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背なの上のぼの ◆1eZNmJGbgM




「あー、オオカミさん!」

道の脇の草むらから、ぼのぼのはそう言ながらアマテラスの方へ走りだす。
この殺し合いに巻き込まれて半日が経とうとしているなか、最初に出会った時と同じ
白い体毛に紅の隈取りがよく映える雄々しい姿に、ぼのぼのは安堵する。
本人は気づかないかも知れないが、ヒグマの大将と死に別れてゐを見失っているのでなおのこと嬉しいのだろう。

「ワンッ」

アマテラスもぼのぼのが近づいてくると、相槌を打つかのようなタイミングで吠える。
彼の本心は伺い知れないが、恐らくはそうなのだろう。

「オオカミさんそのお腹の怪我どうしたの!?」

再開した時には見えなかったのか、胴の片側にできた傷口を目ざとく見つけたぼのぼのが慌てだす。
傷自体はカスリ傷よりは少し深い程度のものだったが、なにせヒグマの大将の死因を誤解している彼としては大問題である。

「大変だよー、オオカミさんも死んじゃう」

そう言うものの、自分では傷の手当等出来はしないぼのぼのはただただアマテラスの周りをアタフタと走りまわるばかり。
アマテラスからしてみれば、その大げさなリアクションを見ているうちに、自分の小さな相棒を思い出したかも知れない。



だが、そんな微笑ましい時間にも終止符が打たれる時が来た。
ちょうど空から雨粒が落ちてくるのと同時に、二人は南からやってくる白虎の存在に気がつく。
いや、アマテラスに関してはもっと早く察知していたかも知れない。
何故もっと早い段階で距離を取らなかったのかと言われれば、それはぼのぼのがいたからだろう。
アマテラスの中に彼を見捨てていくという選択肢は存在しない。
しかし今の混乱しているぼのぼのをいきなり連れて行っては拍車を掛けるばかりだ。
ならばぼのぼのに更に衝撃を与え、一旦頭の中が真っ白になった状態で連れていけば良い。
そこまでアマテラスが考えたかは疑問であるが、その試みは成功した。
ぼのぼのの首の辺りを軽く噛み、上へ放り投げ自分の背に落とす。そして相手の方へと振り向く。

敵は森の主=ムティカパ。鋼の如き強固な体毛をもつ白き虎。その名をムックルと言う。



この勝負は先程の小競り合いとは違い、アマテラスに有利な点が殆ど無い。理由は言うまでもなく彼の背に乗っているぼのぼのである。
ぼのぼのの体重がどれほどのものであろうが、何かを背に乗せて俊敏さが上がる道理はない。
仮にアマテラスの身体能力がその重さを苦にしない程であっても、心理的なブレーキがどうしてもかかる。
イッスンどころか、下手をすればクシナダよりも肝が座っていなそうなぼのぼのと共に戦うなどは論外。
よってアマテラスが取れる行動は、ぼのぼのと共にこの場から撤退するしか残されていないのだ。

一方、ムックルの立場になって考えれば先程の借りを返す絶好の機会である。
今回はあの白い獣の背に奇妙な獣が乗っており、それだけでも互いの素早さの差を埋めてくれる上に
あの奇妙な法術の事を既に知っているアドバンテージがこちらにある。
ならば無理をせず、白い獣の体力が落ちるのを待つか、あの隈取りが消えた時に勝負を決めにかかれば良い。
狩りの仕方はモロに習ったが、戦いの仕方ならそう遅れをとるものでもない。

「うわぁ」

雨脚が強くなってきたせいか、ぼのぼのの目に雨が入りつい声が漏れる。
それが開始の合図だった。

ムックルがアマテラスの周囲を反時計回りに走り距離を測る。
目的は逃走できる隙を減らし、あの突然消える法術を使わせること。

アマテラスはその円の中に取り込まれないように同じように回りだす。
一旦足を止めムックルのフットワークに取り込まれれば霧隠を使わざるを得なくなってしまう。

ムックルは時折前足で威嚇し、騎上のぼのぼのにもプレッシャーを与えながら更に速度を上げる。
あの獣がどれほど辛抱強くとも、同行者がそれに耐え切れなくなれば自ずと取る手段は決まるものだ。

アマテラスも更に走る速度を上げるが、それに比例してぼのぼのから伝わってくる震えも大きくなってくる。
やはりムックルの牽制が効いているのだろう、「オオカミさん、怖いよー」と声を漏らしている。

そして忍耐の限界だったのだろう、それまでしがみついていたぼのぼのが不意に体を起こし、アマテラスのバランスが崩れる。
その瞬間遂にアマテラスの尾が揺れ動いた。

アマテラスは霧隠を使ってすぐに飛び跳ね、一回転をする。別にムックルを飛び越えたわけではない。
まずはぼのぼのに再びしっかりと掴まってもらうのが大事だったのだ。
人馬一体とは違うが、重心が安定していた方が良いに決まっている。
狙いは功を奏し、振り落とされまいとぼのぼのはしっかりと掴まってきた。首に手を回しかねない勢いで。

ムックルは前回と同じ不可思議な幻陽を感じた瞬間、動きを止め、周囲の変化に神経を集中させる。
あの獣がどの方角へ逃げても瞬時に追いかけられるように対応しておく。
そして霧が晴れると同時にあの獣の鳴き声が東の方角から聞こえてきた。
瞬間、ムックルの体が弾かれたように加速する。

筆しらべの効力が切れると同時に、アマテラスは背上のぼのぼのへ視線を向け、一吠えする。
その咆哮は一時的とは言えぼのぼのを落ち着かせ、安心させるには十分だったようだ。
しかしこのひと手間のせいでムックルとの距離を思いのほか広げられない。
それでも走り続けるしかアマテラスに手段はないのだ。

雨も本降りになり始めたのか、ムックルの足跡にも先を走るアマテラスの足跡にも水溜りが出来る。
ムックルにとって唯一とも言える見込み違いはこの天候だ。ムックルの毛皮は水に濡れると不味い。
さすがに通り雨程度でどうにかなるものでもないが、全く影響がないと言い切れる程でもない。
早めにケリを付けるべく、ムックルはギアを更に一段階上げて疾走する。


その努力が実り、遂にアマテラスの後ろ足をムックルの爪が捕らえた。



キャインとアマテラスが悲鳴を挙げた場所はC-5、崖の下。
なだらかではあるが傾斜が付いているのだろう、少し離れた崖の上から集まった雨水が
まるで排水口のように勢い良く流れ落ちている。
ぼのぼのが心配そうに傷を確かめようとしているが、アマテラスから降りようとはしない。
ぼのぼのでも理解できたのだ、ここで二人が距離を取ればどちらかが確実に殺されると。
アマテラスもそれが分かっているからこそ、傷が痛んでもぼのぼのを降ろそうとはしない。

ムックルからしてみれば、遂に獲物を己の射程距離内に追い詰めた。
また法術を使われる可能性はあるが、いくら怪我をした足で距離を稼いでも高が知れる。
あの隈取りが消えたが最後、目の前の二人に生き残るすべはない。
両足で地面の土を少しずつ掴み、ジワジワと距離を縮めてゆく。
その光景は正しく森の主=ムティカパと呼ばれるに相応しい風格を伴った仕草であった。
もっとも、狩りの仕方を手ほどきしたモロが草葉の陰でどの様な表情をしているのかは、別の話である。


そしてムックルの前足がアマテラスに届く半歩前、再び筆しらべ『霧隠』が発動した。


霧隠の効果が終わると同時にムックルが周囲は見渡す。

右見て、いない。
左見て、いない。
下は、省略。
ならば上見て……いない?

まさか本当に姿を消す法術があるのかとムックルは考えるが、ならば最初に遭遇した時点で使用しているだろうと考え否定する。
その時、人間だったら「おい、こっちだ」とでも言いたげな一吠えと共に、背後から足音が聞こえた。
ムックルが瞬時に体を反転させると、そこには自分の後ろへと回りこみ、こちら目掛けて突進してくるアマテラス達の姿があった。
率直に言えば、ムックルは多少落胆していたのかも知れない。
体格差は勿論、足に傷を負った今のアマテラスでは俊敏さもムックルにとって驚異にもならない。
恐らくは助走をつけて自分を飛び越し上の崖へ登り着きたいのだろうが、そう安々と成功させる筈はない。
そこでムックルが取った行動は、自分もアマテラス目掛け突進し相対的に助走の距離を縮める事だった。
ムックルとアマテラスの間合いがどんどん狭くなり、ムックルの前足がアマテラスの頭蓋を捉えようとしたその瞬間、

ムックルの『背後』から、大量の水が叩きつけられた。

当然、ムックルの動きは停止する。
この場には自分と白い獣とその背に乗っている奇妙な獣しかいないはず。そして相手は二人とも自分の目の前にいる。
ならば一体誰がこの水を浴びせたのだろうと考え、思考も肉体も数秒固まる。
ムックルが我に帰り相手の事を思い出したとき、アマテラスは自分の頭上にいた。
これも法術の一つなのだろうか、白い獣は宙に浮きながらさも当然と言わんばかりに虚空を蹴り、更に跳躍する。
更に助走の勢いが無くなり、崖の上までわずかに届かなくなった所で再び宙を蹴り
見えない敵に体当たりをするかの如き動きで崖の上までたどり着いたのだ。

崖の上にたどり着いたアマテラスは勝ち鬨の代わりに「ワフッ」と一声。
そのまま崖下のムックルが見えなくなる所まで走り去ると、ムックルもようやく獲物を逃がしてしまったことに気付いてしまった。
直後、周囲の水溜りや降り続く雨粒までも震えるほどの「グワアアアァッ」という猛烈な咆哮を上げ
やり場のない怒りをどうにか発散しようとする。

幸か不幸か、その叫び声の正体が「ばかーー!」と言っている事に気づく者はこの場にはいなかったのだが。





【C-5/崖下/一日目/正午】

【ムックル@うたわれるもの】
【状態】:全身にダメージ(小)、精神的疲労(小)、母への強い思慕、興奮(大)、びしょびしょ
【装備】:鋼鉄の牙@ドラゴンクエスト5
【道具】:なし
【思考】
基本:殺し合いに乗る。
1:もうなんなのー!
【備考】
※ムックルの参戦時期はアニメ第5話で、食料庫に盗み食いに入る直前です。
※ツネ次郎に懐きました。缶詰をツネ次郎がくれたものだと勘違いしたため。
※風雲再起に苦手意識を持っています。
※モロから一連の狩りの仕方(気配の殺し方等)を教わっています。
※アマテラスの本当の姿が見えています。
※筆しらべ『水郷』を浴びたため、血は大分洗い流されました。



【C-5/崖上/一日目/正午】

【ぼのぼの@ぼのぼの】
[状態]:健康、不安
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ベンズナイフ@HUNTER×HUNTER、貝割り用の石@ぼのぼの、貝×5、
[思考]
基本:殺し合いはしない。
0:オオカミさん、もっと怪我しちゃったよー!
1:てゐを探す。学校に戻る?
2:悪いオオカミさんは悪いオオカミさんじゃないのかなー?
3:てゐについていきシマリスとヒグマの大将が生き返る者の所まで案内してもらう
4:殺し合いに乗っている者がいたら、このナイフを使ってとめる
[備考]
※アニメ最終話48話後からの参戦です
※支給品の説明書は読んでいません。
※銀に不信感を持ちましたが悩んでいます。
※ケロロ軍曹と情報交換をしました。
※体を洗ったので、血の臭いは殆ど落ちました。
※第一回放送を聞きましたが、あまり理解していません。
※ムックルを危険人物と認識しました。


【アマテラス@大神】
【状態】:全身打撲(中・治療済) 、胴に裂傷(小・出血中)、後ろ足に裂傷(中)、墨切れ
【装備】:所々に布が巻かれている。
【道具】:なし。
【思考】
基本:打倒キュウビ。絶対に参加者を傷つけるつもりはない。
0:??????
【備考】
※アマテラスの参戦時期は鬼ヶ島突入直前です。そのため、筆しらべの吹雪、迅雷の力は取り戻していません。
※筆しらべの制限に気付いているかもしれません。
※キュウビの目的について、何か勘付いているかもしれません。
※筆しらべ「光明」と「月光」で昼夜を変えることはできないようです。
※筆しらべ「桜花」で花は咲かせられるようです。
※筆しらべは短期間に三回使うと、しばし使えなくなるようです。爆炎などの大技だと、また変わってくるかもしれません。



時系列順で読む


投下順で読む


079:雨がくる風がたつ ぼのぼの 097:雨の降る昼、いったいどうする
079:雨がくる風がたつ アマテラス 097:雨の降る昼、いったいどうする
071:Dances with the Goddess ムックル 098:とても優しい瞳をしてたあなたが歌う――




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