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獣の卍(前篇)  ◆TPKO6O3QOM



(一)

 陽光が羅紗のような湖面に桃色を薄く加えていく。水面から湧き立ち始めた靄が夢幻のような光景を形作ろうとしていた。ジョン・カーペンターの映画にこんな風なのがあったな。
 足元の砂利は粒が大きく、足の裏が痛い。なんでこんな苦労してんだかな、おれ。……ああ、答えは知ってるよ。だがよ、少しばかり現実から目を逸らしても罰は当たらねえだろ。

「急げ、イギー。オヤジはなんとなくあっちダ」
「曖昧なのか!?」

 自信に満ちた口調の苦労の根源に対し、おれは口を曲げた。バカ犬がくるりと巻いた尻尾を軽く振る。
 こいつ、やっぱりバカだ。死んでも治らねえな。とはいえ、そう間違った方向に走っているわけでもなさそうだ。まあ、西の端に居たんだから行く方向は一つなんだけどな。
 察しの通り、飛んで行ったアホダヌキを追っておれ達は湖岸を東に走っている。おれは行きたくねえんだがよ、このバカ犬おれが行くものとばかりに思い込んでやがる。そして、うるさく急かすわけだ。結局、おれが折れた。
 こいつの希望に沿うようにしてた方が面倒がねえ。機を見て雲隠れするつもりだがな。

 湖の中ほどには島があり、城のような大きな建物の影が薄闇の中に見える。あのアホダヌキが行ったとしたらあそこか。湖に落ちてなかったら、だが。もっとも、あの丸太が直撃してんだ。あれで生きてたら、もう一生の運を使い切ってるな。

「止まレ。前方に何かいる」

 湖岸をしばらく走った頃、バカ犬がくぐもった警告の声を鋭く囁いた。奴の鼻面には皺が寄り、尻尾は小刻みに揺れている。声がくぐもっているのは短剣を咥えているからだ。
 ドラグーンナイフっつったか。バカ犬曰く中々いい代物らしい。いっちょ前に目利き気取りだ。
 ……タヌタローといい、ニッポンの動物事情ってのはどうなってやがるんだか。
 奴が警告した理由は分かる。森から流れてくる空気にムカツク臭いが混じっているからな。勿論、知っている臭いさ。忘れようがねえ。おれはついと足を前に進める。

「おい、聞こえなかっタのカ?」
 バカ犬の声を無視する。聞こえなかったわけがあるかよ。だが、従う理由もねえ。
「好奇心に身を任せるンじゃナい。しばし様子を見るべきダ」
 おれの止まらぬ歩みにバカ犬が慌てて告げる。こいつの言い分は分かるし、判断も正しい。そいつは認める。でもな、ここは行く。じゃねえと、おれの気が済まねえ。
 バカ犬は小さく吐息を吐くと、おれの後に付いてくる。その態度がおれをガキ扱いしているみたいで少し腹が立つぜ。こっちは風下だし、先方に気取られるようなヘマはしねえよ。

 下草を鼻先で掻き分け進むと、木立の中に不似合いな駅舎が見えた。券売機と改札口ぐらいしかねえような、小さなものだ。
 そして、そこの入り口から丁度出てきた人影がふたつ。赤い鱗のワニに、薄紫の体毛のオオカミ。どっちも二足歩行で、鎧を身に付けてやがる。
 そうさ、片方はあのワニ野郎だ。おれの身体はまだあちこち痛いってのに、あっちはご健在のようで。
 ま、タヌタローに何かを期待していたわけじゃねえ。逃げきれてれば及第点だろ。
 おれは二匹の会話に耳を澄ます。

「当てが外れたな。次はどうする? すぐそこの橋を渡れば闘技場と遊……園地? があるようだけど」
「その遊園地というのは何だ? ……遊ぶというと遊廓の類しか思い付かんが。どう思う?」
「さあ? 仮にそうだとしても営業はしていないだろうな」
「……そうか」
「貴方、微妙に落ち込んでない?」

 当て? 駅に何かあるってのか? いや、次の目的地に駅と無関係の場所を挙げているし、そういうわけでもねえようだ。遊園地ねえ。温泉がああだったんだし、意外と運営されてんじゃねえか?
 ま、今分かるのは、向こうはチームを組みやがったってことだ。ワニ野郎と一緒にいる以上、あの女も殺し合いに乗ったってことだろう。


 ワニ野郎の元気な姿を見ることができたし、退くか。それをバカ犬に伝えようとしたとき、女がこちらを向いた。
 偶然か?
 いや、はっきりとこちらを見つめてやがる。
 ふと、おれの鼻が北からの微風を感じた。くそ。太陽が出たもんで流れが変わりやがったのか。場所が特定されるのも時間の問題だな。

 おれは愚者(ザ・フール)を展開させる。少し後ろに控えるバカ犬はもう何も言ってこない。ただ、不満げな様はよぉく伝わってくる。
 だがよ、先手を取るしかねえだろ? まあ、おれに付いてきたのが不幸だったってことで諦めてくれ。
 愚者(ザ・フール)と共におれは飛び出した。バカ犬が何事か言い掛けたようだが、無視する。
「クロコダイン!」
 女が警告の声を上げる。迫る愚者(ザ・フール)に女が佩いていた細身の剣を抜いて応戦しようとする。
「待て!」
 だが、その前にワニが駅舎の壁に立て掛けてあった丸太を引っ掴むと、それを愚者(ザ・フール)に向かって振り下ろした。その衝撃に愚者(ザ・フール)が砕け散る。駅舎の修理用の材木かと思っていたが、 あれが奴の得物かよ。中々似合いのものを見つけたじゃねえか。

 ……もしかして、温泉に降ってきたあれもこいつの仕業か?

 仕留められるとは思ってなかった。こいつは宣戦布告の代わりってもんだ。奴には借りがたっぷりあるからな。
 おれの姿を認めると、ワニがきゅと目を細めた。その隣で女が見覚えのある剣を正眼に構える。
 ワニは丸太を肩に担ぐと、おれに向かって口を開いた。

「貴様か。……そうだ、貴様の連れは死んだぞ」

 どこか親しげな口調で、ついでのようにタヌタローの死を奴は口にした。
 そうかよ。あいつは死んだのか。しっかし、他人事みてえな言い方だな。自分が殺したんだろうによ。
 まあ、別に驚きゃしねえよ。あいつの生死は三七ぐらいに思っていたしな。しかし、どうりで女が持っていた剣に見覚えがあると思ったら――。
 と、ザッという踏み込みの音ともに光芒が目の端に走った。その寸前、疾風がおれの横を駆け抜ける。火花と共に、金属同士が擦り合う悲鳴が響いた。くっと女の声が漏れる。
 たんと軽快な音を立てておれの前方に着地したのは、隠れていた筈のバカ犬だった。
 おれの死角から斬りかかってきたらしい女から、このバカ犬が助けてくれたってことか。
 どうも知らず知らず血が頭に上っていたらしい。不覚もいいとこだぜ。

「仇討に横やりを刺そウとは無粋にも程ガあル」

 吐き捨てるようにバカ犬が吼える。
 気圧されたというわけではないだろうが、女は後方に飛び退ってバカ犬との間合いを広げた。それを赤い瞳で睨みつけながら、バカ犬はおれに尻尾を振って見せた。

「コイツはオレが引き受けル。おまえの友の仇討、何人にも邪魔立てなどさせン」
「てめえはサムライか!?」
 思わず突っ込んだおれに、バカ犬が首肯する。
「うむ。実はな、この前見せて貰っタ映画にも似たような場面ガあったのダ。やはり萬屋錦之介は最高ダ」
 真正の阿呆か、てめえは。……ったくよ。ガラじゃねえんだがなー、そういうの。
 ま、有難えや。自分の身体も愚者(ザ・フール)も不随意な今、二匹相手はちっとばかし分が悪い。
「シエラ! こいつはオレが相手をする。おまえは赤眼を頼む」
「……承知した」
 奴らもこちらと同じ判断をしたようだ。これで安心しておれも返済に臨めるってわけだ。
「コロマル! てめえの野性を見せつけてやりな!」
 おれの声にバカ犬が雄々しく吼えた。それを合図としたように、相対した二匹は双方睨みあったまま、森へと消えて行った。


 さて、と。

 おれは愚者(ザ・フール)を再構築する。その間、ワニ野郎は丸太を担いだまま悠然と立っていた。余裕こいているようだが、そうじゃねえ。奴から発せられる濃厚な闘気にその身体が一回りほど大きく感じられる。
 髭が焦げ付くような対峙に、おれの足裏を冷たい汗が濡らす。

 堪え切れずに口火を切ったのはおれの方だった。

 愚者(ザ・フール)を纏い、おれはワニ野郎へと接近する。流れるような動作で振るわれる丸太は、唸りを立てながらおれを薙ぎ払おうと孤を描く。刹那、おれは空を切る丸太を蹴って跳躍する。丸太の重量に身体を流されないのは流石というべきか。
 振り抜かれた丸太は、垂直に軌道を変えるとおれに向かって振り下ろされた。
 戛という音が森に伝う。
 ワニ野郎の目に驚きの色が混じる。愚者(ザ・フール)の両前足が丸太を受け止めていたからだ。集中させてりゃ、受け止められねえこともねえ。
 おれはといえば愚者(ザ・フール)の庇護を抜け、丸太へと身体を移動させていた。そして丸太の上を疾走する。ワニ野郎は丸太を手放すが、おれは既に丸太を蹴っていた。ワニ野郎の喉元目掛けて跳んだおれの目が脇から迫る影を捉える。

 ワニ野郎の尻尾だ。

 身を捻っておれは前足を尻尾に向け、それが触ったと感じた瞬間に間接を使って柔らかく受け止める。それで幾分か衝撃を吸収するも、おれの小さな身体は大きく弾かれた。
 そこに身体を旋回させていたワニ野郎の拳が繰り出される。だが、それまでにおれは愚者(ザ・フール)を引き寄せていた。拳に砕かれた愚者(ザ・フール)の車輪がワニ野郎に迫る。ワニ野郎は左手でマントを翻し、楯とする。

 やると思ったぜ。

 車輪はマントに弾かれた。だが、そのマントのせいで霧散した部分がどうなったか、奴には分からねえ。マントの陰で再構築された前足がワニ野郎の懐へと入り込む。
 と、ワニ野郎がそれでも何かを察したのか、後ろに跳んだ。鎧に覆われていない太ももの鱗が削られ、中の肉が浅く裂かれる。
 跳んだ奴の身体は駅舎につっかえた。間髪入れず、おれは愚者(ザ・フール)と共に追撃に転じる。
 間抜けだと喜ぶも、すぐにおれは否定した。違う。あの野郎、つっかえたんじゃない。体勢を変えたんだ。ワニ野郎の身体は右半身が引かれた状態だ。そして奴の右腕はマントに隠れておれから見えない。

 おれは愚者(ザ・フール)をすぐさま分厚い楯のような形状に変形させた。

 斜め下からワニ野郎の拳が颶風を纏いながら振り抜かれた。と、こいつはおれの予想だ。愚者ともども殴り飛ばされ、おれは地面に転がった。そのときに垣間見た様子から見るに、前述のおれの予想はほぼ間違っていないだろう。
 ワニ野郎がデイバックの中から丸太を取り出すのが見える。くそ、まだ持ってんのか? つか、その中に入れてんのかよ!? まったく突っ込みどころは一か所にしろってんだ!
 すぐにおれは立ち上がり、転がるように身を前方に投げ出す。
 ダンと大地を蹴り上げる音。数瞬前におれがいた地面に、宙に身を躍らせたワニ野郎の丸太が叩きつけられた。爆撃を受けたように丸太を中心に地面が抉られ、弾き飛ばされた土砂がおれに注ぐ。
 その土砂によってワニ野郎の姿がおれの視界から消えた。それは一時的なものだとしても視界が晴れるのを待つなんて悠長なことはしてられねえ。

 勘だけを頼りに足を駆った。礫を愚者(ザ・フール)で弾き、土砂の中に突進する。そして、ワニ野郎の姿を捕捉する。おれは我知らず吼えていた。そこにワニ野郎の咆哮も重なる。奴の両腕の筋肉が別の生き物のように蠢き、脇に構えられた丸太が残像となった。
 と、何処からか三つ目の咆哮が加わる。同時に巨影が明けの空より降ってきた。巨影はおれとワニ野郎の間に地響きを立てて着地した。
 乱入者の異様におれもワニ野郎も動きが止まる。
 赤毛の醜悪な巨猿はおれとワニ野郎を睨め、カッと歯を剥いた。



(二)

 陽は顔を出したものの、森の中にはまだ夜闇が残っていた。その中を二つの影が駆け抜ける。木立の向こうには村らしき影がのぞいていた。

 鋭い呼気と共に二足歩行の狼の長刀が振り抜かれた。身を翻してそれをかわし、コロマルはその懐へと身を躍らせる。それを察した狼が振り抜いた刀の重さを利用し、体を横に流す。左足を軸に身体を回転させ、一拍の間もおかずに狼は袈裟掛けに刀を振り下ろした。
 それを咥えた短剣を当てて軌道を逸らし、コロマルはとんと後方に跳んだ。前足を広げ、柔らかい腐葉土の上に着地する。一度上段に構えられた狼の刀は流麗な動きで刺撃の構えと変わる。柄を握る両手が内側に柔らかく絞り込まれた。
 踏み込んだ足が腐葉土に沈む。その不安定な足場のために狼の突きに若干のぶれが生じた。
 狼の刺突を短剣の鎬に擦り合わせ、力を拡散させる。更にその衝撃を利用して横に跳び、コロマルは樹木が密集する中に身を紛れ込んだ。狼は舌打ちし、八双のような構えを取る。

 森では短剣と長刀の間合いの差は殆ど意味をなさない。乱立する幹で長刀を思うように振るうことができないからだ。ゆっくりとコロマルは足を運び、狼を睨みつける。
 が、狼はコロマルと目を合わそうとしない。いや、違うとコロマルは胸中で否定した。
 狼はコロマルではなく、彼が咥える短剣を見ようとしないのだ。彼女に縁あるものなのだろう。狼の瞳には戸惑いと慙愧がある。

「女、何故あのような悪鬼に加担すル!?」

 コロマルは吼える。が、相手に理解の色はない。ただ、深く息を吐いただけだ。どうも、イギーの仇である蜥蜴と狼には彼らの言葉が通じていない。姿は違えど、人間に対して抱くもどかしさと同じものを感じる。
(あの蜥蜴に加担しているのは彼女の本意ではあるまい。されど、俺の言葉が通じぬのでは手の施しようがないぞ)
 彼女が――アイギスが居ればと歯噛みする。
 あの狼には迷いがある。いや、この短剣を目にして迷いが生まれたのか。どちらにしろ、彼女はまだ魔道に堕ちきってはいない。ただ、己から奥へ踏み入れようともがいている。
 そうコロマルは狼を評価していた。

「なぜ来ない!? 臆したか? それとも私を侮っているのか!?」
 狼が血を吐くような声を上げた。それと同時、狼は足を滑るように踏み込むと、長刀を袈裟掛けに斬り下ろした。銀光が斜に奔ったかと思うと、コロマルの前に立ち並んでいた木が二本、めきめきと悲鳴を上げて倒れた。
 狼は振り下ろした刀をすぐさま逆袈裟に斬り上げる。跳んだコロマルの頬肉をその切っ先が掠めた。そこから溢れる血が彼の白毛に赤い隈取りを描く。

 コロマルは狼から距離を稼ごうと駆ける。が、狼はそれを許すまいとコロマルを追う。

 己の得物の利を過信しすぎた。
 イギーに、あの若者に何と宣言した。何人と仇討を邪魔させない、とでも言ったか。この様でよく言えたものだ。イギーの冷笑が目に浮かぶ。
 迷いという意味では自分もそうだ。何かと理由を付けて避けようとしている。シャドウではないモノを殺すことを、だ。そうでなければ何故奥の手を出さないのか。

 狼が特別課外活動部の誰よりも手練であることは肌で感じている。この短剣だけでは時間稼ぎがせいぜいだ。無力化は無理だと、冷静に分析する。
 自分が命を落とせば、彼女は蜥蜴の元へと戻ることは確実。そうなれば、イギーは手練二匹を相手にしなければならなくなる。まだイギーの傷は癒えてはいない。まず、彼の仇討は成就することはないだろう。

 仇討。

 コロマルは主人を失い、永劫とも思える時間に耐え――ついにそれを果たした。
 だが、それで得たものはない。怨敵を討っても主人は還ってこない。達成感に比例して、虚脱感のようなものも大きかった。明彦に、そして特別課外活動部の者たちと出会えなければ、遠からず主人の元へと行っていたかもしれない。
 仇討は虚しい。しかし、それは達成してから知ればよいことだ。今は順平のように感情に支配されていいとコロマルは思っている。それでもイギーは冷えるべきところは冷えているだろうがと、小さく苦笑する。

 ここで自分が踏ん張らなければ、最悪イギーまでが死ぬ。使命半ばで凶弾に斃れた真次郎のことが胸に浮かんだ。彼の無念をイギーにも味あわせるというのか。
 この世界は選択の嵐だ。何かを守りたければ、何かを捨てなければならない。それが相反するものであるなら尚のことだ。


 今、何を取るのか――その問いに自答する。

(……知れたこと!)

 コロマルは地面を蹴り、背後の狼へと向き直る。虚を突かれ、彼女の挙動に遅れが生じる。コロマルは己の仮面を言霊に込め――発す。

「――ペルソナァァァアアアアアッ!」

 咆哮と共に青い光が周囲に迸った。それは冥界に燃え盛る炎のようにも見える。その炎を切り裂き現れたのは三つの頭を持つ巨犬だ。コロマルに呼応するように、巨犬は山鳴りのような産声を上げる。

 召喚されたケルベロスに狼は動転した表情を浮かべるも、すぐに攻撃に打って出た。左半身を引き、そこから刃が伸びる。その呼吸に先んじ、コロマルはケルベロスにアギラオと命じた。紅蓮が夜明けの森を照らす。
 中空より現出した炎の塊を、狼が身体を右方に投げ出して回避する。それは抜き打ちの態勢になっていたため、彼女には右手にしか道は残されていなかったのだが。
 予想通りの方向に転がった彼女の喉元を狙い、コロマルは風を切って駈ける。頸動脈を裂かんと短い首を精一杯に振って短剣を切り上げる。しかし、狼は片膝を附いた体勢から迫る刃を柄で受け止めた。コロマルの動きが――止まる。

 すぐさま狼は反撃に移った。柄を支点に刀をくるりと回転させると、彼女は左手の甲を峰に添え押し斬るように動かす。その刃を、短剣を捨てることでコロマルは逃れた。が、逃げ遅れた右耳が斬り飛ばされた。激痛にコロマルの喉から甲高い苦鳴が漏れる。
 零れる血が炎に照らされ妖しく輝く。

 時間を稼ぐためにコロマルはマハラギオンを命じる。ケルベロスの遠吠えと共に広範囲に炎の帳が広がった。燃え盛る炎は陽光を打ち消すように雄々しく伸び上がる。炎の舌に舐められた枝葉が弾け、火の粉が舞った。熱風がコロマルの短い体毛を掻きまわしていく。
 だが、一息を吐く間もなく炎の壁から狼が飛び出した。両腕で頭部を守り飛び込むことで炎の被害を最小限に止めたのだろう。彼女の身体からは煙が漂い、硫黄のような悪臭が放たれる。鼓舞するような吼え声が狼の喉から発せられる。

 コロマルはスクカジャを己にかけた。刹那ではあるが、己の体が羽のように軽くなる。大地を蹴り上げ、弾丸のようにコロマルは狼の脇腹に食らい付いた。コロマルの咥内に血と肉の味が広がる。
 狼は怒号を上げた。持ち変えた刀でコロマルを突き刺そうとするのが気配で知れた。
 コロマルは口を話すと同時に前足で腹部を蹴り飛ばした。ただそれだけでコロマルの身体は大きく宙に舞う。痛みに狼はよろめき、地面に手を附いた。雌の口吻が苦痛に歪むのを見るのは忍びないものだ。
 その感情をすぐに打ち消し、コロマルはケルベロスに仕上げの命を下す。

「――ムドォォオオ!」

 吼えたのはコロマルか、ケルベロスか。暁に似合わぬ呪いの声は夜の残滓に吸い込まれ、狼の周囲を妖しく輝く複数の陣が包み込んだ――。


 (三)

 三つの咆哮が早朝の澄んだ空気を震わせた。
 夜叉猿がその巨体に似合わぬ素早さでワニの懐に半身を滑り込ませる。その密着状態から繰り出された拳をワニが肘で防ぐも、そこにイギーのスタンドの奇襲が加わる。
 しかし、スタンドの切り裂くような打突はワニの身に付けた布に弾かれ、そのイギー自身には夜叉猿の踵が振り下ろされる。その蹴りを掻い潜り、イギーが夜叉猿の股下を駆け抜けた。イギーに気を取られた夜叉猿の腹部にワニの丸太が横殴りに叩きつけられる。
 肉を叩く鈍い音と共に夜叉猿が悲鳴を上げてよろめく。
 だが、一撃を喰らわせたワニの顔に浮かんだのは苦痛の色。避けられないと判断した夜叉猿が同時に蹴りを放ち、それがカウンターとしてワニの鎧を砕いて腹部に突き刺さっていたからだ。
 思わずワニが手放してしまった丸太を抱えた夜叉猿は、それをイギーへと振り下ろした。イギーのスタンドの前足が閃き、丸太を縦に両断する。ずんと音を立てて、真っ二つになった丸太が転がる。その影を利用してイギーが夜叉猿の間合いから消えた。
 掠ったのか、夜叉猿の両手から血が零れている。と、その夜叉猿の背後にワニが接近する。鋭く呼吸の音とともに体重を乗せた拳が突き出されようとする。
 しかし、イギーのスタンドが斜め後方から襲撃に、ワニはその防御に行動を変えた。
 漸く気付いた夜叉猿の後ろ回し蹴りが唸りを立ててワニに迫る。それを迎え撃ったのはワニの太い尾だ。肉同士とは思えぬ戛然とした音が耳朶を打つ。動きを止められた夜叉猿の鼻面にワニの裏拳が叩きつけられた。鼻血を出しながら夜叉猿がもんどりを打って倒れる。
 その拳を引いたワニに――。


「……もう、なにがなんだか分からん」

 この三匹の乱闘を少し離れた場所で見守りながらアライグマの父は半眼でぼやいた。
 橋を渡ると、咆哮と争い合う音が西の方角から聞こえてきた。それを耳にした途端、夜叉猿は口を耳元まで裂いて嗤い、彼らを西の森へと追いやった。
 そこで目に入ったのは、温泉で出会ったイギーとかいうオオカミと赤いワニの死闘だ。このワニがイギーを廃村で襲ったという獣だろう。ワニが振るう丸太を見ると頭痛が酷くなるのだが、理由はなぜか思い出せない。コロマルの姿は何処にもない。もう死んだか。
 今まで彼らと一緒に行動していなかったことに安堵の吐息を吐いた。
 二匹の死闘に闘争心を刺激されたのか、それとも獲物を横取りされると思ったのか――アライグマの父たちの後方に居た夜叉猿は嬉々とした様子で大きく跳躍すると、二匹の戦闘に混ざり込んだ。

 それで今の状況となっている。夜叉猿の注意が向いていない今が逃げるチャンスなのだが、土塊やら石やら薙ぎ倒された樹やらが飛んでくるため下手に動けない。
 夜叉猿もワニも出鱈目な強さで、その彼らとイギーはスタンドとかいうインチキを以て渡り合っている。こんな化け物たちが居る中にどうして一般的な獣である自分が呼ばれたのかと、アライグマは徒労感に満ちた目で顎のあたりを掻いた。
(うちのガキ、こりゃあ死ぬなあ……)
 幸不幸以前の問題だ。このような不条理が横行しているのでは。今まで何処か楽観視していたのだが、認識が甘かった。

「夜叉猿さんはイギーさんとドラゴ……みたいなキメイラの双方と戦いたくて、イギーさんはドラゴちっくなキメイラと決着を付けたいがそれには夜叉猿さんが邪魔で、ドラゴっぽいキメイラは襲ってくる二匹を一生懸命捌いている……ってことです、多分」
「解説、ありがとよ」

 アライグマの父と同じように観戦するボニーの赤帽子を見下ろし、溜息混じりに告げる。聞き慣れない単語が混じっていたが、訊き返すのがもう面倒なのでやめた。
 夜叉猿が地中に埋まっていたらしい大石を持ち上げ、それをワニに投擲する。ワニはそれを新たに調達したらしい丸太で弾き飛ばす。大石は見事な放物線を描き――アライグマの父たちの方に飛んできた。

「どぉぉおおお!?」

 悲鳴を上げて逃げだすも、下草に足を取られ盛大に転ぶ。鼻面を擦り剥き、毒づきながら顔を上げると半ばで折られた丸太が飛んでくるのが目に入った。避ける暇は――ない。向かってくる丸太が酷く緩慢な動きに映る。と、それが横から何かが弾き飛ばした。
 たんと軽快な動きで着地したのはイギーだった。

「命を救うのは二回目だな、アホダヌキ」

 スタンドをアルマジロの甲羅のように纏い、イギーが不敵に笑う。大丈夫ですかと、ちゃっかり逃げ果せていたボニーが駆け寄ってくるのを見ながらアライグマの父は苛立たしげに地面を蹴る。
 イギーはボニーを一瞥すると、夜叉猿とワニに目を馳せた。

 大股で踏み切った夜叉猿はその勢いを活かして両前足の鋭い爪を振り下ろす。しかし、その手首をワニの拳で弾かれ、逆に体勢を崩した――ようにアライグマの父の目には映った。夜叉猿は崩された体制のまま、膝の屈伸だけで身体を躍らせると宙から蹴りをワニに叩きつける。
 それを交差した両腕でワニは受け止め、半歩後退する。
 着地した夜叉猿は吼え――追撃に移ろうとする。
 ばんという、何かが爆発するような音が響く。それがワニの踏み込みの音だったと後で気づいた。
 ワニは肩から夜叉猿に当て身を喰らわせ、そこから更に一歩踏み込んだ。押された夜叉猿の顎にワニの肘が打ち込まれる。顎が撥ね、夜叉猿の身体は大きく揺らぐも踏み止まり、そこから蹴りを放つ。しかし切れがない。布を巻きつけたワニの左手で簡単に逸らされてしまった。
 夜叉猿は側転し、一旦ワニとの間合いを取った。

「――おい、アホダヌキ」

 イギーがふいに声をかけてきた。何だと返すと、彼は戦いを見やったまま告げる。
「ひとつ頼みがある。コロマルが西で女と戦ってるんだが、その様子を見に行ってこい」
 イギーが頼みという言葉を口にしたのも意外だが、それよりもう一匹殺し合いに乗ったものが近くにいるという事実に顔が強張った。前方では丸太を防いだ夜叉猿の振り抜いた拳がワニの鳩尾辺りに吸い込まれ、鎧の砕ける音が響く――。

「なんでそんな七面倒くせえことをしなきゃならねえんだ!? 大体、頼み方ってもんがあるだろうが」
 そう吐き捨てる。イギーが鼻で嗤った。
「命の恩人の頼みぐらい聞けよ」
 イギーが告げたそのとき、西の方で火の手が上がるのが見えた。コロマルの奥の手であるペルソナとかいう力は炎を操るのだったか。それを出したということは、つまり苦戦している。そういう相手だということだ。行けるか。と胸中で加える。
 と、それまで黙っていたボニーが小さく吠えた。
「分かりました。西ですね?」
「おい!?」
 横から承知の旨を告げたボニーを睨むも、ふとボニーの考えに気付き口を閉じる。イギーが厭味たらしくアライグマの父を見、ボニーに目を移す。
「話の早い奴は好きだね。おめえ、長生きするぜ」
 そう言うが早いか、イギーはスタンドともにワニへと疾走していった。

「行きましょう、アライグマさん。夜叉猿さんから逃げるチャンスです」
「お、おお」
 やはりそういうことか。走り出したボニーの後を追う。走りながら、ボニーはアライグマの父を振りかえった。こちらに合わせ、少し速度を落としたようだ。

「あと、さっきの靴。いつでも履けるような状態にしておいてください」
「ん? 今履きゃあいいだろう? 旅は道連れってんで、乗せてやるぞ」
「コロマルさんを確認してからです! イギーさんのご依頼、忘れたんですか!?」

 強い口調に圧され、一先ず言うとおり、あの空飛ぶ靴を走りながら取り出し片手に下げる。進むにつれ、森の奥から焦げた臭いが微かに流れてきた。火の臭いを嗅ぐのはいつ以来だろうか。ふともの思いにふける。
 前を走るボニーが肩越しに視線を彼に向けた。
「あの、幾つか訊ねたいことがあるんです。走りながら答えて貰えますか?」
「なんだ、急に改まって。構わねえぞ」
 斜めから刺す木漏れ日が地面に水面のような文様を描いている。随分明るくなってきたようだ。朝露に濡れた下草が彼の進行に伴って弾けていく。
「隕石が落ち、天変地異の起きた日のことを憶えていますか?」
「はあ? なんのことだ?」
 台風のことを言っているのだろうか。だが、あれを天変地異というのは誇張にも程がある。アライグマの父の疑問には答えず、ボニーは質問を重ねる。

「ブタマスク団のことは?」
「ぶ、ブタ?」
「ノーウェア島という名に聞き覚えは?」
「どこだそりゃ?」
 知らない単語ばかりが含まれた質問の数々に段々と腹が立ってきた。眉間に深く皺が刻まれているのが自分でもよく分かる。
「最後です。人間を知ってますか?」
「知るか! さっきから何なんだ!?」
 苛立ち混じりに唾を飛ばす。ニンゲンという言葉はイギーやコロマルに聞かせられた話にも出てきていたが。
 訊き終えたボニーは何かを確信したように尻尾を動かした。彼は続けた。

「……かつて世界は滅び、生き残った人々は箱舟でノーウェア島という場所に逃げ込みました。それまでの記憶を消し、過去の過ちを繰り返さず美しい世界を作るために人々に暗示をかけ、新たな文明を築きました。それがボクたちの時代です」
「おい、ちょっと待て――」
「最後まで聞いてください。しかし、ポーキーという人間が過去から現れ、ノーウェア島に侵入し、自分に都合のよい世界を作ろうとしました」

 世界が滅んだ。過去から現れたニンゲン。更なる混乱にアライグマの父の頬はひくついた。ボニーは続ける。

「彼はそのためにあらゆる時代から人間を拉致・洗脳し、ブタマスク団を作り、ノーウェア島そのものであるドラゴンの力を我が物にしようと画策しました。その野望はボクのご主人たちが打ち砕きましたが」
 ボニーは一拍置き、アライグマの父を振り返る。彼はというと、ボニーの数十メートル後方で手近な木に手をついて荒くなった呼吸を整えようとしていた。歳だと痛感する。息子に大きな顔をしていられるのも時間の問題かもしれない。

「言いたいことはな、簡潔に、言え」
「ボクとアライグマさんの生きている時間が違うということです」
「…………?」
「さっき質問したことはノーウェア島の住人であれば経験していなければおかしいことなんです。それを知らないということは、アライグマさんはボクにとっての過去の住人ということになります。人間を知らないということは、気が遠くなるほど昔の方なのかも」

 ニンゲンというのは、キュウビが途中で変身したような姿をした獣のことで、先の巨大な建築物を其処彼処に作り繁栄しているらしい。酔狂な連中もいるものだと彼は思う。
 ボニーの考えに納得はできないが彼の言わんとする趣旨は何となく理解した。先を促す。

「ポーキーは時空を渡る乗り物を所持していました。キュウビもそれと同様のものを所持しており、違う時代から動物たちを集めたんじゃないでしょうか。そして、またここも何処かの時代の土地を使っていると考えられます。もしかしたら儀式というのは嘘で、本来のキュウビの目的は歴史の改竄かも」
「………………」
 自分なりに情報を整理してみる。時代が違うという表現は今一ぴんとこないし、過去だの未来だのという話も眉唾だ。
 だが、ボニーの論に従うのなら、ここから脱出して森に帰っても、そこは彼が知る“森”ではないということなのだろう。一から防衛装置を仕掛け直さねばならないわけだ。
 彼は嘆息する。

「ここから逃げるにしても、真っ当な方法じゃ、無理、ってことだな」
「……そうですね」

 つまり殺し合いに乗った方が活路を見出しやすいということではないかと思うも、口には出さなかった。代わりに別のことを尋ねる。
「こんな突拍子もないこと、いつ、考え付いた?」
「アライグマさんと話している間に違和感は持っていました。ある程度確信したのは、イギーさんのスタンド――でしたか、それを目にしたときです。あんなPSI、ボクたちの時代では考えられませんから。彼はボクよりも未来の住人なのかもしれませんね」
 知らない単語を聞き流しながら、アライグマの父は樹から手を離す。漸く呼吸が整ってきた。
「急ぎましょう」
 それを見て、アライグマの父が追い付くのを待たずにボニーが移動を再開する。彼は一度大きく深呼吸し、年配者を労らない小僧に毒づこうと顔を上げた。

「――あれ?」

 彼は無意識に間の抜けた声を漏らした。ボニーの目立つ赤い帽子がさっきよりも高い位置に浮かんでいるのだ。帽子だけか。いや、帽子の下にボニーの赤茶けた頭がちゃんとある。

 理解には数瞬を要した。その間に、森の奥から体毛を血に濡らした狼が現れる。コロマルではない。さっきのワニと似たようなものを身につけた女だ。
 彼女は右手に刀を下げていた。それは、かつて彼が石を研いで作ったものよりも洗練され、目を惹き付けて離さない魔的な輝きを放っていた。

 かさと音を立て、ボニーの赤い帽子が下草の中へと消えた。

 何が起きたかを察したとき、女とアライグマの父との距離は殆ど無かった。彼は慌てて手に下げていた靴に両足を突っ込んだ。
 景色が一瞬にして変わる。
 足元で風を切る音が聞こえ、彼の尻尾を熱が通り過ぎた。それは途端に激痛へと変ずる。悲鳴を上げる彼に構うことなく、身体は頭上にあった枝に次々と突っ込みながら上昇を続けた。
 上空へと放り出された彼は西へと引いていく夜の帳を見送り、そしてつい数時間前に墜落した場所と同じ地点に降り立つ。
 尻尾の先端付近の肉がざっくりと切られ、中の筋肉が覗いている。舐めると、痺れるような激痛が全身を駆け抜ける。だが、止めるわけにはいかない。血の臭いで他の獣が寄ってくるかもしれない。

 舐めながら、彼はユウエンチに目を向ける。夜叉猿の推測では、殺し合いを助長する何かが隠匿されているかもしれないとのことだが。ボニーもここを調べたがっていた。
 助長するものとは、刀などとは比べ物にならないぐらい凄いものなのだろうか。下手すれば、あのワニや夜叉猿、イギーのスタンドを相手にしても勝てるほどの――。
 そんなものが手に入れば彼を取り巻く状況は一転する。息子たちが生き残るチャンスを広げることにもなるかもしれない。

「……探してみるか」

 呟き、アライグマの父はユウエンチの入り口へ、のろのろと歩を進めた。その後を点々と血痕が続いて行く。



【A-2/遊園地入口/一日目/早朝】

【アライグマの父@ぼのぼの】
【状態】:頭部に怪我、尻尾に切創(出血中)、疲労(小)
【装備】:ディバック
【所持品】:地図、空飛ぶ靴@DQ5、魔除けの札@大神
【思考】
基本:積極的に誰かを襲うつもりはない……?
1:遊園地を調べ、戦闘を助長するものとやらを手に入れる。
2:食料の調達をする。
3:息子たちが心配?
【備考】
※札は少し湿っています。
※アイテムの説明は読んでいません。
※イギーと情報交換をしました。
※空飛ぶ靴は遊園地の入り口前が指定されていました。
※B-1からA-2の遊園地入り口までの間にアライグマの父の支給品が落ちている可能性があります。
※空を飛んだ時、月が地上よりも大きく見える気がしました。
※遊園地に戦闘を助長する何かが隠されていると思っています。
※ボニーの考察を知りました。が、あまり信じてはいません。
※ボニーの考察
  • 参加者は過去と未来、あらゆる時代から集められた。会場もどこかの時代の土地。
  • キュウビは時空を渡る道具を持っている。
  • キュウビの目的は歴史の改竄。

※遊園地の入り口からアライグマの父の血痕が続いています。




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028:暗い渦 シエラ 046:獣の卍(後篇)
028:暗い渦 クロコダイン 046:獣の卍(後篇)
032:現場は木造平屋建て イギー 046:獣の卍(後篇)
034:二度あることは三度ある アライグマの父 065:乱暴者タヌキは今日も行く
032:現場は木造平屋建て コロマル 046:獣の卍(後篇)
034:二度あることは三度ある ボニー 死亡
034:二度あることは三度ある 夜叉猿 046:獣の卍(後篇)




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