「159」(2005/11/04 (金) 02:28:43) の最新版変更点
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159.集う者達~詩人の場合
痩せた詩人は、その放送を聴くなり、立ち止まった。
それが告げている内容は、男の目的の喪失でもあった。
即ち、アルデバラン前が禁止区域になり、アラームの名が未だ呼ばれていない、と言う事実である。
「……参った」
呟き、詩人は天を仰ぐ。
目指していた場所からは、既にアラームは移動してしまっているだろう。
と、なれば彼がこのまま移動しても無意味だ。
さて、どうしたものか。
幾つかの可能性を思い浮かべながら、思案する。
出来る限り冷静に。
一、アラームは本当にアルデバランに向ったのだろうか?
回答、情報の不足により現時点では不明。但し、最も確立が高いことは確かだ。
二、アルデバランから離れたとして、何処に向うか?
回答、恐らく、アルデバランからは離れるだろう。向うとすれば、禁止区域の少ない方。
明確な根拠は無いが、そう考えるのが最も無理が無い気がする。
三、ならば自分は何処に向うのが最適か?
「プロンテラ北、か」
ぼそり、と呟いてみる。
他に候補が無いわけでは無い。
もし、アルデバランから離れたとすれば取るべき道は二つ。
迷宮の森を抜けるか、彼が歩いている道を抜けるかのどちらかだ。
しかしながら、一つの論拠が彼の脳裏にはあった。
もしも、自分がアラームを連れていたとして。この峠道の様な場所を通るだろうか、という疑問への答えがそれだ。
「多分…通らない、な」
今の様に自分ひとりで歩いているなら兎も角としてだ。
連れがいると仮定すれば、多少なりとも慎重な行動を取るだろう。
事実、こんな発見されやすい場所では、足手まといは格好の獲物でしかない。
勿論、その結論は仮定から汲み上げた推測の域を出ない。
結局のところ、今此処でアラームを待っていても、出会える確立は余り変わるまい。
ただ、一点違いがあるとすれば。
「けど、賭ける価値はあるよな、きっと」
自分で下した結論の方が、賭けを外した時の後悔は少ないだろう、と言うことだ。
<バドスケ 進路をプロ北に変更>
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