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160.虎穴に入らずんば   「やはり、我々の行動範囲を着実に狭めてきているな」 間の抜けた音楽と共に放送が終わった後、♀セージが言った。 「これだけ範囲が狭くなると、他の奴らと出くわさないってのは難しいよなあ」 地図の禁止区域に×印をつけながら、♂アーチャーが応える。 「逃げ回ってないでさっさと殺しあえってことかしら?」 苦々しさをあらわにした口調で、♀ウィズ。 「それがあの女の狙いだろう。どうやら我々が協力し合っているのもお気に召さないらしい」 略式ながら死者のために祈りを捧げていた♀クルセが会話に加わる。 そんな会話をしつつ、筆談が行われていた。会話が筒抜けの可能性がある以上、重要なことは口に出すわけには行かない。 『まだゲフェンまでの道は塞がれていないな』 『でも一本道ってのが気にいらないわね』 『そうだな。次の放送次第では逃げ道が塞がれてしまうかも知れん』 確かにその通りだった。ゲフェンの門はもはや北側しか使えず、そこに至るルートも湖を通るしかない。入り組んだ地形と細い橋。そこが禁止区域になった場合、30分の猶予――あの忌々しい管理者が今までのルールを変えなければの話だが――があるとは言え、強行突破はあまりに分の悪い賭けとなる。 『道が開いてること自体が罠ってことは?』 ためらいがちに♂アーチャーが書いた言葉に、♀セージは素直に回答する。 『その可能性はある』 そして付け加えた。 『しかし、行かなければ』 全員が深く頷いた。 一方、♂プリは困っていた。 (まいったな……アルデバランは完全に塞がれちまった) 「ねえ、これからどうすんの? もうアルデバランは行けないみたいだけど」 立ち止まって考え始めた♂プリを見て、♀アサが声を掛けてくる。 ♂プリはまたチェインの柄を使って地面に何やら描いていた。左上に三角の塔、右上には時計のついた建物、その下には城、さらに右下には狐。そしてそれぞれの横にはさっきも見た結晶の絵。♀アサにも、それが世界の4ヶ所に存在するギルド砦、そこに配置されているエンペリウムを指しているのだとわかった。 「俺たちが居るのは……まあ、だいたいこの辺か」 印が付いた場所は、プロンテラとゲフェンの中間あたりの地点、元の世界であればバッタ海岸と呼ばれる場所の南岸だ。 (道が塞がった以上、アルデバランのエンペリウムには手が出せない……どうすればいい?) こつこつと地面を叩きながら考え込む♂プリ。しばらくそれを見ていた♀アサだが、やがて口を開いた。 「あのさ……すごく強いやつと戦うとき、あんたならどうする?」 「あ? 何だよいきなり」 考え事を中断された♂プリが不機嫌そうな声を出す。それを受け流しながら♀アサは言葉を続ける。 「別にさあ、相手と真正面から戦う必要は無いんだよね」 「……何の話だよ?」 「手でも足でも、眼でもいい。どっか弱そうなところを叩いてやれば、もうそいつは全力では戦えない。そうなったらこっちのもんさ」 ようやく♂プリにも話がわかってきた。 何もすべてのエンペリウムを破壊する必要は無い。いくつかが破壊されれば、この巨大な結界は維持できなくなる。♀アサはそう言いたいのだ。 「なるほどな。あとは向こうが自滅してくれるってわけか」 「そういうこと。さすが、察しがいいね」 ♀アサは満足げに笑うと、地図のほうに視線を向ける。 「で、どこに向かうわけ?」 もう♂プリは地図上の一点を丸で囲んでいた。 「わかったよ。じゃ、行こうか」 <♀セージPT、ゲフェンへ向かう> <♂プリPT、ブリトニア(ゲフェンギルドマップ)へ向かう> ---- | 戻る | 目次 | 進む | | [[159]] | [[目次]] | [[161]]

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