「白い兎は歌う」(2010/07/11 (日) 17:37:25) の最新版変更点
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*白い兎は歌う ◆TPKO6O3QOM
静かに、しかし滑るように雲が上空を動いていく。蒼穹に溶け込むような白雲は千切れ飛び、黒く重たい雨雲が段々と勢力を広げようとしていた。
それを見上げながら、因幡てゐは苦々しげに口を曲げた。雨音というのは、聴力に長けた獣にとっては天敵だ。近づく捕食者の足音、息遣い、筋肉の躍動といった、生き残るために必要な情報が多少なりとも損なわれてしまう。
雨で役に立たないような耳を持っているわけではないが、少しでも自分が後手に回るような事態は避けたかった。
てゐは学校へと視線を移す。出来ることならキメラのつばさで行ける場所を増やしたかったのだが、この崩れようでは辿り着く前に降り始めることは十分にあり得る。
一度校舎に入って、雨をやり過ごすのが賢明だろうか。てゐは肩を竦めて、校庭の隅を通りながら昇降口へと近づいた。
夜に訪れた時と違い、昼の校舎は古ぼけた佇まいを弱まった日差しの中に曝している。流れる雲の陰が落ちた校庭を、風に煽られた砂煙が駆け抜けて行った。
昇降口には、彼女の知らない臭いが残っていた。そして、それは入って行ったきり出て来た様子はない。別の出入り口を用いたんでない限り、この臭いの主はまだ校舎の中にいることになる。
てゐは昇降口の陰に身を滑り込ませると、小さく頭を抱えた。
(どうしよう……)
てゐは今の所持品に思いを巡らせる。治療薬に毒キノコ、毒薬、離脱用具――そして赤い宝石。どれも身を守るには役に立たないし、攻撃にすら使えない。利便性があるのはキメラのつばさぐらいだ。それでも行くことが出来るのは、学校か町の二か所だけだ。
もうギロロたちはいないと思われるが、再会する危険は避けたい。ユーノはどうでも、ギロロは前以上に疑念を持っててゐを見る筈だ。格段に動きづらくなる。
かといって、彼女の妖術は虚仮脅しや目暗ましになっても、実質的な決め手にはならない。そもそも、それが出来るのならば、こんな面倒な行動は選択していない。
(ひとまず、実際に誰かいるのか確認しましょ。いないならそれが一番だし)
長い耳に手を当て、てゐは耳に神経を集中した。
風が窓枠を叩く音。それが廊下で反響する音。そして、段々と小さくなる残響。
あらゆる音の持つ情報は、てゐの頭の中で明確な形を持ち、三次元の空間に配置されていく。
その空間の中に、明らかに異質な音が存在していた。がちゃがちゃと騒がしく不協和音を奏でる音源が、廊下を移動して行く。
それ以外に、生物の音はない。音の主は給食室へと向かったようだ。少しだけ逡巡するも、てゐは給食室まで行ってみることにした。距離を保って行動する限り、自分に危険はない。そして、自分はそれが出来る。
(いざとなれば、キメラのつばさを使えばいいことだしね)
てゐはデイバッグをしっかり抱えると、柔らかく跳ねるような歩調で廊下を音もなく進んでいった。
移動しながらも、五感の大部分は耳に割いている。その甲斐あって、給食室の音を酷く明瞭に拾うことが出来た。それはまるですぐ隣で耳を欹てているような感覚である。
≪あ、あの、大丈夫でありますか?≫
少し癖のある男の声だ。その声は、明らかに第三者へと向けられていた。
他にも生物がいたのかと、呼吸が少し乱れる。しかし、鼓動の音どころか、息遣いすら拾えないのは変だ。一旦足を止めて、てゐは音に集中する。
≪あ、あの~、我輩の声が聞こえていないでありますk…え?≫
突然、男の呼吸が乱れた。変化を感じ取り、てゐは足を速める。給食室は、もう目と鼻の先だ。
給食室の少し手前に座り込み、てゐは目を閉じた。もう声どころか、心音すら聞きとれる。給食室に居るのは確実に一人だ。
男の鼓動は早鐘を打つように収縮を繰り返していた。獲物が追い詰められた時のような、緊張と恐怖に縛られた音色――。
(一体、何があったのよ……)
訝しげにてゐは眉をひそめた。あまりにも急な変化だ。男は、給食室に入り誰かに声を掛けていた。その誰かが本性を現して襲い掛かってきたか。そうだとしても、呼吸が一つなのはおかしい。筋肉や関節が立てる音の癖が一種類なのもおかしい。
これが聞きとれないようならば、自分はうさぎ失格だ。
すると、男が大きく息を吸い込んだ。
≪我輩は…我輩はなんて愚かな間違いを犯してしまったでありましょうかぁ!≫
大声が鼓膜を大きく揺さぶった。何十回と空間を跳ねまわった叫びは、てゐの脳を掻きまわしていく。集中し過ぎていたために、てゐは耳元で爆竹を鳴らされたようなショックを受けた。
もし立っていたのなら、今頃転倒していたかもしれない。どうにか意識を繋ぎ止め、てゐは呼吸を整えて行く。
その間も、男は独り言を口にしながら慌ただしく音を響かせていた。
≪こ、こういうときは慌てず騒がず忍び足、我輩にできることをするであります≫
物を盛大にひっくり返し、それを荒らし回るような音が生みだされていく。
≪これで我輩の責任が少しは軽くなるであります。さて、後は……≫
そう呟いた男の鼓動は、幾許か落ち着きを取り戻していた。そして男は何処か、狭い空間に入って行ったようだ。
(責、任……? どういうことよ)
脂汗を浮かべながら、てゐは思考を巡らせる。男は誰かに話しかけていた。しかし、誰かの反応はなく、てゐも聞きとれなかった。
しかし、その誰かが音を発することなく存在していたのなら――。無論、そんな生き物は存在しない。生きているのであればの話だが。
その後、男の鼓動は急に落着きを失っていった。そして、先程の絶叫だ。
ここから推理できることを、順序立てて組みたてて行く。まず、男は給食室で誰かを発見した。その時点で、その誰かは生きていたのだろう。一旦そこで、男は誰かとは別行動をとった。そして戻って来た時には、その誰かは死んでいた。
健康な者がそう簡単に死ぬことは考えにくい。愚かな間違いという言葉も合致しなくなる。
別行動中に襲われたか。こう考えると、愚かな行動とは別行動を取ったことと解釈できなくもない。しかし、荒らし回る理由がない。
ショックで錯乱したか。だが、言動ははっきりしていた。それに、出来ることと荒らし回ることがイコールで結ばれない。
何より、責任という言葉が当てはまらない。
ふと、てゐの鼻が刺激臭を嗅ぎ取った。消毒液か何かのような、あまり気持ちのいい臭いではない。それに加えて、もっと別の薬品の香も混じっている。食品を置く場所にはそぐわない臭いだ。
これらの臭いは男が運び入れたのだ。ここから導き出されるのは、男が発見した誰かを治療しようとしていたという可能性だ。男は何らかの治療を施した後で、席を外した。しかし治療は間違っていて――もしくは手遅れで、発見した誰かは息を引き取っていた。
助かると思っていた相手が死んでいたのだ。ショックも受けるだろう。
先程の荒らす音は、自棄を起こしての行動と推測できる。もしくは自分の無力さに腹でもたったか。
いや、責任という言葉が、この推理でも浮いてしまう。
(為すべき治療を怠ったのかもね……。一連の行動で責任が軽くなるっていうのが分からないけれど。どうやって責任を軽くしたんだろ。ま、何かしら誤魔化したんでしょう)
とはいえ、正直なところ、治療が間違っていたとかはどうでもよかった。
重要なのは、まず男が殺し合いに乗った存在ではないこと。そして、警戒すべき危険な人物でもなさそうなこと。あの慌てぶりから見るに、どちらかというと小心者だと推測できる。
加えて、これが一番重要なのだが、そんな小心者が誰かを殺してしまったということ。過失なのだろうが、男はその事実を隠蔽しようとしている。
ここから推察できる人物像は、小心者の文明人といったところか。
その隠したい事実が、第三者に知られてしまったとしたらどんな行動を取るだろうか。まず、口封じはない。追いつめればそうなるかもしれないが、逃げ道を用意してやれば悦んでそっちを選択するだろう。
有利に取引できるかもしれないし、この事実自体が男の悪評を吹聴するのに大いに役に立つ。
(それじゃ接触してみようかしらね。出来るだけ偶然を装って、と)
てゐは静かに立ち上がると、給食室へと近づいた。開きっぱなしの扉から中を覗き込む。奥にある金属製の扉が開いており、その中から、騒がしい足音が響いて来ていた。
そして、床には引き締まった体つきの人間の男の死体が寝かされている。その周囲には治療薬と思わしき品々がぶちまけられていた。
てゐはにやけそうになる頬を噛みしめ、息を深く吸った。
「ねえ、誰かい――きゃ、きゃあああああああああ!?」
その大声に、扉の向こうの男が盛大にすっ転んだ音が響いた。
【C-4/学校・給食室内/1日目/午前】
【ケロロ軍曹@ケロロ軍曹】
【状態】健康、錯乱(小)、動揺
【装備】ジムのガンプラ@サイボーグクロちゃん
【道具】ガンプラ作成用の道具
【思考】
0:ビックゥゥゥゥゥゥゥウウウウッ!!!!
1:次は何をするべきか…
2:とりあえずギロロと合流したい
3:安全な場所でガンプラを作る
※ピカチュウ、キラーパンサー、オカリナをゲームに乗ったと誤解しています(名前は知らない)
※ピカチュウ、キラーパンサーの言葉は通じないようです。他は不明。
※キュウビに宇宙人の協力者がいるか、キュウビ自身が宇宙人であると考えています。
※会場の施設は、全て人間が以前使用していた物と考えています。
※ぼのぼのと情報交換をしました。
※給食室に、加藤清澄@バキの死体があります。
※給食室の加藤清澄を重要人物と考えています。
【因幡てゐ@東方project】
[状態]:健康
[装備]:なし。
[道具]:支給品一式、きずぐすり×3@ポケットモンスター、ヒョウヘンダケ×3@ぼのぼの、キメラのつばさ×2@DQ5、
エルルゥの毒薬@うたわれるもの(テクヌプイの香煙×5、ネコンの香煙×5、紅皇バチの蜜蝋×5、ケスパゥの香煙×5)、伝説の剣のルビー@ハーメルンのバイオリン弾き、ニンジン×20
[思考]
基本:参加者の情報を集めて、それを利用して同士討ちさせる。殺し合いに乗っている参加者に対しては協力してもらうか、協力してもらえず、自分より実力が上なら逃げる
1:ケロロを脅して、交渉を有利に進める。
2:参加者に会ったらギロロたちの悪評を広める。
3:ぼのぼのと遭遇したらヒョウヘンダケを渡す。
【備考】
※銀、赤カブト、カエル、グレッグルの情報を得ました。
※銀、カエル、グレッグルは死んだと思っています。
【伝説の剣のルビー@ハーメルンのバイオリン弾き】
伝説の剣の鍔元に嵌めこむルビー。聖なる存在の魂を吸い込むことが出来る。
*時系列順で読む
Back:[[Four Piece of History]] Next:[[Crossfire]]
*投下順で読む
Back:[[GREN~誤解の手記と鍾乳洞~]] Next:[[黒い牙]]
|084:[[Four Piece of History]]|ケロロ軍曹||
|069:[[罪穢れの澱みを着せて]]|因幡てゐ||
*白い兎は歌う ◆TPKO6O3QOM
静かに、しかし滑るように雲が上空を動いていく。蒼穹に溶け込むような白雲は千切れ飛び、黒く重たい雨雲が段々と勢力を広げようとしていた。
それを見上げながら、因幡てゐは苦々しげに口を曲げた。雨音というのは、聴力に長けた獣にとっては天敵だ。近づく捕食者の足音、息遣い、筋肉の躍動といった、生き残るために必要な情報が多少なりとも損なわれてしまう。
雨で役に立たないような耳を持っているわけではないが、少しでも自分が後手に回るような事態は避けたかった。
てゐは学校へと視線を移す。出来ることならキメラのつばさで行ける場所を増やしたかったのだが、この崩れようでは辿り着く前に降り始めることは十分にあり得る。
一度校舎に入って、雨をやり過ごすのが賢明だろうか。てゐは肩を竦めて、校庭の隅を通りながら昇降口へと近づいた。
夜に訪れた時と違い、昼の校舎は古ぼけた佇まいを弱まった日差しの中に曝している。流れる雲の陰が落ちた校庭を、風に煽られた砂煙が駆け抜けて行った。
昇降口には、彼女の知らない臭いが残っていた。そして、それは入って行ったきり出て来た様子はない。別の出入り口を用いたんでない限り、この臭いの主はまだ校舎の中にいることになる。
てゐは昇降口の陰に身を滑り込ませると、小さく頭を抱えた。
(どうしよう……)
てゐは今の所持品に思いを巡らせる。治療薬に毒キノコ、毒薬、離脱用具――そして赤い宝石。どれも身を守るには役に立たないし、攻撃にすら使えない。利便性があるのはキメラのつばさぐらいだ。それでも行くことが出来るのは、学校か町の二か所だけだ。
もうギロロたちはいないと思われるが、再会する危険は避けたい。ユーノはどうでも、ギロロは前以上に疑念を持っててゐを見る筈だ。格段に動きづらくなる。
かといって、彼女の妖術は虚仮脅しや目暗ましになっても、実質的な決め手にはならない。そもそも、それが出来るのならば、こんな面倒な行動は選択していない。
(ひとまず、実際に誰かいるのか確認しましょ。いないならそれが一番だし)
長い耳に手を当て、てゐは耳に神経を集中した。
風が窓枠を叩く音。それが廊下で反響する音。そして、段々と小さくなる残響。
あらゆる音の持つ情報は、てゐの頭の中で明確な形を持ち、三次元の空間に配置されていく。
その空間の中に、明らかに異質な音が存在していた。がちゃがちゃと騒がしく不協和音を奏でる音源が、廊下を移動して行く。
それ以外に、生物の音はない。音の主は給食室へと向かったようだ。少しだけ逡巡するも、てゐは給食室まで行ってみることにした。距離を保って行動する限り、自分に危険はない。そして、自分はそれが出来る。
(いざとなれば、キメラのつばさを使えばいいことだしね)
てゐはデイバッグをしっかり抱えると、柔らかく跳ねるような歩調で廊下を音もなく進んでいった。
移動しながらも、五感の大部分は耳に割いている。その甲斐あって、給食室の音を酷く明瞭に拾うことが出来た。それはまるですぐ隣で耳を欹てているような感覚である。
≪あ、あの、大丈夫でありますか?≫
少し癖のある男の声だ。その声は、明らかに第三者へと向けられていた。
他にも生物がいたのかと、呼吸が少し乱れる。しかし、鼓動の音どころか、息遣いすら拾えないのは変だ。一旦足を止めて、てゐは音に集中する。
≪あ、あの~、我輩の声が聞こえていないでありますk…え?≫
突然、男の呼吸が乱れた。変化を感じ取り、てゐは足を速める。給食室は、もう目と鼻の先だ。
給食室の少し手前に座り込み、てゐは目を閉じた。もう声どころか、心音すら聞きとれる。給食室に居るのは確実に一人だ。
男の鼓動は早鐘を打つように収縮を繰り返していた。獲物が追い詰められた時のような、緊張と恐怖に縛られた音色――。
(一体、何があったのよ……)
訝しげにてゐは眉をひそめた。あまりにも急な変化だ。男は、給食室に入り誰かに声を掛けていた。その誰かが本性を現して襲い掛かってきたか。そうだとしても、呼吸が一つなのはおかしい。筋肉や関節が立てる音の癖が一種類なのもおかしい。
これが聞きとれないようならば、自分はうさぎ失格だ。
すると、男が大きく息を吸い込んだ。
≪我輩は…我輩はなんて愚かな間違いを犯してしまったでありましょうかぁ!≫
大声が鼓膜を大きく揺さぶった。何十回と空間を跳ねまわった叫びは、てゐの脳を掻きまわしていく。集中し過ぎていたために、てゐは耳元で爆竹を鳴らされたようなショックを受けた。
もし立っていたのなら、今頃転倒していたかもしれない。どうにか意識を繋ぎ止め、てゐは呼吸を整えて行く。
その間も、男は独り言を口にしながら慌ただしく音を響かせていた。
≪こ、こういうときは慌てず騒がず忍び足、我輩にできることをするであります≫
物を盛大にひっくり返し、それを荒らし回るような音が生みだされていく。
≪これで我輩の責任が少しは軽くなるであります。さて、後は……≫
そう呟いた男の鼓動は、幾許か落ち着きを取り戻していた。そして男は何処か、狭い空間に入って行ったようだ。
(責、任……? どういうことよ)
脂汗を浮かべながら、てゐは思考を巡らせる。男は誰かに話しかけていた。しかし、誰かの反応はなく、てゐも聞きとれなかった。
しかし、その誰かが音を発することなく存在していたのなら――。無論、そんな生き物は存在しない。生きているのであればの話だが。
その後、男の鼓動は急に落着きを失っていった。そして、先程の絶叫だ。
ここから推理できることを、順序立てて組みたてて行く。まず、男は給食室で誰かを発見した。その時点で、その誰かは生きていたのだろう。一旦そこで、男は誰かとは別行動をとった。そして戻って来た時には、その誰かは死んでいた。
健康な者がそう簡単に死ぬことは考えにくい。愚かな間違いという言葉も合致しなくなる。
別行動中に襲われたか。こう考えると、愚かな行動とは別行動を取ったことと解釈できなくもない。しかし、荒らし回る理由がない。
ショックで錯乱したか。だが、言動ははっきりしていた。それに、出来ることと荒らし回ることがイコールで結ばれない。
何より、責任という言葉が当てはまらない。
ふと、てゐの鼻が刺激臭を嗅ぎ取った。消毒液か何かのような、あまり気持ちのいい臭いではない。それに加えて、もっと別の薬品の香も混じっている。食品を置く場所にはそぐわない臭いだ。
これらの臭いは男が運び入れたのだ。ここから導き出されるのは、男が発見した誰かを治療しようとしていたという可能性だ。男は何らかの治療を施した後で、席を外した。しかし治療は間違っていて――もしくは手遅れで、発見した誰かは息を引き取っていた。
助かると思っていた相手が死んでいたのだ。ショックも受けるだろう。
先程の荒らす音は、自棄を起こしての行動と推測できる。もしくは自分の無力さに腹でもたったか。
いや、責任という言葉が、この推理でも浮いてしまう。
(為すべき治療を怠ったのかもね……。一連の行動で責任が軽くなるっていうのが分からないけれど。どうやって責任を軽くしたんだろ。ま、何かしら誤魔化したんでしょう)
とはいえ、正直なところ、治療が間違っていたとかはどうでもよかった。
重要なのは、まず男が殺し合いに乗った存在ではないこと。そして、警戒すべき危険な人物でもなさそうなこと。あの慌てぶりから見るに、どちらかというと小心者だと推測できる。
加えて、これが一番重要なのだが、そんな小心者が誰かを殺してしまったということ。過失なのだろうが、男はその事実を隠蔽しようとしている。
ここから推察できる人物像は、小心者の文明人といったところか。
その隠したい事実が、第三者に知られてしまったとしたらどんな行動を取るだろうか。まず、口封じはない。追いつめればそうなるかもしれないが、逃げ道を用意してやれば悦んでそっちを選択するだろう。
有利に取引できるかもしれないし、この事実自体が男の悪評を吹聴するのに大いに役に立つ。
(それじゃ接触してみようかしらね。出来るだけ偶然を装って、と)
てゐは静かに立ち上がると、給食室へと近づいた。開きっぱなしの扉から中を覗き込む。奥にある金属製の扉が開いており、その中から、騒がしい足音が響いて来ていた。
そして、床には引き締まった体つきの人間の男の死体が寝かされている。その周囲には治療薬と思わしき品々がぶちまけられていた。
てゐはにやけそうになる頬を噛みしめ、息を深く吸った。
「ねえ、誰かい――きゃ、きゃあああああああああ!?」
その大声に、扉の向こうの男が盛大にすっ転んだ音が響いた。
【C-4/学校・給食室内/1日目/午前】
【ケロロ軍曹@ケロロ軍曹】
【状態】健康、錯乱(小)、動揺
【装備】ジムのガンプラ@サイボーグクロちゃん
【道具】ガンプラ作成用の道具
【思考】
0:ビックゥゥゥゥゥゥゥウウウウッ!!!!
1:次は何をするべきか…
2:とりあえずギロロと合流したい
3:安全な場所でガンプラを作る
※ピカチュウ、キラーパンサー、オカリナをゲームに乗ったと誤解しています(名前は知らない)
※ピカチュウ、キラーパンサーの言葉は通じないようです。他は不明。
※キュウビに宇宙人の協力者がいるか、キュウビ自身が宇宙人であると考えています。
※会場の施設は、全て人間が以前使用していた物と考えています。
※ぼのぼのと情報交換をしました。
※給食室に、加藤清澄@バキの死体があります。
※給食室の加藤清澄を重要人物と考えています。
【因幡てゐ@東方project】
[状態]:健康
[装備]:なし。
[道具]:支給品一式、きずぐすり×3@ポケットモンスター、ヒョウヘンダケ×3@ぼのぼの、キメラのつばさ×2@DQ5、
エルルゥの毒薬@うたわれるもの(テクヌプイの香煙×5、ネコンの香煙×5、紅皇バチの蜜蝋×5、ケスパゥの香煙×5)、伝説の剣のルビー@ハーメルンのバイオリン弾き、ニンジン×20
[思考]
基本:参加者の情報を集めて、それを利用して同士討ちさせる。殺し合いに乗っている参加者に対しては協力してもらうか、協力してもらえず、自分より実力が上なら逃げる
1:ケロロを脅して、交渉を有利に進める。
2:参加者に会ったらギロロたちの悪評を広める。
3:ぼのぼのと遭遇したらヒョウヘンダケを渡す。
【備考】
※銀、赤カブト、カエル、グレッグルの情報を得ました。
※銀、カエル、グレッグルは死んだと思っています。
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伝説の剣の鍔元に嵌めこむルビー。聖なる存在の魂を吸い込むことが出来る。
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