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070.道の途中    夜の帳がすっかり降りた森。その中を三つの影が進んでいる。  大きいのは悪漢。中くらいのは弓手の少女。小さいのは子バフォ。   「…お主、本当に道覚えておろうな?」  これで既に何度目かになる疑問を子バフォが投げる。   「…いい加減しつけぇな手前ぇも。そこの大きな岩とか、目印になるもんとか利用してちゃんと覚えてるっつーの。…もうちょいだよ」  その言葉に、辟易しながらローグが答えて、近くにあった巨岩を指差す。  因みに、『もうちょいだ』という台詞は三度目だったりする。  海岸を去ってから、終始この具合の一人と一匹に、♀アーチャーはそこはかとなく先行きの不安を感じていた。  ♂ローグも、言ってる事は事実なのだが、もう歩き始めて随分になる。子バフォの言葉ももっともだった。  距離感については、怪我をして体力が落ちていることもあるのかもしれなかったが。  さりとて…雑談でもして不安を紛らわすにも、どうにも話しかけ辛いのだ。  今、下手に喋ればきっと、先ほどのお礼を口にしてしまうこととなるだろう。  まさか、何時までも礼を言い続けるわけにはいかない。弓手の少女は、それ程に恥知らずではない。  そして、もう一点ある。  確かに、彼等は命の恩人だ。だが、同時に毒が抜けて冷静になってからその時の言動を思い返してみると…背中が、非常にむず痒い。  これは仕方の無い、仕方の無いことなのだが、やはり安全になってから思い出すと恥ずかしい。うん。  我ながら身勝手な考えだけれど、と少女は思う。 「アーチャー殿、どうなされた?傷がいたむのか?」  子バフォに尋ねられて、慌てて首を振る。まさか、自分の言動を思い返してむず痒くなっていた、などと言える筈もない。 「…あのな手前ぇ等、ちったぁ気ぃ張っとけ。この辺にゃ、確実にやる気になってる奴が潜んでるぞ? ヘマしでかした時のフォローなんざ俺は絶対ぇしねぇからな」  呆れた様な調子で、そんな二人にローグが言った。 「あの鍛冶師のことか?」 「そうだ。あの糞スミだ」 「確かに、出くわすと不味いであろうな。我等には正直荷が勝ちすぎる脅威だ」  子バフォが、表情を曇らせる。その様子に、弓手は心を引き締めた。  そうだ。まだ、安全な訳じゃあない。やる気の人間が近くにいるのだ。  その時…悪漢が突然何か思い出したかのように、立ち止まる 「そういやよ…お前、仲間にだまされた、とか言ってたが、そいつは一体誰だ?」  騙されるこたぁねぇだろうが、そういう奴には先手を打てるに越したこたぁねぇ、と続ける。 「♀商人よ。商人って言うより、むしろ詐欺師っていった方がいいかもしれないけどね」  若干の恐怖と、大きな怒りを込めて、そんな言葉を口から吐き出した。 「違ぇねぇな」  悪漢は、肩を竦めて弓手の返事に応えた。そして、再び歩き出す。  …夜の森を進む彼等の旅は続く。   <♂ログ&子バフォ、♀アチャ 状態変化無し 隠れ家に向ってる途中> ---- | 戻る | 目次 | 進む | | [[069]] | [[目次]] | [[071]] |

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