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153.道を征く者
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お父さん、お母さん、それに兄上に妹。お元気ですか
友達ができました。
このどうしようも無くクソッタレな世界で知り合いました。
出会ったときから天をつくような逆毛で、
どこに出しても恥ずかしいくらい逆毛です。
それと融通利かない堅物です。
訂正、堅物なんてものじゃありません。
信じられますか?
今までデートはおろか、女の子と会話すらまともにしたことが無いそうですよ?
ちょっと肌を露出させた深淵の騎士子さん相手にドギマギしてます。
気づかれないように平静を装ってますが、バレてますって。
ダイヤの原石です。変な意味で。
ついさっきもペコペコ管理兵2人組相手に、のたまいました。
「モエ?なにそれ?っっwwwっうぇ」
なってません。逆毛のくせに全くなってません。
世の素晴らしさの30%くらい無駄にしてます。
元の世界に帰ったら叩き込んでやろうと思う。
驚く顔が見物だ。
面白い奴だ。
損な生き方してる奴だ。
いい奴なんだ。
だから
一緒に帰りたかった。
「助けられてばかりだな」
泥まみれになりながら掘った穴に3人を横たえてやると、目を真っ赤に腫らした深淵の騎士子は死者に語りかける。
「二度だ…
一度目はお前と♂アルケミに、もう一度はそこの二人の育てたペコペコに助けられた」
自嘲?それとも懺悔?
真っ直ぐ見つめる目はそのどちらも否定する。
これは…
「もらった命、無駄にはせぬ」
これは、誓いだ。
「お前達の託した想い、しかと聞き届けた」
騎士子は目を逸らさない。
「情けないが、まだ私は憎しみも悲しみも悔しさも捨てられない」
騎士は自分の中に大切な何かを背負い、そのために生き、死ぬと言う。
「だが、たとえ無様であろうと、生にすがろう。
戦って死ぬより遙かに険しい道だろうと皆と生き残ろう。
このくだらぬゲームを潰そう。
それが我が誓い。
我が騎士道だ」
溢れんばかりの負の感情を前にしても、もう道を踏み誤ることはない。
三人から引き継いだ命の灯が二人の進むべき道を指し示してくれるのだから。
(きっとお前がくれたんだ、逆毛)
強い心を、二人に。
♂アルケミは思う。
折れた剣と
父と子と精霊と逆毛の神と
そして逝った親友に誓おう。
希望的観測は出来ない。
そんな甘さは友の命と共に吹き飛んでしまった。
それでも俺は、絶対にゲームに乗ってやらない。
「だから眠れ、安らかに」
<♂アルケミ・深淵の騎士子現状維持>
<時間は放送前>
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