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流れ行くものたち  ◆w2G/OW/em6



四角く切り取られた窓から見える夜空は、漆黒から淡い藍色へと変わりつつある。

「……そう遠くないうちに、夜も明けるな」

その教会の講堂に据え置かれた長椅子に腰掛けながら、ラルクは嘆息を洩らす。

この下らないゲームに彼が求める事は、敬愛する姉の無事ただひとつ。
しかし、それを得る為に取るべき手段が何なのか、今の彼には分からなかった。

姉を最後の一人にするとして……キュウビが必ず約束を守るという確証もない。
キュウビに歯向かいこの地から脱出するとして……確実に脱出できるという確証もない。

「どちらにしても、確実な道は無い、か……」


―――ギィ……


「……誰だ」

鈍い音を立てて、教会の重い扉が開く音が聞こえた。
オーボウの置いて行った荷物に入っていた武器――数本の投げナイフ――を手に取り、侵入者が襲って来ても反撃できるよう構える。
振り向いた先、扉から入って来たのは、

「あ、おじゃましまーす」

場違いにのほほんとした喋り方をした、緑色のぱっくんトカゲだった。






水族館で拾った荷物の持ち主を探すと決めたヨッシー。だが水族館には彼以外の参加者の姿は見えなかった。
きっとすでに別の場所に移動してしまったんだろうと考え、彼が次に向かった先は隣接エリアの教会。
入った先に居た獣人の男を見て、一瞬荷物の持ち主を見つけたと思ったのだが……

「ふーん……この荷物、ラルクさんの物でもないんだ……誰のだろ」
「………残念だったな」

どうやら、荷物の持ち主が向かったのは教会方面ではなかったらしい。
早いところ返してあげないと、持ち主も苦労するだろうなぁ……と考える。


それはともかくとして、ラルクさんという別の参加者に会えたこと、これはきっと幸運だと思う。

「ねぇ、ラルクさんは殺し合いには乗ってないの?乗ってないならぼくと一緒に行かない?」
「遠慮しておく」
「えー?……残念だなぁ。ラルクさん強そうだから、味方になってくれたら心強かったのに」

襲ってこなかったから殺し合いには乗っていないんだろうけど……仲間になってくれなかったのは残念。
でも殺し合いに乗ってる動物だってできれば戦いたくはなかったし、誰かを殺すなんてまっぴら御免だ。

「ラルクさんは他の参加者見なかった? ぼく、水族館に荷物を置き忘れてたのを見つけて、届けてあげたいんだけど……」
「お前、どうやってこの殺し合いを止めるつもりだ?」
「え?」

突然の問いかけ。
一体何のことだろう?

「えっと、まずは殺し合いに乗らないだろう仲間を探して……
 後はキュウビの情報を集めたり、首輪を解除する方法を見つけたり……かな?」
「……例えば殺し合いに乗っている動物にお前が襲われたとする。
 その時、お前はそいつをどうやって止める? 殺さずに無力化するのか、それとも殺すのか……どちらだ?」
「うーん……殺すのは嫌だな。みんな、一応は巻き込まれた被害者なわけだし」

マリオと冒険する時は、ぼくだって襲ってくるヘイホーやクリボーを食べたりふんづけたりしている。
それでも、それは相手が悪い事をしてるってハッキリしてるからだ。
ここにいる動物たちはいわばみんな同じ境遇。キュウビに歯向う理由はあっても、殺し合う理由なんて最初からない。

「……やっぱり、ぼくは殺したくないな。頑張って襲ってきた動物も説得して、味方になってもらいたいよ。
 キュウビをやっつけるにも、味方は多い方がいいしね!」
「………。」

そう返したぼくの言葉に、ラルクさんは……沈黙。
あれ、どうしたのかな。ぼく何か変なコト言ったっけ?

「……ヨッシー、とか言ったな」
「あ、うん……」
「さっき、お前は俺に殺し合いに乗っているかどうか聞いただろう……それについてだが」

沈黙したままだったラルクさんが、顔をあげてこちらを見た。
何を言うんだろうとぼくは少し気になり……聞いた瞬間、耳を疑った。


「残念だが、今から乗る事にした」






殺し合いに乗る。
そう宣言したと同時、ラルクは手にした投げナイフのうち一本をヨッシーへと投擲していた。
不意打ち同然で放たれたソレは、まっすぐにヨッシーの肩口へと突き刺さる。

「うぎゃッ!!!」

悲鳴を上げて飛び退き、ラルクから距離を取るヨッシー。
逃げる暇を与えまいとして次々と放たれるナイフを、後退しながらなんとか避けていく。

「ちょ……ちょっとラルクさん!?何でッ……何でいきなり!?」
「別に言う必要は無い……ただ」

その問いに答えようとはせず、ラルクは明確な『殺意』を持ってヨッシーに迫る。
どん、とヨッシーの背に壁が接触する……追いつめた。


「ただ、お前の考えは甘いという事だッ!」
「う……うわぁっ!!!」

一気に仕留めようと距離を詰めナイフを突き出すラルク。
焦りと驚きの混じった声を上げ、ヨッシーは……あろうことか、ラルクのいる方向へと跳躍した。

「…ッ!?」
「ごめんなさいッ!」

それもただの跳躍ではない。ラルクの背丈を簡単に飛び越せるであろう大ジャンプ。
突き出された刃を軽々飛び越し、刃の持ち主の頭を踏み、さらに跳躍。

「ぐっ……」

突進した勢いと踏みつけられ足場にされた反動で、壁へと追突するラルク。
後方からバタンと、扉が荒々しく閉まる音が聞こえた……どうやら、逃げられたようだ。

「……やはり、こんな物では上手く戦えないか」

小さく舌打ちをし、床に突き刺さったナイフを引き抜き回収する。

「もっと扱いやすい武器があればいいが……そうも言ってられんか。
 ……俺が出来る事は、これぐらいしかないのだしな」

姉が殺し合いに反逆するであろう事は簡単に予想がつく。
だが彼女は戦士。目的の為には冷酷な判断を下すことも出来、戦いになれば相手の命を奪う事も辞さない。
殺し合いに乗った者との戦いになれば、相手の命を奪う事など簡単にするだろう。


だが、その場に足手まといになる存在がいればどうなる?
先ほど殺し損ねた甘い考えのぱっくんトカゲの様に、戦いに向かない者の様に。
それはきっと……勇猛果敢な戦士であると同時に心優しい彼女を、危険にさらしかねない。

ラルクが殺し合いに乗ると決心したのは、嘘ではない。
ただし、無差別には殺戮をせず――力の無い者や、ヨッシーのように考えの甘い者――足手まといとなる存在のみ。
そして自分のように、殺し合いに乗った者。

そんな存在を減らしていけば、少しでも姉の危険が軽くなるだろう。
無論、そんな事をしても彼女の無事が確実になる事ではないのだが……

(それでも……俺は、やろう。
 俺が望む事など、それしかないのだから―――)



【G-7/教会/一日目/黎明】
【ラルク@聖剣伝説Legend of Mana】
【状態】頭に軽い痛み
【装備】スティンガー@魔法少女リリカルなのはシリーズ×9
【道具】:支給品一式、伝説の剣@ハーメルン、不明支給品0~2(確認、武器は無し) 、オーボウの支給品(食料、水を除いた支給品一式、不明支給品0~2(確認、武器は無し))
【思考】
基本:キュウビの打倒に対し、足手まといになりそうな者を殺す
0:ヨッシーを追いかけ、殺す。
1:シエラが無事であってほしい
2:武器が欲しい。出来れば斧
3:シエラとは戦いたくない。そうなる可能性があるので、会うのも避けたい。
※参戦時期はドラグーン編の「群青の守護神」開始より後、「真紅なる竜帝」より前です。
※ここが自分の世界(ファ・ディール)ではないと気付いていません。
※また、死ねば奈落に落ち、自分は元あった状態に戻るだけだと考えています。
※伝説の剣@ハーメルン が武器として使い物にならないことを知りました




(何で、何で、何で―――!!!)

ひたすら教会から逃げながら、ヨッシーは考える。
それは、ラルクが言ったひとつの言葉。

『ただ、お前の考えは甘いという事だッ!』


(何で!?みんな助けたいってぼくの考えは、いけないの!?
 殺したくないっていうのは、普通のことじゃないの!?)


その言葉に感じるのは……怒りなのか、それとも悲しみなのか、ただただ純粋な疑問なのか。


『……例えば殺し合いに乗っている動物にお前が襲われたとする。
 その時、お前はそいつをどうやって止める? 殺さずに無力化するのか、それとも殺すのか……どちらだ?』


(ぼくの考えはが甘いんなら……襲ってくる相手は、殺せってこと!?
 そんなこと……していいわけないじゃないか……)

殺し合いに乗ったと言った、獣人の男。
彼の考えが、自分のどこが甘いのか、何一つ分からないまま……死にたくないという思いのまま、彼は走る。



【G-7/雪原/一日目/黎明】
【ヨッシー@スーパーマリオシリーズ】
【状態】右肩に斬り傷(出血、スティンガーが刺さっている)、混乱、小腹が空いた
【装備】なし
【道具】支給品一式(食糧なし)×2、幸せの四葉@聖剣伝説Legend of Mana、シュバルツの覆面@機動武勇伝Gガンダム
    サトルさん@忍ペンまん丸、ブリ(鮮度:生きてる)@金色のガッシュ、衝撃貝@ONE PIECE、スティンガー@魔法少女リリカルなのはシリーズ×1
【思考】
基本:キュウビを倒して、殺し合いから脱出する。 (出来れば殺し合いに乗った動物は説得したい)
0:ラルクから逃げる。
1:荷物の持ち主を探す。
2:殺し合いに乗っていない参加者と協力関係を結ぶ。
3:誰も殺したくないという考えは甘い……?
※イカルゴを参加者だと気づいていません。支給品、もしくは水族館のタコだと思っています。


【スティンガー@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
ナンバーズのNo.5、チンクの固有武装。量産された投げナイフで10本セットで支給。
チンクのISの媒体だが、特に特別な能力はないただのナイフ。



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015:おさかな天国? ヨッシー 045:罅ぜるは刹那の夢
016:二つの思惑 ラルク 045:罅ぜるは刹那の夢




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