「レーダー(情報)」(2008/10/16 (木) 10:45:28) の最新版変更点
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#CONTENTS
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**レーザー誘導方式のデメリットは、攻撃対象にレーザーを照射し続けなければならないこと以外に何がありますか?
多数使われていますが、次の二つの欠点があります。
1.全天候でない。レーザー光(赤外)は悪天候や砂嵐、濃厚な火災の煙などがあると透過せず、誘導できません。
コソボでは悪天候が多かったために、NATOのレーザー誘導兵器の稼働率が悪く、大きな問題となりました。
2.誘導が必要。命中までレーザー光を当て続ける必要があります。
地上の前進指示員であれば、レーザーを探知され、攻撃される可能性がありますし、航空機であっても、回避行動に制限がかかります。
また、対戦車ミサイルなどでは、レーザーを探知した瞬間に濃厚な煙幕をグレネードランチャーなどによって展開されると命中率が低下します。
したがって、現在ではレーザーとGPSの併用などが一般化しつつあります。また、新たなレーザー誘導の形として、LADAR(レーザーレーダー)が普及を始めています。
レーザー光のスキャンによって目標を探知、識別する方法で、終末誘導に使用することで撃ちっぱなしと正確な着弾を可能にするものです。
また、原始的なLADARはECMに強い近接信管として、すでにSAMやAAMに採用されています。
最近は高度なLADARを使用することで、単に距離で起爆するだけでなく、目標方向に向かって貫徹体を指向、投射する弾頭も開発されています。
#right(){(6:system)}
**光学誘導について教えてください。
光学誘導は画像認識による誘導です。パッシブなので照準レーザーが不要です。
欠点は降雨、曇天などによる影響がレーザーより強いこと、迷彩などに惑わされることです。砲火、フレア、煙幕などで誘導が外れることもあります。
#right(){(6:system)}
**「ロックオン」って具体的にはどういう状況の事?発射前のミサイルのシーカーが敵機を捕らえたらロックオンなの?
指令誘導のミサイルであれば(距離が長いミサイルは初期指令誘導も多い)、発射プラットフォームが策敵レーダーから、
目標を決定して追尾レーダーに切り替えた時点がロックオンと言う事になるでしょう。
被ロックオン機ではレーダーの周波数、パターンが替わるのでロックオンされた事がわかります。イヤですね(笑)。
#right(){(7:145)}
**サーマルセンサーやパッシブソナーを妨害するというのは具体的にどうするのかな?
パッシブソナーに対する妨害は、現在のところ静音化とデコイによる欺瞞、変温層を
利用した待避しかないと思います。
サーマルセンサー(パッシブ)に対しては、冷却やカモフラージュによる、赤外輻射の抑制、
表面赤外パターンの変更あるいはフレア散布や赤外センサーへの攻撃ということになるでしょう。
#right(){(8:system)}
**最近のレーダーだと,探知した航空機や艦船についてどのくらいまで分かるんでしょう?航空機だと機種まで分かりますか?
>艦船の場合は何級の何番艦かまで分かるんですか?
>それとレーダーの探知性能は早期警戒機>艦船>戦闘機や攻撃機,これで合ってますか?
距離とレーダーの種類によります.
上等なレーダーでご機嫌な距離なら,機体のおおよそのサイズが分かり,うまく行くと垂直尾翼の数がわかり,エンジンのタービンブレードの数がわかるので,機種をかなりの確率で推定することができます.
艦船の場合,これも同様のやらせ条件だとおおよそのサイズ,マストの数,上部構造の輪郭,敵の艦載レーダーの搭載数,それぞれの回転数などがわかりますので,これまたかなりの確率で艦種の推定が可能です.
何番艦ってのは特殊仕様でない限りダメでしょ.
探知性能が探知距離という意味でしたら,当然高空にいる早期警戒機がベストです.
そこから先はレーダー自身の性能(≒重さ,サイズ,消費電力)と高度のバランスになるので,小型機と艦船ではなんとも言えません.対象が航空機か艦船かでも変わります.
場合によっては,早期警戒機よりも艦載レーダーの方が艦船に対する探知性能(距離,詳細)に優れることも
あるでしょう.
特に艦船対象の場合はISAR(逆開口合成レーダー)機能の有無が問題になりますから.
**レーダーを使うと対レーダー・ミサイルで破壊されるそうですが、レーダーはどのようにして保護されているんですか?また安全な運用法はありますか?
攻撃に弱いレーダーアンテナを剥き出しにしなくてはいけない、というのは昔からずっと解決されていないレーダーの弱点の一つです。
レーダーに「装甲」を施すと,電波が遠くに飛ばなくなっちゃうので、装甲のような形でレーダーを保護するのは難しいです。
よくある「レーダー・ドーム」は風雨からレーダーを守るためのもの。防護効果は殆どありません。
で、対レーダーミサイル(ARM)に対しては、自分の発振するレーダー電波の周波数を微妙に変える事で対処します。
例えば、76Mhz(この数字は説明用のいい加減なもなので当てにしないように)でロックオンされたら、76.5Mhzに変える、とか。
究極的にはレーダーの発振を一時的に止めることか。 もちろん、レーダー使えなくなるけど。
もっとも,ミサイルの方もロックオン時の周波数を幅広くとってたり(76Mhzでロックオンしたら,数値の幅を75~77Mhzにとっておくとか)、電波だけでなく目標の方位と距離にもロックオンしたり、といった対策法を取ったりもします.
このように,電子戦(ハードキルも含む)は狐と狸の化かしあいとなります.
必然,技術が高く相手の情報を多く持っている方が有利です。
対レーダー・ミサイルといえども、相手の知らないバンドを用意する、周波数ホッピング、とりあえず発振中止、間欠発振、複数アンテナ切り替え、ダミー放射源用意と色々対抗手段は考えれます。
しかしそれには、相手のシーカーの特性等の知ってる事が大事だったり、高コストだったり、運用に制限があったりします。
そういう事を含めて、技術と情報と金の優位が重要なのです。
**ECMとは、どのような原理で相手の電子機器を妨害するんでしょうか?
>ECCMに周波数ホッピングなどが使われるということは、ECMは特定の周波数に大出力の電波を流すのですか?それ以外の方法で妨害電波を出す方法はあるのですか?
>また、もし大出力の電波を出すのなら、ECMとステルスは並立できないのでしょうか。ECMが必要な場合は、すでに相手に発見されているのでステルス性はいらないんですか?
「ECMとは?」,スゴく荒っぽくまとめます。
1.全波長にわたって電波雑音を出す。
相手が何を使っていようと、とにかくノイズで埋もれさす。
予備知識なしで使えるが、大電力が必要。
2.相手の使っている波長も偏波も変調方式もわかっている場合。
それに合わせてバッチリ重ねてつぶす。
あるいはずらして出して誤った結果を与える。
小電力で可能。予備知識必須。
3.1.と2.の中間。
ある程度波長がわかっているなどの場合、そこに集中して適当にノイズを流す。
どれも結果として画面が濁り(あるいはセンサーの感度が落ち),目標を特定しにくくなる。
そこに目標がステルス性で最初から小さければ,なおさら見つけにくくなる。
ECMはステルス性を助ける。
ただしECM自身は電波発信なので発信源を目標にされる可能性は常にある。
通常は射程外に発信源を置くが、最近は妨害目標の場所を特定し指向波で妨害することで探知されにくいECMも可能になってきている。
**ロックオン警告用のレーザー検出装置ってレーザーを自分(戦車の車体、戦闘機の機体)のどこに照射されても検出出来るんですか?
>レーザーって照射した一点でしか検出できないのでは?
照射されたレーザーは物に当たると拡散するので、その拡散したレーザー波を検出する。
(初心者スレ474:767)
**ステルス機でもRCSはゼロにならないので、レーダーを時速500km以上で移動する物だけを映るようにすれば発見できるような気がするのですがどうでしょうか?
実際、現代ではそのような原理を使用したドップラーレーダーが普通に使用されています。
しかし、バックにノイズが入ることは避けられず、その際、わずかな反射はノイズに埋もれる。
レーダーに対して垂直に動いている機体は速度がゼロになるので映らない。
斜めであっても、そのぶん視線方向の速度が減るから、映らなくなることがある。
ドップラーレーダーはご存じの通り周波数変化を利用して移動物体のみ捉えます。
例えば接近してくる物体を捉えようとしたら、周波数100の電波を発射し、110~120の範囲だけフィルターすると
10~20のドップラー偏位を起こす正の(つまりこちら向きの)視線方向速度をもった反射だけを捉えることができます。
しかし、敵機の進行方向は未知ですから、たとえ敵機の速度がわかっていても、
視線方向の速度は、0(敵機が電波に対して垂直)~敵機の速度そのもの(視線方向に運動している)
までさまざまとなります。
仮にレーダー回路自体のノイズがゼロであっても(熱力学的に不可能ですが)たまたまレーダーが向いた方向に、
周波数110~120の電波を発信するものがあれば、これがノイズとなる上、レーダーにはサイドローブがありますから、
レーダーが向いていない方に発信源があっても、同様にノイズ源となり得ます。
というわけで、速度がわかっていても反射が弱い敵機はとても捉えにくいことになります。
(初心者スレ)
**何故、航空自衛隊の早期警戒機や早期警戒管制機は未だに旧式の回転式レーダーを使用しているのでしょうか?
>フェーズドアレイレーダーを搭載した新しい早期警戒機や早期警戒管制機を調達したりはしないのでしょうか?
E-767のレーダーはフェイズドアレイだし
固定したフェイズドアレーレーダーより、回転型のフェイズドアレーの方が素子数が少なくて済む。
もちろん同時監視はできなくなるが、問題ない速さでスキャンできていれば、わざわざ高価で重いものを
積む必要はない。
さらに、固定式フェイズドアレーを機体にどのように搭載するかの問題も起きる。機体の長軸に沿って搭載する方法だと、
前後に死角ができ、それをカバーするための補助レーダーが要るが、これは機体の幅で長さが限られるため、
性能が落ちる。
機体上部に三角形にフェイズドアレーを置くことも考えられるが、回転レドーム(ロートドーム)の直径が同じ場合、
図を書けばすぐわかるとおり、回転式のフェイズドアレーよりも一辺が短くなり、性能が落ちる。
斜め方向の分解能も落ちるから、すべての方向で同じ性能にしようとしたらえらくでかいものになってしまい、
空力的にとても大変なことになってしまう。
というわけで、ロートドームの中身はフェイズドアレーになりつつあるが、回転させるメリットは大きい。
#right(){(初心者スレ478:67-71)}
**超低空だとレーダーに映らないと聞いたのですが、それなら何故たいていの国ならレーダーを装備している第二次大戦後半でも、爆撃兵団は高高度を飛んでいるのですか?
超低空でもレーダーに近寄ればは普通に映る
高空を飛ぶよりも後に発見されるだけ
レーダーの被覆域は低空では小さくなるのでレーダー網には「穴」が開くことがあり
そこを通れば映らないが戦略的戦術的に重要な地点では「穴」が開かないように考えて
レーダーが配置してあるのが当時からの常識
で、何で高空を侵攻するかっていうと、当時の戦闘機は1万mに登るまでどんなに早くても
10分ぐらい、普通は30分ぐらい、日本のなんか下手すりゃ1時間ぐらいかかった
レーダーで見つけてから離陸迎撃したって間に合わないわけよ
あらかじめ上空で待機していても、ルートが予想からずれたら敵に追いつけない
結果、石を投げられてもぶつかって墜落する危険がある超低空を通るよりも、敵戦闘機が
あえぎながら必死で上ってくるのを横目でみてスルーできる超高空をのんびり進んだ方が
安全なわけ
これ、今でも通用する理屈なんだよ。でもって米軍は超低空侵攻戦術を事実上放棄しちゃった
#right(){(初心者スレ480:980)}
**AWACSって、大きなレーダーが付いてますが、電磁波が出続けてるんですよね?隊員への身体的影響はないのでしょうか。
・乗員が危険(なくらいの電磁波出す)ってことはAWACS自体が自分の電磁波で墜落しかねないって事だぞ…
人間に影響が出るくらいの出力では当然、電波・電磁波でAWACS自機の電子機器もぶっ壊れる。
それを懸念してしっかり機体内部はシールド(遮蔽)されている。 なので乗員も安全。
・ちなみに
イージス艦のレーダーでも実際どんな影響がでるかどうかというのは具体的には不明な点も多い。
ただ、レーダー作動中は甲板にでるのは禁止されている(ヤバい影響があった時に備えて、一応)
一昔前は電子レンジ状態になって、甲板に出ていた人間が死ぬとか言われたが、
実際人が死ぬほどの出力は出せないというか、出す必要がない。
とりあえず、艦内の乗員や他の電子機器に障害が出ない程度には配慮や遮蔽処置がなされている。
・AWACSにしてもイージス艦にしても、高性能レーダーは高出力だけでなく、高指向性も必要とされる。
もちろんサイドローブも発生するが、これも最小化された上で遮蔽処置も行われる。
電子戦機などではキャノピーにも電磁遮蔽コーティングが施されている。
#right(){(初心者スレ485:442,443,459*一部改編)}
**対人レーダーや対砲迫レーダーに対する電子妨害手段は研究されていないのですか?
対砲迫レーダーへの妨害は30年ぐらいからいろいろやってる。
最近は撃った場所が推定できないぐらい進歩してるらしい
対人レーダ、対砲迫レーダーにかぎらず、電磁パルスによる電子機器の無効化はどこでも研究中だよ。
#right(){(初心者スレ485:548,549)}
**敵機が低空侵攻してきたら水平線以遠の見通しは利かないのに、艦艇や地上設置の対空レーダーが数百kmもの視程をもつのはどういう意味(意義)があるんでしょうか?
低空侵攻はすごく燃料食うし、緊張もするので、遠路はるばるずっと低空侵攻ってのはない。
その遠路の段階で捉まえてれば対処に余裕ができる。
低空侵攻やステルス性の高い機体、ミサイルを確実に捉えようとすると、
レーダーには出力やノイズとの分離機能、分解能などについて高い機能が要求される。
基本はS/N比であり、S、つまり信号部分の入力を増やす一番確実な方法は出力を上げること。
だから遠距離探知を目的としていなくても、結果として数百kmの視程を得てしまうことにもなる。
#right(){(初心者スレ489:779)}
**戦車などに搭載されてるレーザー探知機ですが、あの小さなセンサーで探知できる原理が分かりません。
>車体の大きさと比較すると、センサー部にレーザー光が都合よく照射される可能性は気休め程度でしかないと思うのです。
>いったいどうやって実用性を確保しているのでしょうか?
測距用レーザー光はかなり拡がるため、あの程度の配置で感知することが出来ます。
あまり狭い測距光にすると、車両の動きや動揺などでわずかに揺れるだけでも
測距が出来なくなりますし、静止していても正確に照準する必要があるため、時間がかかります。
また、間にわずかな障害物が入るだけでも遮断されてしまいます。
離れた距離から照射することもありますから、わずかな角度のブレでも照射点はかなり動きます。
あまり細いビームでは、目標を外してしまい、実用にならないのです。
レーザーというと、せいぜい鉛筆の太さぐらいのビームを想像しがちですが、
むしろサーチライトぐらいの光束を想像してください。
#right(){(初心者スレ493:771)}
航空用のレーザー照射器を考えるとわかりやすいかもしれません。
スター・ストリークなど、地上からレーザーを照射し、セミアクティブに対空ミサイルを誘導する方式がありますが、
もしレーザーがペンシルビームだったら、高速で移動する機体に、その細いビームを照射し続けるのは大変です。
そこで昔の空襲で使われたようなサーチライトを振り回す感じで、太いレーザービームを使用し、
敵の機体を捉えるわけです。ですから、航空機やヘリのレーザー被照射警戒装置も数ヶ所で済ませています。
#right(){(初心者スレ493:772)}
**自衛隊のレーダーサイトでは、中の人がレーダーの画面睨んで、国籍不明機とかが接近してきたら上の部隊に報告してるんですか?
>それとも、データは直接上の部隊に送られて、レーダーサイトの中の人は機材の保守整備とかだけをしているんですか?
レーダー員がその場で上官に報告、
「アンノウン」(国籍不明機かもしんない)と判定された時点で「目標番号」が付され、
さらに追跡して、上級部隊で「この目標番号のやつはヤバめの目標」と判定されればスクランブルがかかる。
「アンノウン」の可能性があるのかどうか、素早く判断するのはレーダー員の腕前。
余談だが、古処誠二「アンノウン」文春文庫は、
航空自衛隊レーダーサイトを題材にした本なので一読をお勧めします。
#right{(364:418,422)}
**レーダーやその他のセンサーを被弾から防御する方法が研究されていたら教えてください。
装甲車両の火器管制用光学装置は、7.62mm弾や榴弾片、衝撃に耐えるよう、カバーや防弾ガラスで防御されています。
同じく、装甲車両のアクティブ防御装置に使われるマイクロ波レーダーなども、同様の防御がされている、
とメーカーは主張しています。
本当にそこまでの耐弾性があるか疑問視されてはいますが。
航空機や艦船となると、本体の被弾の方が問題になるので、センサーに特別な防御方法は施されていません。
とはいえ、常識的な強化はなされています。
#right{(506:94)}
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