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シロとケットシーの偽典・黙示録だゾ ◆EGv2prCtI.


 ぼく、シロ。人間で言ったら、五歳。
 今はしんちゃんの家に住んでます。
 初めの頃は家の中で出しちゃったり、ドレスを食いちぎっちゃったりしてたけど、でも今は自分でも成長したかなと思ってます。
 洗濯物を取り込んだり、ひまわりちゃんの面倒を見たり、バスを運転したり――
 ああ、でもこれって普通の犬がすることなのかな?
 多分しないだろうけど。

 とにかく、ぼくはしんちゃんとずっと一緒に居るって約束しました。
 ずっと、いつまでも。
 でも、しんちゃんはいつもぼくを散歩させるのをサボっちゃう。
 だから今日もぼくだけで散歩に行こうって思ってたけど――


 シロがキュウビの手により転送されたのはログハウス前であった。
 ログハウスの玄関の左手に倉庫らしきものが伺え、そして周囲は木々で囲まれている。
 少なくとも、シロが知っている場所ではなかったし、知っていたとしても、多分いつもと違う雰囲気を直ぐに感じ取っていたことだろう。
 酷いことだ。
 どうして動物同士で殺し合わなきゃならないんだろう。
 いや、はっきり言えばそれはシロには関係の無い――思考の及びもつかない世界での出来事だと考えていた。
 その点――シロはいくつか目の前で死を経験した、と言ってもそれは動物同士が殺し合ったのではない。
 悪い人間に轢き殺されたり病気のまま捨てられ、そのまま息絶えたに過ぎないのだ。
 実際に動物が動物を殺害、或いはその現場を見たことが無いシロだ。
 しかしながら、それでも、そうだからこそキュウビの異常性は分かる。
 間違ってる。
 動物は無闇に殺戮を繰り返す――そんなことをするべきなのだろうか? 違う。
 生きる為に殺すのではなく、当座生き残る為に殺すのを強制されているのだ。
 例え、殺して奪って殺して奪って殺しまくる動物がそれこそ本来の姿であったとしても、だ。

 だから、ぼくはキュウビを止めたい。
 ――そう、しんちゃんもきっとそうする。きっと。
 その為にも、ぼくだけじゃなくて他に仲間を――


 その時、まさにその時、ログハウス玄関との向かい側に、何か、気配と共に影が現れた。
 シロは警戒し、身を屈ませた。
 どうだろう、この動物は――

 ――。

 まず目に入ったのは、その猫の顔だ。
 何故かシロよりかなり高い位置にその顔が浮かんでいる。人間の、ちょっと小柄な大人ぐらい。四足歩行をしているのならばあそこまで高くはいかないのではないだろうか?
 そしてその頭には印象に残る感じの羽帽子を、ぴこんと耳を出すように被っている。
 身体が見えたのは、それから数秒もしない内だった。
 そう――それは、まるで人間みたいな身体つきだった。
 月明かりに照らされたやや青みを帯びた黒い毛皮に、肩にかけられた赤いマント、首から腰にかけてのベルト(首にはきちんと首輪が付けられていた。そう、シロと同じく)、それから脚に履いた赤いブーツ。
 ――そしてそれより何より、普通に二足歩行をしていた。
 猫はシロを認めると目を丸くさせ、しばらくはシロを見つめていたのだけれど、それから十秒くらいして口を開いた。

「……オイラにたかろうっての?」

 やや甲高く、そしてけだるそうだったが――猫が、普通にしゃべってる。
 そのことにシロは驚いていた。

 でも――たかろうだって?
 ご飯を貰えない時に商店街で芸をしていたならともかく、今はそんなつもり無いのに。
「クーン」
 シロは悲しげに鳴いて、猫の瞳を見据えた。
 猫は何かを悟ったような表情を見せると、そんなシロに向かって、言った。
「こっちにカモーン」
 猫がその場に腰を降ろし、左前足――いや、左手をシロに向けて差し出していた。
 ああ――多分、自分を触りたいのだろう。
 よく人、特に見知らぬ子供とかがそんな素振りをよく見せる。
 それは別に構わなかったし、それで子供が幸せになるのならかえって良かったのだけれど。

 それはさておき、なるべくここは相手になるべくいい印象を与えたい。
 シロは猫に近付き、左手を嗅いだ。
 紛れも無く猫の臭いだ。
「よーしよし」
 猫がシロを抱き寄せ、もう片手で頭を撫で始めた。
 シロもそれに合わせて顔を動かそうとして――
 そこでようやく気付いた。先程まで背負っていた筈の鞄が、いつの間にかベルトを切られて地面に転がっている。
 ――唐突に、猫が手をシロの首に回り込ませた。
 何か、嫌な感覚が首輪の上のそこに襲った。
 熱い。喉元が。ひどく。

「シュガー、どうして簡単に信じちゃうかな?」
 猫が、何か喜んで喋っているように感じた。
 何が、何があったのだろう。
 シロは視線を首元に移し――目を見開いた。
 そう――その猫の指の先――爪――が、シロの白い毛皮を突き抜けて、痛みの根源であるそこに、深く入り込んでいたのだ。

「オイラの爪って人間サマにはあまり効かないと思ってたけどさー、犬コロ相手だと意外と入るみたいだねー」
 猫はそれをとても喜ばしく語っていた。
 事態を完全に把握したシロは喉を完全に引き裂かれる前に、身体を捻らせ、うまく猫の爪と腕の中から抜け出した。
 ――その時、変に爪が引っ掛かったのかも知れない。
 猫の爪がシロの肉を数グラム程抉り取ったのだ。
 それまで茫然としていた思考が回復し、鋭い痛みがシロの神経を貫いた。
 しかしそれがシロを覚醒させた。

 次の瞬間には、素早くシロは猫から離れていた。
 多分、猫が追いつけないぐらいの速さで。
 シロの喉からは熱さが零れて、それは日が出ていたのならきっとシロの白い身体とは対を成した色の液体の熱さの筈であった。
 逃げた。
 必死に逃げた。
 もう――猫の姿は見えなくなっていたのだけれど、しかしながら、猫がシロ以上に速いとも限らない。
 とにかく、猫からはなるべく離れたかった。

 それからしばらくして、さっきの猫のメガホンか何かを通した声が響いた。
『世の中しけてんぜー、オイラグレちゃう!』
 ――意味がわからない。
 そう油断した時だった。
 不意に足元の感覚が消失し、そのままシロは崖下に転がり込んだ。
 すっかり逃げることに全神経を集中し、目の前の崖が見えていなかったのだ。
 急な斜面が体中を打ち、数秒して、シロは地面に投げ出されていた。
 強烈に叩き付けられて、痛みどころか痺れすら感じた。
 そして、そのまま立ち上がろうとし――気付いた。

 身体が――動かない?
 このぐらいの怪我で?
 うそだ。
 ぼくはしんちゃんの元へ帰らなきゃいけないんだからぼくはしんちゃんといつまでも居るんだからぼくはしんちゃんとそう約束したんだからぼくは――

 シロは、そのまま意識を失った。

「逃がしちゃったか」

 爪に付着した血を舐め取り、もう片手でマントの乱れを直しながら、魔獣ケットシーは惜しそうに呟いた。

 このケットシーは他の個体と違い、ある特殊な事情により衝撃波を放つ魔法、マハザンマを使えたのだが、しかしどうも近くに回復の泉も無いような此処で魔力を無駄遣いする気にはなれなかった。
 だいたいあの犬に奇襲をかけたのも最低限の消費で即座に殺せると見込んでいたからだ。
 まさかの抵抗で逃してしまったが、今度からは油断せずに倒さなければならない。

 当座、ケットシーに必要なのは生体マグネタイトである。
 ケットシーの履いている膝辺りまである赤い長靴の靴底の裏、そこから感じられる感触。そして僅かな明かりが射し込む周囲の青々しい森が並ぶ風景。
 ――ここが魔界ではないのは明らかだった。

 そうなると問題なのは一つしか無いのだ。
 悪魔の身体の維持に必要な生体マグネタイト。
 魔界なら別にいい。探そうと思えばそれはいくらでもある。
 しかし魔界でないとすればそうはいかない。
 わざわざ生き物が蓄えている微量の生体マグネタイトを奪わなければならないのだ。
 つまり、不可抗力ながら少なくとも誰かを殺す必要があった。
 ケットシー自身、自分から進んで殺しに行くという思考は薄い。
 だってさすがに殺し損ねて恨まれて後で確実にKILLされるなんて嫌じゃん?
 だが――マグネタイトが無いとなればそれは致し方がない。
 マグネタイトが無ければ身体が崩壊して死んでしまうのだ。
 恐らく、このままなら一日も持たないだろう。

 その点、ケットシー自体は今の今までそんなマグネタイト不足に悩んだことはなかった。
 何故なら――このケットシーは元々悪魔合体で生み出された個体であったし、そんなマグネタイト関連の知識などは合体前の元の悪魔のものだったので。
 つまりケットシー自体はマグネタイトの心配をする必要がなかったのだ。
 彼の主人が経験値稼ぎの為に悪魔を狩りまくるものだからマグネタイト食い放題。
 しかしそれも長くは続かなかった。

 あの髪がストーンと落ちた感じの女――ユミだっけ? ――が、タルカジャ(オイラも使える攻撃力をアップさせるナイスなマジック)を使うようになってから用済みになったとばかりに合体材料にしようと主人が提案したのだ。
 なんでもタルカジャ持ちの聖獣を作りたかったらしい。
 それでケットシーは主人をゾンビドッグ級のマヌケだと悟った。
 ねぇ? バカ? あんたバカ? 魔法継承は補助魔法より攻撃魔法(この場合、マハザンマになる)が優先されるんだよ。
 全くバカ過ぎてノーテンに来る。
 そんなわけでケットシーは自分が合体材料にされてあのデカい容器に無理矢理詰め込まれたものだと記憶していたが――

 どうもその後にあのキュウビとか言う奴にあの空間に放り込まれていたらしい。
 束縛されるのは気に入らなかったが、しかし自分が挑んで勝てるような悪魔ではないのは知っていたので取り敢えず様子見していた。
 そして案の定――あの一匹の首がビックバンを起こした。
 ケットシーにも付けられたこの鉄製の首輪を吹き飛ばされて――


 そんな訳で、ログハウス近くに飛ばされてから直後にあの犬に会い、襲撃をかけたのだが逃げられてしまった。
 やはりいつもの様に調子に乗ってないで直ぐに首にぱっくり口を作ってやればよかったと今更ながら後悔した。
 しかし、今はそれよりなにより――

「まあいいや。荷物はちゃーんとゲットしたし」
 そう、あの犬からはデイパックを奪っていたのだ。
 それにまだ、自分の荷物も見ていない。
 ケットシーは悠々とそのベルトが切れたデイパックを回収し、中身を地面に振り落とした。
 まず初めに目が付いたのは何か棒状のようなものだ。
 それが月明かりに照らされ、鞘に入った刃物か何かと言うのは分かったので、それを手に取って引き抜いた。
 反りの入ったスリムな刃――シャムシールだ。
 剣。十分使える。
 それに愛用のサーベルが無くなっていたので、ちょうど良かった。
 ケットシーはそれを左手に持つと本物であるのを手頃な幹が太い長い草を切り裂くことで確認し、それから直ぐさま鞘をベルトに装着した。

 続けて、何か石のようなものが視界に入った。
 どうやらマハジオストーン、らしかった。
 秘められた力を放つと電撃を放つ石。
 何か形状が違う気がするけど、多分、それ。
 道具袋は主人がほとんど占領していたので、ケットシー自身は使ったことが無いのだけれど。
 オーケイ。威力はそれなりだし大型クラスの獣やら悪魔相手にも、感電させたりしてちょっとした脅しにはなるだろう。
 それは知っていたので、ケットシーはそれの説明書を見ずに自分のデイパックにしまい込んだ。

 それから、何か手袋らしきもの。
 何か特別な力があるかも知れない。
 そして見た目に反して防御にも使える可能性もあった。
 魔界にはそんなものがザラにある。ピンポンハットとかアミーゴポンチョとか。
 ケットシーはそれを右手にはめ込んだ。
 これでなかなかの装備になった、筈。
 後は、何か犬の顔がプリントされた缶詰が幾つか転がったがどうでもよさそうなものだったのでそのままにした。


 引き続き、今度は自分のデイパックの確認を始めた。
 ――そう言えば、あの犬のデイパックと自分のデイパックのサイズが違うことにも気付いた。
 だからなんだと言う話だが。

「ガン、かな?」
 手始めに出てきたのは物騒なL字の鉄の塊。
 所謂『ガン』や『銃』と呼ばれる武器である。
 ケットシーはこれの使い方については了承していた。
 かつての主人やユミがバンバンぶっ放しているのを間近で見ていたのだ。
 弾の装填や撃ち出し方まできちんと理解している(だいたい、ね)。
 しかし、それを到底使う気にはなれなかったが。
 だって近付いてこっそり斬った方が早いし。

 一応、銃と予備弾丸をデイパックに入れはしたが、この後使う予定があるかは怪しかった。
 それは、ともかく。

「? なんだろ、これ」
 次に取り出したのは何か、釣鐘状の形をしたプラスチックに銃の持ち手とトリガーを取り付けたような物。
 見慣れないものだった。
 何か特殊な効き目でもあるのだろうか。

「グッドなアイテムなのかなー」
 説明書を見る限り、どうも声を増幅させて攻撃する道具らしい。
 成る程、音波で耳にアタックするのか。
 試しに一回、叫んでみた。

『世の中しけてんぜー、オイラグレちゃう!』
 ――効果は予想以上だった。
 使った自分ですら耳がキンキンいく程だ。
 これはかなりの効果が期待出来る。


 まだ幾つか細かい道具が入っている気がしたが、しかしいまいち確認しようにもよく分からないような物だった。

 ――それからケットシーは思案した。
 自分の実力は十分に把握しているつもりだ。
 優勝を狙える、とはあまり思えなかった。
 いや、勝てるような動物ばかりならこのまま殺し合いに乗ってもいい。
 それだけの道具がケットシーにはあるのだ。
 しかし――事はそこまで円滑には進まないのだろう。
 そして、心強い味方(それこそ、あの主人みたいな)が居ればキュウビに逆らうのもいい。
 少なくともあの魔神皇よりは強くない筈。決して倒せないレベルではないのである。
 ――そもそも、徒党を組んでもキュウビには勝てないようなクラスの弱い動物やら悪魔しか集められていない気もしたが。


 それにそれらは、まず生体マグネタイトを手に入れてからの話だ。
 そうだ、それが終わってからが始まり――

 ヒーホー! イエアウイゴナメイクイット!

【C-6/ログハウス前/一日目/夜中】
【ケットシー@真女神転生if...】
【状態】:実に健康、少し耳が痛い
【装備】:シャムシール@真女神転生if...、まぼろしのてぶくろ@MOTHER3
【所持品】:支給品一式、デザートイーグル@真女神転生if...(コロナショット7発装填)、コロナショット@真女神転生if...(14発)、雷の石@ポケットモンスター、拡声器、不明支給品(0~1)
【思考】
基本:生き残る。ゲームに乗るかキュウビに逆らうかは他の参加者をよく確かめてからにする
1:先ずは生体マグネタイトを調達する(誰かを殺す、もしくは誰かが持っているのを手に入れる)
【備考】:雷の石をマハジオストーン@真女神転生if...と勘違いしています
     まぼろしのてぶくろを防具と勘違いしています
     拡声器を攻撃アイテムと勘違いしています

【C-5/崖下/一日目/夜中】
【シロ@クレヨンしんちゃん】
【状態】:気絶、首に致命的な刺創、出血、全身打撲
【装備】:なし
【所持品】:なし
【思考】
基本:どうにかしてキュウビに対抗する
1:(気絶中)


※C-6周辺にケットシーの声が響きました
※C-6ログハウス前にドッグフード×3が転がっています

【シャムシール@真女神転生if...】
装備者に少しの力と知恵と魔力を与える。
ただし、武器としてただ切れ味が良いだけで普通。

【デザートイーグル@真女神転生if...】
真女神転生2以降における雑魚銃。
多分マグナム弾を撃つ方とは名前が同じだけの別物。
何故か魔界(魔神皇の妄想世界と幽閉の塔の両方)で売ってるし。
弾丸ならなんでも装填出来る。

【コロナショット@真女神転生if...】
命中した相手を感電させる非常に強力な弾丸。

【雷の石@ポケットモンスター】
一部の電気系ポケモンを進化させる石。
当然ながら攻撃効果は無い。

【まぼろしのてぶくろ@MOTHER3】
武器。殴りつける武器として使えばトップクラスの性能。
体力と精神力(魔力)、知恵と素早さを与える。
しかし恐らく防御効果は期待できない。


マハザンマ…空気を爆発させて広範囲に強烈な衝撃波を発生させる魔法。ケットシーの魔力だと特に制限が無ければ休憩無しで最大四発程度放つのが限界


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GAME START シロ 033:不夜城のシロ
GAME START ケットシー 022:未来へのシナリオは




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