「第二回放送」(2010/08/29 (日) 13:35:52) の最新版変更点
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*第二回放送 ◆TPKO6O3QOM
定刻だ。生憎の雨に見舞われてしまったが、畜生どもよ、息災であろうか?
雨に震えていたとしても、誰も手など差し伸べてはくれぬぞ。
呪法を始めて、半日が過ぎた。貴様たちも、段々と己が牙を取り戻してきたのではないかな。
さて、我は非常に悦んでいる。やっと貴様らが、獣らしい野性と残虐性を発揮してくれるようになったのでな。いやはや、先刻、奮起を促した甲斐があったというものだ。
クカカカカ……やれば出来るではないか。
すぐにでも貴様たちの成果を読み上げたいところではあるが、まずはお前たちの命に直結する禁止区域から報せよう。耳を……――ソバダて、よく聞くのだぞ。
B-5
D-1
E-7
F-4
だ。
雨の中、確と聞きとれたか? ふむ。我は今、実に気分がいい。もう一度だけ教えてやろう。
B-5
D-1
E-7
F-4
……三度目はないぞ。
さて、貴様たちも待ちかねているであろう、明け六ツから昼九ツまでに死したものどもの報告と参ろうか。
風雲再起
ペットショップ
モロ
ミュウツー
アライグマ
ツネ次郎
銀
赤カブト
グレッグル
ウマゴン
オーボウ
楽俊
キラーパンサー
因幡てゐ
ピカチュウ
以上だ。功労者には我が直々に尻尾で頭を撫でてやりたい所だが、そうもいかぬのが実に口惜しい。
では、日没後。また――……マミえるときを楽しみにしておるぞ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
サルに化生したキツネが上機嫌に――たまに舌が硬くなるようだが、そして事前に復唱していた内容と一部表現が違っていたり加えられていたりするのだが、まあどうでもいいことだ――原稿を読み上げている。
耳に障るその声に、アザーラは暗闇の中で忌々しく頬を歪めた。
(……まったく、サルどもと同じだな)
星に住まうあらゆる生き物の根幹には大地の掟がある。それは生命の原点であり、生命の輪廻を繋いでいくために守らねばならぬ理だ。
それは、高度な文明を持つ彼女ら――恐竜人も例外ではない。そしてまた、かつて彼女らと覇権を争った、あのサルたちも同じく掟の中に在ったのだ。
掟を侵せば、生命は星と共に歩むことはできず、どちらか片方の、一方的な支配と搾取を甘受せねばならなくなる。そして、それは遅かれ早かれ、滅びへと繋がっていく。
すべてのものは、在るがままに有るだけ――。
今ある中で、最善を為すより他に道は無い。
無いものは“無い”のだ。
これを捻じ曲げて、“無”を“有”に変えようとすれば必ず反発を受ける。不自然なものは永くは存在できない。存在してはいけない。
故に、生命は大地と共に歩む。歩まねば生きて行けぬ。
しかし――。
苛立たしげに身じろぎをしたために、纏ったマントがさらと衣擦れの音を奏でた。口を歪めたまま、目を閉じる。
赤い星――キツネは空亡と呼んでいたか。
天より飛来し、大地の奥深くで星を喰らい成長する。そして、最後には星そのものを灼きつくす災厄の権化。
そもそも、自分が先祖たちの指導者となったのも、将来起こる赤い星による滅びを回避するためだ。そのためのティラン城であり、ブラック・ティラノであった。
そうした努力の結果、赤い星による大災害は阻止された――はずだった。
しかし、未来はまた書き換えられた。サルたちの愚行のために。
異なる歴史の――彼女ら恐竜人のいない世界で繁栄したサルたちは大地の掟に背くことを選択したのだという。
奴らは赤い星の力に手を出し、その結果、身を滅ぼした。
それだけなら、特にどうでもよいことだ。サルたちの大地が滅びようと何ら興味は無い。
サルたちの大地“だけ”が滅びるのであれば――。
サルたちが引き起こした滅亡の波紋は、ありとあらゆる次元の大地にまで広がりつつある。つまり、彼女らが――同時に彼女の子らでもある――が紡いできた未来も消え去るということだ。
赤い星は、次元ごとに姿を変えて、あらゆる未来を喰らわんとしている。
確約された終焉に対抗する。
新たな赤い星を滅ぼす力を作り出す。
大地の理の中に居る者達の手で、未来を奪り還す。
そういう話であった。
それなのに――結局、奴らは赤い星の力を使ってしまっている。
このままでは、滅びへの道程は変わらない。いや、むしろ、より加速したと言っていいだろう。
アザーラは鎧の隙間に隠した装置を、そっと指でなぞった。先端が赤い角のようなものが生えた黒い球体。ケロボールというらしい、奴らが集めて来た、異なる大地の品の一つ。
呪法が始まる直前、これを通して接触してきた存在があった。殺し合いに巻き込んだ連中の身内ということだが。
今からでも――未来の修正は効くのか。
アザーラがマントの下で装置を強く握りしめた時、キツネが妙に満足げな様子で放送を終えた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ナント……キュウビ様ガ あどりぶ ニ 挑戦 シタ ダギャ」
「笑イ声トカ モ キュウビ様ナリ ニ あれんじ シテイタッペ」
「コノ短期間ニ 目覚マシイ 進歩 ダニ。キュウビ様、恐ロシイ子! ダニ」
「デモ あどりぶ ヲ 意識シ過ギテ、幾ツカ ノ 漢字ノ読ミ ヲ ど忘レ シタンダナ。ふぉろー ガ 大変 ダッタンダナ!」
*時系列順で読む
Back:[[荒れ狂う稲光の――]] Next:[[とても優しい瞳をしてたあなたが歌う――]]
*投下順で読む
Back:[[荒れ狂う稲光の――]] Next:[[RAINLIT DUST/――に捧ぐ]]
|056:[[第一回放送]]|キュウビ||
|&color(cyan){GAME START}|アザーラ||
|056:[[第一回放送]]|天邪鬼||
*第二回放送 ◆TPKO6O3QOM
定刻だ。生憎の雨に見舞われてしまったが、畜生どもよ、息災であろうか?
雨に震えていたとしても、誰も手など差し伸べてはくれぬぞ。
呪法を始めて、半日が過ぎた。貴様たちも、段々と己が牙を取り戻してきたのではないかな。
さて、我は非常に悦んでいる。やっと貴様らが、獣らしい野性と残虐性を発揮してくれるようになったのでな。いやはや、先刻、奮起を促した甲斐があったというものだ。
クカカカカ……やれば出来るではないか。
すぐにでも貴様たちの成果を読み上げたいところではあるが、まずはお前たちの命に直結する禁止区域から報せよう。耳を……――ソバダて、よく聞くのだぞ。
B-5
D-1
E-7
F-4
だ。
雨の中、確と聞きとれたか? ふむ。我は今、実に気分がいい。もう一度だけ教えてやろう。
B-5
D-1
E-7
F-4
……三度目はないぞ。
さて、貴様たちも待ちかねているであろう、明け六ツから昼九ツまでに死したものどもの報告と参ろうか。
風雲再起
ペットショップ
モロ
ミュウツー
アライグマ
ツネ次郎
銀
赤カブト
グレッグル
ウマゴン
オーボウ
楽俊
因幡てゐ
キラーパンサー
ピカチュウ
以上だ。功労者には我が直々に尻尾で頭を撫でてやりたい所だが、そうもいかぬのが実に口惜しい。
では、日没後。また――……マミえるときを楽しみにしておるぞ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
サルに化生したキツネが上機嫌に――たまに舌が硬くなるようだが、そして事前に復唱していた内容と一部表現が違っていたり加えられていたりするのだが、まあどうでもいいことだ――原稿を読み上げている。
耳に障るその声に、アザーラは暗闇の中で忌々しく頬を歪めた。
(……まったく、サルどもと同じだな)
星に住まうあらゆる生き物の根幹には大地の掟がある。それは生命の原点であり、生命の輪廻を繋いでいくために守らねばならぬ理だ。
それは、高度な文明を持つ彼女ら――恐竜人も例外ではない。そしてまた、かつて彼女らと覇権を争った、あのサルたちも同じく掟の中に在ったのだ。
掟を侵せば、生命は星と共に歩むことはできず、どちらか片方の、一方的な支配と搾取を甘受せねばならなくなる。そして、それは遅かれ早かれ、滅びへと繋がっていく。
すべてのものは、在るがままに有るだけ――。
今ある中で、最善を為すより他に道は無い。
無いものは“無い”のだ。
これを捻じ曲げて、“無”を“有”に変えようとすれば必ず反発を受ける。不自然なものは永くは存在できない。存在してはいけない。
故に、生命は大地と共に歩む。歩まねば生きて行けぬ。
しかし――。
苛立たしげに身じろぎをしたために、纏ったマントがさらと衣擦れの音を奏でた。口を歪めたまま、目を閉じる。
赤い星――キツネは空亡と呼んでいたか。
天より飛来し、大地の奥深くで星を喰らい成長する。そして、最後には星そのものを灼きつくす災厄の権化。
そもそも、自分が先祖たちの指導者となったのも、将来起こる赤い星による滅びを回避するためだ。そのためのティラン城であり、ブラック・ティラノであった。
そうした努力の結果、赤い星による大災害は阻止された――はずだった。
しかし、未来はまた書き換えられた。サルたちの愚行のために。
異なる歴史の――彼女ら恐竜人のいない世界で繁栄したサルたちは大地の掟に背くことを選択したのだという。
奴らは赤い星の力に手を出し、その結果、身を滅ぼした。
それだけなら、特にどうでもよいことだ。サルたちの大地が滅びようと何ら興味は無い。
サルたちの大地“だけ”が滅びるのであれば――。
サルたちが引き起こした滅亡の波紋は、ありとあらゆる次元の大地にまで広がりつつある。つまり、彼女らが――同時に彼女の子らでもある――が紡いできた未来も消え去るということだ。
赤い星は、次元ごとに姿を変えて、あらゆる未来を喰らわんとしている。
確約された終焉に対抗する。
新たな赤い星を滅ぼす力を作り出す。
大地の理の中に居る者達の手で、未来を奪り還す。
そういう話であった。
それなのに――結局、奴らは赤い星の力を使ってしまっている。
このままでは、滅びへの道程は変わらない。いや、むしろ、より加速したと言っていいだろう。
アザーラは鎧の隙間に隠した装置を、そっと指でなぞった。先端が赤い角のようなものが生えた黒い球体。ケロボールというらしい、奴らが集めて来た、異なる大地の品の一つ。
呪法が始まる直前、これを通して接触してきた存在があった。殺し合いに巻き込んだ連中の身内ということだが。
今からでも――未来の修正は効くのか。
アザーラがマントの下で装置を強く握りしめた時、キツネが妙に満足げな様子で放送を終えた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ナント……キュウビ様ガ あどりぶ ニ 挑戦 シタ ダギャ」
「笑イ声トカ モ キュウビ様ナリ ニ あれんじ シテイタッペ」
「コノ短期間ニ 目覚マシイ 進歩 ダニ。キュウビ様、恐ロシイ子! ダニ」
「デモ あどりぶ ヲ 意識シ過ギテ、幾ツカ ノ 漢字ノ読ミ ヲ ど忘レ シタンダナ。ふぉろー ガ 大変 ダッタンダナ!」
*時系列順で読む
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