「075」(2005/11/04 (金) 02:12:48) の最新版変更点
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075.エスケープ
(………勝てないな)
一撃受け止めただけで、♀クルセイダーは率直にそう思った。
♀BSが襲われるのを見て即座に助けに入ってしまったが、無謀だったかもしれない。
腕には重い痺れが残っており、♂BSの斬撃の威力を物語っていた。
相手はオーラなのに加えてブラッドアックスを持っている。対してこちらは、今にも折れそうなナイフ。
不利だった。途方も無いほどに。
(かくなる上は………)
ちらりと、横目で♀BSを見やる。
まだ座り込んだままだが、外傷は特に無いようだ。
走ることぐらいはできるだろう。
ナイフで牽制しながら、じりじりと後退する。
♀BSのもとまで下がると、腕を引いて立ち上がらせた。
「…良いか、合図したら全力で走れ。その後生き残れたら………アルデバランの旅館で会おう」
小声で♀BSに伝える。
それと同時に、手の中に少量の砂を握った。
こういう手は好きではないが、なりふり構っていられる状況ではない。
まだ心ここにあらずといった感じの♀BSであったが、言われたことは理解したらしく、小さくうなずいた。
「………殺す」
♂BSが間合いを縮め………
「―――走れっ!!」
刹那、三人が三様に動き出した。
走り出す♀BS。
斧を横に構え、一跳躍で詰めた♂BSが射程に♀クルセイダーを捉える。
そして♀クルセイダーは手の中の砂を♂BSの顔面に投げつけた。
「………っ!!」
♂BSが一瞬怯む。
その隙を逃さず、♀クルセイダーはバックステップで間合いを取る。
視界を奪われた♂BSは斧を滅茶苦茶に振り回したが、それがクルセイダーに当たることは無かった。
(これなら………)
逃げ切れる。そう確信して彼女は振り返った。
しかし―――。
「なっ!?」
かなりの距離を離したはずのBSの姿が、小さくながらも見えたのだ。
しかもそれは、だんだんと近づいてくる。
(しくじった!!)
ブラッドアックスの移動速度増加という効果を、すっかり失念していたのだ。
(………くっ)
逃げ切るのは無理。
瞬時に彼女はそう判断した。
アルデバランに向けていた進路を、逆に取る。
戦うしかなかった。たとえ勝ち目が薄くとも。
<♂BS、♀クルセ 戦闘準備 廃坑方面へ 所持品変化なし>
<♀BS アルデバランへ 所持品変化なし>
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