現場は木造平屋建て ◆1eZNmJGbgM
ここはB-1、キュウビ温泉。歴史と格式を醸し出す佇まいを感じさせる正門。
その入口に一匹のボストンテリアがいた。イギーと言う名の、NY最強の野良犬である。
先程、二足歩行の大赤ワニ――彼は知らぬが名をクロコダインと言う――に襲撃を受け、その際に
別れたタヌ太郎と言うタヌキの忍者との約束通り、こうしてこの地へやって来たのである。
その入口に一匹のボストンテリアがいた。イギーと言う名の、NY最強の野良犬である。
先程、二足歩行の大赤ワニ――彼は知らぬが名をクロコダインと言う――に襲撃を受け、その際に
別れたタヌ太郎と言うタヌキの忍者との約束通り、こうしてこの地へやって来たのである。
「あのワニ野郎を撒けるとも思えねえが、アイツがテメエで言った以上来てみたけどよ……ったく、
こんな匂いじゃ鼻がダメになっちまうぜ」
こんな匂いじゃ鼻がダメになっちまうぜ」
温泉地に相応しく、一帯には硫黄の臭いが立ち込めていた。日本出身ではないイギーにとって、この
臭いを珍重する理由なぞ無い。犬が五感で人間より優れているうちの一つ、嗅覚が全く発揮できないのだ。
しかし建物の中を調べないわけにもいかず、不愉快な臭いを我慢しながら飛石伝いに中へと侵入する。
入り口とは違い、建物自体は簡素な造りだった。いわゆる脱衣所である。
臭いを珍重する理由なぞ無い。犬が五感で人間より優れているうちの一つ、嗅覚が全く発揮できないのだ。
しかし建物の中を調べないわけにもいかず、不愉快な臭いを我慢しながら飛石伝いに中へと侵入する。
入り口とは違い、建物自体は簡素な造りだった。いわゆる脱衣所である。
両側の木製の棚に籐籠が四つずつ。
洗面所に大きな鏡。
異常に巨大な体重計。
ご丁寧に扇風機と、誰が使えるのか知らないがドライヤーまである。
温泉への入り口の脇には看板が。効能の説明のようだ。曰く、
洗面所に大きな鏡。
異常に巨大な体重計。
ご丁寧に扇風機と、誰が使えるのか知らないがドライヤーまである。
温泉への入り口の脇には看板が。効能の説明のようだ。曰く、
- 打ち身
- 切り傷
- 疲労回復 とのこと。
「やる気あんのか、あの化けギツネは……?」
溜息を混ぜながらイギーが呟く。それもそのはず、殺し合いをしろと言っておきながらこんな施設を設置
しておくのはどう考えても矛盾している。それともこの場所でなら全力を出せる参加者がいるとでも言うのか?
しておくのはどう考えても矛盾している。それともこの場所でなら全力を出せる参加者がいるとでも言うのか?
「まあそれよりも…戸が開いているな……」
戸が開いているという事は、中に何者かがいるということだ。そして中の環境は湯気の立ちこめる岩場。しかも鼻が利かないため様子も窺えない。
さらに彼のスタンド、ザ・フールは砂のスタンド。相性と言う点では最悪に近い。普段なら君子危うきに近寄らずといった所になるのだが、
さらに彼のスタンド、ザ・フールは砂のスタンド。相性と言う点では最悪に近い。普段なら君子危うきに近寄らずといった所になるのだが、
「あのヤローなら何食わぬ顔して温泉に入っていてもおかしくないよな、仕方ねえ入ってみるか……」
そう言って警戒しながらも歩を進めていく。なんだかんだ言っても受けた恩は忘れないといったところか。
そして湯船に近づいたイギーが見たものとは……
そして湯船に近づいたイギーが見たものとは……
見栄の張りすぎでお互いにのぼせてしまい、気を失って水面を漂う二匹のアホウだった。
……鹿威しの音が虚しい。
……鹿威しの音が虚しい。
◆ ◆ ◆
「気分はどうだ、バカ犬にアホダヌキ」
「ダレがバカ犬だ」
「俺はアライグマだ」
「ア゛?ナンカイッタカ?」
「グ…」
「ケッ…」
「ダレがバカ犬だ」
「俺はアライグマだ」
「ア゛?ナンカイッタカ?」
「グ…」
「ケッ…」
凄んでみても迫力の出ないバカ犬にアホダヌキ。もとい、コロマルとアライグマの父。
水分を摂りつつ扇風機に当たっている姿からは凄味などカケラも感じられない。
ついでにイギーも休憩中。まさか自分のスタンドでのぼせたバカを運ぶことなど考えたことも無かっただろう。
そして三者ともそれなりに落ち着いたところで情報交換を始める。
まず口火を切ったのはアライグマの父。
水分を摂りつつ扇風機に当たっている姿からは凄味などカケラも感じられない。
ついでにイギーも休憩中。まさか自分のスタンドでのぼせたバカを運ぶことなど考えたことも無かっただろう。
そして三者ともそれなりに落ち着いたところで情報交換を始める。
まず口火を切ったのはアライグマの父。
「そういやオメエが俺達を運んでる時に見えたが、あの妙な化け物は何処行ったんだ?」
この言葉に残り二匹が似ているようで違う反応を示す。
「! まさかお前もスタンド使いなのか?」
「! オマエ、ペルソナ召喚できるのか?」
「すたんど? ぺるそな? なんだそりゃ、食えるのか?」
「! オマエ、ペルソナ召喚できるのか?」
「すたんど? ぺるそな? なんだそりゃ、食えるのか?」
ここでイギーがスタンドを、コロマルがペルソナをそれぞれ発動。お互いに自分の「相棒」に制限が
掛けられていることに気付く。もっともムドだけはさすがに確認できなかったが。
ちなみにアライグマの父が特殊能力のあまりの不公平さにまた不機嫌になったことも追記しておく。
掛けられていることに気付く。もっともムドだけはさすがに確認できなかったが。
ちなみにアライグマの父が特殊能力のあまりの不公平さにまた不機嫌になったことも追記しておく。
「なるほど…だからあの大ワニ野郎にザ・フールが見えたのか……」
「オレの知る限りでは影時間以外でペルソナは発動デキナイのだが…」
「ったくあのキツネめ、俺達みてぇなごく普通の連中まで巻き込みやがって…!」
「オレの知る限りでは影時間以外でペルソナは発動デキナイのだが…」
「ったくあのキツネめ、俺達みてぇなごく普通の連中まで巻き込みやがって…!」
二足歩行する動物たちを普通とは呼ばない。
「そういやお前、最初の部屋で…」
「アノ時犠牲になったのはこのオヤジのコドモとその友人だそうダ…」
「知り合いか、そういえばお前らまん丸とツネ次郎って奴を…知るわけないか、バカとアホだからな」
「グ…」
「ケッ…」
「アノ時犠牲になったのはこのオヤジのコドモとその友人だそうダ…」
「知り合いか、そういえばお前らまん丸とツネ次郎って奴を…知るわけないか、バカとアホだからな」
「グ…」
「ケッ…」
こうして終始和やかな雰囲気で情報交換も終わったところで、事件は起きた。
原因は二足歩行と四足歩行の差である。
一人で出て行こうとするイギーに対し、共に行動しようと提案するコロマル。
問答の末、受けた恩を返したいというコロマルの熱意が通じ、イギーもしぶしぶ納得した。まさに忠犬。
どうでもよさそうなアライグマの父だったが、彼もスタンドやペルソナと言った摩訶不思議なモノを
見せられては自分一人では危険と言うことも分かっているので場の流れに任せていた。
しかし、いざ移動と言う時になると、それぞれの移動スピードが問題となる。
四足歩行の犬と、二足歩行のアライグマ。どちらが素早いかは言うまでもない。
それを何とかしようとコロマルが自分の支給品を漁ってみると…出てきたのはなんとも不思議な形をした靴。
説明書を見ると、名前は空飛ぶ靴というらしい。詳しい事は書いていないが、とにかく空が飛べると
言う事だし、二足歩行はアライグマの父だけだから履いてみたらどうかと勧めた結果……
一人で出て行こうとするイギーに対し、共に行動しようと提案するコロマル。
問答の末、受けた恩を返したいというコロマルの熱意が通じ、イギーもしぶしぶ納得した。まさに忠犬。
どうでもよさそうなアライグマの父だったが、彼もスタンドやペルソナと言った摩訶不思議なモノを
見せられては自分一人では危険と言うことも分かっているので場の流れに任せていた。
しかし、いざ移動と言う時になると、それぞれの移動スピードが問題となる。
四足歩行の犬と、二足歩行のアライグマ。どちらが素早いかは言うまでもない。
それを何とかしようとコロマルが自分の支給品を漁ってみると…出てきたのはなんとも不思議な形をした靴。
説明書を見ると、名前は空飛ぶ靴というらしい。詳しい事は書いていないが、とにかく空が飛べると
言う事だし、二足歩行はアライグマの父だけだから履いてみたらどうかと勧めた結果……
「なんじゃこりゃああぁぁ…………」
見事にスカイ・ハイ、フライング・ラクーンドッグとなってしまったのである。
建物が木製でなく、石造りだったらまた違った結末になったのかもしれない。
建物が木製でなく、石造りだったらまた違った結末になったのかもしれない。
「「…………」」
屋根に空いた穴から夜空を見上げる二匹の犬。
しかしそんな静寂もすぐに打ち破られる。
しかしそんな静寂もすぐに打ち破られる。
ドンッ! ガンッ! ザッブーン!!
林、岩場、湯船と見事な三段跳びを披露した選手の正体は………丸太。
何が起こったと温泉を見てみると、茶柱の如く湯船に突き刺さった丸太。
何が起こったと温泉を見てみると、茶柱の如く湯船に突き刺さった丸太。
「……オイ、丸太のスタンドというのは存在スルノカ?」
「それはこっちの台詞だバカ犬」
「ダレがバカ犬だ」
「それはこっちの台詞だバカ犬」
「ダレがバカ犬だ」
【B-1/温泉/1日目/黎明】
【コロマル@ペルソナ3】
【状態】:健康、唖然
【装備】:召喚機@ペルソナ3
【所持品】:支給品一式、不明支給品(確認済)0~2個
【思考】
基本:仲間を集めてキュウビを倒す
1:アライグマの父を探す。
2:他の参加者に対しても、上下関係をはっきりさせて仲間に加える
3:今のところイギーに借りがある。
【備考】
※コロマルの参戦時期は8月8日~1月30日までのどこかです。
※ペルソナの制限に気付きました(ムド以外)。
※イギーと情報交換をしました。
【状態】:健康、唖然
【装備】:召喚機@ペルソナ3
【所持品】:支給品一式、不明支給品(確認済)0~2個
【思考】
基本:仲間を集めてキュウビを倒す
1:アライグマの父を探す。
2:他の参加者に対しても、上下関係をはっきりさせて仲間に加える
3:今のところイギーに借りがある。
【備考】
※コロマルの参戦時期は8月8日~1月30日までのどこかです。
※ペルソナの制限に気付きました(ムド以外)。
※イギーと情報交換をしました。
【イギー@ジョジョの奇妙な冒険】
【状態】:全身打撲(小)、疲労(小)、呆然
【装備】:腕時計
【道具】:支給品一式(食糧:ドライフード)、犬笛、世界の民話
【思考】
基本:面倒なので殺し合いには乗らない。
1:アライグマの父を探す。
2:マンマルとツネジローに会ったら、タヌタローの言伝を伝える。
3:チャンスがあればワニ(クロコダイン)を殺す。
【備考】
※イギーの参戦時期はペット・ショップとの戦闘で、下水道に逃げ込む前後です。
※スタンドの制限に気づきました。
※タヌ太郎に少し心を許しました。
※コロマル、アライグマの父と情報交換をしました。
【状態】:全身打撲(小)、疲労(小)、呆然
【装備】:腕時計
【道具】:支給品一式(食糧:ドライフード)、犬笛、世界の民話
【思考】
基本:面倒なので殺し合いには乗らない。
1:アライグマの父を探す。
2:マンマルとツネジローに会ったら、タヌタローの言伝を伝える。
3:チャンスがあればワニ(クロコダイン)を殺す。
【備考】
※イギーの参戦時期はペット・ショップとの戦闘で、下水道に逃げ込む前後です。
※スタンドの制限に気づきました。
※タヌ太郎に少し心を許しました。
※コロマル、アライグマの父と情報交換をしました。
◆ ◆ ◆
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◆ ◆ ◆
「ちっくしょう、どうなってやがんだ!」
気ままな空の旅を満喫しているのはアライグマの父。
身支度を整え、ディパックを背負い、そして勧められた靴を履くと…このザマである。
空を飛べると聞いて少しでも期待した自分がアホらしい。
身支度を整え、ディパックを背負い、そして勧められた靴を履くと…このザマである。
空を飛べると聞いて少しでも期待した自分がアホらしい。
しかも親譲りならぬ子譲り?の不幸は重なるもので。
「今度はなんだありゃ…オイ! ぶつかる、洒落にならn」
そう、C-2にてクロコダインが投げ捨てた丸太である。
まるで狙ったかのように彼目掛けて飛来し……命中。
せめてもの救いは、丸太の先端ではなく、側面だったことか。
具体的にいえば、丸太を下からカチ上げる形になった感じである。後頭部で。
その結果、当然のようにアライグマの父は気絶。
しかもその弾みでディパックの留め具が外れ、盛大に支給品をまき散らす格好になってしまっている。
子供に負けず劣らず、不幸な親である。
まるで狙ったかのように彼目掛けて飛来し……命中。
せめてもの救いは、丸太の先端ではなく、側面だったことか。
具体的にいえば、丸太を下からカチ上げる形になった感じである。後頭部で。
その結果、当然のようにアライグマの父は気絶。
しかもその弾みでディパックの留め具が外れ、盛大に支給品をまき散らす格好になってしまっている。
子供に負けず劣らず、不幸な親である。
だが、このアクシデントが無ければ丸太は偶然にも脱衣所の二匹に命中していたのである。
当人たちの知らぬ間に、アライグマの父は確かにイギーに借りを返していたのだった。
当人たちの知らぬ間に、アライグマの父は確かにイギーに借りを返していたのだった。
【B-1/上空/1日目/黎明】
【アライグマの父@ぼのぼの】
【状態】:気絶、頭部に怪我
【装備】:ディパック、空飛ぶ靴@DQ5
【所持品】:不明
【思考】
基本:積極的に誰かを襲うつもりはない。
1:…………
【備考】
※折り紙と札は少し湿っています。
※アイテムの説明は読んでいません。
※イギーと情報交換をしました。
【状態】:気絶、頭部に怪我
【装備】:ディパック、空飛ぶ靴@DQ5
【所持品】:不明
【思考】
基本:積極的に誰かを襲うつもりはない。
1:…………
【備考】
※折り紙と札は少し湿っています。
※アイテムの説明は読んでいません。
※イギーと情報交換をしました。
※空飛ぶ靴はMAP内のどこかの施設が目的地です。どこなのかは次回以降の書き手さんにお任せします。
※B-1から目的地の施設までの間にアライグマの父の支給品が落ちている可能性があります。
何がどこに落ちてしまったのかは次回以降の書き手さんにお任せします。
※B-1から目的地の施設までの間にアライグマの父の支給品が落ちている可能性があります。
何がどこに落ちてしまったのかは次回以降の書き手さんにお任せします。
【空飛ぶ靴@DQ5】
履くと、ある特定の場所へ飛ばされてしまう靴。主人公が、行方不明になった妻を探している時に
偶然履いてしまい、その際に(なぜか)連絡が取れなかったため失踪扱いになってしまった。
履くと、ある特定の場所へ飛ばされてしまう靴。主人公が、行方不明になった妻を探している時に
偶然履いてしまい、その際に(なぜか)連絡が取れなかったため失踪扱いになってしまった。
余談ではあるが、このアイテムは前作DQ4にも登場している。入手地点でいえば、
DQ4:井戸の地下。履くと当然頭をぶつける。
DQ5:城の中。しかしこちらは室内でも問答無用で屋外へ飛ばされる。
時間軸では5→4なので、魔力が低下したのだろうか。時の流れは残酷である。
DQ4:井戸の地下。履くと当然頭をぶつける。
DQ5:城の中。しかしこちらは室内でも問答無用で屋外へ飛ばされる。
時間軸では5→4なので、魔力が低下したのだろうか。時の流れは残酷である。
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006:始の忍法帖 | イギー | 046:獣の卍(前篇) |
018:ここはび~いち、キュウビの湯 | コロマル | 046:獣の卍(前篇) |
018:ここはび~いち、キュウビの湯 | アライグマの父 | 034:二度あることは三度ある |