「始の忍法帖」(2009/07/14 (火) 21:21:00) の最新版変更点
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*始の忍法帖 ◆TPKO6O3QOM
ようやく暗闇が晴れたら、おれの目の前には森が広がっていた。これが瞬間移動って奴なんだろうな。ニッポン風の建物の影も形もねえ。
この森は人の手が入った人工林らしい。木の種類が少なくて、林床の植生も豊かじゃない。明月の中に並び立つ木々の影が巨大な墓標に見えてくる。
まったくロクなことがないぜ。人間たちに無理やりエジプトに連れてこられるわ、見捨てりゃ良かったガキ助けたせいでスタンド使いの鳥野郎に襲われるわ……そしたら、今度は殺し合え、だぁ?そんな面倒なこと、誰がするかよ。第一、あの狐野郎の望みどおりに動くことが気に喰わねえ。
おれはただ、平和でそこそこ楽しい生活送りたいってだけなのによ、やたらと厄介ごとが舞い込んできやがる。人間によると、運命ってのはカミサマが決めるらしい。もしそいつに会ったら、ボコボコにした後で、髪毟って顔に屁ぇかましてやる。嵌められた首輪の感触が、おれを更に苛々させた。
ただ、ここに来てひとついいことがある。鳥公にボロボロにされたおれの肉球が元に戻っていることだ。感謝する気はねえけどな。
おれよりも背の高い草を掻き分けて進むと、目の前に人間の集落が現れた。
だからって活気も何もねえ。家の壁には蔓草が蛇のように絡み、所々欠けている。窓から見える屋根に穴が空いている家もあった。人が居なくなって久しいようだ。模範のようなゴーストタウンだぜ。涼しい夜風が家々の間をすり抜け、物寂しげな声を上げている。
愚かな人間なら、バケモノの声と勘違いするかも知れねえな。
勿論、賢いおれはそんなもんがいないことを百も承知だから、ゴーストタウンを悠然と歩いていった。
しばらくして、ある家からガタガタという物音が聞こえてきた。風の仕業かとも思ったが、音の間隔も強弱もバラバラなことから何かが中で動いていることが分かる。何より、風の中に獣の臭いが混じっている。
さあて、接触すべきかどうか。無視してもいいんだが、もし相手が人間みたいに手先の器用なやつだったら少しばかりやってもらいことがあった。おれの背中に不愉快な重みを伝えてくる小さなデイバッグ、こいつにはご丁寧におれの腹の前にも留め具があって、外すに外せない。あの狐野郎がおれに何をくれやがったのか、少し興味があった。
先客が襲ってきたらどうする?そりゃ、向こうさんには不幸なことだ。なんせ、これから痛い目に遭うんだからな。
「よぉ!居るのは分かってるぜ。おれは殺し合いには乗ってねえ。だから安心しな」
半開きだった玄関から堂々と入って、俺は声を張り上げた。こっそり行く必要がおれにはない。どこに居るのかも、鼻で分かってる。まあ、それ以前に一番奥の扉から光が洩れてたり、廊下の埃の上に足跡が残ってたりするんだけどな……。
閉まりきってない扉を足で開ける。扉の向こうはリビングのようだった。丸いテーブルに幾つかの椅子しか置かれていない、簡素なもんだ。大きな窓に掛けられた薄いカーテンを通して月の光が部屋に注いでいる。先客はその椅子に座り、ぽかんと口をあけておれを見ていた。
テーブルの上に置かれたランタンがそいつの姿を鮮明に浮かび上がらせる。そいつはずんぐりとした体形を濃い茶色の体毛で包み、両目の周囲は黒い毛が大きな円を描いていた。
「なんだ、アライグマか」
「タヌキだーっ!!」
おれが呟くと、そいつは弾かれたように椅子から飛び降りて叫んだ。どっちも似たようなもんだと俺は思うんだが、そいつには重要なことらしい。大体、タヌキ(ラクーン・ドッグ)と呼ぶ時点で、優先順位的にはアライグマが先だろ。そもそも二足歩行して、人間みてえな服着てる方が問題だ。野性はねえのか?
ま、これから物を頼むんだ。そんなことは気にしないでおいてやるよ。
「そうかよ。そいつは悪かったな。でな、タヌ公。突然だが、ちょっと頼みがあるんだよ」
そうやっておれは切り出した。おれの頼みに、タヌキはぶつくさ言いながらも、意外と素直に従ってくれる。お人よしだな、こいつ。
デイバッグを外し、そして中身をタヌキが取り出していく。地図やら名簿やら、あんまりおれの興味を引かないものが出てくる。一応、名簿に目を通すが知った名前はない。しかし、変な名前が多いな。特におれの真下にあるペット・ショップなんざ傑作だ。恥ずかしくて、おれなら死ぬな。
少しばかり興味があったのは食料だが、内容は不味そうなドライフードで、おれの大好きなコーヒーガムは入っていないようだ。
ここまではタヌキも似たような内容だったらしい。
バッグに突っ込んだタヌキの手が金属の筒を取り出した。どうやら犬笛のようだ。……おれに吹けってのかよ?
次に「世界の民話」という子供向けの分厚い説話集が出てきた。フェアリーテイルなんか興味ねえよ。
そんだけの代物なんだが、ひとつ問題があった。こいつはおれのデイバッグよりも大きいんだ。絶対に入らねえ。
そいつを告げると、タヌキは小馬鹿にしたように笑った。やつは椅子に飛び乗り、テーブルの上から何かを両手で持ち上げる。どうやら、テーブルの上に自分の支給品を広げていたようだ。
タヌキが持ち上げたのは、刃渡り35インチ近くもある長剣だった。サムライが佩いていそうな、反りの入った細身の剣だ。デンコーマルという銘らしい。
長剣が入るぐらいなんだから、本ぐらい問題ないと言いたいのだろう。このバッグがどんな構造しているのかまでは考えが回らないようだ。
もっとも、この事態が常識じゃありえねえんだ。こいつみたいに何でも入る便利なカバンと思っていた方が利口かもしれねえ。
おれに渡された支給品はこれで全部のようだ。期待外れもいい所だな。
支給品は全部入れなおしてもらい、おれはデイバッグを背負い直した。いつ何が必要になるかは、流石のおれにも分からないからな。念のためだ。ちなみに、時計はおれの左前脚に巻かれている。時計は絶対必要になると、タヌキが頑として譲らなかったのだ。
……なぜか文字を読めるようになっていることに関しては、気にしないことにした。
さてと、用は済んだし行くか。
「お、おい!ひとりで行く気かよ!?」
礼を言って出て行こうとしたおれをタヌキが引き留めた。妙に慌ててやがる。おれが一緒に行くもんだと思っていたらしい。
残念だが、群れる趣味はねえよ。
「足手まといを連れていくなんざ、ごめんだぜ」
突き放したおれの言葉に、タヌキのこめかみが青筋を立てた。肩がぷるぷると震え、地団駄を踏みながら吼える。
「こ、こンの犬っころ!心配してやったってのに!!忍者のオイラが足手まといってか!?」
ニンジャ?ニッポンじゃ動物もニンジャになれんのか。こいつは驚きだ。
「へえ。じゃ、ニンポーとか使えんのか?」
そう言ったおれに、タヌキはニヤリと自信たっぷりに笑った。
「勿論だい。タヌ太郎さまの忍法を見せてやるぜ」
そういうや否や、タヌキ――いや、タヌタローは近場に落ちていた自分のデイバッグを指差した。
「タヌ太郎忍法真空転の術ー!」
奴が叫ぶと、触れても居ないのにデイバッグがころりとひっくり返りやがった。念力だろうか。ニンジャというのは嘘ではないらしい。タヌタローがどんなもんだと胸を張る。
「ほー。……で?」
「………………」
すこし興味を引かれ、先を促した俺の言葉に、タヌタローは胸を張ったまま固まってしまった。もしかして……これだけなのか?
半眼のおれに気づき、タヌタローは慌てて平手を横に振る。
「まてまて。取って置きを見せてやらあ!」
おれから4メートルほど離れてから、タヌタローは人差し指以外の指を組んで前に突き出した。両手で拳銃の形を作っていると言えば分かりやすいだろう。
コォォオオ……と、奴が呼吸を整える音が部屋に響く。部屋全体の空気が弾けんばかりに緊張しているように感じられるのはおれの錯覚だろうか。
鋭い呼気の音が止まり、言霊が爆発するように奴の口から飛び出した。
「念雅流忍法!手印、念!!」
突き出した指先に宿った小さな光が一気に膨れ上がる――
「………………おい、うんこタヌキ」
おれはぼそりと呟いた。タヌタローがぴしりと音を立ててたじろぐ。奴の指からは兎の糞のようなものがぽろぽろと毀れ出ていた。
少しでも期待したおれが愚かだったぜ。思わずスタンドを見せてやりたくなったが、止めた。なんせ、こいつにゃ視えないんだからな。
おれはへっと嘲笑い、タヌタローに背を向けた。だが、また奴の制止の声が掛かる。
うんざりして振り返ったおれの目の前に、タヌタローの真面目な顔があった。こいつ、いつのまに?
「おまえの頼みを聞いてやったよな?今度はおまえがオイラの頼みを聞く番だぜ」
タヌタローが当然のことのように言う。
あのな、おれがおまえの頼みを聞いてやる必要は別にねえんだぞ?そんな約束はしてねえからな。だがまあ、奴の言っていることも一理あるか。
「内容によるぞ。始めに言っておくが、一緒に行くってのはナシだ」
分かってるよ。とタヌタローは口を尖らせた。
「伝言を頼みてえんだよ。オイラの仲間で、まん丸とツネ次郎って奴がいるんだ。そいつらに会えたらでいいからさ」
「……まあ、いいぜ。で、内容は?」
「E‐4のサッカー場へ6時に集合。こう伝えてくれ。まん丸は青い羽毛のペンギンで、ツネ次郎はキツネだ。二人とも、オイラと同じ印堂帯をしてる」
タヌタローは、自分の額にある図式化された笑顔のアクセサリーが付いたヘアバンドを指した。
おれは奴の頼みを了承してやった。聞くだけならタダだからな。
「頼むぜ。えーと……そういや、おまえ、名前はなんてんだ?」
「イギーだ」
ニューヨーク最強の野良犬だと、胸中で付け加える。
と、おれの耳が異常な音を捉えた。
なにか言いかけたタヌタローを、しっと口に足を当てて遮る。
重戦車のように重い何かが、一直線にこっちへ向かってくる。そういや、ランタンが点いたままだった。窓から灯りが漏れてたに違いねえ。
タヌタローの耳も音を捉えていたらしい。急いでテーブルの上に散乱した支給品をデイバッグに詰め込んだ。って、ランタンまで仕舞うな!気付きましたと言ってる様なもんだろ!?
ダンッと地を蹴る音。しばしの深閑の後――轟音と共に、家の壁が粉砕された。
爆発した空気の渦の中で舞い散る埃と木片の中から現れたのは、マントと鎧を着込んだ二足歩行の大ワニだった。衝撃に舞い上がった大きなマントが月明かりを遮る。ったくよ、どいつもこいつも野性を失くした奴らばかりだぜ。
ただ、おれの直感がこいつはヤバイと警鐘を鳴らしている。奴が握っている剣――タヌタローが持っていた剣とほとんど同じものだ。なのに、それがレイピアに見えやがる。それほどの巨体だ。しかも、その剣で壁を紙くずみてえに薙ぎ払った腕力の凄まじさ。そして何よりも、こいつは殺し合いに乗ってる。ワニの双眼が血を求めて獰猛に光った。
「タヌ公!二手に分かれるぞ!!」
おれはそう叫び、駆け出した。同じ方向に逃げてこられちゃかなわねえ。タヌタローがおれとは反対歩行に跳んだ音をおれの耳が拾う。
よし!
おれは細い裏道を走りながら、愚者(ザ・フール)を呼び出した。何もない空間から砂が生まれ、おれと帆走するように、機械仕掛けの獣の姿が構築されていく。だが、発現がいつもよりも少しばかり遅いような気がする。
とにかく、こいつで空に逃げれば――
「――おまえ、面白い魔法を使うな」
後ろで厳格な声が聞こえた。くそっ!よりによっておれを追ってきやがった。ワニは剣で周りの家の壁を破壊しながら突進して来ている。しかもこのワニ、おれのスタンドが見えてやがる!こいつもスタンド使いなのか!?
おれは愚者(ザ・フール)に急停止を掛け、ワニを迎撃させる。愚者(ザ・フール)に向かって、ワニの剣が振り下ろされた。だが、ワニの打ち降ろしは地面を大きく抉っただけだ。その軌跡の上に、霧のようになった愚者(ザ・フール)が漂う。ワニの眼に驚愕の色が混じる。
おれのスタンドは砂だ。なまくらの一撃なんざ、痛くもねえよ。
愚者(ザ・フール)の再構築された前足がワニへと向かって薄刃のように閃いた。ワニの左腕がマントをひっつかみ、振り翳す。愚者の前に紫紺の緞帳が翻った。マヌケめ。布っきれで防げるかよ?
おれはせせら笑った。ワニが血を撒き散らして斃れる様が目に浮かぶ。
しかし、おれの予想は裏切られることとなった。愚者(ザ・フール)の前足はマントに弾かれ、その表面を滑っていく。削られた繊維が数本、宙に舞った。チクショウ!ただの布じゃねえのか!
おれは止めかけていた足に鞭を打ち、加速した。だがワニの踏み込みが、稼いだ距離をゼロにする。
ズダンという破裂音がしたと思えば、振り返ったおれの眼前に白刃が迫っていた。
おれは前方に大きく跳んだ。空中で身を翻らせ、斬撃をやりすごす。巻き起こる剣風が毛を撫で切って行きそうだ。とにかく回避に成功して安堵したおれの目を、迫る現実が見開かせた。ワニはそこから更に左足で踏み込んだのだ。空気そのものを破砕するように振るわれた左腕が、空中のおれを弾き飛ばす。
おれは成す術もなく、30フィートほど吹っ飛んで壁に叩きつけられた。跳びながら愚者(ザ・フール)を解除し、背面に構築してクッションにしていなければ死んでいた。それでも吐き気を催すような衝撃が身体を駆け巡る。おれの喉を熱いものが焼いた。
跳ね返ったおれは地面へと落下する。体中が酷く痛む。内も外もだ。
ワニはゆっくりとおれに近づいてくる。今の状態で逃げても、二、三歩の内に斬り捨てられるのが関の山だ。
潔く運命を受け入れるか?……ふざけんな。徹底的に足掻いてやるぜ。近づくに死神には唾を吐きかけて追い返してやる!おれは全身の殺気を視線に集め、奴を睨み付けた。
ワニの口角が上に吊り上げられる。嗤ってやがる……。
ワニの右腕が振り上げられた。月明を浴びて、刀身が蒼くきらめく――
「――念っ!!」
夜気を切り裂くような言葉が響いた。おれの目には、月輪の中で踊るタヌキが映っていた。
「――念っ!!」
オイラの叫びと共に、鎧ワニに向かって指から粘々したどす黒い液体が迸った。なんでこう、ズバッと格好いいのが出ねえんだろ。
オイラの意念を被ったワニが吼えた。見やれば、粘々が顔にかかってワニの視界を封じている。ワニは左手でそれを払おうともがいていた。
………………これぞ、タヌ太郎忍法目潰し粘液の術!
イギーはその隙に、オイラの方にヨタヨタと駆けて来た。満身創痍もいいとこだ。オイラは明後日の方向を向いて声を上げる。
「イギー!今だ!!温泉で落ち合おうや!」
勿論嘘だ。騙せるとは思ってねえが、それでもワニに選択肢を増やして撹乱できる。
すれ違いざま、イギーは何故か呆れたようにオイラを見て、破壊された家の影に身をすべり込ませた。
あの野郎……オイラをバカだと思ってやがんな。
……まあ、確かにな。わざわざ戻ってくるなんざ、ほんと、我ながらバカだと思うぜ。
でもよ、ただの犬に強敵を押し付けて、オイラだけ逃げるわけにはいかねえだろ?ネンガ様に叱られちまうし、まん丸たちにも顔向けできねえよ。
それによ。あの犬は確かに、口も性格も悪いし横暴だし悪辣で凶悪な顔をしているよ……でもな、あいつはお人よしなのさ。だってな、悪党かもしれないオイラの頼みを聞いてくれたんだぜ?そんなお人よしをさ、放ってはおけねえよなあ!
とにかく、イギーは隠れたんだ。あとはこのワニを、ここから出来るだけ引き離すだけさ。
「やーい粘々ワニ!心臓が右心房と左心房分かれきってねえぞワニ!日光浴しねえと動けねえぞワニ!気温で性別変わるぞワニ!変温動物のくせに二足歩行すんなワニならワニらしく川辺で蝶々を鼻に留まらせてろー!!」
ようやく視界を取り戻したワニに、オイラは思いつくだけの罵倒を浴びせた。さらに手裏剣を次々と投げつける。ちなみにゴム製で、当たっても怪我しない安全仕様だ。バカにするには充分さ。現にワニの目が屈辱で血走ってやがる。
「財布にでもなってろ。444倍バカ!!」
そう言い捨て、オイラは脱兎の如く駆け出した。
傾きかけたお月様を横目にオイラは森を駆け抜ける。後ろからは重機みてえな音が追い掛けてくる。差は広がらないどころか、どんどん詰まってきているようだ。
断っておくが、オイラはまだ全力で走ってない。それでもワニの足は予想以上に速い。斬り倒される木々の悲鳴が森に木霊する。
オイラが全力で走らない理由は二つある。一つはオイラを追い掛けさせるため。完全に撒いちまったら、ワニは廃村に戻っちまうかもしれない。もう一つは、あいつを迎え撃つ準備をするためだ。
やっつけるなんて言わねえよ。オイラとワニじゃ、チワワがオオカミに襲い掛かるようなもんだ。でもな、だからって何もしないわけにゃいかないだろ?あいつは殺し合いに乗ってる。つまり、まん丸やツネ次郎を襲うかもしれねえってことだ。だからせめて、あいつの得物を壊す。やれることはやらなくちゃ、な。
オイラは左手に持ったデイバッグのチャックを少し開け、その隙間から刀を途中まで引っ張り出し、鯉口を切る。このカバンは一部でも中に入っている限り、物の重さはゼロに等しくなるんだ。
オイラは左足を軸にして背後に向き直る。意外な行動に驚いたワニに向かって、オイラは最後の手裏剣を投げつけた――ゴム製ではなく、本物の。
回避行動を怠ったワニの頬を手裏剣が削る。それを目に留めながら、オイラは奴に向かって疾走した。右手は既に刀の柄を掴んでいる。ワニが怒りに燃えた声で吼え、刀を大きく振り上げた。
やっぱりな。オイラは胸の中でガッツポーズをした。
イギーを助けに向かったとき、短い間だがワニの太刀捌きを見てたんだ。あいつの斬撃は打ち下ろしか薙ぎ払いの二つしかしなかった。おそらく、ワニの得意とする得物は斧や槌みたいな重量級の武器なんだろう。
その癖が抜けてねえ。しかも、激昂してるせいでモーションが大きくなってる。それだけ、攻撃の出所は読み易くなるってもんさ。
オイラは呼吸を半分ずらして、身体を滑らせた。左手はデイバッグから、葉に覆われた鞘に移っている。オイラのすぐ目の前で、振り下ろされた刀が地面を陥没させた。地鳴りと爆風にオイラの肌が粟立つ。砕け散った土塊がオイラの頬を掠めていった。
――今だ。
滑り込ませた右足が力強く大地を踏み締めた。右手が流れるような手付きで刀を一息に振り抜く。鞘走りの甲高い音が森に響いた。目の端に、吹っ飛んでいくデイバッグが映る。右腕に、今までゼロだった刀の重量が一気にかかった。その負荷に筋肉が悲鳴を上げる。
オイラは我知らず叫んでいた。他人事のような気分でその聲を聞く。手の中の霜刃は半月を描き、ワニの刀の横っ腹に吸い込まれていった。
日本刀は非常にデリケートな武器だ。刃筋を立てなきゃ満足に斬れないし、乱暴に扱えば刃毀れをおこし、刀身は歪み痛んでいく。 まして、力任せに壁や地面に叩き付けられ続けた刀はどうなるか――
キィンッという余韻を残し、ワニの刀は根元近くで両断された。度重なる酷使に、もう耐えられなくなってたんだ。斬り飛ばされた刀身が宙を舞う。
やったぜ!あとはトンズラするだけだい。
「舐めるなぁああ!!」
森を震わす咆哮と共に、喜色に緩んだオイラの身体を灼熱が貫いた。どういうわけか、右腕を突き出したワニの姿がどんどん遠ざかっていく。背中を幹に打ち付けられて、ようやく自分が弾き飛ばされたのだと理解する。
灼熱が去り、オイラの身体を激痛と虚脱感が襲った。オイラの腹は、折れたワニの刀に深々と貫かれていた。
傷口から溢れ出る血が服を赤黒く変色させ、下草に不気味な彩を加えていく。口腔を鉄の香が満たした。
霞み始めた視界に、ワニが刀を拾うのが見える。オイラは……電光丸を手離しちまったらしい。ちくしょう。これじゃ、振り出しに戻っただけじゃねえか……。
どうにかしねえと……。でも、もう自分の身体は動かせそうになかった。自分の呼吸が段々と浅くなっていく感覚に、今まで感じたことのない恐怖が沸き起こってオイラを蝕んでいく。
……冗談じゃねえ!このまま、何もせず終わってどうするよ。まだ、腕はかろうじて動く。まだ……動くんだ。
オイラの手が印を結んだ。そして、それをゆっくりと掲げる。射線上には、去って行く大きな背中――その背中が、かつて戦った大熊と被る。
しっかりしろよ、タヌ太郎。必要なときに必要なことができないんじゃ、どんな力を持っていても、ただ余計なだけじゃねえか。まん丸たちとの旅を、ネンガ様の修行を……無意味にして堪るか!
オイラは眠ろうとする身体を奮い立たせ、意識を集中する。印堂から生まれた念が、丹田へと集まっていく様を強く描いた。蓄積された意念は血管を巡って、ついには指先へと至る――指先で純白の光が大きく膨れ上がっていく。
もう何も聞こえねえ。もうあの野郎しか見えてねえ。想いは唯一つ――あいつにまん丸もツネ次郎もイギーも、傷つけなんかさせるかよぉ!
だから――
クロコダインは只ならぬ気配を感じて後ろを振り向いた。だが、振り向いた先の風景に変わった点はない。子狸の遺骸も、墓標の如く大地に突き刺さった白刃も、最後に見たときのままである。気のせいかと、クロコダインは首をかしげた。
ふと、彼の大きな手が頬に触れた。紅い鱗が数枚剥がれている。
それを撫でるクロコダインの顔には満足げな笑みが浮かんでいた。怒りの色はもう微塵も残っていない。あるのは素直な賞賛だ。
彼と刃を交えた二匹の魔物――死を目前にしても闘志を失わなかった犬の魔物と、知恵と勇気を駆使して自分の武器を砕いた狸の魔物。これほどの気骨を持つ獣は、自分の配下にもそういないだろう。実に見上げた魔物たちだ。
この殺し合いに呼ばれた魔物たちは、皆このような武人ばかりなのだろうか。あの子狸からして、殺すには惜しい男だった。
だとすれば、今の状況が非常に恨めしい。ここには血沸き肉踊る闘争があるというのに、自分はそれに興じることが出来ない。
彼には時間がなかった。ここにいる全ての獣たちを可能な限り迅速に鏖殺し、キュウビという魔王の儀式を終わらせなければならない。魔軍司令の信頼を裏切る訳にはいかないのだ。
だが、そのためには致命的な問題があった。クロコダインの目は、前方の己が起こした破壊の痕を捉える。旋風が驀進したかのように、へし折れた木々と抉られた地面が道のように続いていた。まさに天災そのものだ。しかし、彼の目には不服の色がある。
本来、彼が暴れればこんな程度では済まないのだ。そこから得られる結論はひとつしかない。
(オレの力が抑えられている……)
あの魔王の仕業に違いない。
そうなると、目的を果たすことは少し困難となるかもしれなかった。先の闘いでも、危ない場面はあったのだ。
クロコダインの手が、纏ったマントを触れた。さらりと、衣擦れの音が返ってくる。
もし、このマントがなければ召還獣に手傷を負わされていただろう。あの子狸も、最初から自分を殺すつもりで間合いに踏み込んできたのなら、違う結果となったかもしれない。
力を封印された身で50匹近い魔物を相手にするのは蛮勇を通り越して、ただの無謀でしかない。
クロコダインは狸から奪った細身の剣を見て、小さく嘆息した。
動かせる手駒と、もっとまともな武器が必要だ。
クロコダインは身を翻し、自分が向かう先を見定めた。バサリと音を立てて、マントが夜陰に躍る。
【C-1/廃村/1日目/深夜】
【イギー@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:全身打撲(中)、疲労(中)、精神的疲労(小)、少々自暴自棄
[装備]:腕時計
[道具]:支給品一式(食糧:ドライフード)、犬笛、世界の民話
[思考]
基本:面倒なので殺し合いには乗らない。
0:体を休めて、体力の回復に専念する。
1:マンマルとツネジローに会ったら、タヌタローの言伝を伝える。
2:チャンスがあればワニ(クロコダイン)を殺す。
[備考]
※イギーの参戦時期はペット・ショップとの戦闘で、下水道に逃げ込む前後です。
※スタンドの制限に少し気づきました。
※タヌ太郎に少し心を許しました。
【C-2/南部の森/1日目/深夜】
【クロコダイン@ダイの大冒険】
[状態]:健康。
[装備]:電光丸(倍率×1000)@大神、王者のマント@ドラゴンクエストⅤ、クロコダインの鎧
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:全参加者の殺害
1:もっと大きな武器と手駒が欲しい。
2:許されるなら戦いを楽しみたい。
最終:キュウビの儀式を終わらせ、任務に戻る。
[備考]
※クロコダインの参戦時期はハドラーの命を受けてダイを殺しに向かうところからです。
※行先は不明です。廃村に戻るかもしれませんし、別の方角へ向かうかもしれません。
※参加者は全員獣型の魔物だと思っています。
※キュウビを、バーンとは別の勢力の大魔王だと考えています。
※身体能力の制限に気づきました。
[備考]
※C-1の廃村に手裏剣(ゴム製)×9@忍ペンまん丸が散らばっています。
※廃村の数棟が倒壊しました。その音がエリア全体に響いた可能性があります。
※C-2の南部に手裏剣(金属製)×1@忍ペンまん丸、タヌ太郎のデイバッグと支給品一式、トウカの日本刀@うたわれるものの刀身が落ちています。
デイバッグにまだ不明支給品が残っているかは、以降の書き手さんにお任せいたします。
※廃村からC-2の南部にまで、クロコダインが斬り倒した樹木や抉られた痕が道のように残っています。
【犬笛】
吹くとエリア全体と周辺のエリアの一部にまで響き渡ります。
吹くことで簡単な意思を伝えることができます。耳のよい動物なら、更に遠くからでも聞こえるかもしれません。
【世界の民話】
あらゆる世界の民話・伝説が収録された分厚い本。動物によっては、ただの伝説とは思えない話があるかもしれません。
これで殴られると非常に痛いです。
【電光丸(倍率×1000)@大神】
旅絵師のイッスンが持つ名刀で、柄に毛筆が付いています。禍を呼び込むという、幽門扉を開けることができます。
【王者のマント@ドラゴンクエストⅤ】
耐刃性、耐魔法性、耐炎性、耐氷性に非常に優れた、丈夫で大きな最高級のマントです。
&color(red){【タヌ太郎@忍ペンまん丸 死亡】}
※死体はC-2の南部に転がっています。
&color(red){[残り 46匹]}
*時系列順で読む
Back:[[動物アドベンチャー]] Next:[[シロとケットシーの偽典・黙示録だゾ]]
*投下順で読む
Back:[[動物アドベンチャー]] Next:[[シロとケットシーの偽典・黙示録だゾ]]
|&color(cyan){GAME START}|イギー|032:[[現場は木造平屋建て]]|
|&color(cyan){GAME START}|クロコダイン|026:[[Train Train Runnin']]|
|&color(cyan){GAME START}|&color(red){タヌ太郎}|&color(red){死亡}|
*始の忍法帖 ◆TPKO6O3QOM
ようやく暗闇が晴れたら、おれの目の前には森が広がっていた。これが瞬間移動って奴なんだろうな。ニッポン風の建物の影も形もねえ。
この森は人の手が入った人工林らしい。木の種類が少なくて、林床の植生も豊かじゃない。明月の中に並び立つ木々の影が巨大な墓標に見えてくる。
まったくロクなことがないぜ。人間たちに無理やりエジプトに連れてこられるわ、見捨てりゃ良かったガキ助けたせいでスタンド使いの鳥野郎に襲われるわ……そしたら、今度は殺し合え、だぁ?そんな面倒なこと、誰がするかよ。第一、あの狐野郎の望みどおりに動くことが気に喰わねえ。
おれはただ、平和でそこそこ楽しい生活送りたいってだけなのによ、やたらと厄介ごとが舞い込んできやがる。人間によると、運命ってのはカミサマが決めるらしい。もしそいつに会ったら、ボコボコにした後で、髪毟って顔に屁ぇかましてやる。嵌められた首輪の感触が、おれを更に苛々させた。
ただ、ここに来てひとついいことがある。鳥公にボロボロにされたおれの肉球が元に戻っていることだ。感謝する気はねえけどな。
おれよりも背の高い草を掻き分けて進むと、目の前に人間の集落が現れた。
だからって活気も何もねえ。家の壁には蔓草が蛇のように絡み、所々欠けている。窓から見える屋根に穴が空いている家もあった。人が居なくなって久しいようだ。模範のようなゴーストタウンだぜ。涼しい夜風が家々の間をすり抜け、物寂しげな声を上げている。
愚かな人間なら、バケモノの声と勘違いするかも知れねえな。
勿論、賢いおれはそんなもんがいないことを百も承知だから、ゴーストタウンを悠然と歩いていった。
しばらくして、ある家からガタガタという物音が聞こえてきた。風の仕業かとも思ったが、音の間隔も強弱もバラバラなことから何かが中で動いていることが分かる。何より、風の中に獣の臭いが混じっている。
さあて、接触すべきかどうか。無視してもいいんだが、もし相手が人間みたいに手先の器用なやつだったら少しばかりやってもらいことがあった。おれの背中に不愉快な重みを伝えてくる小さなデイバッグ、こいつにはご丁寧におれの腹の前にも留め具があって、外すに外せない。あの狐野郎がおれに何をくれやがったのか、少し興味があった。
先客が襲ってきたらどうする?そりゃ、向こうさんには不幸なことだ。なんせ、これから痛い目に遭うんだからな。
「よぉ!居るのは分かってるぜ。おれは殺し合いには乗ってねえ。だから安心しな」
半開きだった玄関から堂々と入って、俺は声を張り上げた。こっそり行く必要がおれにはない。どこに居るのかも、鼻で分かってる。まあ、それ以前に一番奥の扉から光が洩れてたり、廊下の埃の上に足跡が残ってたりするんだけどな……。
閉まりきってない扉を足で開ける。扉の向こうはリビングのようだった。丸いテーブルに幾つかの椅子しか置かれていない、簡素なもんだ。大きな窓に掛けられた薄いカーテンを通して月の光が部屋に注いでいる。先客はその椅子に座り、ぽかんと口をあけておれを見ていた。
テーブルの上に置かれたランタンがそいつの姿を鮮明に浮かび上がらせる。そいつはずんぐりとした体形を濃い茶色の体毛で包み、両目の周囲は黒い毛が大きな円を描いていた。
「なんだ、アライグマか」
「タヌキだーっ!!」
おれが呟くと、そいつは弾かれたように椅子から飛び降りて叫んだ。どっちも似たようなもんだと俺は思うんだが、そいつには重要なことらしい。大体、タヌキ(ラクーン・ドッグ)と呼ぶ時点で、優先順位的にはアライグマが先だろ。そもそも二足歩行して、人間みてえな服着てる方が問題だ。野性はねえのか?
ま、これから物を頼むんだ。そんなことは気にしないでおいてやるよ。
「そうかよ。そいつは悪かったな。でな、タヌ公。突然だが、ちょっと頼みがあるんだよ」
そうやっておれは切り出した。おれの頼みに、タヌキはぶつくさ言いながらも、意外と素直に従ってくれる。お人よしだな、こいつ。
デイバッグを外し、そして中身をタヌキが取り出していく。地図やら名簿やら、あんまりおれの興味を引かないものが出てくる。一応、名簿に目を通すが知った名前はない。しかし、変な名前が多いな。特におれの真下にあるペット・ショップなんざ傑作だ。恥ずかしくて、おれなら死ぬな。
少しばかり興味があったのは食料だが、内容は不味そうなドライフードで、おれの大好きなコーヒーガムは入っていないようだ。
ここまではタヌキも似たような内容だったらしい。
バッグに突っ込んだタヌキの手が金属の筒を取り出した。どうやら犬笛のようだ。……おれに吹けってのかよ?
次に「世界の民話」という子供向けの分厚い説話集が出てきた。フェアリーテイルなんか興味ねえよ。
そんだけの代物なんだが、ひとつ問題があった。こいつはおれのデイバッグよりも大きいんだ。絶対に入らねえ。
そいつを告げると、タヌキは小馬鹿にしたように笑った。やつは椅子に飛び乗り、テーブルの上から何かを両手で持ち上げる。どうやら、テーブルの上に自分の支給品を広げていたようだ。
タヌキが持ち上げたのは、刃渡り35インチ近くもある長剣だった。サムライが佩いていそうな、反りの入った細身の剣だ。デンコーマルという銘らしい。
長剣が入るぐらいなんだから、本ぐらい問題ないと言いたいのだろう。このバッグがどんな構造しているのかまでは考えが回らないようだ。
もっとも、この事態が常識じゃありえねえんだ。こいつみたいに何でも入る便利なカバンと思っていた方が利口かもしれねえ。
おれに渡された支給品はこれで全部のようだ。期待外れもいい所だな。
支給品は全部入れなおしてもらい、おれはデイバッグを背負い直した。いつ何が必要になるかは、流石のおれにも分からないからな。念のためだ。ちなみに、時計はおれの左前脚に巻かれている。時計は絶対必要になると、タヌキが頑として譲らなかったのだ。
……なぜか文字を読めるようになっていることに関しては、気にしないことにした。
さてと、用は済んだし行くか。
「お、おい!ひとりで行く気かよ!?」
礼を言って出て行こうとしたおれをタヌキが引き留めた。妙に慌ててやがる。おれが一緒に行くもんだと思っていたらしい。
残念だが、群れる趣味はねえよ。
「足手まといを連れていくなんざ、ごめんだぜ」
突き放したおれの言葉に、タヌキのこめかみが青筋を立てた。肩がぷるぷると震え、地団駄を踏みながら吼える。
「こ、こンの犬っころ!心配してやったってのに!!忍者のオイラが足手まといってか!?」
ニンジャ?ニッポンじゃ動物もニンジャになれんのか。こいつは驚きだ。
「へえ。じゃ、ニンポーとか使えんのか?」
そう言ったおれに、タヌキはニヤリと自信たっぷりに笑った。
「勿論だい。タヌ太郎さまの忍法を見せてやるぜ」
そういうや否や、タヌキ――いや、タヌタローは近場に落ちていた自分のデイバッグを指差した。
「タヌ太郎忍法真空転の術ー!」
奴が叫ぶと、触れても居ないのにデイバッグがころりとひっくり返りやがった。念力だろうか。ニンジャというのは嘘ではないらしい。タヌタローがどんなもんだと胸を張る。
「ほー。……で?」
「………………」
すこし興味を引かれ、先を促した俺の言葉に、タヌタローは胸を張ったまま固まってしまった。もしかして……これだけなのか?
半眼のおれに気づき、タヌタローは慌てて平手を横に振る。
「まてまて。取って置きを見せてやらあ!」
おれから4ヤードほど離れてから、タヌタローは人差し指以外の指を組んで前に突き出した。両手で拳銃の形を作っていると言えば分かりやすいだろう。
コォォオオ……と、奴が呼吸を整える音が部屋に響く。部屋全体の空気が弾けんばかりに緊張しているように感じられるのはおれの錯覚だろうか。
鋭い呼気の音が止まり、言霊が爆発するように奴の口から飛び出した。
「念雅流忍法!手印、念!!」
突き出した指先に宿った小さな光が一気に膨れ上がる――
「………………おい、うんこタヌキ」
おれはぼそりと呟いた。タヌタローがぴしりと音を立ててたじろぐ。奴の指からは兎の糞のようなものがぽろぽろと毀れ出ていた。
少しでも期待したおれが愚かだったぜ。思わずスタンドを見せてやりたくなったが、止めた。なんせ、こいつにゃ視えないんだからな。
おれはへっと嘲笑い、タヌタローに背を向けた。だが、また奴の制止の声が掛かる。
うんざりして振り返ったおれの目の前に、タヌタローの真面目な顔があった。こいつ、いつのまに?
「おまえの頼みを聞いてやったよな?今度はおまえがオイラの頼みを聞く番だぜ」
タヌタローが当然のことのように言う。
あのな、おれがおまえの頼みを聞いてやる必要は別にねえんだぞ?そんな約束はしてねえからな。だがまあ、奴の言っていることも一理あるか。
「内容によるぞ。始めに言っておくが、一緒に行くってのはナシだ」
分かってるよ。とタヌタローは口を尖らせた。
「伝言を頼みてえんだよ。オイラの仲間で、まん丸とツネ次郎って奴がいるんだ。そいつらに会えたらでいいからさ」
「……まあ、いいぜ。で、内容は?」
「E‐4のサッカー場へ6時に集合。こう伝えてくれ。まん丸は青い羽毛のペンギンで、ツネ次郎はキツネだ。二人とも、オイラと同じ印堂帯をしてる」
タヌタローは、自分の額にある図式化された笑顔のアクセサリーが付いたヘアバンドを指した。
おれは奴の頼みを了承してやった。聞くだけならタダだからな。
「頼むぜ。えーと……そういや、おまえ、名前はなんてんだ?」
「イギーだ」
ニューヨーク最強の野良犬だと、胸中で付け加える。
と、おれの耳が異常な音を捉えた。
なにか言いかけたタヌタローを、しっと口に足を当てて遮る。
重戦車のように重い何かが、一直線にこっちへ向かってくる。そういや、ランタンが点いたままだった。窓から灯りが漏れてたに違いねえ。
タヌタローの耳も音を捉えていたらしい。急いでテーブルの上に散乱した支給品をデイバッグに詰め込んだ。って、ランタンまで仕舞うな!気付きましたと言ってる様なもんだろ!?
ダンッと地を蹴る音。しばしの深閑の後――轟音と共に、家の壁が粉砕された。
爆発した空気の渦の中で舞い散る埃と木片の中から現れたのは、マントと鎧を着込んだ二足歩行の大ワニだった。衝撃に舞い上がった大きなマントが月明かりを遮る。ったくよ、どいつもこいつも野性を失くした奴らばかりだぜ。
ただ、おれの直感がこいつはヤバイと警鐘を鳴らしている。奴が握っている剣――タヌタローが持っていた剣とほとんど同じものだ。なのに、それがレイピアに見えやがる。それほどの巨体だ。しかも、その剣で壁を紙くずみてえに薙ぎ払った腕力の凄まじさ。そして何よりも、こいつは殺し合いに乗ってる。ワニの双眼が血を求めて獰猛に光った。
「タヌ公!二手に分かれるぞ!!」
おれはそう叫び、駆け出した。同じ方向に逃げてこられちゃかなわねえ。タヌタローがおれとは反対歩行に跳んだ音をおれの耳が拾う。
よし!
おれは細い裏道を走りながら、愚者(ザ・フール)を呼び出した。何もない空間から砂が生まれ、おれと帆走するように、機械仕掛けの獣の姿が構築されていく。だが、発現がいつもよりも少しばかり遅いような気がする。
とにかく、こいつで空に逃げれば――
「――おまえ、面白い魔法を使うな」
後ろで厳格な声が聞こえた。くそっ!よりによっておれを追ってきやがった。ワニは剣で周りの家の壁を破壊しながら突進して来ている。しかもこのワニ、おれのスタンドが見えてやがる!こいつもスタンド使いなのか!?
おれは愚者(ザ・フール)に急停止を掛け、ワニを迎撃させる。愚者(ザ・フール)に向かって、ワニの剣が振り下ろされた。だが、ワニの打ち降ろしは地面を大きく抉っただけだ。その軌跡の上に、霧のようになった愚者(ザ・フール)が漂う。ワニの眼に驚愕の色が混じる。
おれのスタンドは砂だ。なまくらの一撃なんざ、痛くもねえよ。
愚者(ザ・フール)の再構築された前足がワニへと向かって薄刃のように閃いた。ワニの左腕がマントをひっつかみ、振り翳す。愚者の前に紫紺の緞帳が翻った。マヌケめ。布っきれで防げるかよ?
おれはせせら笑った。ワニが血を撒き散らして斃れる様が目に浮かぶ。
しかし、おれの予想は裏切られることとなった。愚者(ザ・フール)の前足はマントに弾かれ、その表面を滑っていく。削られた繊維が数本、宙に舞った。チクショウ!ただの布じゃねえのか!
おれは止めかけていた足に鞭を打ち、加速した。だがワニの踏み込みが、稼いだ距離をゼロにする。
ズダンという破裂音がしたと思えば、振り返ったおれの眼前に白刃が迫っていた。
おれは前方に大きく跳んだ。空中で身を翻らせ、斬撃をやりすごす。巻き起こる剣風が毛を撫で切って行きそうだ。とにかく回避に成功して安堵したおれの目を、迫る現実が見開かせた。ワニはそこから更に左足で踏み込んだのだ。空気そのものを破砕するように振るわれた左腕が、空中のおれを弾き飛ばす。
おれは成す術もなく、30フィートほど吹っ飛んで壁に叩きつけられた。跳びながら愚者(ザ・フール)を解除し、背面に構築してクッションにしていなければ死んでいた。それでも吐き気を催すような衝撃が身体を駆け巡る。おれの喉を熱いものが焼いた。
跳ね返ったおれは地面へと落下する。体中が酷く痛む。内も外もだ。
ワニはゆっくりとおれに近づいてくる。今の状態で逃げても、二、三歩の内に斬り捨てられるのが関の山だ。
潔く運命を受け入れるか?……ふざけんな。徹底的に足掻いてやるぜ。近づくに死神には唾を吐きかけて追い返してやる!おれは全身の殺気を視線に集め、奴を睨み付けた。
ワニの口角が上に吊り上げられる。嗤ってやがる……。
ワニの右腕が振り上げられた。月明を浴びて、刀身が蒼くきらめく――
「――念っ!!」
夜気を切り裂くような言葉が響いた。おれの目には、月輪の中で踊るタヌキが映っていた。
「――念っ!!」
オイラの叫びと共に、鎧ワニに向かって指から粘々したどす黒い液体が迸った。なんでこう、ズバッと格好いいのが出ねえんだろ。
オイラの意念を被ったワニが吼えた。見やれば、粘々が顔にかかってワニの視界を封じている。ワニは左手でそれを払おうともがいていた。
………………これぞ、タヌ太郎忍法目潰し粘液の術!
イギーはその隙に、オイラの方にヨタヨタと駆けて来た。満身創痍もいいとこだ。オイラは明後日の方向を向いて声を上げる。
「イギー!今だ!!温泉で落ち合おうや!」
勿論嘘だ。騙せるとは思ってねえが、それでもワニに選択肢を増やして撹乱できる。
すれ違いざま、イギーは何故か呆れたようにオイラを見て、破壊された家の影に身をすべり込ませた。
あの野郎……オイラをバカだと思ってやがんな。
……まあ、確かにな。わざわざ戻ってくるなんざ、ほんと、我ながらバカだと思うぜ。
でもよ、ただの犬に強敵を押し付けて、オイラだけ逃げるわけにはいかねえだろ?ネンガ様に叱られちまうし、まん丸たちにも顔向けできねえよ。
それによ。あの犬は確かに、口も性格も悪いし横暴だし悪辣で凶悪な顔をしているよ……でもな、あいつはお人よしなのさ。だってな、悪党かもしれないオイラの頼みを聞いてくれたんだぜ?そんなお人よしをさ、放ってはおけねえよなあ!
とにかく、イギーは隠れたんだ。あとはこのワニを、ここから出来るだけ引き離すだけさ。
「やーい粘々ワニ!心臓が右心房と左心房分かれきってねえぞワニ!日光浴しねえと動けねえぞワニ!気温で性別変わるぞワニ!変温動物のくせに二足歩行すんなワニならワニらしく川辺で蝶々を鼻に留まらせてろー!!」
ようやく視界を取り戻したワニに、オイラは思いつくだけの罵倒を浴びせた。さらに手裏剣を次々と投げつける。ちなみにゴム製で、当たっても怪我しない安全仕様だ。バカにするには充分さ。現にワニの目が屈辱で血走ってやがる。
「財布にでもなってろ。444倍バカ!!」
そう言い捨て、オイラは脱兎の如く駆け出した。
傾きかけたお月様を横目にオイラは森を駆け抜ける。後ろからは重機みてえな音が追い掛けてくる。差は広がらないどころか、どんどん詰まってきているようだ。
断っておくが、オイラはまだ全力で走ってない。それでもワニの足は予想以上に速い。斬り倒される木々の悲鳴が森に木霊する。
オイラが全力で走らない理由は二つある。一つはオイラを追い掛けさせるため。完全に撒いちまったら、ワニは廃村に戻っちまうかもしれない。もう一つは、あいつを迎え撃つ準備をするためだ。
やっつけるなんて言わねえよ。オイラとワニじゃ、チワワがオオカミに襲い掛かるようなもんだ。でもな、だからって何もしないわけにゃいかないだろ?あいつは殺し合いに乗ってる。つまり、まん丸やツネ次郎を襲うかもしれねえってことだ。だからせめて、あいつの得物を壊す。やれることはやらなくちゃ、な。
オイラは左手に持ったデイバッグのチャックを少し開け、その隙間から刀を途中まで引っ張り出し、鯉口を切る。このカバンは一部でも中に入っている限り、物の重さはゼロに等しくなるんだ。
オイラは左足を軸にして背後に向き直る。意外な行動に驚いたワニに向かって、オイラは最後の手裏剣を投げつけた――ゴム製ではなく、本物の。
回避行動を怠ったワニの頬を手裏剣が削る。それを目に留めながら、オイラは奴に向かって疾走した。右手は既に刀の柄を掴んでいる。ワニが怒りに燃えた声で吼え、刀を大きく振り上げた。
やっぱりな。オイラは胸の中でガッツポーズをした。
イギーを助けに向かったとき、短い間だがワニの太刀捌きを見てたんだ。あいつの斬撃は打ち下ろしか薙ぎ払いの二つしかしなかった。おそらく、ワニの得意とする得物は斧や槌みたいな重量級の武器なんだろう。
その癖が抜けてねえ。しかも、激昂してるせいでモーションが大きくなってる。それだけ、攻撃の出所は読み易くなるってもんさ。
オイラは呼吸を半分ずらして、身体を滑らせた。左手はデイバッグから、葉に覆われた鞘に移っている。オイラのすぐ目の前で、振り下ろされた刀が地面を陥没させた。地鳴りと爆風にオイラの肌が粟立つ。砕け散った土塊がオイラの頬を掠めていった。
――今だ。
滑り込ませた右足が力強く大地を踏み締めた。右手が流れるような手付きで刀を一息に振り抜く。鞘走りの甲高い音が森に響いた。目の端に、吹っ飛んでいくデイバッグが映る。右腕に、今までゼロだった刀の重量が一気にかかった。その負荷に筋肉が悲鳴を上げる。
オイラは我知らず叫んでいた。他人事のような気分でその聲を聞く。手の中の霜刃は半月を描き、ワニの刀の横っ腹に吸い込まれていった。
日本刀は非常にデリケートな武器だ。刃筋を立てなきゃ満足に斬れないし、乱暴に扱えば刃毀れをおこし、刀身は歪み痛んでいく。 まして、力任せに壁や地面に叩き付けられ続けた刀はどうなるか――
キィンッという余韻を残し、ワニの刀は根元近くで両断された。度重なる酷使に、もう耐えられなくなってたんだ。斬り飛ばされた刀身が宙を舞う。
やったぜ!あとはトンズラするだけだい。
「舐めるなぁああ!!」
森を震わす咆哮と共に、喜色に緩んだオイラの身体を灼熱が貫いた。どういうわけか、右腕を突き出したワニの姿がどんどん遠ざかっていく。背中を幹に打ち付けられて、ようやく自分が弾き飛ばされたのだと理解する。
灼熱が去り、オイラの身体を激痛と虚脱感が襲った。オイラの腹は、折れたワニの刀に深々と貫かれていた。
傷口から溢れ出る血が服を赤黒く変色させ、下草に不気味な彩を加えていく。口腔を鉄の香が満たした。
霞み始めた視界に、ワニが刀を拾うのが見える。オイラは……電光丸を手離しちまったらしい。ちくしょう。これじゃ、振り出しに戻っただけじゃねえか……。
どうにかしねえと……。でも、もう自分の身体は動かせそうになかった。自分の呼吸が段々と浅くなっていく感覚に、今まで感じたことのない恐怖が沸き起こってオイラを蝕んでいく。
……冗談じゃねえ!このまま、何もせず終わってどうするよ。まだ、腕はかろうじて動く。まだ……動くんだ。
オイラの手が印を結んだ。そして、それをゆっくりと掲げる。射線上には、去って行く大きな背中――その背中が、かつて戦った大熊と被る。
しっかりしろよ、タヌ太郎。必要なときに必要なことができないんじゃ、どんな力を持っていても、ただ余計なだけじゃねえか。まん丸たちとの旅を、ネンガ様の修行を……無意味にして堪るか!
オイラは眠ろうとする身体を奮い立たせ、意識を集中する。印堂から生まれた念が、丹田へと集まっていく様を強く描いた。蓄積された意念は血管を巡って、ついには指先へと至る――指先で純白の光が大きく膨れ上がっていく。
もう何も聞こえねえ。もうあの野郎しか見えてねえ。想いは唯一つ――あいつにまん丸もツネ次郎もイギーも、傷つけなんかさせるかよぉ!
だから――
クロコダインは只ならぬ気配を感じて後ろを振り向いた。だが、振り向いた先の風景に変わった点はない。子狸の遺骸も、墓標の如く大地に突き刺さった白刃も、最後に見たときのままである。気のせいかと、クロコダインは首をかしげた。
ふと、彼の大きな手が頬に触れた。紅い鱗が数枚剥がれている。
それを撫でるクロコダインの顔には満足げな笑みが浮かんでいた。怒りの色はもう微塵も残っていない。あるのは素直な賞賛だ。
彼と刃を交えた二匹の魔物――死を目前にしても闘志を失わなかった犬の魔物と、知恵と勇気を駆使して自分の武器を砕いた狸の魔物。これほどの気骨を持つ獣は、自分の配下にもそういないだろう。実に見上げた魔物たちだ。
この殺し合いに呼ばれた魔物たちは、皆このような武人ばかりなのだろうか。あの子狸からして、殺すには惜しい男だった。
だとすれば、今の状況が非常に恨めしい。ここには血沸き肉踊る闘争があるというのに、自分はそれに興じることが出来ない。
彼には時間がなかった。ここにいる全ての獣たちを可能な限り迅速に鏖殺し、キュウビという魔王の儀式を終わらせなければならない。魔軍司令の信頼を裏切る訳にはいかないのだ。
だが、そのためには致命的な問題があった。クロコダインの目は、前方の己が起こした破壊の痕を捉える。旋風が驀進したかのように、へし折れた木々と抉られた地面が道のように続いていた。まさに天災そのものだ。しかし、彼の目には不服の色がある。
本来、彼が暴れればこんな程度では済まないのだ。そこから得られる結論はひとつしかない。
(オレの力が抑えられている……)
あの魔王の仕業に違いない。
そうなると、目的を果たすことは少し困難となるかもしれなかった。先の闘いでも、危ない場面はあったのだ。
クロコダインの手が、纏ったマントを触れた。さらりと、衣擦れの音が返ってくる。
もし、このマントがなければ召還獣に手傷を負わされていただろう。あの子狸も、最初から自分を殺すつもりで間合いに踏み込んできたのなら、違う結果となったかもしれない。
力を封印された身で50匹近い魔物を相手にするのは蛮勇を通り越して、ただの無謀でしかない。
クロコダインは狸から奪った細身の剣を見て、小さく嘆息した。
動かせる手駒と、もっとまともな武器が必要だ。
クロコダインは身を翻し、自分が向かう先を見定めた。バサリと音を立てて、マントが夜陰に躍る。
【C-1/廃村/1日目/深夜】
【イギー@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:全身打撲(中)、疲労(中)、精神的疲労(小)、少々自暴自棄
[装備]:腕時計
[道具]:支給品一式(食糧:ドライフード)、犬笛、世界の民話
[思考]
基本:面倒なので殺し合いには乗らない。
0:体を休めて、体力の回復に専念する。
1:マンマルとツネジローに会ったら、タヌタローの言伝を伝える。
2:チャンスがあればワニ(クロコダイン)を殺す。
[備考]
※イギーの参戦時期はペット・ショップとの戦闘で、下水道に逃げ込む前後です。
※スタンドの制限に少し気づきました。
※タヌ太郎に少し心を許しました。
【C-2/南部の森/1日目/深夜】
【クロコダイン@ダイの大冒険】
[状態]:健康。
[装備]:電光丸(倍率×1000)@大神、王者のマント@ドラゴンクエストⅤ、クロコダインの鎧
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:全参加者の殺害
1:もっと大きな武器と手駒が欲しい。
2:許されるなら戦いを楽しみたい。
最終:キュウビの儀式を終わらせ、任務に戻る。
[備考]
※クロコダインの参戦時期はハドラーの命を受けてダイを殺しに向かうところからです。
※行先は不明です。廃村に戻るかもしれませんし、別の方角へ向かうかもしれません。
※参加者は全員獣型の魔物だと思っています。
※キュウビを、バーンとは別の勢力の大魔王だと考えています。
※身体能力の制限に気づきました。
[備考]
※C-1の廃村に手裏剣(ゴム製)×9@忍ペンまん丸が散らばっています。
※廃村の数棟が倒壊しました。その音がエリア全体に響いた可能性があります。
※C-2の南部に手裏剣(金属製)×1@忍ペンまん丸、タヌ太郎のデイバッグと支給品一式、トウカの日本刀@うたわれるものの刀身が落ちています。
デイバッグにまだ不明支給品が残っているかは、以降の書き手さんにお任せいたします。
※廃村からC-2の南部にまで、クロコダインが斬り倒した樹木や抉られた痕が道のように残っています。
【犬笛】
吹くとエリア全体と周辺のエリアの一部にまで響き渡ります。
吹くことで簡単な意思を伝えることができます。耳のよい動物なら、更に遠くからでも聞こえるかもしれません。
【世界の民話】
あらゆる世界の民話・伝説が収録された分厚い本。動物によっては、ただの伝説とは思えない話があるかもしれません。
これで殴られると非常に痛いです。
【電光丸(倍率×1000)@大神】
旅絵師のイッスンが持つ名刀で、柄に毛筆が付いています。禍を呼び込むという、幽門扉を開けることができます。
【王者のマント@ドラゴンクエストⅤ】
耐刃性、耐魔法性、耐炎性、耐氷性に非常に優れた、丈夫で大きな最高級のマントです。
&color(red){【タヌ太郎@忍ペンまん丸 死亡】}
※死体はC-2の南部に転がっています。
&color(red){[残り 46匹]}
*時系列順で読む
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*投下順で読む
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|&color(cyan){GAME START}|イギー|032:[[現場は木造平屋建て]]|
|&color(cyan){GAME START}|クロコダイン|026:[[Train Train Runnin']]|
|&color(cyan){GAME START}|&color(red){タヌ太郎}|&color(red){死亡}|
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