショップの能力の一部と危険性を認識しました。
※死者の情報の一部を聞き逃しました。
※どの方面に向かう電車に乗ったかは次の書き手にお任せします。
*時系列順で読む
Back:[[命ゆくもの]] Next:[[悪魔は来りてホラを吹く]]
*投下順で読む
Back:[[命ゆくもの]] Next:[[乱暴者タヌキは今日も行く]]
|061:[[この○○を作ったのは誰だぁ!!]]|赤カブト|:[[]]|
|058:[[王者の風]]|ツネ次郎|:[[]]|
|058:[[王者の風]]|&color(red){アライグマ}|:&color(red){死亡}|
*へんたいトリロジー ~爪とヒマワリの章~ ◆k3fZfnoU9U
ここはA-6にある駅の前、ここに2匹の獣が訪れていた。
一匹がニコニコ笑顔のヘアバンドをして、忍者の服を着ているキツネ。
もう一匹は葉っぱの衣服を身に着け股間にヒマワリの花を装着している変た…もといアライグマ。
名前はそれぞれツネ次郎、アライグマという。
え?アライグマは種族ではないのかって?
そこは重要なことではないので置いておくとして、2匹は駅の前に辿り着くやいなやあるものを見つけた。
「なあ、もしかしてこれってアルフの首輪じゃないのか?」
それは首輪だった。
さらに言うとそこから血の跡がどこかに伸びていた。
ツネ次郎はその首輪を拾いアライグマに意見を求めたのだが…。
「これがアルフの首輪だという証拠があるのか?」
当然の如く信じなかった。信じるわけがなかった。
彼はキュウビが放送で告げた死亡者の情報を信じていなかった。
自分自身の目で死体を見るまでは絶対に信じないと言い切っていた。
そして彼が見たものは『首輪』であり、『アルフ自身の死体』ではなかった。
それゆえ彼は首輪がアルフのものだということを信じようとしなかったのだが…。
「首輪にアルフって刻まれてるぜ。」
「何!?」
アライグマはツネ次郎が持っている首輪を見た。
そこには確かにアルフと刻まれていたのだ。
「ここにアルフの首輪が落ちてたということは、もうアルフは…。」
ツネ次郎はわなわなと震えた。ここにアルフの首輪が落ちていたという事柄から導かれる結論は1つ…。アルフはもう…生きてはいない。
しかし、アライグマがその結論に待ったをかけるように叫んだ。
「…アルフはまだ生きている!この先にきっといる!!」
「で、でも首輪が…。」
「首輪がなんだってんだよ!これだけで死んだって決めつけんなよ!」
「じゃあ、なんで首輪がこんなところに落ちてるんだよ!」
「アルフが外したからに決まってんだろ!」
「じゃあ、この血の跡は何だよ?」
「これはアルフが油断してケガしただけなんだよ。この先でアルフは休憩してる!」
「根拠はあるのかよ!」
「んなもん知 っ た こ と か。」
「『知 っ た こ と か』ってこれっぽっちもないのかよ!」
「ああ、ねえよ!悪いか!」
「ああ、悪いよ!この40000倍バカ!!」
「何ぃ!バカと言うほうがバカなんだよ。この50000倍バカ!!」
一つの首輪から始まった2匹の口喧嘩はだんだんとヒートアップしていった。
もはやアルフの件とはまったく関係のない。
売り言葉に買い言葉、まさにこの言葉が合う状況だった。
「もう勝手にしろ!」
「ああ、そうさせてもらうぜ!」
アライグマはツネ次郎に吐き捨てるように怒鳴ると一人で血の跡を辿って行ってしまった。
「ふん、あいつがいなくなってせいせいするや。」
一人取り残されたツネ次郎は誰も聞いていない捨て台詞を吐き、頭が冷えぬまま電車に乗り込んだ。
場所は変わりA-6の研究所
ここを居城としている参加者、赤カブトは驚いていた。
何せ自分の爪が急に伸びたのだから…。
気がつくと伸びた爪はすっかり元の長さに戻っていた。
「どういうことだ?」
赤カブトはこれがどういうことかをしばらく考えたこんだが、自分にとってはどうでもいいということに気づいた。
少し離れていても相手を攻撃することができるようになり、普段はそれを見せる必要がないため相手を油断させることができる。
赤カブトにとってはこの事実だけで十分だったのだから…。
「む、何だ?」
赤カブトは何処からか聞こえてきた爆発音に首をかしげた。
「…オレには関係ないな。」
しばらく考えた赤カブトはそのように結論づけた。
ここを居城にしている自分にとってはどうでもいい。
ここに来る参加者を問答無用で喰い殺す。ただそれだけのことなのだから…。
だけどまだ口の中にあの味が残っている。
さっき食べたあのまずい木の実のことだ。
あそこまで救いようのないまずい木の実があるなんて信じられなかった。
そしてそれを警戒することなく食べてしまったのだ。
そのことにいら立ち通路の壁に八つ当たりしながら、研究所の通路をうろついていたところ見覚えのある顔を持つ獣を見つけた。
「こんなところにアルフがいるのか?」
血の跡を辿った先にあった建物の前でアライグマはいったん足を止めた。
アライグマは一瞬建物に入るのをためらった。
森の中に住んでいたアライグマにとって見たことのない建物だったうえ、中からどこか不気味なオーラが漂ってきていたのだから無理もなかった。
―それでもアルフはこの中にいる。この中で身を休めている。
そんな根拠の全くない理論を信じて、アライグマは恐る恐る建物の中に入って行った。
建物の中はどこか不気味な感じがした。
さすがのアライグマも警戒しているのか鞭を握る手に力が入る。
警戒してる故少しずつ進むアライグマだったが、壁に何かがぶつかる音に思わず足を止める。
目の前には曲がり角がある。そこから影が伸びている。
その影はこちらに向かってくるかの如くどんどん大きくなっていった。
アライグマは直感で分かってしまった。
何か恐ろしいものがこっちに来る。
恐ろしいものが来ると分かった瞬間、足が震えだした。
逃げようにも足が震えているため思うように動けない。
やがてその影の持ち主である大きな熊が姿を現した。
「お前、あの時の子熊か!オレは会いたかったぞ!!」
何か変な格好をしていたが、赤カブトは顔を見ただけですぐにあの時に逃げた小熊だということを認識した。
「ア…ア…アルフはどうした。」
目の前の敵に対して恐怖が一層湧きあがり声も震えていたが、なんとかアライグマは叫んだ。
「ああ、あの雌の狼か。オレがもう喰っちまったな。なかなか旨かったぞ。」
震えた声で叫ぶアライグマとは対称的に、赤カブトは冷静に答えた。
「喰っちまっただと…。」
赤カブトの言葉に戸惑いを隠せないアライグマだったが、そんなことはお構いなしに赤カブトは言葉を続けた。
「ふん、今からオレに喰われるんだから関係ないだろうがな。」
「な、何だと…。」
逃げなければ喰われてしまう。
頭では分かってはいたが、足が震えはまだ止まってなく思うように動けない。
目の前では赤カブトが突進の構えをしている。
一気に近づいてアライグマの息の根を止めるためだ。
アライグマは突進しようとしている赤カブトの目になんとか狙いを定めて鞭を構える。
目の前の敵を怯ませれば、自分が逃げるための隙ができる。
もちろん相手が怯まなければ一巻の終わりであり、たとえ怯んでも震えた足で逃げ切れるとは限らない。
だが、彼はうまくいく可能性を信じた。
アライグマが着ている『おひさま仮面』の衣装が、彼に信じる力を与えていた。
やがて赤カブトはアライグマの息の根を止めるために突進してきた。
アライグマは鞭を赤カブトの目に当てようとして……自分自身に衝撃と共に激痛が走る。
「え…?」
激痛を感じた下半身を見ると、赤カブトのいきなり不自然なほどに伸びた爪が自分の…いや、男にとって大切なものをヒマワリごと貫いていた。
「ぐぎゃあああああぁぁぁぁぁ」
その余りの激痛に悶絶の悲鳴を上げた。
その隙を突かれ一気に間合いを詰められ、喉元が貫かれる。
喉が刺すように熱い。そのはずなのに彼の体からは体温が逃げているかのように冷えていった。
もはやアライグマが助かるという未来は否定されているものだった。
それでもアライグマは諦めたくなかった。
どこかでぼのぼのが自分を『おひさま仮面』として助けを呼んでくれるかもしれないのに…。
それでも現実は残酷にも体温と共に彼の命を徐々に蝕んでいった。
そして気がつくとアライグマは倒れていた。
目の前には自分が作った肉に対して舌なめずりをしている赤カブトがいる。
もはやアライグマがどうなるかは誰が見ても明白だろう。
(まだ、ぼのぼのが…どこかで助けを…求めているかも…しれないのに……オレは…こんなことで…くたばるの…かよ。だけど…正義の…ヒーローが…最後の最後で…助けを…求めるな…んて…情け……ね………ぇ……。)
その思いからかアライグマの目に『涙』という悲しい雫がたまっていき、頬をつたい床に落ちて行った。
雫が床に落ちて砕けたとき、彼はその意識をどこまでも暗い闇の中に手放していった。
【A-6/研究所/一日目/朝】
【赤カブト@銀河―流れ星銀―】
【状態】:健康、トゲトゲの熊、アライグマを捕食中
【装備】:無し
【所持品】:無し
【思考】
基本:研究所を拠点とし、他の参加者を待ち構える。
0:この子熊は中の上といったところだな。
1:研究所で銀やその仲間を待ち構え、殺す。
【備考】
※原作死亡時からの参戦です。
※トゲトゲの実@ワンピースを食べました。能力の程度は次回以降の書き手さんへお任せします。
※A-6駅前から研究所へアルフの血の跡が続いています。
※研究所内に赤カブトのデイバッグ(未開封)があります。
※研究所内にS2U@リリカルなのは、道返玉@大神、おひさま仮面の衣装(仮面なし)@ぼのぼの、グリンガムのムチ@ドラゴンクエスト5、
ペットショップのデイバッグ(未開封)、アルフのデイバッグ(開封済・基本支給品及びスピーダー六個@ポケットモンスターが入っている)が落ちています。
&color(red){【アライグマ@ぼのぼの 死亡】}
&color(red){【残り33匹】}
(あんなことになってしまったけど…やっぱり心配だな。)
電車に乗ってしばらく経ち頭が冷えてきたツネ次郎はアライグマのことが心配になってきた。
それと共にとある事実を思い出すこととなる。
(あ…風雲再起と合流しようと思っていたんだ。)
あの時、風雲再起は先に行けと言った。
それならば、あとから来てもおかしくはない。
それなのに今自分は1人だけで電車に乗っている。
もし、このことが風雲再起にバレたらこう言われるだろう。
―仲間を置いて逃げるとは、お前はなんという臆病者だ。
(今すぐ戻らないと…、戻らないと臆病者の烙印を押されてしまう。
風雲再起のことだ。頭に血が昇ってしまった結果の出来事だと言っても聞く耳すら持たないに決まっている。
なによりこのまま逃げたことがまん丸にバレたら頬を膨らませて文句を言ってくるに決まってる。
だけど、このまま逃げればまん丸に会えるかもしれない。
…くそっ、オレはいったいどうすればいいんだ?)
ツネ次郎が葛藤に悩まされる中、電車は黙々とA-6駅から離れていった。
【電車内/一日目/朝】
【ツネ次郎@忍ペンまん丸】
【状態】:腹部に切創(碧双珠で回復中。ほぼ完治)、強い悲しみ、葛藤に悩んでいる
【装備】:印堂帯、碧双珠@十二国記
【道具】:支給品一式、石火矢(弾丸と火薬の予備×10)@もののけ姫 、マハラギストーン×3@真・女神転生if、
風雲再起の支給品一式(不明支給品1~3、確認済)、参加者詳細名簿、首輪(アルフ)
【思考】
基本:まん丸たちと合流してここから脱出する。
0:オレはどうすれば…?
【備考】
※参加者の選定には何らかの法則があるのではと推測しています。
※会場と参加者が異世界の住人である可能性を認識しました。
※ペット・ショップの能力の一部と危険性を認識しました。
※死者の情報の一部を聞き逃しました。
※どの方面に向かう電車に乗ったかは次の書き手にお任せします。
*時系列順で読む
Back:[[命ゆくもの]] Next:[[悪魔は来りてホラを吹く]]
*投下順で読む
Back:[[命ゆくもの]] Next:[[乱暴者タヌキは今日も行く]]
|061:[[この○○を作ったのは誰だぁ!!]]|赤カブト|074:[[熊嵐]]|
|058:[[王者の風]]|ツネ次郎|074:[[熊嵐]]|
|058:[[王者の風]]|&color(red){アライグマ}|:&color(red){死亡}|
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: